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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
冒険中断 ~それぞれのすべきこと~
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後半 ルナ ラルファ

ルナとラルファの後半の話です


ルナはともかく、ラルファが大変なことに……

4日目 ルナ


「ハァ…」


 夜空を見上げながら、ルナはため息をついた。

 今日で月を見ながらため息をつくのは3日連続だ。別に月が嫌いとかな訳じゃないし、マンネリでもない。むしろ大好きだから飽きずに眺めているのだ。形、姿は変われど、しばらくは照らすことを変わらずにしてくれている。

 自分と違って、月の明るさは変わらないものだと感じているのだ。


(やっぱり私…ダメですねぇ…)


 ルナはすごく悩んでいた。己の境遇をどう打ち破ればよいのか、全くわからずに。まさに猫の手でも借りたい、そのくらい困りきっていた。


 なぜなら…



   「我等がルナの姉御にカンパーイ!!」

   「「「カンパーーーーイッッ!!!!」」」



「ここどこですかァァァァァァァァァァァァ!!!?」



 月に向かってルナは叫んだ。

 後ろで乾杯してるのは全員ヤクザ風の男達だ。


 肩から背中にかけては全員が派手な刺青をしていて、額や胸などには銃で撃たれた古傷から、最近斬られたばかりの生傷まで、様々な種類が揃っている。



 数日前、ルナは色んな事をして最終的に王子の命を救ったため、その王子の城に招かれた。

 そこで食べ物やお風呂等をいただき、一晩泊まらせて貰うことになったのだが…。

 翌日の朝、王子からいきなり求婚、プロポーズされた。なんでも……


『その優しさと美貌に惚れてしまいました!!ルナ様!!どうか私と!!!!』


 当然ルナは断る。

 ここでしぶとく来るかと思ったが、王子は女性心が分かる人でねちねちしつこくは来なかった。


 ルナがリブラントに帰りたいと言うと、馬車を用意してくれた。

 王子と分かれたルナは、貸した2千万ゴールド + お礼としての5千万ゴールドを手にし、馬車に乗る。

 そして今頃ならとっくの昔にリブラントに着いているはずなのに事件は起きた。


 なんと馬車でどこか知らない森を駆けている途中に盗賊団に襲われてしまった。


 手持ちの7千万ゴールドに目をつけられ、馬車の運転手を人質に取られてしまったため、そのまま盗賊団のアジトに連れていかれた。


 そこで盗賊団のリーダーの前に差し出され、もっと金を寄越せと要求された。

 どうやら大富豪と勘違いされたらしく、リーダーはもっと金を絞り出そうとした。

 ルナは無いことを告げたが当然聞く耳を持たず、


『金が無いのなら体を差し出してもらおうか』


とボスを目の前に周りを盗賊団の男たちに取り囲まれた。


 しかしルナは危険な状態にあるにも動揺しなかった。別に体を触られたり変なことを要求される前に、その時運転手の人質が解放されていたので、普通に戦って全員倒せば良かったのだが、ある疑問を投げ掛けたのだ。


『どうして子供たちがこんなにたくさんいるのに母親はいないのですか?』


 アジトにはまだ10歳にも満たないような子供たちで溢れかえっていたのだ。


 それを聞いたら、リーダーを含め盗賊団全員が声をあげて泣き出した。


 話を聞いてみれば盗賊団の女、つまり妻達は一人残らず知能の高い蛙のモンスターに連れていかれてしまったと言う。



 知能の高い魔物は、それより弱い魔物たちを従える。つまり集団を束ねるリーダーにもなる厄介な存在だ。

 普通なら吸血鬼とか、サキュバスとかのような人型の者がそうなるのだが、まれにコボルトとかオークとかから、エリートが生まれる場合がある。

 だから辺りにギルドを持つような大きな町がなく、なおかつ冒険者もあまり通らないここみたいな所では、そんな名前も分からない変なモンスターがリーダーになるのもあり得なくはない。



 取り返そうと挑むもかなり強いらしく、集団で向かっても歯が立たなかった。そのため子供達の世話を数人に任せつつも、残りは子供を養うかつ自分達も食べていけるように働かなければならなかったのだ。つまり捕まえたルナは久しぶりの大獲物だったわけだが、そのルナは話を聞くと立ち上がり、


