冒険者と姫
申し訳ありません
最後の方手抜き感がします
「───以上が、引きこもり止めた俺がこんなところにいる理由だ」
長時間も聞かせ続けていた冒険譚。最後にまとめると話し手のアルトにも疲れがどっ、と感じられた。
(最初はフィスの願いで聞かせてただけだったけど、今思えば俺らの冒険ってこんなに長かったんだな)
人に話してみて改めて実感した。仲間と歩んでいく時間が、当たり前と化していた。それに加え、その時間と言うものはただの記憶や譚に留まらず、もはやアルト オーエンと言う人物の歴史にも等しいモノにもなっていた事に。
冒険者になり、大切な仲間に出会うまで、人と関わる機会が全く無かったアルトには不思議で、胸が暖まる気分だった。
ほんの僅かに幸せな気分になり、目元が自然に緩んだ。
「素晴らしいです‼︎オーエン様」
そんな悦に浸っていたアルトを拍手で包んだのは、聞き手であった王女フィリシス。
彼女にはアルトの話が感慨深いものであった。
強くてかっこいい冒険者とその仲間たちの胸躍る物語。時には強敵を倒し、時には仲間同士の関係にヒビが入ったりの波乱万丈なストーリー。
目の見えない彼女でも頭にイメージすることはできる。アルト オーエンと言うその話の主人公の事は全くわからなくとも、フィリシスはアルトを勇者のような人物と捉えた。
その激しい音の中に上品さを保つ拍手には、アルトへの興味が強く含まれていた。
「オーエン様は偉大な冒険者様なのですね」
「いや、偉大ではないかな。ただ、できる限りの努力をしただけさ」
「それでも私にとっては、かっこいい冒険者様です。それこそまさに、あの勇者ネクスのような」
「勇者…ネクス…」
英雄の名前を耳にして、アルトは考え込む。
自分はネクスと似ているのだろうか?
当時最強と謳われたネクスがどれほどの強さだったのかは知らない。自分と過去の英雄のどちらが上なのか、比べることはできない。
しかしそこでアルトは思う。
もしも、自分がネクス以上の実力と仮定するなら、ネクスのような英雄なのだろうか?
ネクスは豪傑て崇高だ。
その存在だけで人々に希望を与える、言わば唯一神のような人物。
一度剣を握れば、無条件に魔物が逃げ出し、悪人が武器を捨てる。
町を歩けば、人が退いて道ができ、危険から守ってくれる救世主として崇められる。
実力もある。名声もある。そんな人間だった。
そう考慮すると、答えはすぐに出た。
否、自分はネクスのような人間ではない、と。
アルトには偉大な勇者ネクスへの憧れはある。小さい頃は、その英雄のように人を助けたいと思って冒険者に憧れた時もあった。
しかし、今過去を思い返してわかった。
少なくとも、自分は人々の希望にはなっていない。逆に不安を生み出している。
冒険者の存在が当たり前になった時代背景もそうだが、崇められるような人間ではない。
冒険者は、強さと名声があってようやくネクスになれる。
強いだけでは足りない。
名高いだけでは足りない。
今のアルトは前者。無能時代をようやく抜けて、何かを守ることができるようになった。しかしそんな守護の得意な冒険者とは知られていない。
「…オーエン様?」
「…っ、」
フィリシスに声をかけられてから、我に返る。
「そう言えば、フィスはなんで俺のことを知ってたんだ?」
身分の高い姫を短縮系で呼ぶ事には少し抵抗がありつつも、アルトは言われた通りしっかりその名で呼んだ。
響きが良いのか嬉しいのか、フィリシスの表情が緩む。
「オーエン様の事でございますか?」
「ああ。さっき俺が名乗った時、その前から俺の名前を知っているみたいだったから気になって」
大体予想がついているが敢えて聞いてみた。
何と言おうと、彼女がアルトの事を知る出来事などあの件でしかない。
使えない護衛とか母親の死因の1つとか、何かしらの話に自分の名が出されたのだろう、と高を括っていた。
しかし首を傾げる少年の腑に落ちないのは、そんな決して良い評価でないアルトの話を聞いて、さっきみたいに愛想のある接し方ができるだろうか。しかも茶の準備までしようとしたり、愛称で呼ばれることを求めたり。
何か別の理由があるに決まっていた。
「なんで俺なんかにそんな優しく接してくれるんだ?」
前のめりになって追求する。
どうしても知りたい気持ちの表れであるその態度、目で見えなくとも聞こえる声の大きさの変化でフィリシスは感じていた。
それでも表情を変えぬまま、淡々と答えた。
「オーエン様は、私のヒーローでございますから」
「は?ヒーロー?」
間抜けのような声で驚いた?
