ハルキィアゴッドフィンガー
今回の話なんですが、
ネタに詰まった感が大きく残ってる気が…………
と自分でも後になってから気づきました
結果この話がどうかしたのか?と指摘されればあんまり答えられないかもしれません
複数の少女らとの個々の話を考えようとすると、誰をどういう風な展開に持ち込むか悩んでしまうんですよね
今回はハルキィアの話です
今までのミルスやシーナはそのキャラの個性を持ってこようとしましたがハルキィアの場合は、いつも大人しい彼女が暴走したらと言う感じになってます
はい、よく分からないです
なので、また謝ります
すいませんでした
こんな作品でも読んでいただけると嬉しいです
「………………………なあ…」
「………ふん…………」
朝食のクロワッサンをかじりながら、アルトはこちらを見ようとしない白髪剣士シーナに語りかけた。しかしその反応は氷のように冷たいような、お湯のようにやけどするような熱いような反応だった。
とにかく怒っているというのだけは分かる。
「あの…いい加減機嫌を治してくれよ…?」
「………知らない…」
これで謝るって許してもらえないのは何回目だろうか?
結果昨晩、遠吠えみたいな泣き声を頼りにシーナを探しに夜の森に出た。
猛獣のようにこちらを睨み付けてきたシーナだったが、何とかテントまで連れ戻すのには成功した。しかしそこから何回謝っても同じような反応でそっぽを向かれ、最終的には『しつこい!!』と噛みつかれて、アルトは彼女達のテントから閉め出されてしまった。
「………シーナさん…。何があったか分かりませんが、いくらなんでも怒りすぎじゃあ?」
「怒り足りないよ。むしろみんなだって僕と同じ立場なんだから、僕だけ怒ってるのでも少ない方だよ」
ムッス、とシーナはパンをかじる。
「………オーエンくん、シーナちゃんに何したんですか?」
ハルキィアが小さな声でアルトに尋ねた。
「何もしてないよ…」
「んじゃあどうしてあんなに怒ってるんですか?シーナちゃん怒るのを見るの私初めてですけど、あれ、相当頑固なタイプですよ?」
ハルキィアどころか、アルトもシーナが本気で怒るのを見るのは初めてだ。
「心当たりありません?例えば顔面の前にイチモツ露にしたとか?」
「それお前の時だろ!?あれ?もしかしてまだ気にしてらっしゃいます!?」
確かにシューラで二人一緒の部屋の時、事故でそんなことが起きたが…、今回そんなことは起きてはおらず、それどころかアルトは今女だ。
「そ、それは忘れませんよ…。オーエンくんの…×××が私の目の前に…、」
「言い方をもうちょいオブラートに包めよ!?」
頬を赤らめてハルキィアは呟いた。
「そ、そんなことより!!何をしたんですか…!?」
「ん?あ、あぁ…実は、」
そこから昨日の事を離した。何故シーナが怒り始めたのか、何を言ったらそうなったのかを…。
「ハァァァァァ!?それは怒りますよ!!」
ハルキィアにも怒鳴られました。
「………やっぱりオーエン君は…鈍いんですね…、て言うか病気レベルですね…」
やれやれといった様子でハルキィアは言った。
「正直私も今オーエン君に怒ってます…」
ご立腹の様子だ。
「………でも、逆にその理由も分かれば、呪いを解く答えに近づけますよ」
「え…!?本当か!?」
「反省はしてください」
食事用に置いてあった銀のスプーンで頭を軽く叩かれた。
「一応、私からもシーナちゃんに話してみますが、許してもらっても次は無いようにしてください」
「と言われましてもわたくしには原因がさっぱり―――――」
「無いようにしてくださいね!!!!!?」
「分かりました!!!!」
強く言われてアルトは仕方なく頭を縦に振った。
「まったく…」
胸の中でハルキィアはアルトの鈍さに困り果てていた。
シーナが怒った理由など、今までの彼女なりの想いがどれも伝わっていない、と言うより無視されてきたようなものだからだ。
人を引き付ける力があるのに、それに気づいていないのだ。彼の場合人を引き寄せるだけで、自分から近づいていきはしない。だからこんなに残念なほど鈍いのだ。
ハルキィアはそれに気づいている。
このパーティーを外側から見たハルキィアしか、それに気づいていない。アルトが鈍いという現実は誰もが知っている。しかしその原因について詳しく熟知できているのは彼女だけ。
何故なら後から入ったハルキィアは、一目見ただけで誰がアルトにどんな想いを持っているか分かってしまったからだ。後に入ったのはラルファも同じだが、精神年齢がそれほど高くなかったため分からなかった。
つまりハルキィアには、アルトの鈍さと周りから発せられる想いに壁ができてしまっているのを確認できるのだ。
(もし…アルト君が私たちの想いに気づいたらどうなるんでしょうか?呪いが解けるか解けないか関係なく、どんな行動に出るのでしょうか?)
