ラルファの息抜き
タイトルの通り、今回はラルファの話です
しかも『息抜き』と、微かに意味深さを含ませております
と本文に移っていく前に、どうでしょうか?
ラルファの評価と言うのは読者皆様の目線からすると、どのような感じなのでしょうか?
最近頂いた感想ではキャラの姿が想像しにくいと言うような意見もあり、まだ何とも言えないかもしれません…
なので本文の前にさらっとラルファのキャラ設定を載せて起きたいと思います
身体について等の細かい数値は具体的な数値より、アルトとの比較で表していきます。あとラルファだけ新装備の説明をしていなかったのでそれを含めて
別に見なくてもいいや、と言う方はどうぞ前書きを飛ばして本文へ
ではまず外観から
※ちなみに覚醒後の方です
・身長はアルトと同じくらい
・背中、大体へその裏辺りまで伸びてる金髪が特徴的
・ボンッキュボンッ でもスレンダーな完全体プロポーション
装備について
・騎士のような格好で、肩から白いマントを下げている
騎士と言ってもごっつい鎧などは身につけておらず、白いセーターのような服の上で、胸の部分だけにアーマーがつけられている
下は白いスカートで、靴までの間は肌色の生足が………、ゴクッ…
そして最も重要なのはここからの設定
人格が変わってからの点です
変わる前→変わった後
髪型
ポニーテール→ロングへ
言葉遣い
男→優しい女子
属性
S→M
後は言葉でいきますね
昔滅ぼされたバーサーカーの優しい女の子。失ってる記憶や自分の正体について知るため、アルト達のパーティーに加わった。
剣術ができ、バーサーカーの筋力から繰り出すスキルはどれも強力で、パーティー1の力持ち。
人格が変わってからは、アルトに対する自分の思いへ素直に………なれたのか?それでも自分達バーサーカーを滅亡に追い込んだ人間達を憎む気持ちは、晴れてなくなった
安全な町にいない限り、覚醒前の青髪幼女の方には戻らないようにしている
的な感じですがいかがでしょうか?なんだか最後はポ○モン図鑑みたいになってしまいましたが…。
まだ分からない事があるという人はどうぞ気軽にお聞きください
それでは長くなりましたが本文へどうぞ
「あーーー…………、イイ天気ダナー…」
色のない目を向けて、感情の籠ってないどうでもいい言葉を念仏のように言った。
「ご、ごめんなさい…。まだ…怯えてますか…?」
アルトが死んだ魚のような目で虚ろになっているのも、ハルキィアが気まずそうにしているのも無理はなかった。
その事件からは丸一日経過した。
マッサージをしていたハルキィアが暴走して、アルトを襲った。
ハルキィア本人にはその記憶がなく、何があったか襲われたアルト以外は知らない。
とりあえずそんなことがあってから、アルトの様子がおかしくなってしまった。
「し、心配い、いらないよ…。だだだ、大丈夫だから…」
口ではそう言っても誰が見ても、心配せずにはいられない。
「わ、私も無意識だったんですよ…?で、でも変なスイッチが入ってから…、そこから何も覚えてないんです…」
「し、仕方ないよ…。逆にハルキィアの新しい姿を見れて新鮮だったし…」
その言葉に全員がピクッと動きを止めた。そして口を揃えて、
「「「「「「もしかしてドM?」」」」」」
と尋ねた。
「え!?いや、今の言葉そういう意味じゃなくて…、!!」
アルトは我にかえって、意味の捉え方が違うことを説明しようとするが時すでに遅し。5人とディアスまでもが輪になって話し始めた。
「まぁ…でも分かってたよね?」
「いつも防御魔法で受けしか回らない点から、代々予想はつきましたよね?」
「わ、私はアルト君の気持ち分かるかな…。だって嬉しいもん…」
「え、SでもMでも…、マスターには変わりありません!!」
「アルトさんは叩かれると嬉しがる人なんですか?確かそういう人、マゾ豚って言うって聞いたんですけど?」
「ルナよ…。その言葉の意味は分かってないだろうし、どこで覚えてきた?」
