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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
魔法使いが存在しなかったやる気を出して旅に出るまで
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魔法使いの弟子

『ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…。』

上からでしか位置が確認できない、森の湖。ディアスはそこに動かない体の半分を浸けていた。

『どうやらもう飛べなさそうだ…。』

先程から羽ばたくたびに翼がキシキシと悲鳴をあげる。

『…ここが我の終わりか…。』

ディアスは自分の消滅を悟った。

「あ!!見つけた!!」

そこにミルスが来た。

『っ…。なんのようだ人の子…。我の終わりを嘲笑いに来たか…?』

ディアスからすればもうどうでもよかった。しかし、

「大丈夫ですかっ!?どこか痛むんですかっ!?」

ミルスは止めを刺すわけでもなく、ディアスの翼の痛む部分をそっと撫でていた。

『っ!?なんのつもりだ…?我を消しに来たのではないのか…?』

ディアスにとって、ミルスの行動は理解不能だった。最強最悪の召喚獣である自分を殺しに来たのではないのか?

そこへ、

「ミルス!!」

アルト、シーナ、ルナが追いつく。

「何をしているんだ!?」

アルトが走って痛くなった脇腹を押さえながら聞いた。

「師匠!!このバハムートさん、死んじゃいそうなんです!!助けてください!!」

ミルスの言うことは理解できなかった。何故、この凶悪なバハムートを救おうとしているのか?

「何故そいつを生かそうとする!!そいつはバハムート魔式だぞ!!」

「その偏見を無くすためです!!」

「っ!?」

ミルスは声一杯に叫んだ。

「…私はかなり小さい頃から魔法使いに憧れてました。魔法を使って人々を救いたい、いろんな召喚獣と仲良くなりたいって…。」

ミルスは再びディアスの翼を優しく抱いた。

「でも、今日知ったんです!!みんな召喚獣を兵器としての価値で決めてるって!!」

「…。」

「バハムートさんも…それが嫌だったんですよね…?いきなり呼ばれて、破壊し尽くせなんて言われたんですよね?」

ミルス以外、誰も口を開かない。

「それなのに私が用も何も無いのに召喚しちゃって…、また破壊を命令されるのが嫌で暴れたのに…、昔みたいに攻撃されて…。」

ミルスの目から涙がディアスの頬に落ちた。

「ごめんなさい…。私が悪いのに…こんな辛い目に合わせてしまって…。ごめんなさい…。」

そしてミルスの涙がディアスの額の宝石に当たった。

『…っ!?………それは心からの声だな…。』

「え…?」

「ミルス…。」

「…師匠。」

アルトはミルスの後ろにたつ。

「僕はこの間言ったよね?君が泣いてたら涙を洗い流してあげるって…。だからミルスが願うならこのバハムートを助けてあげたい…。でも、召喚獣に回復魔法は効かないんだ…。」

「そんな…。」

ミルスは肩を落とした…。

こんなのバハムートさんが可哀想すぎる…。

『我が言うのもなんだが…、人の子よ。貴様が望むのなら…、本当に我を救おうと言うのなら…、我が額に触れよ…。』

ディアスが頭を差し出した。

「…まさか!!使い魔の契約っ!?」

「っ!?よくわかりませんが、それで救えるんですか!?」

バハムートさんを救えるのなら、なんだってする。

「ミルス…君の好きにするんだ。」

アルト師匠はその場に座り込んだ。

「ミルミルファイオ~♪」

「フフ…頑張ってねミルスちゃん。」

それに続いてみんなその場に座り、こちらを見守ってくれた。

私は覚悟を決めた。

『あとから後悔するかも知れんぞ…?』

バハムートさんが最後に確認する。

私はバハムートさんの額に手を当てる。

「そうなったら師匠の僕が責任をとる。」

アルトさんが後ろで叫んだ。

「それでも私は…、魔法使いの弟子です!!」

『ハハハ!!よく言った!!我が命、人の子!!貴様にくれてやる!!』

すると、額の赤い宝石が、私を眩い光が包んだ。

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