『私がその魔物をぶっ飛ばしちゃいます!!!!』


 と宣言したのだ。


 そして盗賊団はそれにかけてみることにし、ルナは蛙モンスターの元へ乗り込んだ。

 ヌルヌルな嫌らしい粘液攻撃や触手のような舌攻撃に苦戦しながらも、スキルで一撃で蛙を仕留めた。


 盗賊団の女達を解放すると皆抱き合って喜び、ルナもそれを見てると心が温まった。


 リーダーがルナに謝ると一員全員がルナに謝り、お礼を言った。

 だがルナはついそこで


『私に変なことしようとしてましたけど、みんな許します♪』


 と口を滑らせた結果、ルナに卑猥なことをしようとした盗賊団はみな、目を尖らせた妻にフルボッコにされた。(やはり女は強いのでした)


 開放されたルナは運転手を城へ返し、7千万ゴールドとリーダーの奥さんから貰った『エレキストーン』という消耗アイテムを手にし、リブラントを目指し歩き始めた。




 だったのだが、急に現れた怪鳥モンスターに捕まれてしまい、どこか高い山の巣へと運ばれてしまった。

 そこには先客が、先に連れてこられた踊り子の女性がいた。

 彼女はガタガタ震えながら自分達の運命を話した。

 怪鳥は勿論、餌として自分達を連れてきていて次は自分の番だと踊り子は泣きそうになりながら話してくれた。他に何人か他人がいたらしいが、全員喰われて運よく自分がまだ残っていたと女性は言った。


 そしてそのときちょうど怪鳥が帰ってきた。

 踊り子の女性がもうダメだと叫んだとき、ルナは咄嗟に貰った『エレキストーン』の力を放った。

 『エレキストーン』は1度だけ雷のような電撃を狙った方向に撃てるアイテムで、当然その力で怪鳥は感電死した。


 そしてそこから出るためにスキルで巣を破壊して穴を作ると、女性は泣いて喜んでお礼がしたいと言い出した。

 先客の遺した金銀を手に、ルナは踊り子についていくがままに下山すると、一晩踊り子の村の家に泊めてもらった。


 蛙モンスターと怪鳥との戦いがあったせいか、ルナは長い眠りについて、起きたのは今日の昼頃だった。


 そして元気よく村を出た。7千万ゴールドと金銀の入った袋を手に、今度こそリブラントを目指した。


 踊り子に言われた通り歩いていくと、途中経由する町についた。

 しかしルナが足を踏み入れた頃、今後ろにいるヤクザ風の集団と黒いスーツの集団が内戦をしている最中だった。黒いスーツ集団が優勢のようで、ヤクザ達はアジトに籠って死を覚悟していた。


 そのときヤクザの誰かが死ぬ間際に未練を残して叫び、


『死ぬ前に特大ステーキが食いたかった!!!!』


 と叫ぶと、食べ物に反応というか、その願いに同情したルナが黒スーツを次々と襲い始めた。

 急に現れた謎の勢力に体し、黒スーツはなす術無く全滅した。

(ハイレベルの武道家と一般人ならそれはまあ…)



