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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
五悪魔復活 ~崩れゆく関係~
53/127

誰か助けてください!!!!

必要あったかと言えば、無かったかもしれないです

アハハ♪ウフフ♪

ひろ~い浴場のなかで、アルトは目を閉じていた。

「…」

イヤン♡ルナルナどこ触ってるの?

周りから女子の声が聞こえてくる。

「……」

キャッ!?ミルミルおっぱい少し大きくなったんじゃない?

「………」

ピチャピチャと何かが駆け回るような音と、生々しい女子の可愛い悲鳴が聞こえてくる。

ラルファたんとルナルナって、同じくらい大きいんだね♡

かなり声が大きい。と言うか近い気がする。

「…………、…」

あ♡アルトきゅんのおっきい水鉄砲って、白くてねばねばしたやつが…

「うるせぇーーーーーー!!!!」


流石にアルトにも限界が来た。人がお湯に使ってリラックスしてるときに、耳元で一人変な事をずっと呟き続けた白髪で両目の色が違う少女に叫ぶ。




ここは『リブラント』のレンガ作りの大きなホテルの集会浴場だ。強く言うがホテルだ。宿ではなくホテルがあるのだ。室内のタオルに囲まれた王室のような浴室。中はアルトの生まれた町の図書館のような内装だ。2階まであり、湯船やサウナまである。旅の疲れ+ジョーカーとの1戦(と言ってもミルスとアルトだけ)の疲れを癒しに、1度宿を経由してから来たのだ。

ちなみに集会浴場ってことは誰もが混浴を期待するだろうが、水着の着用が義務付けられている。そのためアルト達もレンタルの水着を借りて、入浴している。

入浴していたらいきなりシーナだ。何がしたいのかわからないが、耳元でずっと一人芝居を続けている。その隣ではミルスや他のみんなも湯に使っている。

「…ブクブクブク…」

「あれ?どっちがおっきいんだろう?」

「うむ…。張りは俺の方が強いな」

「………♪」

ミルスは顔を赤らめて、目の下までお湯に浸かってり、息を吐き出している。その赤い顔はお湯のせいなのか、恥ずかしさなのかはわからない。おそらくシーナに真実を暴露されてしまったことが原因だろう。その横では、ルナとラルファ(覚醒)が胸をぶつけ合っている。大きさと張りを比べているようだ。どちらもどちらで色々すごい…。大きさは同じに見えるが、ぶつけてみるとラルファの方が優勢と言った感じだ。そしてディアスは桶に入り、プカプカと浮いている。その顔は邪魔なくとてもリラックスしているようで、すごくうらやましい。

一応全員水着を着けている。レンタルものなので全部白で統一のビキニだ。サイズはそれぞれ合ったものを選べるのだが、ルナは選びもせずにミルスと同じサイズの物をとった。マイクロビキニのようになってすごく卑猥だ。

「ねぇねぇアルトきゅん~。興奮した♡した?」

んでもってシーナはやはり変態だ。アルトがリラックスできない一番の原因。肩から腰にかけて乳白色のお湯が伝い流れている。一言でミルスより乏しい体だ。

「ちょ…シーナ本当にあっちいってくれ…」

バチャッとシーナの顔に水をかける。

「キャッ!?アルトきゅんに熱くて白いの、顔に一杯かけられちゃった♡」

「ばっ!?」

「ブクブブッ!?」

シーナは顔にかかった頬のお湯を舌で舐める。妙にエロティックな台詞つきで。

「あぁーもう!!場所を変える!!僕はもっとリラックスできる場所にいく!!」

ザバッ、とアルトがお湯からあがる。あがろうとした。前に進めなかった。

「………嘘だろ」

アルトは自分の不運を嘆いた。動かない理由は足がラルファにがっしり掴まれているからだ。

「アルトどこへ行くのだ?まずは俺にマッサージをしろ」

虎が鳥を捕まえた時とかにしそうな顔で、ラルファが言った。

「嫌だぁぁぁぁぁ!!」

アルトは泣き叫びながらお湯に引きずり込まれた。






集会浴場のマッサージスペース。お湯のなかでラルファと一方的な取っ組み合いをし、結果的にラルファに負け、体力を消費させられただけだった。幸い、その場に他の客はいなかったので迷惑にならずにすんだ。