怒っているような顔をして、その内心は少し不安に思っていた。
正直、この鈍感魔法使いは恋愛的な方で女性の扱い方に慣れていない。それなのに一番手っ取り早い呪いを解く方法が、相手の恋心に気づくことである。
怖いのはその後の反応なのだ。突然次々と打ち明かされた胸の内に、彼はどう対処するのだろうか?うまく対応できなかったり、走って逃げてしまうかもしれない。挙げ句の果て鬱状態になんて事も考えられてしまう。
今回の呪いを解く策における長所と短所、いわゆるメリットデメリットはいくらでも考え付く。全員フラれてパーティー関係がギスギスしてしまったり、奥手な彼を追い込んでしまう可能性だってある。
確かに早いには早いがそれ以上のリスクを背負う。
ハルキィアは何故ディアスがこの案を出したのか不思議でならなかった。女心と言っても他に色々あったはずなのに何故か?
(とりあえず今はどうでも言いか…)
しかしハルキィアにそんなことを考えてる暇はなかった。
(今日は私の番だね…。まずオーエン君に女を教えてあげないと…。それでダメなら最悪、私がオーエン君に全部教えてあげるしかない…。何でシーナちゃんが怒ったのか、みんなあなたをどう思ってるのか…)
少し暗い表情で隣に座っているアルトを横目で見ながら、ハルキィアは胸の前で拳をぐっ、と握った。
それからおよそ半日が経過した。一行は既に森を抜けて、また広い平野へと出た。
現時刻はおよそ4時。森を抜けてしばらく歩いて、距離的には昨晩と同じくらい進んだ。平野のずっと向こうにまた森が見えて、その背景に大きな山が見える。エリクシティはその山の向こうにあって、歩けば2、3日程かかると予想される。
とりあえず今日はこの辺りでテントを張ることにした。何故なら平野にドーンと立っている、まるで爆発時に空に現れるきのこ雲みたいな頭の巨木があるからだ。その下にテントを張れば、空の魔物等は見つけにくくなる。
少し早いかもしれないが、そこ以外に同じような場所や木が見つからないため、後は自由時間のような感じになった。
「よ~しミルミル!!カブトムシ捕まえに登ろ!!」
「え!?で、でもシーナさん!?私達スカートなんですけど!?」
「だったらラルファたん!!僕達が登ってるときにカメラよろしく!!」
「撮るの!?」
「ミルミルのパンティーをうまく収めてくれ」
「の、登るなんて一言も言ってませんから!!」
金髪魔法使いと白髪剣士と金髪剣士は、そんなやり取りをしながら、一緒に向こうに走っていった。
シーナも機嫌を治してくれたようで助かった、とアルトはその様子を見て少しほっとした。
もしもハルキィアがうまく説得してくれなかった、多分怒ったままだったろう。それにアルトとしてはすごく安心していた。
シーナのことだ。許す代わりにとんでもない要求をするのではないかと、少し冷や冷やしていたところだが、それさえも無いのだ。どんな魔法を使ったのか聞きたくなるくらい、ハルキィアには頭があがらなかった。
「私、疲れたようなので眠ってきますね…」
アルトの肩をつついて、ルナはそんなことを言った。
「え?ルナが?珍しいね…」
「何だか眠くて…、失礼します…」
眠そう、というよりは元気がなさそうにルナは去っていった。
「………なんか、最近ルナの様子おかしくないか?」
その姿を見送りながら、隣のハルキィアの肩を叩いてアルトは尋ねた。
「………そんなこと言われても、私ルナちゃんどころかみんなの事まだよく知らないのですが?」
「え?あっ、ごめん…」
「もう………、女心と言うより人の心すら分かってないじゃないですか…」
「………本当に申し訳ございません…」
またハルキィアに叱られてしまったアルトはかくんと項垂れた。
「でも、確かになんか変な気がします…。なんか、悩みでもあるのでしょうか?」
「あのルナに限って、悩みなんて無いと思うけど…」