ヒーロー。言い換えると英雄、つまりは勇者だ。
フィリシスはアルトが英雄だと言ったのだ。
当然、聞いていた少年には意味がわからない。
何故自分なんかがヒーローなのだろうか?本来は真逆なのでは。目の前で彼女の母親を救えなかったのだ。おまけに世間からは犯人のイグニスと共犯扱いまでされている。
彼女がアルトの話を他人から聞かされたのなら、そんな風には言わないはずなのだ。
「ちょっ、なんで?あれ?俺はヒーローみたいな事はなんもしてないぞ?」
「いいえ。ついこの間ではありませんか。攫われた私を助けてくださったのは」
そう言えば、と思い出したかのようにアルトは手をポンと打つ。
馬で闘争を図るゲイズの手からフィリシスを救い出したのつい先日。しかもそれが理由で、ただの冒険者なのに城の中に居られるのだ。
だがまだ納得がいかない。
それで自分の名前を知ったとしても、ここまで友好的に接するだろうか?恩人であっても、愛称で呼ばれる事を自ら求める程に、自分のことをよく思ってくれるものだろうか?
「本当にそれだけ?フィリシスは知らないのか?」
だからこそ明確な質問で尋ねることにした。真剣になったため、正式な名前で彼女を呼んでしまう。
「俺は2年前、君の母親のクラウディア女王を守れなかった男だ。本当は恨んでるんじゃないのか?」
もう恐れることさえも忘れて、話す速度が少しあがふ。とにかく彼女の本心を知りたかった。
簡潔に、その男を恨んでいるのか恨んでいないのか。
アルトはそれが知りたかった。
「恨む?どうしてそのような事がございましょう?」
「え?」
逆に意外そうな不思議そうなのはフィリシス。『?』を浮かべて聞き返す。
「オーエン様は護衛として守ってくださったではありませんか。しっかりと、自分の任を全うしていた姿を私は覚えています」
「?どういうことだフィス?」
予測の外を行く発言に、何がなんだかわからなくなり始めて来た。
(ひょっとしてフィスは嘘の情報を伝えられているのか?いや、彼女は覚えていると言っている。つまりあの時のその目で見た事を、明確に記憶しているんだ)
「どういうことと申されましても…。ひょっとして記憶には無いのですか?」
「何が?」
「むぅ〜。でしたら、これは秘密にしておきましょう」
「え⁉︎なんで‼︎」
「なんでもです。オーエン様が覚えてないのでしたら、これは私だけの秘密です」
「そんな……」
何がなんでもアルトは理由が知りたかった。フィリシスが優しい理由がなんなのか。
しかし当の姫は、意地悪っぽく口を閉ざしてしまい、知る術が無くなってしまった。
「……ふふ…。申し訳ありません。オーエン様をからかってみたかったのです」
そんな肩を落とすアルトの様子を想像してか、フィリシスはいたずらに笑う。
「ですが秘密は秘密です。教えて差し上げません」
「…」
「でもご安心ください。私は決してオーエン様の事を決して恨んでなどおりません。むしろ尊敬しています」
「っ、」
「だって私を助けてくれたではありませんか」
フィリシスはただ無邪気に笑う。目を閉じたまま可愛らしく、それこそ苦しむ者に優しく手を伸べる女神のように笑っていた。
「………ふぅ…。そうか…なら良かった…」
安心、とは少し異なる感情を抱いていた。
それでもアルトはそう見えないように取り繕った。
むしろ彼女に憎まれていないことはすでに分かっていたのかもしれない。
フィリシスの父親でもあり、国王であるエーベルトですらあんなに優しく今の実力を認めてくれた。自分と言うただの冒険者に親切にしてくれた。
ひょっとすれば考えすぎだったのでは?