別にMだから守りが好きな訳じゃないんだけど、とアルトはため息をついた。しかし否定をする気にはならなかった。
自分に関して何か言われているのはどうでもいい。ただ問題はハルキィアは危険人物であり、取り扱いには注意と言うことだ。
その上、はっきりと答えを教えてくれないが、自分が何かでシーナやハルキィアを怒らせてしまっているのが大本の原因であることは承知している。
女心を学べば男に戻れる。
その考えが自分にとって酷く困難であることに気がついてしまった。
「ごめんね…。実際悪いのはハルキィアじゃなくて僕なんだよね?」
「え――――――――――」
「ちょちょちょ!?どうしたの急に!?」
遠くを見るような目でアルトが呟くと、輪になっていた少女達はビックリした目で彼を見つめた。
「なんか急に冷静になってしまいました?」
「や、やっぱりトラウマになってるんじゃ!?」
「オーエン君!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃぃっ!!!!」
半泣きになってハルキィアが彼の足に飛びついて謝り続けた。
「ハルキィア!?ち、違くて!!謝るのはこっちなんだって!!」
抱きつかれた足にはハルキィアの柔らかな何かに挟まれる感触があった。それについて考えないようにしながら、顔を赤くしてアルトは彼女を引き離した。
「……ごめんね…。僕が…僕がちゃんとみんなのことについて理解できてないから、こういうことが起きちゃったんだ…」
暗い声でアルトは後悔するように話始める。
「マスター…、それは――」
「いや、そうなんだ。他人に任せといて、僕はしっかりそれを学ぼうとしてなかったんだ。そんなんならいつまでたっても分かるわけない…」
学ぶこととは自分で学ぼうとする意識がなければ成り立たない。他人から言われた事をただ聞いて、結果的にそれを鵜呑み、あるいは流していれば自分の問題を人に押し付けるただのクズ野郎だ。
「………えっ………、と………」
「だからこれからはどんどん質問する!!分からない事があったらなんでも聞く!!」
学ぶ事への意識は目覚めた。真剣に自分から物事を学ぶのはおそらく魔法を独学で練習した、ちょうど冒険者になった時以来だ。
「その………アルト君?」
「僕が質問をしたときは、迷惑になったりするかもしれない………。でも真実を教えて欲しい!!じゃないと僕はクズ野郎のままだ!!自分から行動を起こしたいんだ!!」
やっと…、やっとまともになれそうな気がしていた。全ての行動を面倒に思うのが普段の自分であるが、今回ばかりは違う。
本気、真剣、全力の意がその叫びに籠っているのが、少女たちには分かった。
「………あーーー…」
「それじゃあ早速教えて欲しい!!!!」
(どうするんですか!?)
(お、教えろって言われたって!!全員同時にあなたに恋してるなんて言える!?)
(む、無理だよ!!それにあの鈍いアルト君だよ!?好きだなんて全員で言ったらどうなるか予想ができないもん!!)
(でもあの目は引く気がありませんよ!?どうしましょう!?)
少女たちが焦って小声で話し合っていると、救世主は現れた。
「照れ隠しなんですよ♪」
「照れ隠し…?」
「「「「っ!?」」」」
驚いて女子四人、声のする方を向くと、
「シーナちゃんはアルトさんに可愛いって言われちゃって、つい怒って誤魔化そうとしちゃったんです。ハルキィアさんの場合も照れ隠し…みたいなもので、少し妬いてたんです。女の子になったアルトさんが可愛くて、つい苛めたくなってしまったんです」
ルナが不自然を含まない笑顔のまま、嘘をアルトに教えていた。
「そう…だったの…?でも照れ隠しとかジェラシーとか…そういうのじゃなかったような?」
「思い違いです。実際二人とも恥ずかしくなって、誤魔化すために怒ってたんです。アルトさんがハルキィアさんに襲われたのも同じなんです」
「だったのか…」
((((えーーーーーっ!?))))