 そしてその結果が今であって…。


「姉御!!やっぱ姉御がいなけりゃ締まりません!!ささ!!こちらで飲みましょう!!」


 ヤクザ達のNo.2のような男がルナにビール入りのジョッキを片手に寄ってくる。


「あの……?私、リブラントに行かないと…」

     「「いけませんぜ!!!!」」


 ルナの言葉でヤクザ全員がこっちを向いて、膝をついた。


「今回の件は姉御がいなけりゃ、完全に負けてました!!姉御はこの町のヒーローですぜ!!」


 話に聞いたところ、このヤクザらは良いヤクザ(?)らしく、町でも中心の組織らしい。そこに突然現れたのが黒スーツ達らしく、町の支配権を強奪するつもりだったらしい。


「だから!!姉御ぉっ!!行かねぇでくだせぇ~~~!!」


 泣いてまで引き止められてしまった。

 人のよいルナではあるが流石に優先順位、というか自分のやるべきこと忘れてはいなかった。

 早くリブラントに帰って、強くなってみんなに言うべきことを言わなければならない。


「でも………」


 どうやっても素直には行かせてはくれなさそうだ。


「それに!!もう夜遅えです!!こんな寒空の下に姉御を放り投げられるわけありませんぜ!!!!」


 確かに…色々あったせいで夜遅くなってしまった。

 と言うか主にこの人らに引き留められたせいなのだが…。


「それに!!うちの組長はもう…もう先が短けぇんです!!!!」


 この組織のNo.1は、どうやら戦いにも参加できず寝込んでいたらしい。


「オジキは姉御に組を任せるって言ってるんす!!!!だから姉御!!頼んます!!」


 全員がこっちを土下座をして、ルナを拝むように叫ぶ。


「………………」


 そこでルナは考えた。ここは一晩泊まって、全員が目を覚ます前にここを出ようと。


「仕方がありません…。今日はここで泊まらせてもらいます…」

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」


 ヤクザ達が歓喜する。

「これで組も安泰だ!!」

「姉御バンザーイ!!」

「命を懸けてでも付いていくっす!!」


 一晩泊まるとしか告げてないのだが…。

 ルナは何故か胸が痛くなった。




そして翌朝…


「姉御ぉっ!!!!」

「行っちゃ嫌っすよぉ!!」

「戻ってきてくだせぇ!!」


「もーーー!!!!何でこんな目に!?」


 町の中で総動員のヤクザに追いかけられていた。


 寝坊などはしなかった。確かにみんな眠って静かなことを確認して、窓から抜けようとしたのだが、勢いよく飛び出したら…、


 先客がいてトイレが使えなかったのか、ヤクザが立ちながら飲んだ酒を分解した者をチャックの隙間から…



「それより…男の人のあれを見てしまいました!?」


 頭は悪くともルナも女性だ。当然そこら辺はデリケートな部分があり…。

 ちなみに窓から飛んだ勢いでその男の顔に膝蹴りを食らわしてしまい、逃げたことを叫ばれてしまった。


「こうなったら…!!」


 ルナは立ち止まって、追いかけてくるヤクザ達を振り向く。


「姉御!!」

「ようやく…観念したんすね!?」


 ルナは息を吸い込み、男らに向けて叫ぶ。



「てめぇらぁ!!ちょっと勝手すぎやしねぇか!?」



 凄みを出そうとしているが、慣れないしゃべり方なため、可愛く叫んでしまう。


「私のやりてぇことは私の自由だぁ!!それでも来るってんなら…」




「拳で語るぞ!!シャオラァァァァァァァァァ!!」



 これは全てシーナに詰め込まれた知識なのだが、ルナはもう力ずくで解決することにした。


「姉御ぉっ!!」

「それでこそ姉御っす!!」

「俺の粗末なイチモツ見せてすんませんしたぁっ!!」


 感動した男らは一斉に向かってくる。

 それに立ち向かうはルナ。装備のドレスを風に揺らしながら、拳でぶつかり合った。


 そのときルナは思う。



『ごめんなさい皆さん。これ…私しばらく帰れなさそうです♪』


 朝日が照らす地平線の上で、青空の下にたくさんの男らが散っていったとか。








3日目 ラルファ



「ほぉぉ~ん。『ジェノサイドスコーピオン』ねぇ…。都会のバカは何考えてんだか…」


 鳴女寺。

 ぐうたら眼鏡シスターは、寝転がってビールを飲みながら今朝発刊の週刊誌のページを捲る。


「私なら自動で女の子スカート捲るマスィーンを考えるけど、チミはどう思うかね?小瓶の中のロリっ娘よ」

「どうでもいいのですよ!!それよりこっから出してくださいです!!」


 その横に立ててある小瓶には、ちゃうどビールの缶程の身長の青髪幼女ラルファが入っていた。

