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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
魔法使いが存在しなかったやる気を出して旅に出るまで
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vs魔導書

舞い上がったディアスに乗り、自身の魔導書と対峙するミルス。

『消え失せよ!!「メガフレア」!!!!』

ディアスが口から黒い光線を、アークエンジェルに放つ。

『光よ…我に守りを…』

ディアスの『メガフレア』が飛んできても、アークエンジェルは動揺せずに光の玉を操り、バリアを作り出す。バリアは『メガフレア』を完全に受け止めた。


『…固いな。』

ディアスがそう呟く。

「どうにかして攻撃しないと…。」

ミルスは魔導書を何としても倒さなければならない。しかし、アークエンジェルの『バリアフォース』で攻撃を当てることができない。

「普通に攻撃してても勝てない…。」

『来るぞ!!』

ミルスが策を考えていると、雷鳴を帯びた光の玉がディアスめがけて飛んできた。

『掴まれ!!』

ミルスに叫ぶと、ディアスは旋回しながら飛んで避けた。


『簡単に考えろ。どうやらあれはこれ以外の魔法は使う気がないようだぞ。』

アークエンジェルはただ祈っているだけだった。

「…よし。ディアス!!あれやってみる!!」

ミルスにな1つだけ策があった。しかし、成功する確率が極めて低い。

『っ…!!…やれるのか?』

ディアスには不安だった。いくらミルスに才能があっても、今からやろうとしてる事はアルト並みの魔法使いでなければ辛いものだった。

「やるしかないよ。いや、やれる。だって私は…、私は…。」



「アルト師匠の弟子だから!!!!」



『よかろう。…ただ、危険だと感じたらワシは避ける。集中して速攻で決めろ…。』

「ありがとう!!ディアス!!」

ミルスはディアスの首に優しくキスをした。

『………。まぁ…悪くはないな…。』

ディアスは少し照れてしまった。そのため、体温が上がり、ミルスにもそれがわかった。

「え?」

『何でもない…。行くぞ!!』

「うん!!」


ディアスはまた飛んできた、今度は冷気を纏った玉を避ける。

『光よ…我に守りを…。』

ミルスとディアスの気迫を感じ取ったのか、アークエンジェルは光の玉を全て自分の周りに集めた。そしてその玉は、アークエンジェルを包むように立方体を形成したバリアを張った。アークエンジェルが操る光の玉は16個なので、立方体が二重に祈り続ける天使を守った。

「ディアス!!あれ…破れるかな…?」

それを見たミルスは少し退き気味になった。

『安心しろ…。ミルスが成功すれば破ることは可能だ…。』

バハムートは空中でホバリングしながらアークエンジェルと向かい合う。

「…よし!!やるよ!!」

ミルスが叫ぶとディアスは両手を前に突き出した。『破滅の閃光』の構えである。

「『クリスタルウォール』!!」

ディアスが構えるとミルスはアークエンジェルの前に1つの透明な壁を作り出した。


ミルスとディアスがやろうとしていることは『破滅の閃光』のエネルギーの集束。本来、『クリスタルウォール』は自分を守るを作り出す魔法である。しかし、100%どんなものも防げるわけではない。『クリスタルウォール』は透明なため、大抵の人は光を防ぐことができない。アルトの場合は防御魔法を極めたからできるのであって、ミルスは光を遮断することはできない。だがそれが作戦の目玉だ。以前アルトが使用した『クリスタルウォール エクステンド』。あの時、アルトは光を屈折させ、およそ町1個分の面積の太陽光を集束させた。ミルスはそれをまねて、ディアスの『破滅の閃光』をより集束させて、アークエンジェルにダメージを与えようとしていた。アルトのように完全に光を通せるわけではない。ディアスの『破滅の閃光』は本来、強い光エネルギーの集まりだ。それゆえ、当たった者の塵1つ残さず、焼き尽くすことができる。もし、ミルスの『クリスタルウォール』が少しでも光を通さないようにできていれば砕け散るのは間違いない。



「ディアス!!」


『「破滅の閃光」!!!!』

ディアスがアークエンジェルへと黒い光線を放つ

「御願い!!成功して!!!!」

ミルスが必死に願う。

光線は『クリスタルウォール』に当たる。すると綺麗に屈折してアークエンジェルに伸びる。

「…成功した!?」

ミルスはすでに失敗したものだと思っていた。が、それが成功したことで嬉しかった。


バァァァァァァァァンッ!!


光線が外側のバリアにぶつかる。

そして3秒後、外側のバリアにヒビが入って砕けた。

「やった…割れた!!」

『まだ1枚あるぞ…!!』

ディアスは力の全てを手に集中していた。魔導書を召喚してから5分も経っていない。しかし、ディアスは最初からフルパワーだった。その理由はミルスが図書館で学習したことにあった。


魔導書は召喚してから出現できる時間がある。10分経つと実力不足とされ、出直しを要求される。つまりそれまでに倒さなければならない。だからミルスとディアスは速攻で決めようとした。もし、これが失敗したらもう手はない。『破滅の閃光』の屈折が成功したら、ミルスはもうディアスに託すしかなかった。


「行けぇぇぇぇぇぇ!!」

2枚目のバリアに当たるとミルスは叫んだ。しかし、そう簡単に割れなかった。

『ぐぅ…!!なんと言う硬さだ…。』

5秒は経過した。『破滅の閃光』を受けてもなお、アークエンジェルの『バリアフォース』は持ちこたえていたのだ。それもそのはず。ミルスの魔導書であるアークエンジェルは、簡単に言うとミルスの潜在能力なのだから。早くもバハムート魔式を使い魔とするほどの魔法使いで才能の塊。今はまだ力を出せてなくても、いつか必ずディアス以上の力を得る。それを魔導書の『バリアフォース』が物語っていた。

「頑張ってディアス!!」

ミルスには応援しかできない。



ディアスの『破滅の閃光』でも破れないなんて…。そんな…強すぎるよ…。アルト師匠は中級魔法でも勝てるって言ってたのに…。師匠嘘ついたんですか…!?


ミルスはそんなことを思い始めた。師匠を疑うなんて最悪の行動だ。自分の実力が足りてないんだと…。ミルスはそう思うことにした。




そんなミルスの気持ちを察してか、今まで黙って弟子の戦いを見ていたアルトが叫んだ。

「どうしたディアス!!!!君の力はその程度かい!?まぁ、所詮僕みたいな引きこもりダメ人間に負ける、引きこもり召喚獣だ!!それが限界なんだろうね!?」

そんな自虐的でもあるアルトの叫びに、流石にディアスは黙ってはいなかった。

『…おのれぇぇぇっ!!!!人間ごときが我を愚弄するか!?許さぬ…、許さぬぞぉぉぉぉぉ!!!!』

「…っ!?ディアス!?」

怒り狂ったディアスの手から出る閃光は元の太さの数倍ほどになった。当然威力も同じように膨れ上がった。

『消し飛べぇぇぇぇぇぇ!!『破滅の閃光 ハイバースト』!!!!』


パリィィィィィンッ


そして遂にアークエンジェルの『バリアフォース』が砕けた。

『っ!?』

アークエンジェルは驚きの表情をしたかと思うと、そのまま黒い光に飲み込まれた。

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