アルトは青ざめながらここまで引きずられ、それに全員がついてきた。


しゅる…

「さぁアルト オーエン。貴様の力で俺を気持ちよくさせてみろ」

ラルファはマッサージスペースの暖かい床の上に横になると、水着の紐の結び目をほどく。筋肉で引き締まった背中が早くしろと言わんばかりにぴくぴく震える。

「…ゴク…」

アルトは覚悟を決めた。しかしやはり折れてしまいそうだ。相手はラルファ(覚醒)だ。触っただげで『嫌らしい手つきは止めろ!!』とか言われて殴り殺されそうだ。これは言わば精神の拷問だ。

「もう殺すなら殺せ!!」

アルトは思いきってラルファの背中に触れる。

「…ん?」

「…あぁ…ふぅ…お、…い………あ、そこいい…」

ラルファの背中は触れてみるとかなり筋が張っているように見えた。なので試しに親指でぐっぐっ、と押してみるとラルファは予想外の今まで出したことのない声を出した。

「これかなり張ってるよ。元から堅い筋肉みたいだけど、流石にこれは…」

アルトは指で押す場所を移動しながらラルファに言う。

「あ…ぁ、バーサーカー…となると…やはりきんっ、……肉が…増える…みたいでな……。それに神速等の…スキルはこの筋肉が……重要で…、使いすぎる……とっ…すぐに…イキそう…!!になる…」

恍惚の声をあげながらラルファが答える。

「それじゃ次肩だね…」

肩もかなり凝っているようだった。アルトが肩揉みでほぐしていく。このマッサージは数分間、ラルファに快感を与えることとなった。




「んで…どう?」

指をほぐしながら、アルトが尋ねる。

「最高だ。お前はマッサージ師もいけると思うぞ」

ラルファはストレッチしながらアルトを誉める。

「うむ…胸がでかいのも肩凝りの原因のひとつかもしれんな。なぁルナ?」

「そうですね…。やっぱりおっきくても動くときに揺れて邪魔ですし、地球の乳力で重いだけですし…」

「重力だルナ…」

アルトはルナのとんでもない間違いをつっこむ。

「ねぇねぇ!!気になることがあるんだけどさ~♪」

「どうしたシーナ?」

横からシーナが剣を顔を出す。

「おっぱいって揉めば揉むほど大きくなるって話があるん、だ・け・ど?」

ラルファは最後の3文字の1文字を言う度に、首を曲げてミルスを見た。

「ひっ!?な、なんでこっちを見るんですか!?」

少し大きくなったらしい慎ましい胸を両手で隠しながら、ミルスは顔を再度赤くして抗議する。

「突撃ーーー!!」

シーナはミルスに飛びかかる。キャーーーと叫びながらミルスも逃げ出そうとしたが既にシーナに掴まり羽交い締めにされた。

「い、嫌です!!な、何をするんですかシーナさん!?話してください!!」

ミルスの可愛らしい胸が、羽交い締めにされた事により突き出るが、逆に小ささを強調して空しくなった。

「ほぉら…♡その口で言ってごらんよ…♡アルトきゅんに揉まれて大きくしたいって…♡」

アルトは目のやり場に困りながらも気づいた。シーナの目が逝ってる。この間の村の時と同じような目をしている。

「そ、そんなこと思ってないです!!」

ミルスが抵抗するも、何10のレベル差があっては脱出など不可能だった。

(こらこらミルミル♡僕がこの間読んだ本には、好きな人に揉まれれば心と体が連動して、女性ホルモンがさらに出るから、バストアップ効果も期待できる、って書いてあったんだけど?)

