vs吸血鬼
途中わかりづらい部分が多いかもしれません…
力不足ですいません
「おらおら!!さっさと若い女出しやがれ!!」
「ご主人様は可憐な娘の血が欲しいんだ!!」
村の真ん中で2匹のコウモリが騒いでいた。
「そんな!!もうこの村に若い娘はいないぞ!?」
村人は必死に説得する。しかし、
「嘘をつくな!!ご主人様はこうおっしゃった!!『美しい花のような娘の香りがする…。』と!!」
「ていうかもう少し前に仲間が来てたはずだが?一体どこでサボってんだあいつら。」
コウモリは引く気はないようだ。
「だから…!!」
村人が反論しようとしたそのときだった。
「すんませーん!!遅れました!!」
フードを被った少年がフードを被っている子を連れて走ってきた。
「この村で最後の若い娘です…。僕の妹だ…。どうか大切にお願いします…。」
少年は頭を下げた。
「なんだいるじゃねぇか…。よし、念のためだ、顔を見せてみろ。」
コウモリがもう一人のフードの前を飛ぶ。
そしてその子はフードを取ると、出てきたのは白い長い髪。左右で色の違う瞳。そして無表情の綺麗な顔。
「ん?なんだ…?こんなやつ見たことねぇな?」
コウモリが少女の顔をまじまじと見る。
「突然変異でこうなりました…。どうかこの哀れな妹を優しくしてください。」
少年は頭を下げたまま喋り続ける。
「………まぁいっか…。おい!!お前、名前は?」
コウモリが少女に聞くと、少女は口だけ動かし
「…シーナです…。」
と呟いた。
「シーナか。………よし!!ご主人様のもとへ連れて行くぞ!!」
そう言うと2匹のコウモリは、小さな足でそれぞれシーナの両肩に止まり飛んでいった。
「………よし。」
コウモリの姿が小さくなるとアルトは小さく呟いた。
ルナの立てたこの作戦。仲間を中に忍び込ませてから、外と中で同時に暴れる。捕らえられる役がシーナになったのは色々とあった。
「だれが捕まるんですか?」
ミルスの発言で気がついた。だれが捕まるのか。
「そうだった…。僕は男だから論外だし…、中から暴れる訳だから強い感じじゃないとダメだし…。ミルスも外していいね…。となるとルナかシーナのどちらかということになる。」
「はいっ!!」
アルトの発言に真っ先に手をあげたのはシーナだった。
「僕が行くよ!!」
そこそこ危ない役なのにかなりやる気だ。
「…理由は?」
「面白そうだから!!」
という感じで決まった。
「さてと…、あとはゆっくり城まで行くだけだね…。」
アルトが歩き出そうとしたとき、
「あの…師匠…?」
ミルスが呼び止めた。
「ん?なんだい?」
「その…思ったんですけど…。吸血鬼って、血を吸われたら自分も吸血鬼になるんですか?」
ミルスが不安そうにそんな質問をしてきた。
「ん~…、そういう噂だね。実際のところは本当かわからないんだよ。何しろ、吸血鬼は本当にわからない生き物だからね…。」
情報が無いため明確な回答をできない。
「とりあえず、75%は本当って言われてるね…。」
「それじゃあ…もしも…ですよ?」
捕まったのはシーナさんですよね?シーナさんなら、血を吸わせろなんて言われたら喜んで首を差し出しそうな気もするんですよ…。それで、もし吸われたらシーナさんは吸血鬼になります。
そうなったら男の人も女の人も全滅じゃありませんか?
「……………あ。」
ミルスはとんでもないことに気がついた。
とりあえず想像で説明すると、
『あぁ…吸血鬼様だ…♡僕の血が欲しいんだね…?はい………。どうぞ♡』
首を突き出すシーナ。それに対して吸血鬼は
『それではいただくとしよう…。』
シーナに近づき、そっと白い首に噛みついた。
カプッ
『あぁ…吸われてるぅ…!!僕の血が…吸血鬼様にどんどん吸われてる…。僕は吸血鬼になっちゃうんだね…♡』
シーナはどんどん血を吸われ、吸血鬼になった…。
数日後。
『うわぁぁぁぁぁ!!吸血鬼だ!!』
『誰か助けてくれぇぇぇ!!』
村の人々がシーナから逃げ回る。
『逃げないでよ~♪僕と良いことしようよ♡』
空を飛びながらシーナは一人の男を捕まえた。
『離せ!!やめろっ!!』
『いただきまーす♡』
男全滅
『きゃぁぁぁ!!吸血鬼よ!!みんな逃げて!!』
『グヘヘ…♪良いではないか~良いではないか~♡』
男を狩り尽くしたシーナが逃げ回る女性達を襲う。
『エヘヘ…お嬢ちゃん可愛いね…♡』
シーナが捕まえた女性に乗っかる。
『は、離して!!』
女性は必死に抵抗するも、シーナはしっかりと腕を押さえつけ、服を剥いでいく。
『いただきまーす♡』
女全滅
もしもシーナが吸血鬼になってしまったら絶望的な未来が生まれる。それは察した。
「…………………。」
「師匠…。」
口を開けてボーとしてるアルトをミルスが不安そうに見つめる。
「ミルス…ルナ…。」
アルトが仲間の名前を呼ぶ。
「走るぞ!!!!シーナを連れ戻す!!!!」
そう叫ぶとアルトは城の方へと走り出した。
「了解!!」
「し、師匠!!待ってください!!」
走っている最中にアルトは思った。
