ラルファの日々の始まり
結構不評になってしまったラルファ
前半だけでは変化しないので、『そうなの』程度で読んでもらいたいです
ちなみに青髪幼女のラルファと覚醒後の金髪ラルファとの区別がつくように表現はしていますが、もしかしたら途中分かり辛かったりするかもしれないです
1日目 ラルファ
「ここか…」
『ここだね』
もう1人の自分と確認しあった。
今二人の目の前が目的地かどうかを。
リブラントから少し離れた山脈の近くにあるここは、精神修行にうってつけの場所だ。特にラルファに足らない道徳を身につける野にも最適だ。
『鳴女寺』
と言う表札が門に貼ってあった。ここだ。
ラルファが来たのはとある寺だった。
そこは文字通り、女が鳴くくらい厳しい指導の入る、男子禁制の寺。
『準備…大丈夫だよね?』
「あぁ…」
幼い方のラルファが胸の中で問いかける。
何故ラルファがここに来たか。その理由は自分のねじ曲がった性格と、人間への憎しみを無くすため。
自分が魔法使いの男に、様々な事をしたのは分かってる。もはや胸に穴が空くくらいに承知している。
だが謝罪をしようにも、今の自分のままではダメだ。人間に少なからずでも憎しみがある以上、自分はパーティーに馴染めない。
自分から行くと言ったのに、他のみんなを嫌うとは前代未聞だ。
だから、ずっと遠くまでその厳しさが届くほどのこの寺で性格を改めようと言っているのだ。
幼女の方は人間を憎んでもいないし、みんなが大好きだ。
だがバーサーカーとして覚醒した後のラルファは、その血のせいか言動も動作も男になり、また自分の力をコントロールできずにやり過ぎる時がある。
それをなんとかしなくては絶対に後悔するし、みんなを傷つけるのが遠くないと目に見えている。
仏道を学べば、忍耐力も優しさもつくだろうし、少しは人間に馴れるだろう。
これは幼女ラルファの案だった。
パーティーで1人浮いている覚醒後のラルファが苦しそうで、みんなにも迷惑をかけると思ったからだ。
リールで入れ替わってから、1度も交代していないのは、金髪の大人のラルファ自信が馴れるために交代を拒んでいた。
それが上手くいかずにどんどん悪い方に進んでしまっているから、こうして焦りを感じながらみんなの側を去った。
後になって幼いラルファが、もう少し優しい言い方で別れた方が良かったのではと思ったが、大人のラルファは戻ってきたときに、むしろ歓迎されないモノだと思った方が良いと考えた。
帰れば迎えてくれるなんて甘い考えだと満足に結果を出す、自分を変えることなんてできないと思ったのだ。
自分を追い詰めるなら崖の淵にぶら下がるくらいまで、厳しくするなら死んだ方がマシと思うくらい厳しく。覚醒後にしか考えられない、少年漫画の主人公的なラルファの考え方だった。
簡単に言えば女になろうとして、女が泣き叫ぶ寺に来たわけだ。
人間を好きになるために、仏道を学ぼうとしている。
帰ってきたときに皆からどう思われようとも折れない精神を手に入れるために、この虎の穴とも呼ばれそうな木造建築の建物に来た。
「よし…!!」
ラルファが手を伸ばし、ゆっくりと木の門を開こうと力をいれる。
「っ…!!!!」
足を地面にはり、両手で門を押していくと開か
「っっっ…!!ぐ…!!ぉぉぉぉぉっ…!!」
ピクリとも開かなかった。
『っ!?どうして!?』
幼女のラルファが驚く。
「ふぐ…ゥォォオオオオア!!!!」
ラルファの門を開こうとする腕に、さらに力が入る。
筋肉がバキ、と音をたてて硬くなり、血管が浮きでる。
バーサーカーの人間離れした筋肉を持ってしても門は数ミリ単位も動かない。
「ハァ…ハァ…。なんだこの門は…!?」
汗を垂らしながら全力でも開かないドアを見た。
『……っ!!ラルファ!!何か書いてる!!』
「……?」
門を見てみるととても薄くて、ギリギリまで近づかないと中々気づかないように文字が彫られていた。