「なっ!?」

シーナはミルスの耳元で囁いたため、アルトには何を言ったのかわからなかった。ミルス側としては、どうしてシーナがそれを知っているのか驚きだった。この中ではシーナもミルスの事が言えるわけではないが、シーナは自分の胸を大きくするより、他人の胸を大きくして堪能したいタイプなので、敵に塩を送るの心でミルスに囁いた。

「………///」

ミルスはしばらく顔を赤くして何か考えているようだった。それを見ているとアルトにまた災難が

ガシッ…

「………え…」

後ろから腕を強く掴まれた。首だけ回転させて見てみると、

「弟子の願いだアルト。揉め」

イタズラが成功したときの子供の顔でラルファが笑っていた。

「待て!!これは流石に冗談通じない!!」

アルトは必死に逃げようとするも、ラルファの腕が強すぎて空間に固定されたように動かない。

「そ、そんな…!?まだ心の準備が!!」

アルトが拘束されたのを見て、ミルスはもがき始める。

「「アハ♪」」

シーナとラルファが互いの目を見て悪魔のような笑みを浮かべる。それを合図にアルトとミルスの距離はどんどん縮まることとなった。

「………!!」

「………///」

アルトはなんとしても逃げようとする。それで逆に自分が拘束した奴らの気持ちがわかってしまった。

ミルスは顔を真っ赤にしながら言葉を発しない。ただアルトを見ていた。

そして気がつけば距離はもう10センチもなかった。

「そうだ…!手をグーにすれば…痛だだだっ!?」

アルトが手をパーにしなければ、まだましになると言った考えを思いついたが、手を変えるとラルファに腕の骨に手跡がつくくらいのパワーで握られた。


むに…

そして遂に触れてしまった。弟子の柔らかがアルトの右手に収まる。その手からミルスの心臓の音がかなり大きく聞こえてくる。

「………っ…!!」

ミルスは叫びたい声を必死に堪えていた。なんて羞恥プレイだろうか。胸に当たる好きな人の手に、叫ぶこともできずただ悶える。



しかし、そんなミルスにルナが

「あれ?たしか揉まれれば張りが良くなるんじゃないんですか?」

死刑宣告のようなその言葉にミルスは硬直する。

「いや…大きくならないわけではないんですけど、胸を揉むことで女性ホルモンが分泌されて………どうなるんでしたっけ?」

ルナの頭にしてはよく知っていると少し感心したが、やはりバカ武道家だとアルトは固まって下を向いて表情が見えないミルスの胸から手をゆっくり離した。

「あ!!思い出しました!!」

手をぽんっ、と叩くとルナには絶対にあり得ない、思い出すということを覚えた。

「確か女性ホルモンって、女性の体を子供を作るのに適するようにする……」

ルナが残酷に告げていると、耐えきれなくなったミルスが、

「シーナさんのバカーーー!!!!」

「嘘じゃなかったじゃん!!!!」

涙を流しながら叫んだミルスの声は、集会浴場のボイラーにまで響いたとか。








「………」

「………」

沈黙がただ続く。

アルトとミルスは魔の手から逃れ、安全に小さな湯槽に二人で浸かっていた。しかし、二人とも自分から言葉を発しようとしない。先程あんなことになったから気まずさで一杯だ。

「………師匠の…エッチ…」

「…っ!?」

ミルスが突然そんなことを言い出したのでアルトはビクッと体を震わせた後に、弟子の方を見た。

「違う!!僕のせいじゃない!!あの状況でもがき続けたさ!でも必ずラルファに殺される!!」

焦りで弁解しようとしても、うまく言えない。

「……感想は…?」

「ぶっ!?」

ミルスが顔を赤らめて胸を隠しながらそんなことを聞いたのでアルトは吹き出した。

「…///な、なんでもないです!!」

自分で言ったことを認識すると、恥ずかしくなってミルスはお湯の中にザパンッ、と潜った。

「どうすれば…いいんだ…」

アルトはもう、なんて反応をすれば答えなのかわからなかった。しかもそれを相談できるような仲間もいないため、アルトは精神的な疲労を負わされていた。




ザブッ!!

「うぉっ!?」

いきなり横からお湯が巻き上がり、アルトはそれがミルスだとわかっていても驚いてしまった。

「………」

ミルスは前髪で目元が見えないが、アルトを見ていた。

「………?」

それを見てアルトは声を発しなかった。本来は『どうしたんだい?』と言おうとしていたが止めた。その理由はミルスが妙だったからだ。おそらく数10秒彼女は潜っていた。それなのにミルスは息を荒くして呼吸をせず、鼻だけで呼吸をしているようだった。

その瞬間、

(…!?この感覚…、魔法の気配か!?この集会浴場に範囲的に広がっている…)

