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レベル100の引きこもり魔法使いが防御魔法を極めてたら  作者: 四季 恋桜
旅の途中 ~ルナ編~
106/127

姉と弟

反省

・文字数が少ない

 次の話の構成や内容ばかり考えてしまい、平均10000にしてきた今までよりも、少し短いです



・てきとーなタイトル

 どちらかと言うとタイトルはあまり関係ないです。後半が全く別の話


・エピローグと言うよりは、次の話のプロローグ




問題がいくつか見つかりましたが、時間がなく、解消できなくてすいませんでした



「やぁ………姉さん………」

「……………………久しぶりだね…ヒナタ…」


 昨日まで記憶喪失だった武道家の少女、ルナは数年ぶりに弟と真正面から向かい合っていた。弟のヒナタの起こしてしまったあの事件以来、精神的にも物理的にも距離が空いてしまっていた。特にルナに関しては、弟の存在さえも記憶と共に忘れ去られていたのだ。



 他人からすれば感動の再会の場面、と飾りたくなりそうだが、二人はそんなつもりではなかった。


 二人の間には透明な分厚いガラス板が張られており、ヒナタの手には冷たくて重みのある鉄の輪がかけられていた。


 そこは罪人を収容する施設。大罪を犯した者が反省と更正をするための場所。行動の何もかもが規制され、1日の8割以上が鉄格子の中で過ぎていく。どこを見ても灰色の空間で、時計の針以外音をたてるものはない。

 退屈と言うよりは、無に等しい場所だ。


 そんなつまらない人生を過ごす牢獄にヒナタは自ら入った。



 約8年前の事件。いくらゴルドが他人からの憎しみや恨みを買っていたからと言っても、ヒナタのしでかした事は非人道的な行為。町の人からすれば英雄かなんかと呼ばれるかもしれないが、結局は殺人をしただけ。

 ゴルドも人を殺してはいた。ヒナタとルナの父親であるアレクサンドリア夫妻。だから実行してしまった。どこにでもあるようなナイフで、親の仇のゴルドを後ろから刺し殺した。その瞬間、どんなに心が満たされただろうか。やりきった感が胸の底から勢いよく溢れた。



 しかし月日を経て成長した今ならわかる。何故その後すぐに姉、ルナにぶたれたのかが。


 ルナが自分のために冤罪を被ったとは知らない、当時の幼いヒナタは姉を逆恨みした。なんで自分が正義と思った事をしたのに、何度も何度も平手打ちをされ、自分を見捨てて一人で逃げ出したのかと。拷問部屋でブルドに足を切り落とされた時に憎しみは頂点に達した。神経の切断された激しい痛みが姉への恨みに変わった。

