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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
魔法使いが存在しなかったやる気を出して旅に出るまで
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いざクロスウィザードへ!!

どうもです

はい、前回で大体一区切りがつきました。


打倒魔王(予定)は?


と疑問に思うかもしれませんが、今はまだミルスの育成期間です。このストーリーの目的は、しっかり下積みをしてから目指すようにしてます

しっかりと言っても、だらだらと町で過ごす話にするつもりは無いので、これからもお付き合い願えれば嬉しいです。



「アルト師匠。紅茶です♪」

「ありがとう、ミルス。」

「フフ♪」


 平和だ…。僕は椅子に腰掛けて本を読みながらミルスの淹れた紅茶を啜る。外ではルナが薪を手で割っており、シーナは防具の作製とかで部屋にこもっている。シーナの防具を自分で作れるらしいが、かなり不安だ。しかし彼女の装備は冒険者のオークションに出せば1000万ゴールドはくだらないだろう。


 引きこもっていた日々には劣るが、それでも今の生活には満足している。

 僕が活躍してから1週間が経つ。ワイバーンを全滅させた事と火事場泥棒を捕まえた事で、ギルドから表彰を受けた。町長のダルい話は寝ていたが、表彰の時は目が覚めた。活躍するのも悪くはないと少しだけ思ってしまった。

 それ以来、ミルスのレベルに合わせ、さまざまなクエストを数回クリアしてきた。暴れ猪の討伐やガマトカゲの尻尾の納品等々。少しずつクエストをこなすことでミルスのレベルも12まで上がった。特に大きかったのは歩兵軍隊アリの討伐だ。歩兵軍隊アリとは、名前の通り歩兵のようにたくさん出てくる猫サイズのアリだ。シーナがふざけて彼らの巣に『やっぱり兵隊には筋肉だよ!!』とか言ってプロティンを流し込み、怒ったアリが70匹程出てきたのは流石に拳骨を喰らわした。そのアリ相手にミルスが『フレイム』と『トルネイドウィンドウ』の合わせ技で一掃した。ちなみにそのときは燃え広がる前に僕が『スプラッシュウォーター』で消火したから燃え広がりはしなかった。そのときにミルスのレベルは3も上がった。


 そんなこんなでかなり平和だ。魔王を倒す目的といっても、あくまでも主はミルスだ。あのときの約束では僕は手伝うと言っただけだ。倒すのは僕ではない。ミルスが強くなるまでは、じっくり強くならなければ。


「ところでアルト師匠。」

「ん?なんだい?」


 ミルスが隣の椅子に座る。


「この間、酒場のマスターから聞いたんですけど、職業の進化ってありますよね?」


 職業の進化。この世界では職業は、条件を満たしたりすれば進化していく。例えば最初にギルドで剣士になったとする。剣士になりある条件を満たすと、1つ上の職業に進化できる。また、職業によっては分岐もあり、剣士の場合は魔法剣士かガーディアンに進める。魔法剣士になると魔法使いの力が加わり、ガーディアンになると武道家の体力が加わる。そしてさらに進化していけば、トップ級の職業勇者になる。

 シーナは最初は剣士になり、長い道のりを経て勇者になったのだ。(どうやってあんな変人が一人でここまで来れたかは知らないが…。)

 僕とルナは職業の進化には興味がないからずっと同じだ。


「あぁ、あるね。」


 アルトは本を閉じてミルスを見る。


「実は私、クロスウィザードになりたいんです!!」


 クロスウィザード。そのまま訳せば『男の十字架魔法使い』となる。本当の意味は『神の加護を受けた魔法使い』だ。神の加護を受けた魔法使いは呪いに強い耐性を持ち、悪霊や悪魔に有効な力が魔法につく。あえて属性みたいに言えばホーリー属性が付く。

 ウィザードだと男性の魔法使いで、女性はウィッチではないかと思われるが、あくまでも職業、たかが名前なので気にする必要はない。


「クロスウィザードか。悪くないんじゃないかな。」


「そうですか!?それでなんですけどクロスウィザードの成り方を教えてください!!」


 ミルスは頭を90°曲げてお願いしてくる。


「う~ん…。」

「ダメ…ですか…?」


 首だけを90°上げて、潤う目でこちらを見つめる。


「ダメって訳じゃないんだ…。」


  正直教えるのがめんどくさいと言うのが60%程ある。残りは

「僕は職業の進化に興味がないから、あまりわかりやすく教えられないんだよね…。」


「そんなぁ…。」


  僕からは何も教えてもらえないことがわかると肩を落とす。


「…そうだな。とりあえず図書館で見てくればいい。」

「図書館?」




 図書館はこの町の西側にある大きな建物だ。エルフが経営しており、そこにある本は歴史等を始めとする、幅広いジャンルの本がある。冒険譚、職業、魔物、魔王について、ほとんどの情報はそこで手に入る。(噂では官能小説まであるとか)