アルトは空間に広がる違和感に気がついた。

「ミルス!!ここを出るぞ!!何かわからないが魔法が張られ……」

ギュッ…

「………な!?」

アルトは続きの言葉を止めて、驚愕を示す表情を浮かべた。

「師匠ぉぉ…♡だ~い好き♡」

「なっ!?」

とろ~んとした顔で、目を閉じたミルスが抱きついてきた。その顔はすごく幸せそうでアルトに体重を預けるように抱きつく。

「は、離せっ!!シーナの真似事か何かをしてる場合じゃ…!?」

ミルスには邪魔する胸が無いため、お湯で火照った素肌と素肌が触れ合う。

「っ!!まさか…!?」

肌が触れているからすぐにアルトはわかった。

(魔法がかかっている!?)

ミルスから微かな魔力の気配がした。

それからいろんな音がした。お湯を揺らす波を立てるちゃぽんというような音や、タイルに何かが倒れるような音があちこちから聞こえた。

アルトが周りを見ると、ミルスを含めた自分以外の人々が全員倒れていた。

「スー…スー…」

それから自分に抱きつくミルスを見ると、寝息を立てていた。

「これ…まさか、全員眠っているのか?」

アルトの推測通り、集会浴場の全ての人々が眠っていた。








「ミャー♪ちゃんと全員寝たようだね~♪あれを除いては」

蒸し暑く、謎のパイプや釜戸がある暗い部屋で魔女帽子を被った人物がピョンピョンとジャンプしていた。

「それじゃあ早速確かめてみるかな~♪レベル100の実力をミャー♪」

少女の姿はフッ、と闇の中で消えた。







やっぱりだ、とアルトは胸の中で復唱する。アルトは集会浴場を走り回っていた。どこに行っても倒れている人がいる。寝ているミルスは湯槽から出して横にさせておいた。だから

「心配なく犯人探しができる…」

アルトはこの事件の犯人を探し始めていた。このような範囲魔法を発動する場合、大抵術者は範囲の中心にいることが多い。というのも範囲魔法は発動すれば、魔法に強い耐性のあるものでない限り影響を受ける。誰も開発していないが、例えば自分以外の範囲に入った人間全てを抹殺なんてことも可能だ。魔法が強力な程、魔力と時間がかかり、範囲が制限される。弱点は範囲の規模さえ解れば相手の位置を特定できることだ。