 だが時が過ぎれば過ぎるほどそんな気持ちは薄れて、裏切ったのは自分の方だったといつしか気づかされた。


 こんな復讐をしたところて、犠牲になった人が誰も喜ぶわけではない。両親に愛情を注いで育てられたこの綺麗な手を、血で汚してしまったにすぎない。


 だからこそ、人を殺めた罪。両親を裏切った罪。そして姉を失望させ、迷惑をかけてしまった罪。全てを償うために、ヒナタは自首をしたのだった。



「ハハ、8年ぶりだもんね…。姉さんはすっかり大人になってるから、びっくりしてるよ」

「ヒナタも、本当に大きくなったね。同い年の子からはモテモテだったりするんじゃない?」

「そうだったら良いのになぁ…。足がこれだから、大体家に引きこもってるんだ。だから滅多に人とは会わないよ」

「引きこもりなんだ。フフ………、なんだかお姉ちゃんのお友達と同じだね。黒髪の魔法使いの人知ってるよね?あの人も引きこもりだったんだよ」

「え?そうなの?あんな可愛らしい女の人が引きこもりだったなんて………」

「え?アルトさんは男の人だよ?あれは呪いで女になってただけ」

「えぇ!?男だったの!?町の外の世界って、性別が入れ替わったりするんだね……。………………てことは姉さんの彼氏?」

「えぇ!?そんなんじゃないよ。確かに格好いいし、優しいけど、付き合えないよ。ライバルが多いって言うか、倍率が高いって言うか……」

「ハハハ!!なんだよそれ。……でも姉さんはあの人好きなんだろ?」

「アハハ。もしかしたらそうなのかもね、私もわかんなくなってきた」


 二人の会話は8年と言う長い時間が過ぎてのぎこちなさが一切なかった。


「……私は…みんなと一緒に行くよ、ヒナタ」

「言わなくともわかってたよ。姉さんはいろんなものを見てきたんだね…。僕たちの知らない外の世界を…。僕もいつか見てみたい」

「きっと見れるよ…。いざとなればお姉ちゃんが見せてあげる……」

「そのために、まずは罪を償うよ。この手をしっかり浄めてから、父さんと母さんの墓参りに行く…。そのあとで世界を見たい」

「お墓、私はもう行ってきたよ…。そしたらね…こんな言葉が聞こえた気がしたの……………」


 ルナは最高の笑顔を作り、


「『二人とも頑張れ』ってね」

「見守ってくれてるんだね………父さんと母さん」

「うん……………、いつでも私達を大切に思ってくれてるんだね」


 笑顔とは逆に、目からは涙が一滴流れ落ちた。









 まだ空が少し薄暗い早朝。シン、としたエリクの町の外れで、剣を背負った少女が急に叫ぶ。


「あ!!来たよーーーっ!!!!」


 その少女の人差し指の向く方向からは一人の少女が走ってきた。


「すいません!!お待たせしました!!!!」


 やって来た武道家の少女は息を切らしながら、待たせた事に頭下げた。

 他の誰もそんなことは気にしておらず、ルナを優しい笑顔で迎える。


「大丈夫ですよ。待ってません」

「それで………………、用事は済んだのか?」

「はぁ…はぁ…。……はい!!お別れ、行ってきました……」


 それに応えるようにルナも清々しい表情で、微笑んだ。


「全部…みんなのお陰です。……ルナ……。いいえ、ルウナ アレクサンドリアはもう大丈夫です。これからはまたルナとして、よろしくお願いします!!」

「突然どうしたの?ルナさんはルナさんだよ」

「そうですよ。強い武道家の頼もしいお姉さんです」

「これからじゃなくて、今までずっとそうだっただろう」


 何を言っているんだ、と一行は笑う。


「それじゃあ行こう。さようならエリク……。次の目的地は王国エフュリシリカだ!!」


 唯一の男性である少年はくるりと背を向け、歩き始めた。

 それに続くように他の仲間も『オー!!』と掛け声を出し、足を前に出した。



「………………ふふ…。私はやっぱり、皆さんと一緒で幸せです!!」