今まではあの大きなミスで全員から鋭い目で見られていると思った。それも遺族である王族中心に。
しかしアルトをよく思わない集団に中心は存在しない。先日色々あったゲイズらのように、ほとんどが似たように暴言や小言をぶつけてくるだけである。
フィリシスの前で頷きながら1つの仮説を立てる。
王族は女王を護れなかった自分を責めない。
民衆は女王を護れなかった自分を責める。
この王族と民衆の違いは1つ。
クラウディアに対する愛である。
愛と言っても、エーベルトの妃に対するモノでも、フィリシスの母に向けての愛でも無い。
宗教などで神を崇拝して抱く愛に等しいモノだ。
『神よ、愛しております』
『女王よ、愛しております』
アルトを憎む彼らにとって女王は神と同等の存在。その理由は平和の象徴であるから。
国王がエーベルトになってからと言うもの、世の中は安泰している。国政が素晴らしいのもそうだが、国王が人の気持ちを解せる人物でもあるからだ。
それはクラウディア陛下も同じ。王を支える役をしっかりと務め、民衆には無償の愛を振りまく。
エーベルトが良い世の中を作るなら、クラウディアは人々の心の安らぎを作る。
それ故、女王は平和の象徴だったのだ。
だから平和の象徴を失った人々が、平和を奪ったアルトを憎んだ。
つまり国中の人々全員が一丸となって非難の目を向けているものだと思っていた。が、それは思い込みで、実際には異常なまでに女王を愛していた一部の人間のみなのかもしれない。
わかりやすく例をあげるなら、ツルツル頭のあの大臣。一般ピープルよりもずっと近くで女王を含む王家に仕えているのだ。
その王達を尊ぶ思いの強さが、女王の死という出来事により、強い怒りに変換されているのだ。
(…まあ、恨まれてるとかもうどうでもいいんだけどな…)
自分の扱われ方を思い出しながらアルトは軽く息を吐く。
少し前までは人目を避けるために働かず、カーテンの閉じた暗い部屋で引きこもって過ごす小胆な人間だった。必要な時以外は一切、人との関わりを断ち切っていた。傷つくことを恐れ、自分を守るために。
だがもう鬱ぎ込むことを止めた。
傷つくことを気にしなくなった。
むしろ自分が誇らしく思えた。
フィリシスに尊敬されてると言われて、やはり嬉しく無いわけが無い。他の仲間達も同じだが、人からそう思われているのは素直に暖かい気分になれる。
こんな自分でも誰かに必要とされることの嬉しさを思い出したのだ。
だからこそ彼女を守ろう、とアルトはフィリシスの顔を見つめる。
数日後の茶会。主は国王とマクの領主だと思われる。だがおそらくフィリシスも顔を出し、参加する事になる。盲目でまだ子供でも、一応は王家の1人娘。出席は確実と思っても良い。
つまり、護衛の役を請け負ったアルトが、守るべき対象の1人。何かあった時はこの身を犠牲にしてでも守護しなければ。
夢の中でのクラウディア女王の言葉を思い出す。
守れなかった自分の代わりに他の誰かを守れと言っていた。そして自信を持つことも。
ならばこの儚い様子で弱々しくも咲いている花のような少女を守ろうとアルトは思った。
無力にも、アルトが何もできないまま亡くなってしまったクラウディアの一番の宝であるフィリシス。彼女の為に尽くす事こそが、女王への精一杯の物ではない手向けと償いになる。
「──────エン様……。オーエン様‼︎」
「──、っ⁉︎どうしたフィス⁉︎」
フィリシスに名前を呼ばれていた事に気がつき、アルトは自分の思考の世界から抜け出した。
「どうした、ではありません‼︎先程から黙り込んで、何度呼びかけても返事もしなかったのはオーエン様ではありませんか‼︎」
「えっ⁉︎…あ、あぁごめん…」
彼女との会話の途中で、以外と長い間考え込んでしまっていたらしい。
当然、意識して話を返事をしなかった訳では無いが、フィリシスからすればずっと無視されていたも同然なのだろう。少し怒っているのか、また眉間にシワを寄せ、頬を膨らませている。
「もう…‼︎あの時の事は忘れていらっしゃって、その上、私との会話の途中で何か別のことを考えていらしたのなんて……。オーエン様のことなんてもう知りません‼︎」
今度ばかりは許す気が無いらしく、膝に手を置いた上品な姿勢のまま、そっぽを向いた。
「あぁ、えと…、本当に悪かったからさ。フィスの話を聞いていなかったのは本当に悪いと思ってる。だからごめん。許してください」
見えてはいないだろうが、アルトは素直に頭を下げて謝った。
フィリシスはまだ子供。何でもいいから人と話したい年頃であるのに加え、物や人を見ることができない。そのため唯一のコミュニケーションの手段が会話である。
自分の呼びかけに相手が答えてくれなかったら、表情から状況を読み取る事ができないため、寂しい気分になるのだ。
それに気がついたため、何とか彼女の機嫌をアルトは取ろうとした。
「………ふふ…、クスクス…」
空気の漏れる音が聞こえた。
見上げてみると、フィリシスが口元に手を当てていた。
「申し訳ありませんオーエン様。私、少しからかってしまいました」
「からかう?」
「全然怒ってなどおりません。あの時の事を忘れていらしてる事も、私は気にしておりません」