「そう思ってるのは私達だけで、その人の本心なんてその人自信しか分かりませんよ」
「まぁ確かにそうだけど………。だけどそれで僕達が『なんか暗いねどしたの?』って、言うのもどうかと思わない?他人に言わないってことは、本人だけの問題だからであって、他の人には知られたくないってことも考えられるよね?」
「………それもそうですけど…」
納得がいきそうでいかないハルキィアは、その言葉にはっきり自分の意見を言えなかった。
「じゃあ、ルナに任せよう…。信じてるよ…、ルナなら頼ってくれるって…」
リブラントでの反省から、アルトは何かあったら仲間を頼ろうとみんなに言ってある。だから待つことにした。ルナが自分から何かあるのを言わなくとも、いつか胸の内を開けてくれると…。
「………お父さんみたいですね…」
「え?」
「オーエン君は、私達のお父さんみたいです…」
「………それってどう言うこと………?」
「誉め言葉として受け止めてください♪」
それ以上ハルキィアは教えなかった。何故お父さんと言われたのか分からないアルトは、ただ棒のように立って、小悪魔的な笑みを浮かべる歌姫の顔を見ていた。
「それより、二人だけになっちゃったね」
「ん?うん、そうだな…」
ミルスとシーナとラルファは、巨木の根元で何かしている。おそらく登ると言う方法をやめ、ディアスを使用してカブトムシを取ることにしたのだろう。鳥みたいなのが幹の周りを旋回しているのが見える。
その数メートル横の木陰では、ルナが芝の上で横になっていた。太陽の光が当たらなく、涼しそうに草が揺れているため、気持ちよさそうに目を閉じているのが遠くからでも分かる。
「オーエン君。今日は私の番だよ?」
「あ、そうか。今日はハルキィアが女心を教えてくれるのか」
「それもそうだけど、私が教えるのはちょっと違う感じですよ?」
「ちょっと違う?」
アルトが不思議そうな顔をすると、ハルキィアはニコッと笑った。
「は~い♪じゃあ体の力を抜いてくださ~い」
ハルキィアの笑顔を見た後、アルトはテントに入れられると素っ裸にされたあげくうつ伏せにさせられた。
昼間から脱がされ、これから何が始まるのかと言うと
「それじゃあマッサージ始めますね♪」
腕をまくったハルキィアが両手を合わせながらアルトの顔を覗き込んだ。
そう、言葉通りマッサージだ。何故マッサージなのかは分からない。女心と何か関係しているのかは分からないが、ハルキィアがしてくれるそうなのでアルトは素直に従ったのだった。
「私、これでも上手なんですよ?自分の肩こりとか治すために本を読んでたら、いつのまにかどんどん学んでいってて、気がついたら資格まで取っちゃったんです♪」
資格なんて物があるのか、とアルトは思いながら、露になった背中が少し肌寒く感じて震えた。
「それにしても………、綺麗ですねぇ~…」
アルトの背中を舐めるように見て、ハルキィアはそんなことを呟いた。
今のアルトは女である。そのため男の時と比べると肌の色は薄く、艶もあってスベスベしている。
「い、いいから早くマッサージをしてくれよ…、一応、恥ずかしいんだから…」
自分の本当の体でなくとも、やはり恥ずかしいものだった。と言うか自分の体に恥ずかしさを感じていた。
「はい♪じゃあ背中からいきますよ♪オイル塗りま~す」
意外と本格的に始まろうとしていたので、アルトは目を閉じた………が、
「――――――えいっ」
「フゥァァァァァァァァァァァァァァッ!!!?」
女子の高い声でアルト(♀)は叫んだ。エビ反りになって、背中の感触に可愛らしい悲鳴をあげた。
こう言う場合によくあるが、オイルが冷たくて驚いたのである。恐ろしいくらいにオイルが冷たかったため、アルトは自分でも初めて出すような高さの声で叫んでしまったのである。
「あ、ごめんなさい。冷たかったですね?」
「だ………、だいりょ…、ぶ………」