 少し遅れるように、武道家の少女は足を大きく前に出した。


 眩しく輝く仲間達に追いついて共に歩くために、少女は町に別れを告げて、光へと向けて走り出した。





―――――――――――――――――――――――




 悪魔は人ではない。

 人でなければ別の生き物なのか。そう考えるが、そもそも生き物とも呼べない。

 食事を摂る必要もなければ、別に眠って休む事も要らない。


――では悪魔とは何なのか。



 それについて考えるのが悪魔、ストラータの日常である。


 外見は美しい大人の女性である最強の悪魔だが、大抵いつも椅子に座り本を読んでいる。そして本を読みながら、悪魔の存在について考える。


「どこから生まれ…どこへ帰る…。何より私達は何者なの?」


 先程からページは進んでいなかった。

 開いているだけで頬杖をつき、ぼんやりと考えているのだ。



 悪魔とは何なのか。

 人間でないにしろ、破壊の悪魔デスタのように人間から変化する場合がある。そのパターンでなくとも、悪魔は人間と同じ姿をしている。


 ストラータは学者並みに知識を持っている。故に探究心も同じくらいに強い。その知識でもその疑問だけは確証のある仮説を立てられないでいた。


 何故彼女が悩み苦しむのか。

 理由は単純。彼女は自分だけがどこから産まれたのか知らないから。言い換えるとそれを知りたいからだ。


 ジョーカー、デスタ、アルバナス、ラビエール。

 腐れ縁とも言っていいくらいの付き合いである他の悪魔達の誕生は、全員明かされているのだ。

 だから一人だけ不明な最強の悪魔は、別物な気がしてなにか嫌だった。


 だが今それを思う、最もたる理由は違うものだった。





「はぁい♡ストラータ」


 性別の悪魔アルバナス。見た目はゴツい筋肉質な大柄の男性だが、中身は乙女心をもった悪魔だ。性格からかストラータとは仲が良く、会話を交わすことは少なくはない。


 それでもストラータは考え事をしていたため、アルバナスの訪問にはっとなり、自分の思考世界から現実に戻ってきた。


「っ…アルバナス?」

「あら?お邪魔だったかしら?」

「いいえ、そんなことないわ。どうせ読まないで考え事してたから。ところで用件はなにかしら?」

「そう、今はそれよ。私の呪いが解けたの」

「ああ、その事ね。大丈夫、私も感じてたわ」


 最強の悪魔はアルバナスの報告に表情1つ変えない。

 呪いと言うのは、ストラータがアルバナスに頼んでとある人間の少年にかけさせたものだ。性別が変わる魔法で、その呪いにより少年は女になっていた。

 つまり呪いが解けたということは、少年は男に戻ったのだ。


 いくらか待ち望んでいたストラータは少し楽しそうにしていた。


「やっとね…。あの子も成長してきたわ」

「私の呪いを解く条件は、『心の成長』。それもあの可愛いボウヤは、『戦いを楽しむこと』に設定したからね」

「戦いを楽しんで呪いをはずした、おそらくあの町も救われた事でしょうね」


 ストラータは立ち上がった。そしてアルバナスを向くと


       「全員いらっしゃい」


 と囁いて指を鳴らす。


 パチン、と気持ちのいい音が黒い空間に響くとドス黒い邪気を纏った竜巻が3つ現れた。不気味な色で冷気を放ちながら、その大きさはストラータと同じくらいだった。



「なんだぁ?急に呼び出しやがって?おいラビエール。この間お前が掃除当番サボった件じゃねぇのか?」


 その内の1つから現れたのは破壊の悪魔デスタ。面倒くさそうに欠伸をしていた。


「いや…。おそらく洗濯当番の時に、ストラータの私服のジーンズを洗った事に関してだろう。これまで黙っていたのだから、……………………………………死んだな」


 次に竜巻から出てきたのは怪奇の悪魔ジョーカー。腕を組ながら、未だ風を巻き続けている竜巻を見ていた。

 