 抜け出すことができなかった。何故なら蓋が閉められているため、ラルファの力では開けられなかったからだ。

 普通なら窒息死するのが当たり前だが、今のラルファは意識があるだけの人形であって、生命活動に必要な物を一切必要としないのだ。


「なははは!!それはダメだよぉ~幼女君(ダミ声)」

「ふざけてるのです!!ふざけるなです!!」

「だってん~。チミこの間寺に入ってきた猫に持ってかれかけたじゃん?その体壊されると意識が本体に戻って奴の努力が全部パーになるだけだよ?」

「それでもラルファの様子がすごく気になるのです!!今日まででド…………、ドMにす、するとか言って、ほとんど放置なのですよ!?」

「おや?それはあれかにゃ?このシスター様が仕事をしていないと?」

「そうです!!」


 妙なしゃべり方でラルファはシスターに叫ぶ。


「第1狂ってるとしか思えません!!」

「狂っちゃいないさ。結果が良ければ全て良しだからね」


 ラルファがシスターを狂っていると言う理由。




―――――――――――――――――――

 それはラルファがもう一人の方と最後に会った日だ。

 金髪ラルファを椅子に拘束したあとシスターに連れてこられたのは


『ホラホラァ!!もっと鳴けよメス豚ァ!!アタシを女王様と呼んでみなぁ!!』

『ハァ…ハァ…、アァン!!じ、女王様!!もっと……もっと叩いてください!!!!』


 おぞましいSとMの世界。

 ボンテージに身を纏った女王様が、首輪をした女性を這いつくばらせムチで休みなく叩いていた。なのに叩かれる女性は嬉しそうで、女王の命令に従いながら叫んでいた。


「な、何なんですかこれは!?」

「これがうちの他の修験者達さ…。ちなみに明日になれば奴も叩かれる方になってるよ」

「こ……、こ……」


 ラルファは息を吸い込み叫ぶ。


「こんなのは、なんか不潔です!!!!」






 あんなこの寺の闇みたいな物を見たら、このシスターが悪魔のようにも見えてくる。あんなおぞましいものにもう一人のラルファを取り込ませる訳にはいかない。心配は入らないとは思うが、流石に不安しかない


「ラルファは絶対に屈しないのですよ!!痛みを欲しがったりするわけありません!!」

「ハッハッハ!!残念だが、もう終わってるんだよね~♪」

「…………今なんと言ったのです?」


 シスターの言うことの意味がわからなくて聞き直すラルファ。


「だからん~。もうあいつはドMになったの~」


 シスターはイタズラな笑顔でラルファに告げる。


「て言うか気づいてないの?幼女ちゃん自分の言葉変になってるの?」

「……っ!!」


 本人は気づいていなかったが幼女ラルファは変だった。語尾に今まではついていなかった『です』が無理にでも付いているし、それに気づいてもいなかった。


「その反応は気づいてなかったんだね。いや~、いいよぉ~!!そういう子は大好物だ!!アカマムシみたいに酒に浸けて飲みたいねぇ~」


 シスターがラルファの入っているビンを掴んで真下から見る。ちょうどラルファのスカートの中が見えるように。


「や、止めるのです!!」


 スカートを抑えながら泣きそうに訴えるラルファ。

「うんうん…!!産なのは変わらないか…!!頃合いだね」


 シスターはラルファのいるビンを掴んだまま立ち上がる。


「それじゃあ行くにゃ」

「ちょっ!?どこへですか!?」


 シスターはラルファを掴んだまま、ある部屋へと向かった。


 それは金髪のラルファを監禁、もとい修行させている部屋。

 頑丈な4重ロックで、中からは絶対に開けられない分厚いドア。シスターはその鍵を一つ一つ外し始めていく。


「どうしてチミのしゃべり方が変わったか分かるかね?」


 ダイヤル式のロックを回しながらシスターは唐突に足下のビンのラルファに尋ねる。


「この中にいるもう一人のチミの性格が壊れた証拠だよ」

「え!?」


 にわかには信じられない言葉だった。

 だが実際自分の話し方に異変は起きている。

 あり得ない。何もしないでただ機械に任せてただけなのに、あの性格のきついラルファがドMになるとは思えない。


「幼女ちゃんはシスター様がずっと放置してたとか思ってるけど、実際は深夜2時とかにしっかり起きて調教してたんだにょ」


 シスターがそう言うと同時に、ドアの全てのロックが外れた。


「さて…、ご対面だね。元気してたか~い?」



       「ブタちゃん♪」


 シスターの呼んだ名前など耳に入らなかった。

 青髪ラルファの目の前にいたのは敗北した戦士のように服をズタボロに裂かれて目隠しをされながら鎖で手首を縛られて天井からぶら下げられた憐れな姿のもう1人の自分だった。


