事件の召喚
なんでしょうかね…?文字が少なく書かれてるためか展開が早い気がします。このくらいのスピードで良いのでしょうか?
「ただいまです!!」
私は図書館から帰ってきた。帰ってくるまでの間に、外は暗くなるのが早く、すっかり真っ暗だった。
私は手に図書館でエルフから貰った本を抱えながら、期待を胸に膨らまし、勢いよくドアを開けた。
「師匠!!早速召喚…魔法…を………?」
私は言葉を失った。ドアを開けると家の中は真っ暗だった。というか外から見たときに気づくべきだった。人の気配を感じない。
「師匠!?シーナさん!?ルナさん!?」
返事など当然帰ってこない。
「みんなどこに行ったんだろう?」
不安に思いながらも私は家の中に入った。すると
バタンッ!!
「え!?」
いきなりドアが閉まった。家の中はカーテンがかかっていて、明かりも消えている。そのため、外の光だけが頼りだった。ドアが閉まることによって部屋の中は完全な闇に飲まれる。
「そんな!!開かない!?」
私は怖くなってドアを開けようとした。しかし開かない。
「どうして!?誰か!!誰か!!」
ドアを必死に叩いて助けを求める。しかしこんな町の外れの家の前を、この時間に通る人なんているわけない。
「ひゃあっ!?」
今なにかが首に当たった。暖かくてジメッと塗れたなにかが。
「キャアッ!!」
後ろから何かに胸を揉まれた。(無いけど)
「だ、誰かぁっ!!」
ついに私は何かに引っ張られた。押し倒され服を脱がさせられる。
嫌だ…、怖い…!!なんなの!?誰なのっ!?私を……どうするのっ!?
「はぅぁ~♡ミルミルのロリータボディペロペロ~♡」
「って、シーナさんじゃないですかぁ!!」
顔は見えないが行動と声でわかった。今、私を押し倒して剥いている者。…シーナさんだ。
「ちょ…やめてください!!…ひゃあっ!?な、何で脱がすんですか!?」
「いいからお着替えしてよ~♪」
「何にですか!?」
シーナさんは覆い被さって身動きとらせてくれない。
「シーナちゃん。同意のもとで着替えて貰った方が早いんじゃない?」
「む~…そだね♪」
この声はルナさん!?待って…ルナさんも共犯!?
「ミルミル、これに着替えるなら解放するよ~?」
何に着替えるのかわからないが、解放されるなら何だって着る。
私は即答でOKした。すると素っ裸にさせられ、下着から着替えた。
「………。」
解放されて真っ暗な中での着替えを終える。そして、部屋の明かりがつくと私の前には鏡があった。その鏡の中の自分を見ると、私は言葉を失った。
「何ですか…これ…?」
私は低い声で呟いた。
「どうだい?僕の自信作♪」
「……とう…」
「ん?」
「ありがとうございます!!シーナさん!!!!」
私が着ているのは魔法使いが着るような装備。白いローブに包まれていた。
「ハッハッハッ!!僕にかかればこのくらいなんてことないさ!!」
「ミルスちゃん似合ってるよ~!!」
横でルナさんが手を叩いて誉めてくれる。
「本当ですか!?嬉しいです!!」
私は目頭が熱くなるのを感じた。憧れていた魔法使いらしい格好にようやくなれた。
「これはアルトきゅんもお持ち帰りしたくなるレベルだね!!」
その言葉に私はちょぴっとだけ期待をしてしまった。
「そ、そんなこと無いですよ!!いくら今師匠が居ないからって…。」
私が誤魔化そうとしていると
「着替え終わったのかい?」
「うにゃっ!?し、師匠ぉ…!?いつからそこにそれよりその格好!?」
いつの間にかいたアルト師匠が後ろに立っていた。しかも師匠の姿は私の装備を黒くしたバージョンだ。黒いローブに身を纏った師匠は…カッコ良かった…。
「明かりが点いてからだよ。着替えが終わるまで、外でドアに『クリスタルウォール』張れって言われたからね。その…着替え覗いたら悪いし…。」
どうしよう…。ギューって抱き締めてもらいたい。カッコいいよ…。
「やっぱり師弟ならこんなのが似合うかと思ってね~♪速攻で作ったんだよ!!」
無表情ピースを決めるシーナさん。
「ちなみに素材は違うよ♪アルトきゅんには言ったけど、ミルミルのには飛膜を使用。アルトきゅんにはそのまま黒焦げのワイバーンの皮を使用したよ!!」
「黒焦げをそのまま使ったってことは手抜き…」
「着色の問題だよ!!」
核心を突く前に跳ね返されてしまったアルト師匠。
「なんにせよ色違いのお揃いだね♡」
師匠と…お揃い…。
「これで町を歩けば!!『黒と白の師弟』とか『影と光の師弟』とか呼ばれて、いちやく有名人だよ!!」
「それ以前にお前が『変人勇者』として有名だけどな。」
師匠はシーナさんの頭に手を置くと
「とりあえず、ありがとなシーナ。」
シーナさんの頭をポンポンと2回叩いた。
「むふ~♪」
シーナさんは無表情でわからないが、おそらく満足そうな顔だった。
「今度はルナぴょんに作ってあげよう!!胸をバインバインに強調するやつ!!」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
胸をバインバインに強調される点は良いのだろうか?