『この門は試しの門なり
中へ入りたくば己の力を示せ
ただし物を使わず、門を自力で開けろ
腕力と手の力だけで』
「なんだ…これは…?」
『最初から修行…みたいな感じですね』
つまり得意の剣も使わずに、ちゃんと手を使って門を開けて入れという事だ。
「……やってやろうじゃねぇか…」
『ラルファ?』
「バーサーカーをなめるなよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
ラルファが叫んで門に腕を再びたてる。
5分後
開きませんでした。
「おの…れ…。前に来たやつらはこれを開けたっていうのか…」
『……ん?』
何度やっても開かず疲労した汗だく金髪ラルファに対し、青髪ラルファがふと気づく。
『ラルファ…?これってもしかして…』
「ん……?」
『スライド式…じゃ?』
「………………」
……ガラガラガラ……
開きました。
「うがぁぁぁぁ!!!!なんだこれは!?切り刻んで…切り刻んでやる!!」
『止めてラルファ!!思い込んだ私達が悪いよ!!』
怒りを爆発させ、ラルファは剣の柄へ手を伸ばす。
「あー、んだよもぅ…うっせぇなぁ…」
ラルファが門を叩き斬ろうとすると、門の向こうからだるそうな足取りでシスターがやって来た。
…………シスター?
「あー、何?参拝?それとも門を壊すことに快感覚えてる人?」
「……あんたは誰だ?」
落ち着きを取り戻して剣から手を離し、寺なのに西洋的な修道服を身に纏う、眼鏡をかけたシスターに問いかける。
「あぁん?質問してんのはこっちだろうが。さっさと答えろ」
「ちっ…」
とにかく柄が悪かった。見た目は図書館とかにいて『本が好きなの』とか言いそうなシスターだが、チンピラみたいな話し方だった。
同じくチンピラみたいなラルファもつい、舌打ちをした。
「お?何々?舌打ちとか…逆ギレですかぁ?」
ハッキリとシスターの耳に入ってしまい、睨まれた。
「第一よぉ…。ここに着いていからどんだけ入るまで時間かかってんだよ?着いてからしばらく立ったままだんまりしてて……。あれだろ?修行前に、『絶対人柄変えて、あの人に好かれちゃうぞ☆』とか考えてたんだろ…?」
「貴様…なぜ……!?と言うかそんなことは思っていない!!」
「いいから大声出すんじゃねぇよ。こちとら、二日酔いで頭痛ぇんだよ…。ちなみにそれだけじゃねぇ。試しの門って言葉に騙されて、実は超合金で地下ずっとまで伸びてる門を腕だけで開けようなんてしてたんだろ?ちょっとした謎々も分からないとは…」
やれやれと呆れた様子で、痛いのかシスターが頭を抑える。
「……何故俺の動作をしっている……?まさか、ずっと見てたのか?」
修道服の女を怪しむようにラルファは見た。
「違ぇよ…。分かるんだよ…」
「シスターだからね」
「…………」
全く理解できなかった。このシスターの言動といい、何故一部始終が分かるのか。
「分かってるから早く入れ。修行に来たんだろ?ついてこい」
かったるそうにシスターが本堂へ歩いていく。
『……どうします?』
「行くに決まっている…。色々と疑問もあるが、ここが鳴女寺と言うのは間違いなさそうだ」
ラルファはシスターに着いていった。
「ほんじゃ…、まず名前。次、修行目的」
大きな仏像のある部屋だった。おそらく本堂だろう。木目の板と天井を支える柱にとても味がある。まさしく寺という雰囲気の空間だった。
のだが和風的な神秘のムードぶち壊しな点が複数。
1つ目。その本堂の仏像の前に、空の缶ビールが何十本も転がっていること。
2つ目。仏像がふざけている。両手でピースをしていて、黒いペンキで書かれたのか右目に『S』、左目に『M』と罰当たりな姿になっていた。
3つ目。この、寺なのに服装が場違いなシスターがクレイジー過ぎるということ。休日のお父さんのようにクレイジーな仏像の前で横になって、腹をボリボリ掻きながらビールを飲んでいる。