呂律が回らないようにアルトは返事をした。
しかし実はこれ、ハルキィアの計画の内であった。
(ふふ…、まず作戦1成功…)
ハルキィアはどうすれば女心を教えられるか考えに考えた。好意をつたえるというのが一番早いが、あえて回りくどい方法をとった。
ハルキィアが教えようとしているのは『恥ずかしさ』だった。物事をあまり気にしない男と違って女子は繊細である。そのため恥ずかしいと思う場面が多くある。
だからハルキィアは『恥ずかしさ』を教えようとしているのだ。男なら気にしないことを気にするようになり、『恥ずかしさ』を応用すれば女子視点からの恋が分かるかと睨んだためだ。
そして先程のは作戦Ⅰ。名付けて『ヒンヤリしたオイルに驚いて喘いじゃった』作戦である。
ハルキィアはあえてオイルをキンキンに冷やした状態で使用したのだ。そうすればあまりの冷たさに驚きが必ず声となって彼の口から出る。そうすれば元が男の彼には自然と恥ずかしさが沸き上がってくる、と言う狡猾な策略だった。
「それじゃあどんどん塗って、どんどんほぐしていきますね~♪」
両手を合わせながらアルトに笑顔を向けたハルキィア。しかしその胸の内では次の手をしっかりと想像していた。
作戦Ⅱ、『気持ちよすぎて蕩けちゃう…♡』を笑顔と裏返しに実行しようとしていた。
この作戦は、アルトの無防備な女体を冷た~いオイルまみれにした後、小さい頃には『ゴッドフィンガーのハルキィア』と呼ばれたテクニックでほぐしていく作戦だった。聞こえはシンプルだが、ハルキィアには絶対的な自信があった。何故なら、自分の指のテクニックには誰にも負けないと言う強気な意思があったからだ。
その実力はもし歌姫をやってなかったらマッサージ師になっていたと自分でも思う程に。
「は~い♪いきますよ~?」
「ヒャンッ…!?」
オイルをダラダラ溢れ落ち続けるくらいに両手に塗ったハルキィアが、ゆっくり開いた口とは正反対に勢いよくアルトの背中に手を置くと、本当に性別男だったのかよとツッコンでしまいたくなるような叫びをアルトはあげた。
そしてハルキィアはまんべんなく、彼の背中にドロドロのオイルを塗り終えた。テントの入り口から差し込む光がアルトの背中で反射して、チロチロと輝きを放つ。
「………っぅ…、ハァ………ハァ………」
「始めま~す。痛かったら言ってくださいね~」
ハルキィアはうつ伏せの黒髪少女にの腰にまたがるように立ち膝になると、背中から体重をかけるように揉み始めた。
「………っ、………ん…」
「けっこう疲れ溜まってるんですね~」
ぐっ、ぐっと馴れた手つきでアルトの背中から腰までをほぐしていく。その感アルトは気持ちいいのか、少し呼吸を堪えるようにして目をきゅっ、と閉じていた。
「痛くないですか~?」
痛いわけがない。むしろこの反応は羞恥に悶えているのだと分かっていた。マッサージと言う何とも言えない感覚。裸になって、ズルズルの液体を塗られ、そして人の素手で体中を揉まれる感覚。馴れてない人ならともかく、女子の体について何も知らないのに女子になってしまったアルトには絶大的な効果を示していた。
そうして揉み始める事15分…………
「は~い♪どうですか?」
15分間、少し震えるように揉まれ続けていた黒髪ロングのお嬢様的雰囲気の女の子は、ずっと耐えていた感覚から解放され、陸に打ち上げれた魚のように力なく伏して、呼吸だけ必死にしていた。
「どうやら効いてるみたいですね♪」
このまま次の作戦だ、と黒いハルキィアは心の中で笑った。
この時のハルキィアはどうも暴走気味だった。相手がアルト、しかも体が女になってしまってると言う美味しい展開のせいか、我を忘れかけていた。
しかしそれを押さえようとしてくれる人もいないためそれさえにも気づけず、今はただ目の前の少女姿のアルトを少しいじめたい事しか考えてなかった。
