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はるかかなたのエクソダス2 ~夜明けの翼  作者: 風庭悠
第7章:忘れ物は何ですか?-チームメイト奪還編
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第53話:後の「愛の戦士」である、という話

[星歴996年3月22日]


 「義兄さん、あの人たち、本当に信頼できるの?」

シモンが尋ねる。心配は当然と言えた。

「そうですね。そのための試験テストというのが正解でしょうね。」


 今日は ジョシュアと接触コンタクトを取る約束をしていた。ベリアルを使ってジョシュアのパソコンに割り込んだのだ。奴隷は大抵ネットワークに接続することを禁じられているが、彼の実家は特権階級であり、問題がなかった。また、養子先と実家は仲が良く、その家庭環境が、この際大きな力になっていた。


それで、ジョシュアの義妹のエミリアが大学の講義を受けているうちの接触となった。


「よお、久しぶり。」

「よお。」

しばらく、どんな顔をして会おうか悩んでいた彼であったが、あってしまえばまるで昨日別れたかのようであった。


「なんか、すっかり大人になったって感じだな。」

会えていない3年半ほどの期間を埋めるように、二人は話し込む。

「はあ、まさかゼロスが結婚してたとか、なんかすげえ置いてかれた感があるなあ。」

ジョシュアはぼやいていた。尊はジョシュアの「いつもの調子」に安心しながら続けた。


「ジョシュア、私は3人を助け出します。そのあと、神殿に行くつもりです。あなたはどうしますか。

もちろん、あなたにも立場や事情というものがありますから。あなたがどんな決定をしようが、私は尊重します。」


尊の言葉に

「なんだよ俺だけ仲間はずれかよ。冗談じゃねえ。当然、助けに行くところから一緒だ。俺もお前と、いやみんなと一緒に戦う。俺たちは仲間だろ、はじめから。」

水臭いといわんばかりであった。


「でも、君の家族やエミリアはどうするのですか?」

尊は確認するように尋ねる。

「俺だってもう成人して大人になったんだぜ。よかったぜ。もし、これが3年前だったら、俺も指をくわえてみてるしかなかっただろうな。でも、今はちがう。セルバンテスもラザフォードともきっちり縁を切る。法的にはな。」


「ジョシュア、それじゃ君の立場は。」

縁を切る、という言葉の強さに尊は少し慌てる。

「だから法的に、といっただろ。別に俺が違う人間になるわけじゃない。変わるのはただの名字だ。」


「エミリアは? エミリアはあなたのことを諦めるのは難しいのでは無いのですか?」

尊はいちばん気になるところを尋ねる。尊はジョシュアの義妹のエミリアが男性としてのジョシュアに恋心を寄せていることを知っていた。ジョシュアを失わないためなら、尊たちについて密告する可能性がある。


「大丈夫だ。抱いたから」

尊は口にしていたコーヒーを噴き出した。

「それは、どういう.......?」

尊はその表現について確認しようと聞き直す。


ジョシュアはハッキリ言った。

「嫁にしてやるから黙ってろ、って言ったら証拠を見せろ。っていうから抱いてやった。」

回想シーンは譬えR15でも入れられない。


(作者よ、ノクターン行きにするつもりかえ?)

分かってますって、ベリアルさん。


「そんな大切なことを、安請け合いして大丈夫なのですか?」

尊は少し焦っていた。

「ああ、今のままではどうせ結婚なんて、俺たち奴隷は相手を選べない。ナスもかぼちゃも一緒だ。」


ひどい話ではある。しかし、後代、ジョシュアは義妹との愛を貫くために独立闘争に身を投じた『愛の戦士』、とうたわれることになる。歴史もふたを開ければ案外こんなものかもしれない。


「実はもう用意してあるんだ。」

ジョシュアが持ってきた鞄を開けたとき尊はびっくりした。


そこには護衛体技ガード・アーツの制服と護衛傘テクニカル・アンブレラが4人分、入っていたのだ。

「あいつらが逮捕される、っていうのは上から知らされていたんだ。だから、ゼロスが助けに来たら、これを一緒に持ってきてほしいって、逮捕前に預かっていたんだ。」


「ジョシュア……。」

尊は思わず涙が出そうになったがなんとかこらえた。

「これ着てさ、また一緒に戦おうぜ。」


「じゃ、行こうぜ。」

ジョシュアが促す。逆に尊がうろたえてしまった。

「今から?あいさつもなしに……って、そうだな。」

尊も思い直した。


「大丈夫、ちゃんと行ってきますのチューはすませておいたから。エミリアとはな。」

ジョシュアがウインクする。

「よかったですね、義兄さんと一緒で。」

シモンが余計なことをいう。


「戻るぞ、船長キャプテン

尊は少し照れていた。


「うわ、すげえ。」

船に戻るとジョシュアは驚きの声を上げる。ジョシュアはさすがにアメミット監獄島への襲撃は「名軍師」のゼロスでも難しいだろう、と思っていたのだ。

「すげえな、シモン。お前んち金持ちなのな?」


「まあ、この惑星ほしで使えない金なのが玉に瑕ですけどね。」

シモンも自嘲気味に笑った。よく義兄にチームメイトの話を聞かされていたが、まったくその通りだったのがおかしいのだろう。


「ジョシュア、作戦の決行は1週間後です。こちらのクルーも打ち合わせや訓練が必要です。つきあってもらいますよ。」

尊の言葉にキョトンとするジョシュアであった。

「どうしました?」


「いや、あの、訓練嫌いのゼロスの言葉とは思えない。人が変わったみたいだな、感心したわ。」


「ほんとに変わったのじゃがな。『人』が。」

ベリアルの突っ込みは尊しか聞こえなかった。



ゼロスの訓練嫌いは第一部の4話を参照……と漫画みたいな伏線拾いをやってみました。てへ。明日もお楽しみに。明日はお久ぶりのバトルだよ。

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