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独身リーマン異世界へ!  作者: 黒斬行弘
第九章 第三都市アルターラ
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ありがとうレベル1

 話が脱線していたが、レオナルドはギルドからの連絡を、俺に伝えに来ていたんだった。


「それでギルドからの連絡ってなんですか?」


「ああ実は、コレナガさんだけじゃなくて、ユリアーナとエレオノーレさんにも関係あって」


「え?そうなんですか?」


 レオナルドの言葉に、ユリアーナとエレオノーレさんも顔を見合わせている。たぶん心当たりがないのだろう。と言うか、俺にもそんなものないのだが。


「先日のクエストで、結局オーク討伐は達成できなかっただろ?」


「まあ、存在しない物は倒せませんからね」


 あの時の俺達に平謝りしていた職員の顔は今でも忘れられない。すんげえ申し訳なさそうな顔してたもん。もう泣いちゃうんじゃないかってくらい。


「それで、ギルドの方で話し合った結果、あのクエストはギルドからの依頼と言う事になり、グリーンボア討伐クエストを俺達は見事達成した、という事になったそうだ」


「え?それってつまり・・・」


「報酬も経験もきちんともらえる」


「ホントですか!?やったー!」


 マジかよ!すげえ嬉しいよ!報酬も嬉しいけど、レベルアップにつながる経験報酬をもらえるのが一番嬉しい!


 これでようやく、長い間のお友達だった「レベル1」ともおさらばだ。ありがとうレベル1、君の事は忘れない!


 あれ?


 

 ちょっと待てよ?


 レベル1で思い出したけど、そういえばさっきエレオノーレさんが「私レベル2なんですよ」とか言ってなかったか?


 いやおかしいぞ。エレオノーレさんは俺と同じレベル1だったはずだ。しかしさっきエレオノーレさんのカードには「レベル2」って表示されてた。


「あの、エレオノーレさんて、僕と同じレベル1じゃありませんでしたか?」


 俺はもう、そう聞かずにはいられなかったよ。だって長い間苦楽を共に分かち合った「レベル1」の同士なんだぞ。いつのまに彼女はぬけがけをしたというのだ・・・。


「だってこの前、エレオノーレと二人で戦闘系クエストにいってきたもん。それでレベルが上がったんだよねー」


「え、ええまあ・・・」


 エレオノーレさんに代わって楽し気に俺に答えてくるユリアーナ。そういえば俺がユリアーナを怒らせたとき、二人で戦闘系クエスト行くとか言ってた気がする。


「あれ?でもエレオノーレさんとユリアーナなら、レベル2程度上がるだけのクエストだけじゃなくて、もっと高レベルのクエスト受けれたんじゃないの?」


 レオナルドがそう疑問を呈してきた。そういえば、二人の強さからすれば、レベル2どころか5とか行っててもおかしくない気がするな。


「だってエレオノーレが、「あんまりコレナガさんとレベル差がついちゃったら、コレナガさんがいじけるかもしれないから」って・・むぐぐぐぐ」


「な、なんでもありませんよコレナガさん。たまたまイイ感じのクエストが無かっただけなんですよ。ええホントに」


 エレオノーレさんがユリアーナの口を手で塞ぎながら、慌ててそう言ってきた。


 つまりあれか?俺に気を使ってレベルをあげなかったって事?マジで?


 ううっ、情けない!俺そんな風に思われてたの?やばい大泣きしそう!


「あー、とりあえず話しを勧めて良いか?」


 レオナルドがさすがにいたたまれなくなったのか、強引に話しを進めて来た。


「まあ、要はいつでもいいから報酬の受け取りの手続きに来て欲しいって事らしい」


「シンちゃん良かったじゃない。これでレベル1ともおさらばだねー」


 レオナルドの言葉にユリアーナが俺にそう言ってきたが、何故だろう?素直に受け取れねえ。エレオノーレさんは何故か俺から目を逸らしたままだし・・・。


 やはり俺の事を一番わかってくれるのは、心友であるラウロだけだな!


 ・・・あれ?そういえばラウロあの後どうしたんだろう?今回の件ラウロにも伝えてるんだよな。


「レオナルドさん、ラウロさんはあの後、グリーンボア倒した後どうしてたのか知ってます?」


「ラウロ?あ、そういえば、帰るときには見かけなかったな・・・。すまない、色々あってすっかり失念していた」


「いやいや、レオナルドさんが謝るような事じゃないですよ」


「ただ、ギルドはラウロにも連絡はしたとは言ってたな」


「あ、そうなんですね」


 なんだ連絡とれる状態だったか。いやほら、あいつ魔法撃つの失敗しちゃったから落ち込んでるんじゃないかと思ったんだよ。でもまあ連絡取れてるんなら良かったよ。


 俺も昔そうだったんだけど、ああいうちょっと内向的で他人よりも不器用な傾向がある人ってさ、人一倍ショックを受けちゃう傾向が多い気がするんだよ。しかもそれをユリアーナとかレオナルドとか、何と言うか、誰からも愛されるような明るい人から助けられたじゃん?


 あーいうのって、「あーやっぱり自分はダメな奴なんだ」って勝手に思っちゃったりするんだよ。俺のケースなんだけどな。


 ホントは違うんだよ?ダメなところは誰だってあるし、良い所だってそうだ。でも、自分じゃ見えないんだよな。


 で、レオナルドみたいな奴に慰められると、余計にプライドが傷ついちゃうんだよ。難しいよな。


 まあ、ラウロがそういう人間だっていう確証は無いし、連絡ついてるんなら大丈夫だろう。そもそも俺は人の心配出来る余裕なんかない・・・。


 しかし、これで何とかレベル1は卒業できそうだ!魔法もレベル2以上を覚えられるって事だろ!やばい!なんか高鳴って来た!


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