僕のパーティーは作戦なんて存在できない。
「ハァ…ハァ…ハァ…!!」
やってしまった。最悪だ。1分1秒も無駄にできないのに森で迷ってしまった。
「し、…師匠…。ここ…ハァ……どこですか……?」
息切れしながらミルスが途切れ途切れに喋る。
「大丈夫ですか?アルトさん。死にそうですよ?」
流石、武道家。ルナは全く呼吸が乱れていない。
「……あぁ…大丈夫だ…。」
確かに引きこもってた分、身体的な能力は下がったかもしれない。
「とりあえず…!!早く城を探さないと…、シーナが人間を滅ぼす…!!」
とは言うもののどうするか。
「…っ!!師匠!!ありました!!この城です!!」
ミルスが森の奥を指差す。するとそこに不気味なあの城があった。
「…あった!!よし…、行くぞ!!」
「はい!!」
「行きましょう!!」
アルトたちは城まで走っていった。
城の前に立つとアルトが扉に手を当てた。
「よし…、行くよ。準備はいいね?」
「大丈夫です。」
「暴れましょう!!」
「OK!!ふっ!!」
アルトは力を入れて門を開けた。
が、そこには予想をしていなかった光景が飛び込んできた。
「……………………え?」
そこにはたくさんの手下のコウモリ達がいる…、訳ではなく、少女達がいた。
「あ、いらっしゃいませ♪どういった御用ですか?」
少女の一人が笑顔でお出迎えしてきた。
「え…、そ、その………あれ?」
何がどうなっているんだ?ここは吸血鬼の住む城ではないのか?
アルトが困惑していると
「お!!アルトきゅんにミルミルにルナぴょん!!もう来たの?」
椅子に座って紅茶を飲んでるシーナがこちらに手を振った。
「シーナ!?これはどういうことだ!?」
状況が全く飲み込めない。
「えーっとね…、説明すると…。」
その後のシーナの説明によると。
ここの吸血鬼はただ血を吸うだけで、吸われても何も起きない。むしろ連れて来られた人達は優遇されてるとのことだ。
「………。」
アルトはその話を黙って聞いていた。
「とりあえず良かったですね。もしかしたら話せばわかりそうな吸血鬼なんじゃないですか?」
ミルスはそう言って、シーナに近づこうとした。が、アルトは左手でミルスの肩を掴んだ。
「待てミルス…。」
アルトは右手をシーナと村の子達のいる方に向けた。
「………『スプラッシュウォーター』!!!!」
「うわっ!?」
「っ!!」
アルトは『スプラッシュウォーター』でシーナたちに水をかけようとした。実際、びしょ濡れになったのはシーナだけだ。村の子達は水をギリギリのところで、すごい反射でかわした。
「何するんだアルトきゅん!!こんな水なんかよりアルトきゅんの…、」
「全員構えろ!!!!」
シーナが卑猥なことを言う前に、アルトは叫んだ。
なぜなら、
「全員すでに吸血鬼だ!!!!」
水をギリギリであんなに早くかわした村の子達には全員コウモリのような翼が生えていた。
「ちっ…!!」
先程アルト達を迎えた女性は、人が変わったようにアルトを睨み付け舌打ちした。
「なっ!?ど、どう言うことですか!?」
驚いたミルスが杖を構えながら退がる。
「そんな優しい吸血鬼いるわけないだろ…。第一、さっきからバレバレなんだよ…。血に飢えたコウモリ女どもの目がね。」
アルトはそう言うと、『クリスタルウォール』でシーナを囲み、自分達を囲んだ。
「勘の良い男だね…。もうちょっとであんたらの血を吸い尽くせたのに…!!」
遂に女性が本性を表した。
「そうさ…、アタシが吸血鬼のクロアだ!!」
クロアの赤い目が光る。
「村の子達は…、既に血を吸ったんだね…。」
どうやら全員吸血鬼らしい。
「安心しな…。元に戻る方法ならあるさ。」
クロアは宙に舞い上がった。
「だが…アタシに勝たなきゃ教えてやらないよ!!」
その言葉で、黒だと思っていた天井がもぞもぞと動き出した。どうやら、あれはコウモリの群れらしい。
「上等だね!!行くよ!!」
『キシャァァァァァッ!!』
コウモリ達が一斉に降りかかってくる。
しかし、アルト達は『クリスタルウォール』に守られている。コウモリ達はなす術がない。
「よし…『ホーリーバインド』で動きを封じろ!!」
「はい!!『ホーリーバインド』!!」
1本の光の縄が全てのコウモリを捕まえる。
「ルナ!!」
全てのコウモリの動きが封じられるのを確認すると、アルトは『クリスタルウォール』を解除した。
「了解です!!『フリーズキック』!!」
ルナが凍てつく蹴りを一匹のコウモリに当てる。
『ピキャァァ…。』
冷気は『ホーリーバインド』を伝わり、じわじわとコウモリを凍らせていく。
「ちっ…!!己!!人間がぁ!!」
クロアが飛びかかってこようとした時、剣を抜いたシーナが立ちはだかった。
「なっ…!?」
「いっくよ~♪『バーニングスラッシュ』♡」
シーナの剣は表面に炎を帯びながら、クロアを斜めから切った。
「がぁぁぁっ……!?」
クロアはそのまま着地もできず地面に落ちた。
アルトたちは数分で魔物達を倒した。