どう聞いても信じられない話を納得してしまう鈍いアルトに、四人は心の中で呆れて叫び声を放っていた。
しかし同時に助かったとも思っていた。ルナが誤魔化してくれたおかげで、修羅場を切り抜ける事ができた。あのまま行けば、またパーティー間の関係が悪くなっていたかもしれない。
「それから今日はラルファさんの番です。照れ隠しで怒られるのはともかく、女の子を怒らせたらダメですよ?それに、何でも聞いても答えたくないことがもしかするとあるかもしれませんから、注意してくださいね」
「分かった。心に留めておくよ」
姉のように注意するルナに、アルトは従った。そしてそのまま足を動かし初め、暇潰しの雑談に戻った。
「~♪…っ、わ!?」
『『『『ルナお姉様ーーーーーー!!!!』』』』
その数秒後、後ろの方でルナに女子達が抱きついたのをアルトは幸い見ていなかった。
昼過ぎ、一行は森の中に丁度よく湖を見つけ、今晩はそこで一晩明かす事にした。
アルトは薪を集めるために、森の中にラルファと二人で歩き回っていた。
「結構集まったね」
「そうだね。このくらいあれば足りると思うよ」
「じゃあ帰ろうか。帰ったらよろしく」
「う…うん……」
薪を脇に抱えて満足そうに言うアルトに対し、ラルファは少し浮かない顔をしていた。
なにせ今彼女は初めてアルトと二人きりになったのだから。
「大丈夫?重くない?なんか表情暗いけど?」
「え?あ、だ、大丈夫だよっ!!力仕事なら私バリバリいけるもん!!気遣ってくれてありがとう…」
今のラルファは昔みたいな、何でもかんでもビシバシ痛め付けるチンピラのような性格ではない。バラバラになった期間に人格を更正して、今の彼女は超純情恋する乙女となっているのだ。
性格が変わったことで、アルトに対する恋心もハッキリとして、彼をそう想っているからこそ二人きりになったことを意識してしまうのだ。
「そう…。じゃあ行こうか」
「う…うん…!!」
しかしチャンスでもある。アルトに女心を教えるこの隙に、それを含めてあれを頼めばよい。彼の求める答えにも対応しつつ、自分をアピールする方法をラルファは考えていた。
「ね、ねぇアルト君…」
「ん?」
胸がバクンバクンと悲鳴をあげていた。本当は音が外に漏れているのではないかと思えるくらい、大きく速く鳴り続ける。
「その……、私…のことどう思う?」
「どう、って?」
「わ、私アルト君のために変わったんだけど…。へ、変かな…?」
ラルファは数日前に、自分の荒っぽい性格を変えるために寺で修行、と言う名の調教を受けた。何をされてこうなったのか、詳しくはその寺のシスターしか知らないが、ラルファは見事人が180度変わった。
ドタバタがあってアルトには違う人のようになったとしか伝わってないため、ラルファはここで感想を聞こうとした。
「変じゃないと思うよ。髪も下ろして可愛らしくなったと思うし」
以前のラルファと容姿を比べれば変わった点は色々と見つかる。堂々としていた前と違い、今の彼女はモジモジとして女子らしいと言えば女子らしい。髪も獣のようにボサボサだったのが、金色の滝のようにスラ…、と風に揺れる。
「本当…?あ、ありがとう」
照れてしまいラルファはアルトから目を離した。
「でも、無理とかしてないよね?」
「え?」
「1週間でこんな別人みたいになったんなら、すごく精神に負荷がかかったりしてない?」
「うん。そういうのは特にないよ。安心してアルト君♪私は無理なんてしなかったし、例えそうでも無理してよかったって思うもん」
「そう…、ならよかった。僕のためにありがとうラルファ」
「い、いいんだよ!!むしろ私は謝らないといけない立場だったんだよ?」
「ハハ…。やっぱりラルファは優しいな」
「っ…!!」
予想外の言葉を受けて、ラルファは電撃を浴びたように震えた。
本人は特に意識して言ったわけではないのだろう。しかし、やはり想いを寄せている相手に『優しい』と褒められると、嬉しいを飛び越えて昇天しそうな感覚に包まれた。
(こ、これは反則だよ!?そんな風に言われたら私、私期待しちゃう…っ!!)
アルトの鈍さに関しては十分承知している。その上彼が、ラルファ自信を含む周りの人間から慕われている事に気がついていないのも理解している。なのにそんなアルトにラルファは期待をもってしまいそうになる。
(落ち着いて…落ち着いて私…。い、今はそれどころじゃない…。アルト君が私の事を変に思ってないってことは分かった。だったら…、行動を起こさないと…!!)
