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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
魔法使いが存在しなかったやる気を出して旅に出るまで
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闇は突然現れる

 図書館の中はとても静かだ。それは大抵のルールだ。だが、それ以前にエルフが防音のための結界を張っているらしい。そのため、例えペンを落としたとしても音がしないのだ。しかし、音にも限度があるらしく、大声で叫ぶと他の人にも聞こえる。また、図書館の管理人のエルフとの会話は可能だ。


「はぁー、終わったぁぁ…。」


 ミルスは山積みになった本を目の前に背伸びをした。時刻はもう18:00。館内にはステンドグラスから夕陽が射し込む。アルト師匠に紅茶を出したのが14:00で、移動に数分かけた。つまり少なくとも3時間は図書館にいると言うことになる。


「クロスウィザードについてはわかったから、後は師匠に召喚の方法を教えてもらわないと…。」


 召喚魔法を覚えれば魔導書と戦える。そして勝てばクロスウィザードになることができる。


「さてと…。片付けないと…。」


 ミルスは記憶力は良いので、本を取ってきたの場所なら覚えている。


「すいません…。」

「え…?私ですか…?」

「はい♪」


 ミルスはエルフに声をかけられたのだ。

 長くて綺麗な金色の髪。その髪の中から飛び出た尖った耳。そして白い肌。エルフの特徴そのままの女性だ。なんて綺麗な人だろう。


 普通の声で会話できると言うことはこの図書館のエルフなのだろう。


「本は私が返しておきますのでそのままでいいですよ。」


 エルフが優しく微笑みかける。


「あ、すいません…。よろしくお願いします。」


  私は持ち上げようとした本の山から手を離した。


「それにしてもすごい量ですね。しかも魔法使いについての本。」


 エルフの女性は一番上の本の表紙に手をそっと置いた。


「あなたは魔法使いなのですか?」

「あ、はい…。クロスウィザードになるための勉強をしてたらこんなにたくさん読んでて…。」


 エルフの女性が綺麗なため、なんだか少し照れてしまう。


「クロスウィザードですか、すごいですね。ということは召喚魔法はもう使えるのですか?」

「あ、いえ…。それはこれから師匠に教えてもらうつもりです。」


  エルフはその言葉を聞くと本から手を離した

「師匠…?」

「はい。私はまだこの間、冒険者になったばかりなので師匠から色々教わっているんです。まぁ、今はパーティーメンバーなんですけど…アハハ…。」


 気がつげばエルフの女性からは笑顔が消えていた。真剣な表情でこちらを見ている。


「あなたの師匠はもしかして…、この間ワイバーンを一掃したと言う?」

「はい。アルト師匠です。」

「っ!?」


 エルフな女性はその答えで一瞬すごく怖い表情をした。


「…!?」


 あれ…見間違えたのかな…?


  エルフは普通にニコニコしていた。


「そうなんですか。」


………気のせいかな?


「それならいい物がありますよ。」


  そう言うとエルフは魔法で1冊の本を出した。


「この本にはたくさんの召喚魔法の魔方陣が載っています。」


 魔方陣…?


「魔方陣とは、召喚魔法を唱えたときに召喚獣が出てくる異次元とこの世界をつなぐ、扉の役割を果たします。」


  …なるほど。後で詳しくアルト師匠に教わろう。


「魔方陣の種類によって出てくる召喚獣も違います。」


 エルフはそう言うと本を私に向けて差し出してきた。


「これをあなたに差し上げましょう。返さなくてもいいです。」

「え!?い、いいんですか?」

「はい。練習用の魔方陣としてお使いください。」


 エルフはそう言うとミルスに微笑んだ。本当にくれるようだ。


「あ、ありがとうございます!!」

「私はシルフィアと申します。」

「私はミルス フィエルです!!あぁ!!早く持ち帰って召喚魔法を使えるように練習します!!」


 ミルスは本を胸に抱きそのまま走って図書館を出ていった。


 その姿を後ろからシルフィアが怪しい笑みで


「フフフ…。アルト師匠…ですか…。」


 シルフィアはただ誰にも聞こえない図書館で笑っていた。

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