「そこの職業のジャンルで魔法使いについての本を探して、勉強すればいい。大体わかったら僕のところに来れば召喚魔法を教える。」


 その言葉にミルスは目を輝かせながら

「はい!!ありがとうございます!!」

と、元気よく答えた。しかしそこでアルトの言ったことに気づく。


「…え?召喚…魔法…!?」


 確かにアルトは最後に召喚魔法を教えると言った。


「そうだよ。僕はよく知らないけど、クロスウィザードになる条件は魔導書と戦うことだよ。」

「魔導書…?」


 ミルスは首をかしげる。それをアルトはわかりやすく説明した。


「魔導書って言うのは魔法で召喚した本のことだよ。どんな魔導書が出るかは人によって違うけど、魔導書を開くと召喚獣が出てくる。その召喚獣は召喚した者の実力を測るために襲ってくる。それと戦うのが条件だよ。」

「えぇ~!?そ、そんなの無理ですよ!!私まだ初級魔法しか…!?」


 冒険者になって経験がまだまだ浅いミルスにとって、召喚魔法を覚えて、しかもその呼んだものと戦うなんて言うのは不可能としか思えなかった。


「初級魔法でも充分戦えるよ。それに召喚魔法を覚えれば、中級の魔法なんて簡単にマスターできるし。」

「そ、そんなこと言っても!!」


 ミルスがおどおどしてるとアルトは優しく頭を撫でた。


「大丈夫だ。ミルスならやれる。だって僕の弟子だよ?」


 ミルスからすれば、アルトの撫で撫では鎮静剤か何かなのだろう。


「はうぅ…。わ、わかりました!!今から図書館に行ってきます!!」


  嬉しさに耐えきれなくなってミルスは逃げるように家を出ていった。


「…僕…何かしたかな?」


  アルトが自分の手を見ながら呟く。

「できたっ!!できたぞっ!!僕式魔法使い装備!!…ってあれ~?ミルミルは?」


 ドアをバンッと強く開けてシーナが出てくる。


「図書館行った。たぶん夕方まで帰らない。」


アルトは再び紅茶を啜る。


「え~…。折角、この装備着せたかったのに~。」


 シーナは手にした防具を残念そうに見る。


「…ん?良くできてるじゃないか。」


  その防具を見るとアルトはそう言った。


「むむっ!?アルトきゅんわかるかい!?この装備のよさ!!」


  シーナは目を輝かせながらこちらに視線のレーザーを送る。目はキラキラしてても無表情だが。


「わからないけど、そのデザイン。たぶんミルスに似合うと思うぞ?」


 それはクロスウィザードになるミルスにはぴったりな純白なローブだった。


「流石はアルトきゅん!!お目が高い♪」


 どこかの会社の社長みたいな声になるシーナ。


「この装備はワイバーンの翼を使っているのだよ!!」


 ワイバーン。そう言えばシーナは、僕が全滅させたワイバーンの炭になった死骸をあさってたな。でもどうやってあの炭からこんなに白い装備が生まれるのか。


「このローブの素材はワイバーンの翼の飛膜を糸にしたもので耐熱性、耐火性、耐凍性バッチリなんだよ♪」


 そうか。耐火性バッチリだから使えたのか。


「しかもこれだけじゃない!!」

「ぶっ!?」


 シーナがローブの中をめくるとつい噎せてしまった。なぜならそのなかには真っ黒でいかにもエロティックな下着があったからだ。


「どうだい♪ミルミルに似合うと思わない!?」


  目を爛々とさせながらこちらを見るシーナ。

確かに…ミルスになら黒は合いそうだ…。


『アルト師匠…。』

『おや?どうしてミルスが寝ている僕の布団のなかに?』

『つい夜這いしてしまいました♡』

『おやおや…仕方ない子だ…。』

『どうですか…この下着?』

『やれやれ、そんなエッチな子にした覚えはないぞ?』

『えへへ…♪』

『そんなエッチな子にはお仕置きしないとな…。』

『あぁん♡師匠ぉぉ…♡』



「なんてこと間違いなし!!」


※あくまでシーナの妄想です


「ならない。」


 僕は一人興奮するシーナを放っておいて本を開く。


「いや~、これの製作には6日もかかっちゃったよ♪」


ローブは1日でできたのかよ。普通逆じゃないか?


「いやさ~、試しにワイバーンの海綿体使ってみたらさ~、これがまたふわふわで♡」

「なんてもの使ってんだ!!」

「あぁ大丈夫だよ♡ちゃんと素材になる前に味わっといたから。僕の2つのお口で。」

「1週間部屋にこもって何してた!?」

「これなら『15歳の女の子もR-18に!!』って感じで売れるよ!!」

「絶対販売するなよ!?」


  はぁ~、どうしてこいつはこんなに思考がおかしいのか…。変人過ぎにも程がある…。

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