バーサーカーのラルファは全てを斬り伏せたくなったが、グッと抑えてシスターの前に正座した。
「ほら、早く言えや」
「くっ…。名前はラルファだ。目的は性格を直したい」
「足りねぇよ。もっと具体的に」
「……。人にすぐ意味もない暴力を振るってしまう所を直したい。できれば言動も、もう少し人に優しいものに……。道徳性学びたい」
シスターの態度に対し、怒りでこめかみに力がこもる。
「ほ~ん。そうかそうか。脳を移植しとけバカ」
今度こそ本当に剣を抜いてしまいそうだった。
ついさっき会ったばかりの、しかもこんな人間としてだらしない女に、ふざけて振り回されバカと言われたら、誰でも頭に来る。
「だってそうだろ?1週間、正しくはもう6日しかねぇが、それで人格変えるなんて無理に決まってんだろ」
「っ!?貴様何故分かる!!」
ラルファは時間が6日しかないとは言っていない。
思えばさっきからこのシスターは、人が口にしていない事を何故か知っている。
「だーかーら。分かんだよ、シスターだから」
「理由になっていない…!!」
ふざけているとしか思えないシスターを強く睨み付けた。
「ハァ…。そう言う態度だよ」
「っ!!」
「お前、人格直す気はあんのか?修行任せで、自分は意識してねぇだろ」
「そんなことは…」
「あるんだな~、これが。いいか?行動もいいが、まず自分の意思の問題だろーが。もう1回聞くが、てめぇ、本気で人格直す気あんのか?」
ラルファは奥歯をグッと噛み締めた。
確かに浅はかだった。直そうとは思っていても、ここでただ1週間修行すれば良いとだけ考えていたのかもしれない。
焦っていた。焦りすぎていた。早くあの男に変わった自分を追い詰める見てもらおうと。もう迷惑をかけないし、暴力を振るわない所も。
それを見てもらった上で、謝ることを。
思えばいつからあの魔法使いに酷いことをしたのだろうか。
ジョーカーの時からだ。自分がミルスを脅してババ抜きでハメた。
一応、他の者には配慮したつもりだった。いくら悪魔にでも、体を乗っ取られるなど女は嫌がると思った。だから自分かオーエンが負けるべきだと思った。
話し合えば一番早かった。あの男ならおそらくそれを理解した上で、新たな案を考えついたかもしれない。
もしかすると悪魔に強いられた絶対逃げられないあのゲームを、魔法のエキスパートであるあの男なら壊せたかもしれない。
もしくは自分が負けるべきだった。
それ以前に誰が負けるか考えた時、既に最低な考えだったのだろう。
パーティーなら何とかしようと皆で考えるのが当然だったのかもしれない。
抜け出せるのなら抜け出す方法を。
抜け出せないのなら、最良の手段を。
面白半分でオーエンを負かせようと、自分が考えさえしなければ。
人間と言う者の反応を観てみようと思った自分が下衆だった。
もしもあの時に戻れるのなら、戻りたい。そして話し合いで解決してみたい。
自分がパーティーを壊した原点だ。自分がもっと言動を慎んで、人間に対する耐性と忍耐あれば……。
過ぎてしまった時は絶対に戻らない。戻れたとしてもそれはずるい考え方だ。
その時を直しても、いつか同じようなミスをするかもしれない。 そしてまたそれを直せば、別が歪む。
賢い動物とは学ぶ。1度して良い結果であれば繰り返し、悪い結果であれば試行錯誤をする。
決して時を戻って、その摂理を壊してはならない。
だから変わるのだ。1度起こした大問題を杭にして自分の胸に突き刺し、永遠に刻む。その上で変わる。
オーエンに会ったら泥に頭を浸してでも謝ろう。 炎の上でも地に這いつくばろう。
水のなかでも、雷に打たれてもそのままでいよう。
許してくれるまで。迎え入れてくれるまで。人間の優しさに触れるまで…。
『…………ラルファ…』
しばらくうつ向いてそんなことを考えていた金髪ラルファの想いは、幼い方に全て聞こえていた。
