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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
魔法使いが存在しなかったやる気を出して旅に出るまで
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魔法使いの弟子(猫裸従娘)

「あ、あ、アルト師匠…。こ、紅茶を…お持ちしました…。」

「うん。ありがとう。」

アルトはミルスの持ってきた紅茶を啜る。




私がバハムートを召喚してから3日が経った。自分で召喚してしまったバハムートを撃退しただけなのに、町でアルト師匠が表彰された。私が召喚した事がバレてしまうと、冒険者の称号を剥奪され、監獄行きが確定となるため、アルト師匠はその事を黙っていた。

そんなこともあって、私はいつも通り昼食後の紅茶をアルトさんに出していた。

…………いや、いつも通りではない。


「ハァ…ハァ…♡ミルミルカワイーよ♡」

「フフフ…『にゃ~ん♪』て言ってみてください♪」

シーナさんとルナさんが私にそう言ってくる。

なぜなら私はお仕置きで、

『猫耳裸エプロンメイド』

の格好をさせられていた。

「こ、こんなのあんまりです!!」

「仕方ないだろ。シーナが決めたんだから。」

アルトさんは紅茶の入ったマグカップを置くと、本を読む目を動かさないで喋る。


何故私がこんな恥ずかしい格好をさせられているかというと、バハムートを召喚した日のことだ。アルト師匠から勝手に召喚魔法を使って、バハムートを召喚したことと、無茶な作戦を立てたお仕置きとしてだ。

あの日の夜、話し合いでアルトさんが『シーナに任せる』と言ってしまったため、私は1週間、家の中ではこの姿を強いられていた。


「だからと言っても、恥ずかしすぎます!!」

裸エプロンと言っても、シーナさんが作ってくれた下着は着ている。しかし、こんなラインがくっきり出るような下着をでしかも半裸なんて、アルト師匠の前で動けない。


「もう我慢できない♡ミルミルゥ~♪」

「キャアッ!?」

ミルスはシーナに押し倒されてしまった。

「ちょ…止めてくださいシーナさん!!し、師匠ぉ!!助けてください!!」

ミルスはアルトを呼ぶが今回ばかりはアルトは悪戯に笑うだけで助けようとはしなかった。

「だってお仕置きだからね~。仕方ないよね?ディアス。」

アルトは隣でミルクを舐める、猫サイズの龍にふった。

「まぁな…。」


ディアス。何故ここにいるのか。何故こんな小さくなってしまったのか。その理由は森の湖での事に遡る。







「っ…。一体…何が…、え!?」

光に包まれたかと思うとミルスの膝には小さなバハムートが乗っかっていた。

「契約完了だ。」

「………………バハムート…さん?」

何故こんなに可愛い感じになってしまっているのか。

「どういうことですか師匠!?なんでバハムートさん小さくなってるんですか!?」

振り返るとアルト師匠は教えてくれた。




私がバハムートとしたのは『使い魔の契約』だそうだ。それは召喚獣と深い絆を築く事によって可能になる魔法。召喚獣を使い魔にすることで、いちいち魔方陣を使わなくても、この世界に留めることができる契約。使い魔の力は主人が解放しない限り、本来の力を発揮できないためエネルギーの節約として可愛い感じになるのだとか。




「それじゃあ…。バハムートさんは救われたんですか!?」

私は一番大切な事を聞いた。

「今のところはね。ただ異次元に戻るのを防いだだけだ。でも、それはミルスが生きている間だけだけど…。」

どのみち今は救われているということだろう。

「よかった…。よかったです!!」

私は小さなバハムートを抱き締めた。

「むぐっ…!!く、苦しい…。」

バハムートは小さな翼を私の胸のなかでばたつかせる。しかし、当然離すわけない…。

「やれやれ…。使い魔の契約は本来かなりの魔力を必要とするんだけど、まさかミルスができるなんて思わなかったよ。」

「あぁ…バハムートさん可愛いです♪」

「ぐぁっ…、離せ…、骨が折れる…。」


チョンチョン

「ん?」

ミルスとディアスを見つめるアルトの肩をシーナがつつく。

「あの~。感動中悪いんだけどさ…。あれ♪」

「え?」

シーナが森の中を指差すと何かがこちらに向かってきているのがわかった。

「まさか…!?」

それは体が人間のムキムキ熊。

「まずいっ!!逃げるぞ!!森の王様だ!!」

「え!?」

またあのトラウマが蘇り、アルト達は全速力で逃げ出すのだった。





そしてそれがこの賑やかなパーティーの日常につながる。

「シーナさん止めて!!お尻触らないでください!!」

「グヘヘヘ…良いではないか~、良いではないか~♪」

「ミルスちゃんってお肌すべすべだね♪」

「ルナさんも!!止めてくださーい!!師匠!!ディアスさん!!助けて~!!」


そんな光景を目にし

「まったく…騒がしい人間どもだ…。」

「ハハハ…。」

アルトはまた紅茶を啜る。

やはり平和が一番だ。


「こんなので本当に魔王を倒すのか?」

「あぁ…。近づいてはいるよ。少しずつね。」

アルトは不適に笑う。



そう…確かに近づいた。何故、魔王軍しか持っていないバハムート魔式の魔方陣を持っていたのか。何故、それを渡したのか。結局、あのあと本を探したがどこかへ行ってしまった。

シルフィアと言うエルフ、調べる必要がありそうだ。








「フフフ…あらあら。まさかあんな凄そうな化け物を使い魔にしちゃうなんて。」

フードを被った女がどこかの地下道と思われる場所で腰を下ろし笑っていた。

「魔王の城からこっそり盗み取ったこの本。私には使えなさそうね…。」

女はただただ笑うだけだ。

「フフフ…それにしても、アルト師匠とミルスちゃん…。面白い子達見つけちゃったわ…。」

そう言うと女は立ち上がり、地下道を歩き始めた。

そしてシルフィアの姿は闇に紛れて消えた。

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