「こっちか…」

アルトは自分の感覚が伝えるままに走っていた。確信ではなく、こっちに術者がいると感じるのだ。

しかし、そんな考えて行動する必要もなかった。

「っ!?『クリスタルウォール』!!」

アルトは咄嗟に壁を作り出す。

バチィッ!!という火花が散った。

「犯人からわざわざ来てくれるとは」

「ミャー♪やっぱり防がれるか~」

攻撃が飛んできた方から少女の声がした。


振りむいてみると、そこには魔法使いのような姿をした金髪ツインテールの、歳10前後くらいに見える女の子が箒のようなものに浮いていた。

「何者だ?」

アルトは腰に手を当てながら少女を見る。

「私レムナ♪見た目の通り魔法使いだよ」

「まぁそりゃ見ればわかるかな…。目的はなんだ?」

「うん!!レベル100の魔法使いがいるって聞いたから、腕試ししに来た!!」

レムナと名乗る少女は箒に立ち、腕組みをして堂々と立った。

「なるほど…そのためにこんな…」

アルトの声が低くなる。

「さぁいざ勝…」

レムナが言い終わる前にアルトは右手を出して、人差し指で輪を描いた。

「『クリスタルロック』」

「え?」

一瞬で終わった。

「えっ!?ちょっと…!!」

レムナはアルトの『クリスタルロック』に閉じ込められた。

「悪いんだけどさ…そんな構ってる暇ないんだよね…」

アルトは頭を掻きながら

「こっちはジョーカーとの戦いで疲れてるし、それにこの後宿で11時間の睡眠をとる予定なんだ」

めんどいと思いながら言う。

「11時間!?ってか、戦えよ!!」

自分を囲む透明な壁をドンドン叩きながらレムナは抗議をするが、アルトの耳には届かない。

「早くどっかにいって、集会浴場にかけた魔法解除した方いいよ。眠らせてるだけとは言え、犯罪だから」

「いやその覚悟を決めてやってるんだっつーの!!」

まるで俺の中のライオンのように、外のアルトに牙を剥き出しにしているレムナ。

「んじゃ聞くけど…」

アルトの口調が少し変わった。少し言い方が強くなり冷たくなった。

「例え君とまともにやりあったとしても、君は僕の4割しか力を出していない『クリスタルロック』を破れていない。実力差は明確だと思うけど?」

「ミャー!!腹立つ!!腹立つけど言い返せない!!」

レムナは頭をわしゃわしゃとかき回して地団駄を踏む。

「…しょうがない…。帰るよ…」

急にしゅんとなり、レムナは肩を落とす。

「それじゃあ…変わりに質問して帰る…」

「質問?」

アルトは初めてレムナの言葉に耳を傾けた。

「君は…あれを知ってるかミャー?」

「…あれ?」

レムナが言う言葉の意味は伝わらなかった。

「村の消失、もしくは消滅とも呼ばれてるかもね…」

「………」

アルトは黙り混んだ。その目はレムナをしっかりと見ていたが

「…数日前にこの近く、リールという町が塵も残さずに消えたんだミャー」

「何っ…!?」

少しの間を空けてアルトが驚きを露にする。

「その反応じゃ知らないみたいだミャー」

質問への期待通りの答えが得られないのをわかったようにレムナが肩を落とす。

「町が無くなってるのを三日くらい前に冒険者が発見したんだミャー。村があった筈の所には大きな穴が空いていて、まるで地面ごと村をえぐりとったようになっていたんだミャー」

「どうして僕にそれを聞いた?」

「ミャー。ぶっちゃけ私その犯人探すクエスト受けたんだけども、犯人は高レベルの魔法使いだと睨んだミャー。そいで近くにそんなレベルの魔法使いがいないか探して訪ね歩いてたら…」

「僕に当たったわけか…」

と考えるような重い顔をしてアルトはレムナを解放した。

「じゃあね…。君は何も知らないみたいだからミャー、まぁいつか会いに来てその時は今日の恨みを込めて、絶対叩きのめす」

そしてレムナの姿は消えるようにアルトの目の前からいなくなった。

「っとその前に!!」

消えて1秒もしないうちにレムナの姿が現れた。

「何かあったらこのレムナをヨロシク!!範囲魔法専門だから、安眠スペースを作ることだってできるよ!!」

と、自分のもう1つの兼業の宣伝してレムナは本当にこの場から消えた。






「それは理解した…」

非常にまずい状況だ、とアルトは冷や汗を流した。別に自分は悪いことをしていない。レムナが逃げたあとにみんなのもとに来てみれば全員無事だった。全員無事で全て話した。話したのに、

「まだまだ時間はある。もっと楽しませろよ」

ラルファが首をつかんで持ち上げている。別にそこはそれほど問題でもないのかもしれない。首を絞められて呼吸ができないわけではない。んじゃ何がまずいのか。

ブクブクブク…

浮いている足元で、お湯が自ら熱すぎるから入るなと言っているみたいに、沸騰を通り越したレベルの地獄の釜のような湯船があった。色をつければ魔女の鍋と言っても通じるようなくらい禍々しい。

「ラ、ラルファ先輩…!!か、勘弁してください…」

「何の事を言っている?疲れているのだろう?ならば熱湯に浸かって疲れを取らねばな」

こいつは聞く耳持たない。リールが滅んだことをあまり気にしていないのだろう。むしろ眠って疲れがとれたため、自分で遊ぼうとしているのだろう。

アルトは諦めたくなくても諦めてしまった。

「さらばだ」

「ァァァーーーーー!!」

ラルファの手が開くと同時にアルトは甲高い声をあげて、




今日1日でたくさんの事があった。ジョーカーと戦ったり、ミルスの胸に触れさせられたり、大して強くない魔法使いを一瞬で撃退したり…。

思えばここに来た理由って疲れを取るため…だったのに…。


結果休めてない…。



と心の中で思いながら

バシャン

と熱湯に落ちた。

その熱さに溶かされるかのように、リール消滅への不信感、アルトの意識、熱湯に落ちた記憶ごと無くなったとか。

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