家族のような覚醒後のラルファがここまで成長していた事に驚いていた。
「変わる気は…あります…!!」
強く瞳を見据えて、シスターの目を見た。
「………………ふーん…」
「いい目…できるじゃん」
シスターはラルファの心が分かり、にやりと笑った。
「……言っとくけど……、本当に辛いよ?」
「耐え抜きます」
「場合によっちゃ、死にたいなんて思うやつもいるわけだよ?そんな苦しい修行をたったの6日に収めるんだよ?」
「それで…、それが償いになるのなら、俺は乗りきって見せる!!!!」
ラルファは叫ぶと同時に誓った。
「……よし。こうしてる時間も、もったいないからさっさと始めちゃおっか」
シスターは立ち上がり、ビールの残りを一気飲みした。
「はい!!!!」
その時、ラルファの瞳に輝きが灯った。絶対に自分を変えると、強い信念が宿った。
「……あ、その前に…」
シスターがビールの缶を投げ捨て、うっかりしてた、とポケットから何か取り出した。
拳くらいの大きさの紙粘土のようなものだった。
「こいつをこうして…」
するとポケットからもう1つ、丸い真珠のような物を取り出した。そしてそれを紙粘土の中に埋め込む。
「修行は徹底的に君だけ鍛えるから、もう1人の方は預かるよん」
「なっ!?」
『えっ!?』
シスターがそんなことを言ってラルファに向けて、その手の紙粘土を向ける。
すると手のひら粘土が、急にスライムのように動き出して、人の形を作っていった。
「馬鹿なっ!?」
それは幼い方のラルファの手のひらサイズの人形だった。
いや人形ではない。
「ん…あれ?」
妖精みたいで可愛らしい青髪の少女が動いた。
「何がっ!?どうなっている!!」
胸の中でもう1人のラルファを必死に呼びかけるが応答がなかった。あるのは胸の中がぽっかりとした空白感。
「な、何ですかこれ!?」
ちっちゃな幼女が自分の体を乗っ取られるなど確認して、目の前にいる自分の体の何10倍はある覚醒後のラルファとご対面していた。
「なんだっけ?幽体離脱…って言うの?この幼女ちゃんを体をこっちに移した、いわば仮設住宅へお引っ越しみたいな。厳しい修行なのに、心の支えとかあったらダメでしょ?だから修行期間中はこの状態であたしが預かっとくよ」
金髪ラルファが驚いているのはこの不思議な術ではない。このシスターはいろんな事を見通すのだが、バーサーカーである自分のもう1つの人格の存在まで知っていたからだ。
「一体…何者だ…」
「だからぁ~。さっきから言ってるでしょ~?」
「神に仕えるシスターちゃんさ☆」
シスターはキラリとウィンクする。
「ちなみに呼び方はシスターで構わないから。んじゃ、こっち着いてきてね」
神に仕えてるとは思えないが、そのまま後を歩いていった。
「でだ…」
入ってきたのは真っ暗な部屋だ。6畳間程のスペースで、あるのは椅子と上からその椅子を不気味に照らすライトだけ。
ラルファはその椅子に拘束されていた。
「これはどういうことだ!?修行するのではないのか!?」
首も胸も腹も太股も足も腕も手も、全てを特殊な縄で拘束されたラルファはシスターに叫ぶ。
「え?修行だよ?分からない?」
「分かるか!!ただ拘束されただけであろう!?」
抜け出そうにも抜け出せなかった。
バーサーカーの筋力でも、体をこんなに縛られ、しかもその縄が特殊なため力ずくで千切ることができない。
椅子ごと倒れようにも、地面に固定されているようで暴れようにも暴れられないが、あがいてもピクリとも動かない。
「えっと…今から…。そうだなぁ~、五時間。今、午前10時だから、午後3時まであなた放置ね」
「は!?何を!?そんなの絶対に修行ではないだろう!?」
噛みつこうとするようにラルファは暴れる。それでも首さえも拘束されているため、本当の本当に身動きできない。