「さてと…、ミルスも帰ってきたし夕飯にするか…。」
アルト師匠の呼びかけに対しシーナとルナの2人は、
「やっふ~♪」
「やった!!ご飯ですね!!」
幸せそうに椅子に座る。
「さぁ、ミルス。僕も手伝うから急いで作ろうか。」
つっ立ってる私に、師匠が手を伸ばしてくれた。
「はい!!師匠!!」
一緒のローブってなんだかいいな♪
食事を終えて、順番に入浴を済ませると、私は先に寝室のベッドにはいり、スタンドの光で、貰った魔方陣の本を見ていた。
「う~ん…よくわからないな…。」
中にはどれも2ページを使用して、でかでかと書かれた魔方陣ばかりだった。
「それにしてもこの本、随分と汚れてるけど…本当にくれてよかったのかな?」
「何を見てるんだい?」
部屋にアルト師匠が入ってきた。
「あっ、師匠。」
「うん?それは魔方陣かい?」
師匠は枕元に開いてある本を見下ろす。
「はい。図書館に行ったら、シルフィアというエルフの女性がくれました。」
あった通りのことをそのまま話すと
「くれた!?…怪しいな…。」
師匠は驚き顎に手を当てる。
「でもこれ普通の魔方陣ですよ?私にはよくわかりませんが…。」
「………まぁいいか。明日から召喚魔法教えてあげるから、早く寝るよ。12時間は寝ないと死ぬからね…。」
今の時刻が21:00ということは9:00まで寝るのだろう。それより今死ぬと言った?
「死ぬんですか!?」
召喚魔法とは危険なのだろうか?
「いや、死ぬのは睡眠不足の僕だ。」
「………。」
こんな感じなのに師匠はよく私のために動いてくれるなぁ。
翌日の昼。家の横でミルスはアルトから召喚魔法を教えられていた。当然、シーナの作ったローブを着て。
「いいかい?魔方陣にそっと魔力を流し込むんだ。」
アルトは両手を前に突き出すような形で立っている。
「えっと…一瞬でいいんですか?」
ミルスもアルトとおなじような格好で立つ。
「あぁ。魔方陣と言うのは魔力を陣に沿って1度流せばいいんだ。そうすれば後は勝手に開いてくれる。まぁ、簡単に言えば魔方陣は…。」
「扉…。」
「おや?知ってたのかい?」
「え?」
今の回答はミルスにとっては無意識だった。
「あぁ!!す、すいません。昨日シルフィアさんが言っていたもので…。」
「…そうか。」
アルトは数秒間ミルスを咎めるような目で見つめていた。
「んじゃ、休憩にしようか…。」
「ふぅ…。」
私は地面にペタンと座り込んだ。
「魔力の流し方は完璧だから、休憩後はネコでも召喚してみようか。」
「はい!!」
「それじゃ、僕は町で何か飲み物を買ってくるから。」
そう言ってアルトさんは町へ町の通りへ歩いて行った。
「はぁ~。召喚魔法って意外と難しいんだな~。でも…アルトさんは完璧って言ってたし。これならすぐにクロスウィザードになれるよね?」
私は青空を見上げながら、吹き抜ける風に当たっていた。風は強すぎず弱すぎず、私の頬を撫でるように吹き、前髪をたなびかせた。
「………綺麗だなぁ。」
何の変哲も無い青空だが、この時は非常に綺麗に感じられた。なぜだろうか?いつも見ている物なのに、いや、見ているからこそだ。いつもあるから平和を感じられる。
「………もしかして…?」
私はふと思いついた。
「やろうと思えば召喚できるならあの本の魔方陣使えるのかな?」
ほんの好奇心だった。私は部屋から本を持ってくると適当にページをめくっていた。
「う~ん…。あ、この魔方陣…なんかカッコいいかも。」
直感で魔方陣を決めて、そのページを開いて地面に置く。
「とりあえず!!いかなくてもやってみよう♪」
私は魔力を流す格好で本の前に立つ。
「ハァー…。」
私は静かに魔方陣に魔力を流し込んだ。
「ァーー……。…ふぅ、ってあれ?」
私は確かに魔力を流し込んだ。しかし何も起こらない。
「あれ?…やっぱり…才能ないのかな?」
肩を落とし、魔方陣を閉じようとした。そのときだった。
「え!?何!?」
突然、魔方陣に黒い稲妻が走った。本と地面がガタガタ揺れ始めた。私のその振動に尻餅をついた。
「なんなのこれ!?」
魔方陣は怪しく光りつつ、地震は少しずつ大きくなっていた。
「んー。ミルスはどのドリンクが好きなのかな…?」
アルトはドリンク屋の前で考えていた。
「やっぱりベリーなのかな?」
そしてそのときアルトの胸に嫌な予感が秒速1キロで走った。
「っ!!なんだ今の感覚!!これは家の方?…ってうわ!?」
アルトが邪気を感じとると地面が揺れ始めた。
「なんだ!?何が起きているんだ!?」
今の状態に驚くアルトだったが、真っ先に浮かんだのは大切な弟子の顔だった。
「くっ…!?速攻で帰るぞ!!待ってろミルス!!」
アルトは走り出した。その間に、空に怪しい雲がかかっていた。