「っ…!!」
「…どうしたんだいラルファ?急に周りをキョロキョロ見始めて?」
黒髪の少女は不思議そうにしながら、ラルファが見たように周りを気にする。
「…誰もいないよね…?」
「え…?うん、そうみたいだけど…」
「…………………よし!!」
「よし?」
周りには誰もいないことが分かった。するとラルファは、拳にぎゅっと力を入れて、抱えている薪をその辺の地面に置いた。そしてその近くにあった一本の木に近寄った。ちょうど人間一人くらいの太さの木だ。
「ラルファ?何してるの?」
「……アルト君…お願いがあるんだけど…」
金髪の間から覗かせている額を、その木の幹につけた。そしてぼ~…した顔をアルトに向けた。
「これを…」
「?」
ラルファはポケットから何かを取り出して、それを握っている腕をアルトに向けて突きだした。
アルトはそれを受け取り、何かを確認する。
赤色をした革製の輪っか。そう、ちょうどペットの犬や猫に着けるような首輪だった。
「は…………………………?」
「私の首に…………………………巻いて…」
そのまま地面にぺたんこ座りするように膝をついて、ラルファは目を閉じて首を突きだした。
アルトは何がなんだか分からなかった。何故今彼女は首輪を手渡したのか。何故彼女は背を低くして首を強調してきたのか。
結局そのすぐ後の『巻いて』と言う言葉で理解したが。
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤ!!??」
絶叫するかのように『イヤ』×ちょうど40回を喉から絞り出した。
「なんで急に!?なんで首輪!?なんで巻くの!?」
「私を………アルト君のペットにして…」
時が氷塊の中みたいにガッチガチに固まるように止まった気がした。アルトは言葉の出しかたを忘れるくらいに驚いた。
ペット………ペット……ペット…と、アルトはその単語の意味を思い出そうと考える。しかしどう考えても、やはりこの場に相応しくないマゾヒスティックな意味としか思えない。
「え…、M…?もしかして…」
ラルファは性格を変えてからドMになったと、他のみんなが言っていたことを思い出した。
だからペット。アルトはようやくそのつながりだということに辿り着いた。
「…性格は変わってよくなったんだけど、定期的にご褒美を貰わないといけない体になっちゃったの…」
ご褒美と言うのは痛みの例えの事だろう。
何の話だ、と叫びそうになるのを抑え、アルトは黙ってラルファの行っていることを聞いた。
「シスター様が言うには、欲求を溜めると耐えられなくなった体が爆発しちゃうんだって…。物理的な意味で」
すなわち死を意味しているのだと、直感的に理解した。叩かれないと爆発して死ぬ、よほどでない限り耳にはしなさそうな発言だった。
「だからアルト君!!私をこの首輪で木につないで!!そして…、ひ、ひっぱたいてっ!!」
ラルファの肌色の頬は紅く染まり、汗に濡れて少し輝きを放っている。呼吸は荒く、まるで風邪を引いた時みたいな表情になっていた。
その苦しそうな顔を前にして、アルトにはより大きなプレッシャーに近い何かがのしかかっていた。
(どうすればいい…!?叩かないとラルファが死ぬ…、しかもそんな体になった元の原因は僕のせい……。だからと言って彼女をひっぱたくのは倫理に反する気がしてならない!!)
叩くか叩かないか。落ち着いて考えればこの2択である。彼女を救うためなら迷わず痛みを与えてあげられるだろう。しかしアルトはその別れ道の中間で立ち往生していた。
そしてとりあえず、自分が叩かなくて済む方法を考え続ける。
するとすぐに思い付いた。
「そ、そうだ!!僕が叩く必要は無いんじゃないか!?シーナとかハルキィアにお願いすれば……」
「それじゃあダメなの!!!!」
恥ずかしさを含む叫びに正面からつき返された。
「他のみんなじゃ…ダメなの…。男の子じゃ…アルト君じゃなきゃゾクゾクしないの…」
同姓が聞いたらドン引きしそうな発言を、目に涙を浮かべながらラルファは言った。あえて、男ではなくアルトと言い直して。
(イヤイヤ。今僕女なんだけど…!?)