「はい♪それじゃあひっくり返ってください♪」
「………ハァ…ハァ…、………え…?」
ハルキィアの発言を妙に思い、苦しそうに呼吸しつつもアルトは怪訝な顔を浮かべた。
「だ~か~ら~♪寝返りを打ってこっち向いてください♪」
とんでもない要求をハルキィアは笑顔で彼(彼女)に突きつけた。
それが作戦Ⅲだ。
名付けて、
『え…?そんなとこまで…やるんですか…?』
サディスティック気味の歌姫が一番楽しみにしていた作戦である。
それはハルキィアが旅に出る数ヶ月前の話だった。商人の父と優しい母によって恵まれてはいなくとも、一般的な庶民の暮らしを送っていたハルキィア。年齢的にも大人に近づき始め、思春期にも入った頃、父の取り扱っている商品が詰んである荷台から1冊の本が飛び出ているのを彼女は見つけた。
何か、と気になってその本を抜いてみると、それは薄い漫画本のようなものだった。面白そうに思った彼女はその漫画を開いて、どんどん読み進んでいった。
そう、いわゆるエロ漫画だった。
内容は初めてマッサージに来た女性が、店員に騙されあれやこれやされる話。
性的な事についてにわかな知識しかなかったハルキィアはすぐさまその本を閉じて顔を真っ赤にしてから母親にチクった。
その晩、父親は朝までシバかれた。
あの本は元から間違って仕入れてしまったものらしいが、そんな弁解も空しくフルボッコに。
それ以来ハルキィアはそのシーンが忘れられなくなり、誰かにマッサージをする度に思い出してしまうようになった。
そんな濁ったもやもやが、遂にアルトに対して爆発してしまったのだ。
だから作戦名が漫画の台詞から取って、
『え…?そんなとこまで…やるんですか…?』
となった。
そして暴走した彼女の間の手は、守る術がない少女(?)へと伸びる。
「前もやっていきますよ」
「え…?いや、それは冗談だよね?どこをどうマッサージするつもりなんだ?」
常識をと言う盾を足元から拾い上げて、アルトは身を守ろうとする。
「いいから早くしてください。てか、さっさと見せろや」
「っ!!??」
ハルキィアはもう理性を失っていた。記憶の中から例の漫画の台詞を抜き出して、アルトに放っていた。
その言葉にぎょっとしたアルトは、とうとう身の危険を感じた。
「ハ、ハルキィア?さ、流石にシーナみたいなことが目的とかじゃないよな?」
体の向きを変えて、胸と股を手で隠しながら後ろに下がった。
「安心してください♪シーナちゃんみたいに寸止めはしませんから♪最後まで味合わせてあげます♪」
「ひっ!?」
変わらない口調と笑顔で言っているのに対し、言葉は恐ろしいことを告げていた。
その言葉を聞いたアルトは、気がつけばすっぽんぽんのまま立ち上がり、裸なんて忘れてテントから出て裸足で逃げ出した。
「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!」
服を着ることを考える以前に、生き物の本能的に恐怖を感じた黒髪ロングの少女は、その髪を風に揺らしながらテントから抜け出した。
「………え?っ!?マ、マスター!?何で裸なんですか!?」
いち早く気づいたのはミルスだった。頬を赤らめながら、アルトにに叫んだ。
「ん…!?ウホッ!!これは属に言う野外露出ってやつですかな~~~!!!!」
さっきまでの口を聞かなかった態度とは大違いで、シーナはエロい目でテントから出てきた全裸の少女を見つめた。
「アルト君!!い、いくらストレスが溜まってたからって、それはダメだよ!!」
ラルファも赤くなって叫んだ。
「た、助けてぇ!!」
「「「え?」」」
理由とか説明する事よりも優先して、アルトは助けを求めてみんなの方へ走り出した。3人の反応は揃って『?』と頭に表れた。
その直後だった。
「ダメですよぉ~~、オーエン君~♪まだ終わってないんですからぁ~」