「ちなみに、この部屋では見えないけど上にスピーカーがあるわ。そこからあなたに道徳を問うようにプログラムされた…、何だっけ?機械とかテクノロジー系はわかんないわ…。とにかく、それに答えるんだぞ♪」
にこっ、と微笑みながらシスターがラルファの背後に回る。
妙に腹立たしいが、ラルファは何もできなかった。
「あぁっ…!!!?」
不意に首にチクリとした痛みが走った。
「何……を…?」
シスターは動けないラルファの首に何かを注射した。
「この薬はね…。いろんな効果がある魔法の薬を混ぜたものよ…。あなたの脳で考えた事や、心境によって効果を発揮するわ」
「何を言って……、う…あぁぁぁぁぁぁっ!!」
電気が流れているのではと思えるような痛みが身体中を駆け巡った。
ある程度の痛みなら全然何も感じないラルファだが、この痛みは神経に直接響くようなものだった。
「たぶん…、あなたが今『私に刃向かおう』としたから、効果が発揮されたのね」
「あ、ありえない…」
苦痛に歪んだ声を喉から絞り出す。その声はまるで拷問を受ける女子のようでもあった。
「ちなみに始める前に私が例題1つ出してやるよ」
『次の4つの選択肢から選べ。
道でおばあさんが倒れている!!
あなたならどうする!?
①助け起こす
②助けを呼ぶ
③財布だけ取って去る
④知らんぷり
⑤切り捨てる
さあ、どれ? 』
ふざけているとしか思えないように、シスターが言う。
「なんだそれ!?て言うか選択肢が5つあるぞ…、あぁぁぁぁぁあっ!!!!」
また激痛が走った。
だが今度は少し違っていた。
腹を殴られたような鈍い痛み、背中を切られたような鋭い痛み、そして馬鹿馬鹿しい表現とは思えるが、まぶたを洗濯バサミで挟まれたような痛み。
「ダメだね~。そう言うの『ツッコンじゃダメなルール』だぞ。それに『あたしに刃向かった』。あと『問題に答えてない』」
シスターがやれやれと痛みの理由を告げていく。
ラルファの目が熱くなり、ありえなさそうなことだが涙を溜めていた。
流石にまぶたに洗濯バサミの痛みは堪えた。
「無茶苦茶だ…」
泣きそうになり呟く。
つまり答えられなかったり、その他諸々の『ルール』を破ると、魔法の薬の効果で様々な痛みが来るわけだ。
「ハァ…。心配だわ…。これから流す問題はこれよりもっとひねくれるのに…。まぁ♪頑張って」
背後からシスターが去る音が聞こえてくる。
「……待てっ!!これのどこが修行になる!?解放し……、あぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
バタン、とラルファの断末魔を最後にシスターは部屋の分厚いドアを閉めて、3本の鍵とダイヤル式の鍵、計4つの鍵をかけた。
中からの音や声が一切遮断されたのを確認すると、ドアの横にある『自動問題返答プログラム』、人工知能と呼ばれてる機械のスイッチを押した。
「さってと~♪長いし、ビアても飲むかにゃ~♡」
あえてかっこよくビアと言ってみる。
「あ、あの?」
「ん?」
恐る恐る悪魔的眼鏡シスターのポケットから顔を出して尋ねたのはスモールロリラルファ。
「あ、あれは流石に……。ラルファ…凄く苦しそうでした…」
「おぉぉ?今は片方の心情が分からないはずなのに……、もう1人は優しさにできた娘なのだな~」
「そ、そんなことはどうでもいいんです!!一体どんな修行何ですか!?」
気になっていたことを単刀直入に聞いた。
「ん~……。まぁ君になら課程を全部教えて大丈夫かな~」
シスターがポケットからラルファを取り出して、面と面で向かい合う。
「簡単に言うと、まず今日、明日の2日でやつを『ドM』にする」
「…………………………………………へ?」
間抜けた声が口から溢れた。
あまりにも衝撃的すぎて、頭が麻痺した。
「んでその次の日、今度は『ドS』にする。元からSっ気だから、1日で足りるね」
「ちょ!?ちょっと!?」
