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はるかかなたのエクソダス2 ~夜明けの翼  作者: 風庭悠
第9章:雛鳥たちの羽ばたきに~万神殿編
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第63話:四天(セラフ)の集い、という話。

連載再開です。

[星歴997年 4月10日]


万神殿パンデモニウムの中心に存在するのが「神殿」である。神殿は地表部分の中央にある。真っ平らな地表部分から土が盛られていて小高い丘になっており、そこは「モリアの丘」と呼ばれている。


 南側からそれを昇る石造りの大階段が続いていて、右手にある「森の家」とよばれる事務所を過ぎると、真っ白な壁に囲まれている、立派な正門につながる。

 

 左眼のデバイスでチェックを受け、通過するとそこがだだっ広い「大いなる中庭」である。ここは祭りのときには一般にも開放される。そこをさらに直進するとまた白い壁に囲まれた場所があり、その奥に神殿の巨大な建造物が横たわっている。その門に入ることができるのは、祭司の宝井家の一族とシードの中でも資格あるものだけである。


 無論、尊もそのうちの一人である。尊はさらに聖所に入る。ここでやっとキング四天セラフたちと一同に会することができるのである。

 尊は週に一度、ここに通っていた。情報の分析や意見の交換のためである。

尊は祭司たちに見守られながら、カプセルに入り、宮殿に参内ログインする。


 四天セラフはもともと宇宙移民船イザナギのホストコンピューター「オモイカネ」に提供された4人の少年の人格パーソナリティが復活したものであり、それに先住民ケルビム知恵アーカイブを使役するアプリ、「四つのフォークリーチャーズき物がインストールされているものである。


 兵器技術を司るルシフェルを駆るランスロット、鞍馬光平。聖杯(生産システム)を司るベルゼバブを駆るガウェイン、宝井舜介、召喚陣ゲートシステムを司るアザゼルを駆るトリスタン、棗凛太郎。そしてナノマシンシステムを司るベリアルを駆るパーシヴァルが本作の主人公、不知火尊である。


 この会合にはキング・アーサーである鞍馬哲平と宮廷魔導士を名乗る先住民ケルビムの惑星管理者マーリンも出席する。


 鞍馬哲平はイザナギの船長であり、光平の叔父であった。オモイカネが組みこまれたJUSTINが「ドM」ことモルドレッドによって暴走させられた時、それを阻止するために肉体を棄て、「アーサーシステム」の主人格メインパーソナリティとなった人物だ。


また、マーリンは先住民ケルビムであり、この惑星スフィアの管理者を名乗っている。本当の名は発音不可能なためゲイブ(ガブリエル)と呼ばれていたが、危急の際にアーサーシステムを構築し、助言者もしくは観察者として常駐し、現在は「マーリン」を名乗っている。


論題が奴隷解放交渉についての話に及ぶと

「まあ、武力衝突は避けられないだろうね。」

光平の言葉に皆頷く。


 とりわけ、アマレク人は17の強力な騎士団を有している。九騎士団エネアードは主に戦闘機神セトと呼ばれる人型の兵器で構成されている。これは、先住民ケルビムの遺した兵器を発掘し、コピーしたものだ。


 九騎士団エネアード戦闘機神セトと呼ばれる人型の陸上戦力を中心にするのに対して、八竜士団オグドアッドと総称される騎士団は航空宇宙で使用される戦闘機竜ホルスと呼ばれるやはり人型の航空兵器を中心に構成されている。


どちらも、母艦イシスと呼ばれる陸上母艦、航空母艦に収容され、運用されている。これも先住民ケルビムの遺産の発掘兵器であった。


「基本的には、今僕らが彼らに貸し与えてあるシステムを取り上げて、君たちには最初から勝ち目なんかないよ、って教えてあげることから始めないとね。」

凛太郎は戦争は避けたいようだ。


「まあ、こちらも準備が足らないですからね。戦争しようにも、手持ちがなさすぎます。神殿には先住民ケルビムの遺した兵器もありますが……」

尊が言うと、


「ここの(生産のための)聖杯システムはそれには小さすぎだよね。神殿域の住民の生活くらしを支えるためでいっぱいいっぱいだろ。軍需品を生産できるほどの余裕はないよね。」

聖杯システムの担当者である舜介が釘を刺した。


戦争になれば、ここだけの生産能力だけではとても軍事行動を支えるだけの生産は不可能だ。


「やはり、どうしても 本拠地が欲しいところだなあ。」

アーサーも腕を組む。


「ご提案ですが、先に旧ウインダムを取り戻してはいかがでしょう? あそこの聖杯システムはアマレク人が手を加えてなかなかのものになっているはずです。」

マーリンが提案する。


 ウインダムは惑星の北回帰線上にある軌道エレベーターと宇宙港を持つ都市で、アマレク人に取り上げられた最初の都市であった。


「『ヘリオポリス』ですか。」

光平もうなずく。アマレク人はそこを首都として、150年ほど使っていたが、大規模な原発事故を起こし、周辺地域も含めて廃棄都市となっていた。


「尊、(ナノマシンによって大気を維持する)テスタメントは君の担当だろ?除染はすみそうなのか?」

舜介が尊に振る。尊は200年かけて、周辺地域の除染を行っていたのだ。


「ええ、危険値はクリアしていて、安全値まであと少し、というところですね。」

尊はあまり乗り気ではない。せっかく回復してきたのに、また戦火に巻き込んで地を損なうというのも、という思いがためらいを生んでいた。


「あそこは戦うにはいいですよ。もともと、山地に巨大隕石が突っ込んで出来たクレーターを利用していますから、周りは山に囲まれ、地上戦力が侵入する経路も限られています。水資源も豊富ですし、寡兵で守るにはちょうどいいですね。」

凛太郎も賛成する。


「じゃあパーシヴァル。お前さん、ちょっくらウインダムまで行って、見て来てくんな。あそこは高台だから、まだ桜も散ってないだろ?嫁をつれてデートがてらっていいじゃねえか。」

アーサーがまとめる。


「いいですね。リア充は。遠慮なくもげろ。」

「きゃっきゃ、ウフフですね。」

「きゃっきゃ、ウフフだな。」

皆にからかわれ尊は少しむくれる。


「うるせー、ですよ。」

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