「「「「っ!!」」」」
アルトに続いてテントから表れたのはハルキィア。それも様子がおかしい。手に縄のような鞭のような物を収めながら、真っ黒なオーラを背中から吹き出させ、それでも尚且笑っているため地獄の使者のような雰囲気だった。
流石にそれを見た瞬間、他のみんなも
「「「キャーーーーーー!!!!」」」
あのシーナでさえも甲高い叫びを空に響かせて、逃げ出し始めた。
「何でハルキィアさんあんなに怖いんですか!?」
「なんか変なスイッチ入ったんだ!!」
「ラ、ラルファたん!!君の出番だ!!僕達が逃げるまで、叩かれてきて!!」
「それって囮!?叩かれるのは好きだけど………、あれは怖いよぉ!!」
四人とも全速力だ。それでも不気味な雰囲気を出しながら追いかけてくるハルキィアと、何故か距離が伸びない。と言うかむしろ近づいていた。
「どうして!?どんどん近づいてくるよ!?」
「………っ、まさか!!」
アルトは後ろを振り返ってハルキィアを見た。
「そうか!!ハルキィアの歌だ!!歌のもたらす何らかの効果で、距離が縮んでる!!」
その言葉に全員同時に追っ手の口元を見て、耳を済ませた。
「☆※◎▲●□死$ヱ愛~~~♪」
「人の言葉を発してない!!!?」
「怖すぎます!!『死』とか、聞こえましたよ!?」
「や、ヤンデレだアルトきゅん!!刺されてこい!!」
「そんなことより!!もう、捕まる…!!」
ラルファが逃げ切れないと悟った瞬間、歌が止まった。
「………あれ?」
「ハ、ハルキィアさん?」
歌が止まった事を不思議に思って、走るのを止めて後ろを振り返った。
見ると、そこには誰もいなかった。
「き、消えた!?助かったのか!?」
「あ、あれは悪い夢だったんでしょうか?」
ミルスが言いきる前に、アルトは安堵してその場に座り込んだ。なんでこんなことになったのかは知らないが、助かったのだ。
「あぁ~………、疲れた…」
「マスター、とりあえず服を着ましょう。なんかこっちが恥ずかしくなってきました…」
「あ、そうだね。ごめんごめん」
恐怖のあまり全裸走りしていることに気がついていなかった。女子の体になったからと言って、自分の体に欲情するわけではなく、普通に恥ずかしさしか湧かなかった。
するとアルトの顔のとなりに、タオルが差し出された。
「………ん?あ、ありがとう」
背後から差し出されたタオルを受け止ると、アルトは体にそれを巻いた。
「よし…。タオルありがとう…、ってあれ?」
タオルを巻き終えると、妙に静かな事に気がついた。誰も言葉を発しないため、妙に思ったアルトは顔をあげた。
「みんな…何してるんだ?」
ミルス、シーナ、ラルファの3人が顔を真っ青にしてアルトを見ていた。正確にはその背後。
口を開けたまま、電気でも浴びたようにパクパクと動かすだけで、震える指でゆっくりとアルトに後ろを指差した。
「………あれ?3人…、いる…?」
アルトはようやく気がついた。
一緒に逃げていた3人は目の前にずっといたのならば、今タオルを後ろから渡してくれたのは?ルナは寝ているはず。
「………、………」
背筋に寒気が走るのを感じながら振り返ると…
「それじゃあ続き始めましょう…♪」
「オーエン君♪」
そこで彼の意識は切断され、その後の彼の様子を語ることのできるものはいなかった。
まとめるとエロ展開に耐えきれなくなったハルキィアが暴走した、と言う感じです
ちなみにその後のアルト オーエン(♀)の貞操などは無事ですので御安心を。
今回の後書きからキャラの設定を詳しく書いていなうと思っていましたが、今まとめている最中で、これからの話が分かりやすくなるような順序でキャラの紹介をしていくので、もう少しお待ちください
ちなみに風邪を引いて仕事効率が下がるかと予想されます。なのでまた次の投稿は1週間後あたりかと…
皆さんも風邪には気を付けてくださいね