「んで、今日合わせたから残り4日か。1日『無の部屋』にぶちこんで、2日使って女と道徳の知識を叩き込んで、最後は調整して終わり」
どっかの工場の働き手のようにシスターがラルファの制止を聞かず淡々と伸べていく。
「ラ、ラルファに何するつもりですか!?修行は!?て言うか『無の部屋』って何ですか!?こんな短期間でそんなことできるのですか!?」
止まっていた時が動き出したようにラルファはたくさんの質問を投げかける。
「まぁ見てなよ幼女。あいつの頑張りを…」
「なんで明日の方向見て言ってるんですか!?」
「大丈夫大丈夫。あの薬と私の指導メニューは完璧だよ。明日にはメス豚、明後日には女王様。楽しみだねぇ~」
「それは心配してないです!!」
「あのねぇ~」
シスターがうんざりしたように口を開いた。
「本来ならこの寺の修行は、長期間使うし、終了も個人差があるわけだ。それを強制的に5日で終わらせるには、シスターの言うとおりにするしかないのだよ」
シスターはさらに続ける。
「しぃかぁもぉ。この寺には他にも修験者がいるんだ。それらの面倒をみんな放置してやってるんだから、任せときなさい。中には何十年もここにいる人だっているんだから」
「SMにするだけなのにですか!?絶対おかしいです!!どうしてギルドはこんな変な寺放置してるんですか!?」
「アッハッハ!!それはギルドではたらく女の子達の何人かは、ここ出身だからだよ」
「終わってるじゃありませんか!?冒険者滅んじゃいますよ!!」
「うるさいなぁ…。あんまり口答えしないで素直に従っときなさい。これ以上何か言うなら服を引き裂いて、小さな生命のあんなところやこんなところを弄くり回しちゃうぞ♪」
「……っ!!」
「あり?口塞いでまで怖がっちゃった。冗談だよ冗談。第1、チミの体は今は粘土で形だけなんだから、呼吸も食事も要らないし、何してもつまんないよ」
ガッハッハと笑いながらシスターはラルファを頭に乗せる。
「まぁ時を待ちなさい。これでも私はこの寺で15年はやってるからね~」
「15年…一体今何歳なんですか…」
見た目的にはまだ高校生くらいにしか見えないシスター。
「それより、人の人格をあんな簡単なので変えられるんですか?特にラルファに限ってド……ドMなんて……」
「がはっ…!?『ドM』と言う単語を口にすることさえも恥じらうとは…!?何と言う産な子なんだ…」
シスターは胸をおさえた。
「まぁその点も心配要らないにょん。あの薬がただの拷問ように見えたのかな?そのうち痛みが癖になって、奴はそれを求めるようになる…。もう痛みなどが無しじゃ生きられない体になっちゃうんだお」
「それ絶対有毒ですよね!?」
「薬なんてみんな毒だよ。でもちゃんとその後ドSにするから心配ないよ」
「人格の変化が極端過ぎませんか!?」
ラルファは心の中で呟く。
この修行が本当に不安に思えてくるのは、シスターがこんなだからだろうか?
それとも修行内容がおかしいからだろうか?
何にせよ、もう後には戻れなかった。今はただ、この変人眼鏡シスターを頼るしかなかった。
そこで1つ気になった。
「……あれ?ところで他の修験者はどこにいるのですか?」
この寺に入ってからシスター誰1人見ていない。他に管理しているシスターもいなさそうだ。
「……アッハッハ!!中々鋭い子だね~」
シスターが大笑いする。そして
「見たいかい?うちの修験者を…?」
シスターの目付きが変わった。
この後ロリラルファは絶対に記憶から消えないくらいトラウマレベルな、新たな世界を目にすることとなった。
後にもう一人が取り込まれる世界を…。
とりあえず金髪ラルファの設定は『力が強すぎる、少し人を嫌うバーサーカー』的な感じでした
後半はそれをぶち壊すつもりです
強さそのままで中身が前と違う少女にする予定ですが、本文中にあるようにSかMにすると言う意味ではありませんので御安心を…