「大丈夫……」
「っ…!!」
黒髪少女アルトがオロオロとしていると、ラルファが首輪を握っているアルトの手を優しく握った。
「アルト君ならやれるって信じてる…。きっとできるもん…」
「ラルファ…そこまで僕の事を信用してくれてるのか…」
思わずうるっ、ときてしまいそうな彼女の暖かさを受け取り、アルトは信用されている事を実感した。が、
「だってアルト君、本当はSだもん!!」
「…………………………はい…?」
「みんなからMって言われてるけど、防御魔法ばっかりで受けが好きだけど……、私は分かってるよ!!アルト君は叩く方だって、信じてるから!!」
「そっちの話!?てっきり仲間として信じてるとかそういう話かと思ったんだけど…!?」
「そ、それもあるけど…!!こんな変な話だけど、今は本当に一刻を争っているって言うか………、うっ…!」
「っ!?ラルファ!?」
急にラルファが話を切って胸を抑えた。両手で胸に手を当て、うずくまるような姿勢になって、長い彼女の金髪をだらりと宙に垂らした。
「ハァ………ハァ………。1週間…くらい…、ご褒美を貰ってないから…、本当に限界なの…」
寺を出てからラルファは一度も叩かれる快感を得てはいない。およそ1週間おき、それがシスターに言われた周期である。そのため意識が朦朧としてしまい、冗談とかは真面目に無しでラルファはアルトに頼んでいた。
「………………」
やるしかない。アルトはラルファの苦しそうな姿を見て、決意した。ラルファにとってこれは必要な薬のような物だ。この薬を貰わないと彼女は命の危険にさらされる。
そう信じ込んで、そして自分の本当の気持ちに嘘をついて
「よ、四つん這いになれ…………」
目の前のラルファ……、いやペットに言い放った。
「っ…、アルト君………、!」
「ち、違うだろ?僕は君のご、御主人様だ…。早く四つん這いに…な、なれよ」
瞳を輝かせるラルファに対し、アルトは普段絶対にあり得ないような冷たい態度で接した。ぎこちないが努力はしている。
『アルトはSになった』、と脳内で何度も何度もファンファーレと共に鳴る。しかし実際はSになったわけではない。
闇の魔力による精神への異常。それを本の少しだけ利用してサディズムになったのだ。
大体心の内1パーセントを闇に沈めて、つまりは半分ほどは自分の意思と関係なくラルファに言っていた。
そうしなければ目の前できつい言葉や痛みを待っているラルファの期待通りにできなかったからだ。優しいアルトだから救うためとは言え、叩いたりすることを非常に強く拒もうとした。しかしもうどうしようもないと察したので、闇の力を借りて、偽りのSになった。
「はい…御主人様!!」
さっきまでの苦痛に歪んだ表情はどこにいったのかと突っ込んでしまいたくなるくらい元気な返事をして、ラルファは手と足を地面につけて主人の顔を見ていた。
「返事は『はい』じゃないだろ?」
「ワン!!御主人様…!!」
準サディスティック黒髪少女アルトは、マゾヒスティック金髪少女ラルファに赤い首輪を少しきつめに着けた。そしてそれにつながっている縄は四つん這いになった彼女の背後の木に結ばれた。
「そ、それじゃあ服従の格好をしてもらおうか」
「ワン!!ワン!!」
反抗など一切する気も見せず、ラルファは地面を背中につけ、足を開いて腹部を見せた。
「そ……のとおりだ。め、め…牝犬にしては頭が良いじゃないか」
「早く……早くください!!御主人様ぁ!!!!」
発作でも起こしたかのようにラルファがアルトにすがりついた。もし彼女に尻尾がついていたならば従順なペットのように、それを左右に元気よく振っていただろう。
「………………。しかし我慢ができないバカ犬みたいだ。そんなに欲しいならくれてやる。………………最高の快感を…」
ものすごく言いたくなく、恥ずかしい言葉だとアルト自信も羞恥に耐えながら放った。
「さぁ横になって背中をこっちに向けろ…」
「ワン!!」
もう『ワン』としか発さなくなった金髪の剣士は、命令を聞くとすぐにうつ伏せになった。そんな犬のような彼女に近づいて、黒髪少女は彼女の服、正確にはスカートを掴んだ。
「よし………、ど、どのくらいお前に耐えられるかな…」
「……っ…!!」
アルトは左手に掴んだスカートを捲った。彼女の白いパンツと安産型のお尻が網膜に映し出された。
そしてスカートを掴んでいない右手を天高く上にあげる。
どちらもノリノリに見えて、実際は両方とも死にたいくらい恥ずかしかった。ラルファを襲うのは、仕方ないと言え好きな人にスカートを捲られてしまった恥。アルトには、本心と違うと言えど自分が女性のスカートをめくり、更に何かを使用としていることへの恥。
そんなほぼ同じ心境の両者の呼吸が整ったとき、
「………………ごめんなさい」
若干涙を含んだ声でアルトは謝罪し、右手を大きく降り下げた。
『ペチーーーーーン』
しばらく何かを叩くような乾いた音が森に響き渡っており、その音を出してる二人の男女は
『『自分一体何やってるんだろう………』』
と思い始め、今回の事は無かったことにしようと合意した。
互いの記憶から消すことにしても、1週間おきに息抜きは必要そうですね
そしてラスト、次回はルナですね
話の構成上、次回はルナの設定を出させてもらいます
そうした方が今後の話も読みやすくなるかと…。
ちなみに『なんか仲間の話を淡々とやってるだけでつまらないなぁ』と思ったりしている方、
安心してください、察してますよ
ちゃんと考えてこう言う感じにしていますので御安心を。
ちょっと事件の幕開けのようにする予定なので、飽きないような話にします
なのでどういうことか、少し楽しみにしていてください
(過度な期待は……残念ながらしないでください……)