「あぁ…!!シスター様…シスター様ぁぁぁ!!」


 耳を疑うような叫びが、その人物から発せられた。

 至るところから肌色が露出していて、本来なら長い1本のポニーテールに束ねてある髪が、乱れるように腰辺りまで延びていた。


「醜いメス豚の分際で勝手に喋ってんじゃねぇよ、おい?」


 シスターも人が変わったように、金髪ラルファの目の前にたった。


「ごめんなさい…ハァハァ…」


 青髪ラルファはこれが夢だ思った。いやそうに違いない。

 いつもの彼女はもっとクールで暴力的で、あんな鎖なんか千切ってドアを破壊して出てきているはずなのだ。

 その性格を直すために来たのだが、これは夢なのだ。


 だが現実は変わらなかった。


「ほーら…、お前の痴態が幼女ちゃんに見られてっぞ?」

「ハァ…そんな……!!ラルファ…見ないでぇ!!」


 羞恥に悶えるセリフを吐く割りにその顔は少し嬉しそうだった。


「ほんとは見られて興奮してんだろ?そんな痴女は裸で町を走らせてやるぞ?」

「嫌です……!!シスター様以外に裸を見せたくは…ありません!!」

「んじゃあ何て言えばいいか、分かるよな?」


 シスターが視界を奪われたラルファの首を人指し指でくいと持ちあげる。


「ハァ…ハァ…シスター様ぁ…。この淫乱で醜悪なメス豚に…、シスター様の罰をっ!!!!」


 興奮に身悶えした金髪の女性が少しの恥も無く、願いを部屋に響かせた。


 そのときやっと青髪はこれが現実だと理解できた。


「ラルファが壊れたのです!!!?」

「ハッハッハ!!だから言ったろん♪シスターちゃんの立てたプランは完璧なのさ!!」


 胸を張って叫ぶシスター。


「いやでもこれもう戻らないです!?どうやってこれを正反対のドSにするのですか!?」


 もう恥じることも忘れて幼女ラルファは叫ぶ。


「まあ、それはお楽しみだ。まず順を追ってくよ。先に第1段階の完成をさせないとね」


 シスターがそういってポケットから取り出したのは…


「何……なのですかそれは?」


 小瓶の中からそれを見つめるラルファは、片言になりそうな声で問う。


 まるで黒い蛇のように光沢した、縄のようなモノ。


「ムチに決まってるよ」

「ハァァァァァァァァァァァァァァ!!!?」


 その小さいからだでよく出せると思えるような叫びを響かせた。


 そんなやり取りから外れている、人格を破壊された少女は待ちきれないのか、


「シスター様ぁ…!!早く、早く叩いてください…!!放置も良いですが…もう、我慢できません!!!!」


 発狂するように叫び始めた。


「……ぁぁぁ………、」


 限界なのは幼女の方で、壊れた相方を見ると気絶してしまった。





―――――――――――――4日目



「うぅ………」


 小瓶の中で少女は泣いていた。涙は出そうで出てこない。それは今の体が粘土でできた仮の体だからなのだが、自分では何かが流れ落ちて行くような感覚がした。


 何故少女が泣いているかというと……


「幼女ちゃんいつまで泣いてんの?人生泣いても良いことないよ」

「お前のせいなのです!!!!」


 吹っ切れてついにシスターをお前と呼んで怒ったラルファ。

 もう一人の事が心配で心配でならないのだ。

 最後に見た記憶は、シスターのしなるムチが敗北の戦士の背中に当たる寸前だった。

 気絶したためそこでブラックアウトしているが、あれが夢ではないことは理解しているし、その後の想像なら大体できる。


「ラルファが壊れてしまったのにどうするのですか!?やっぱり信用できませんでした!!」

「何だよ~。性格直したいと言って来たのはそっちなのだぞ?」

「誰がSMを体験させろと言いましたか!?」

「いやそれは色々あるのだよ。幼女ちゃんは待ってればいいの」


 シスターはラルファの訴えなどまるで耳にいれない。

 ただ雑誌を捲りながらビールを飲んで、たまに寝て、そして調教しに行くの繰り返しだった。


(これじゃあ…みんなに顔を会わせられないのです…

)


 性格を直して皆の元へ帰るはずが、ラルファが壊されてしまった。

 完全に来るべき所を間違えたと思いながら、小瓶に監禁された青髪ラルファは肩を落とした。










 そして各地に散らばった全員の残りの日にちが過ぎた集合の日。何かが起きる…………

ラルファは壊れてしまいましたが、ちゃんと異常のないように戻りますので御安心を……。と言うより女にします


ここまでで大まかに、それぞれの話を終わらせました


次話は、ようやく集結となります

少し時間軸が分かり辛くなっしまっているので捕捉すると、ちょうどアルトがベルザードと戦ってる時の話です


話中にちらほら出てきたあれを登場させるので、戦い有りです

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