「べ、べべ、別にサボって無いしぃ!!ジ、ジーンズは色落ちしたけど、そ、それはそれで良い感じだったしぃ!!私の事じゃ無いと思うしぃ!!」


 最後の竜巻から現れたのは、身長がジョーカーの腰まで無さそうな、金髪ツインテールの小柄な少女だった。


「別にその事で全員呼んだわけじゃないわ。………………あ、ラビエールは後でお仕置きね♪」

「イヤァァァァァァ!!ストラータさんマジ勘弁してくださいぃぃぃぃぃ!!!!」


 笑顔に隠れた鋭い眼光でストラータが睨むと、ラビエールと呼ばれた少女は泣き叫んで土下座をした。

 その手には、先日デスタがエリクシティで探しだした黒い杖が握られていた。


「て言うか、お前あのバカみてぇな語尾もうしねぇの?お前のバカっぽさが溢れ出て、余計バカっぽく見えんのに」

「バカバカ言うんじゃねぇバカデスタ!!あれは人間としてリブラントに潜入するための演技だ!!もう使わねぇよ!!」

「あら?でもラビちゃんの『○○だミャー』ってしゃべり方、私は好きよ?」

「おめぇは可愛いもんが好きなだけだろオカマ!!絶対にもう『ミャー』なんて言うかミャー!!」

「ん?」

「あ?」

「言ったな」

「ミャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?」


 四人が騒いでいると


「はいはい。ラビエールいじりはそこまでよ。本題に移れないじゃない」


 手をパン、パンと2度叩いて、ストラータが静止をかけた。


「王国に行くわよ」


       『『『『っ!!!!』』』』


 その一言を告げた瞬間、騒いでいた四人から一切の私語が消えた。目付きが変わり、全員がストラータの方を向く。

 特にジョーカーだけは、仮面の隙間から誰よりも強い視線をぶつけていた。


「遂に実行すんのか」

「ええ。ようやく役者達が集まるわ」

「てことは、あの可愛らしいボウヤ達も王国に?」

「明日頃には着いているんじゃないかしら?」

「フフフ………、待っていたよこの時を!!叩き潰してやんよ!!」

「でもまだ戦える訳じゃないわよ。まだ数日経ってからになると思うわ。それにラビエール、あなたにはお仕置きがあるでしょ?」

「忘れてくださいミャーーーーーーーーー!!!!」


 それぞれがストラータに話しかけるなか、ジョーカーは1歩前に出た。


「やっと…か…」

「あなたには待ち疲れるほどの時間よね、ジョーカー。………………いいえ、」




  「『ネクス』と呼んだ方がよいかしら?」



 ストラータは誰もそう呼ばない名前でジョーカーを呼んだ。

 たったそれだけで場の雰囲気が強ばる。


「……………………その名も久しいな……」

「英雄ネクス………。人間の中でその名前を知らないものなんていないわ。伝説になるほどの超有名人なんだから」

「そんなご立派なものではない。それに………我はジョーカー、怪奇を操り、人を惑わせる悪魔だ。…………ネクスと言う人間は─────」


「とうの昔に死んでいる」

「……………………」


 その何か重みが隠れされた発言に、他の悪魔は口を開くことができなかった。ストラータでさえも、仮面をつけた悪魔を哀れむように見た。


「だが我はまだ完全に分離できた訳ではない。まだ繋がっている…。故に未熟なままで、覚醒すらできぬのだ…」

「………今回はあなたの覚醒のため…、つまり過去と言う因縁を断ち切るため。あなたが完全な悪魔になれるように、私達は全力で手を貸すわ」


 囁くように語りかけるストラータ。ジョーカーは目線をあげて、他の悪魔を見る。


「安心しな。てめぇの障害なら俺が壊す」

「あなたはそのままでも強いけど…、より強くなれるならいくらでも手伝うわ。それに楽しそうだし」

「お前まだ覚醒できねぇのかよ、……ってバカにしてやりたいところだが、ラビエールちゃんの力がどうしても必要なんですってんなら、仕方がなく手伝ってやんよ」



「デスタ…、アルバナス……、…………恩に着る」


 『ちょおまっ、私を省くな!!』とラビエールが喚くのを無視して、ジョーカーは頭を少し下げた。


 あのジョーカーが頭を下げた。気高く、自尊心の強い怪奇の悪魔のその行動は、2度と忘れないくらいに濃く悪魔達の頭に焼き付いた。

 それほどまでに、王国に行くことが重要であるのは礼をするジョーカーの姿で読み取れた。



「それじゃあ、改めて会議ね。今回の目的について簡単に言うわ」



 皆の注目を集めると、ストラータは人差し指と中指を立てた。


「手に入れるものは2つ。1つはエフュリシリカの城の中にある、『英雄ネクスの剣』。そしてもうひとつは───────────」


 最強の悪魔は、怪しく微笑む。


「フィリシス・スノーフレーク・バルトランデ。つまり、王女様の」



         「血よ」






 防御魔法を愛するある少年が、武道家の少女を救って王国に向かっているとき。悪魔達が動き始めた。

エリク編完結の話であるのに、たくさん疑問が残る話でした


悪魔達の話はもう次の章を向いてますね

それはそうと、ようやく悪魔が5体出揃いました


ラビエールと言う、いつかの話にも出てきたような悪魔です。語尾がどうこうとかの会話で、覚えてる人もいることでしょう



そしてジョーカー。

次から次へと設定が組み込まれていくと感じられてしまうと思いますが……、


全て、伏線をしっかり張らなかった自分のミスです

申し訳ありませんでした



と言うことで次からは、

『王国エフュリシリカ編』

をいかせてもらいます



内容はもうだいたいが考え済みなので、あとは表現次第、

ストーリーに関する意見は嬉しいです

表現方法や文章技術をアドバイスしてもらえると、なお嬉しいです

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