怒ったように見せかけていたのは冗談だった。
すっかり騙されてしまった、とアルトは言葉にする事もできない。
「それにしても、焦るオーエン様はとても面白かったです」
それでも、たとえ騙されたのだとしてもアルトは彼女を憎めなかった。純真無垢な悪戯に少し照れくさくなってしまったからだ。
これはただの戯れ。自分を好いてくれる子供とのお遊びであり、むしろ振り回される事が微笑ましく思えるものだ。
ただ仲が良さそうに話しているだけで、とても親近感が湧いていた。
「きっと、オーエン様がお優しいからなのでしょう。でなければ、『許してください』なんて言いませんから」
不思議だった。
彼女と出会ったのは24ヶ月前だが、話したのは今日が初めて。なのにこうも親しげに話せるのが謎で、アルトはずっとその理由を考える。
しかし結局はわからず終い。どれほど想像力を膨らませても、辿り着けなかった。
挙げ句の果てには、
『もっと…、もっと彼女と話したい』
とまで感じ始めるようになった。
「────…スター…。…マスター…‼︎」
「…っ‼︎この声は⁉︎」
瞳を閉じながら微笑むフィリシスに気を取られていた時の事で、部屋の外からの聞き慣れた声で我に返った。
それはほぼ毎日一緒にいる、弟子のミルスのものだった。
「そうだ…。今、俺、大臣から逃げてたんだ」
窓ガラス割って怒られるのが嫌だから、と言う子供みたいな理由で身を潜めている最中だった事を思い出す。
話が済んだら呼びに来ると約束していたので、危機は去ったのだろう。
「この声の方々は、オーエン様のお友達でいらっしゃいますか?」
「ああ。俺の事探してるんだ」
呼んでいるのなら早く出ていかなければ。そして、もう一度感謝をしようと思っていた。
「フィス。俺はそろそろ失礼するよ。一般人の俺が、姫の部屋で胡座かいて座ってるなんて知れたら、無礼にも程があるしな」
「?オーエン様が居られる事を、私は別になんとも思いませんよ?」
「君はいいかも知れないけど、その他のだよ。……特に大臣あたりが…」
そもそもお姫様クラスの偉い人物なら、大臣クラスの人間でも部屋に踏み込めない。それなのにそれ以下の自分が姫の部屋に居るということは、良く思われないだろうと考えていた。
「…心惜しいですけれども、仕方がありませんね。ご友人の方々が探していらっしゃるのでしたら、無理にお止めはしません」
フィリシス側としては、まだまだアルトと話したいことがあるらしく、残念そうにつぶやいていた。
「……」
いくら仕方無いとはいえ、フィリシスを暗い顔にさせたまま退室するのは気が退けたのか、アルトはそっと前に足を出して、フィリシスの弱々しくも可憐な手を握った。
「また明日来るさ。約束する」
そして少しばかり強引に彼女の小指を立てさせて、自分の小指と結ばせた。
「……、はい。お待ちしております…♪」
するとフィリシスの表情から悲しみが抜けて、眩しい笑顔に変わった。
「おーい‼︎みんな‼︎」
「っ‼︎マスター‼︎」
廊下を走りながら、向こうを歩いている少女らに声をかける。アルトを見つけると、少女達も一斉に走り寄って行く。
「まったく…、探したよう‼︎どこ行ってもいないんだから」
「一体どこに行っていたんですか?」
「うん。人と話してたんだ」
「人?誰か知り合いでもいたの?」
「似た感じかな。会った事あるけど、話した事が無い人とね」
「?」
アルトの意味深な発言に全員が首を傾げる。
「まぁそんな事はどうでもいいや。…みんなは…、その…大、丈夫だった?」
自分の事よりもみんなの事の方がとにかく知りたかったアルトは、表情を伺うように尋ねた。
「はいバッチリです」
「窓割った事はなんとか許してもらったし、アルト君も何も言われないと思いますよ」
ハルキィアの言葉を聞いて、安心して軽く息を吐く。
「よかった…。これでフカフカベッドは守られた……。でも、あの時大臣よく許してくれたな?」
「最初はすごく荒れました。窓の事はともかく、マスターがどこに行ったかだけを強く聞いてきて…」
「それはまた…、どんな感じに言ってたか安易に想像がつくな」
「でもでも‼︎ハルキィーが覚醒したんだよ‼︎」
「大臣さんの言う事をことごとく正論で言い返しては、鋭い言葉で攻めて負かしたんです‼︎」
「え?何それ?」
そんな凄かったのか、という目を当の歌姫に向けると、
「な、何も言ってませんよ⁉︎アルト君ばっかり悪く言うあの人にイライラしてたら‼︎…気がついたら、なんか勝ってました」
顔を赤くして手を横にブンブンと振っていた。
「きっとドSに目覚めたんだ‼︎」
「違いますよ⁉︎」
「いや…。実際、あれは素だった気がします…」
「以前のラルファさんにも負けないくらいに凄い言葉と口調でした」
話はどんどん盛り上がり、少女5人でワーキャーと騒ぎ始めていた。
疎外感を感じてしまったアルトが
「ねぇ‼︎なんて言ってたの⁉︎」
と聞こうとすれば
「聞かないでください‼︎」
強く拒否されてしまった。
「ハハハ。よっぽど凄い事を言ったんだな」
アルトはハルキィアの真っ赤な顔を笑いながらふと思う。
「やっぱり、俺はみんなと一緒で良かった…」
フィリシスに話した時と同じ事を。




