12 魔法薬・探偵殺し
朝になり、二人は使用人に起こされることなく、遠くから聞こえた使用人の悲鳴で起こされた。
「何事?」
「さあ」
寝た時のラフな姿のまま、二人は廊下に出る。ほかの人たちも起こされたようで、同じように廊下に出ていた。
なにがあったか誰も把握していないようで、首を傾げている。
そこに慌てた様子で、メイドがやってくる。
「なにがあったのかね?」
あのそのと言いにくそうにするメイドに、もう一度尋ねる。
「男爵様が、男爵様がお亡くなりにっ」
『はあっ!?』
皆声を揃えて驚きの声をあげた。
「昨日まで元気そうだったが、急病かなにかかね?」
「詳しいことは知らされておりません。今お医者様や警備兵が調べてます。私は皆様に部屋からでないようにと伝えにきました」
「それは、私たちの中に男爵を殺した者がいると思っているのではないか?」
「もう一度言いますが、私は詳しいことは知らされていません。ただお伝えするようにと。朝食は後ほどメイドが持ってきますので、どうか部屋にお戻りください」
お願いしますと頭を下げた。
「詳しいことがわかれば知らせてもらえるのだろうね?」
「それも私からはなんとも」
申し訳なさそうにもう一度頭を下げるメイドを見て、本当に詳細は知らないのだろうと判断し皆部屋に戻っていく。
裕次郎とセリエも戻り、とりあえず顔を洗ったりと身支度を整えていく。
「なんで俺たちがいるタイミングでこんなことが起きるかな。これが毒殺だったら、一番に疑われるの薬師の俺だよね」
「そうね」
「あっさり頷くねー。愛がないよ。疑われた場合は庇ってくれる?」
「さあ、問われれば見たまま聞いたままを話すつもりよ」
やっぱり愛が足りないよと思いつつ、無実を示せるような魔法薬でもないか探っていく。
そうして七時半を過ぎた頃、ドアがノックされ返事をすると、カートを押したメイドが入ってくる。
「朝食です。食べ終わりましたら、部屋の前に出して置いてください。のちほど回収します」
「どうも。ちょっと聞いてもいいですか」
「男爵様の死亡に関して以外でしたら」
口調が僅かに硬くなる。
「それも気になるっちゃなるんだけど、いつまで部屋にいなくちゃいけないのかなって」
「申し訳ありません。わかりません。最低でも今日一日は屋敷内から出ることは許可できないかと」
「屋敷内なら出歩いても?」
「はい。立ち入り禁止の場所には兵が立っていたり、張り紙がはられています」
「暇が潰せるようなところってある?」
「特には。庭に出て気分転換するといったことくらいしか」
答えてもらったことに礼を言うと、メイドは一礼し部屋を出て行く。
「とりあえずご飯食べるか」
カートに置かれている、パンやベーコンエッグなどをテーブルに移し食べていく。
二人分に少し多いのは、足りないよりはと多めに準備したからだ。
食べ終えて食器を部屋の外に出して、部屋は静かになる。セリエが考え事を再開したからだ。裕次郎も万が一のための薬探しを再開し、そのまま静かに時間が流れていく。
一時間、二時間と過ぎて、セリエが動きを見せる。裕次郎に話しかけようと口を開きかけた時、ドアがノックされ口を閉じた。
「どうぞ」
「失礼します。お客様に昨日の大広間へと集まってもらうよう伝えにきました」
「集まるのって客全員?」
「はい」
裕次郎の問いに頷く。
ドラマだと個人へと話を聞く場面か犯人を見つけ出す場面だな、などと思いつつ部屋を出る。
大広間には客だけではなく、男爵の息子を除いた男爵家一同やポッタリィ一家や使用人一同もいる。
兄が死んだマズルの憔悴振りはひどく、ハーツやリサに支えられどうにか立っている。
そこに顔色を悪くした息子がやってくる。男爵が死んだので、予定よりも早いが男爵を継いだ。彼の隣には裕次郎を睨んでいた男と鎧を着込んだ男がいる。
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。これから父が死んだことについて説明をさせてもらいます」
その前に両隣にいる男たちを紹介する。鎧を着た男は警備のリーダー、睨んでいた男は男爵家つきの医者。睨んでいたのは自身の仕事を奪われるかもと思っていたからだ。
「言いにくいのですが、父は病死ではなく、殺されたとこちらの医者が判断いたしました」
『殺された!?』
驚きの声が上がり、それに男爵は頷く。
「その通りです。死因は頭部への打撲、死んだのは血の乾き方から明け方より以前、夜中の可能性が高いです。おそらく睡眠薬でも使われ、悲鳴をあげないようにしての殺害ではないかという考えです」
薬ということで視線が裕次郎に集まった。少しだけ医者にも集まっている。
視線に込められた感情には、薬ということで思わず見たものや、思いっきり怪しんだものがあった。
「詳しいことはわかっていませんので、早まった考えはやめてください」
男爵が声をかけて、視線がなくなる。
(やっぱり怪しまれた。一つの疑惑だけで決め付けない人で助かったわ)
心の中で安堵の溜息を吐く。
「警備によるとお客様がきていることもあり、警備を強化していたと。その時に屋敷から出入りした人を見た者はいないということです。警備が見逃していなければ、屋敷内にいた者が父を殺したことになります」
男爵がそう口にするとざわりと雰囲気がゆれる。
客の一人が一歩乗り出して口を開く。
「それは私たちを怪しんでいると?」
「失礼だとは思いますが、そういうことになります。ですので疑いを晴らすためにも別室での聴取に協力していただきたく思います。この聴取は私も含めて、全員に対して行われます」
「それは私もかね?」
マズルが男爵に問う。それに男爵は頷きを返した。なにか言いかけたマズルだが、すぐに視線を下げて口を閉じる。
男爵と警備のリーダーと補佐のためか執事が別室に入り、警備の一人が入り口に立つ。そして聴取する人を呼んでいく。
はじめに男爵家の人間が呼ばれ、次にポッタリィ一家が、さらに客と続く。
裕次郎も呼ばれ、部屋に入る。男爵が椅子に座り、執事と警備のリーダーは背後に立っている。
「そちらの椅子へどうぞ」
座ると早速話し始める。
「自己紹介しておきます。私はカインツ。後ろに立つ執事はエライス、警備はジョルジュ」
「俺は旅の薬師沢辺裕次郎」
「マズル叔父様の目を治療したということで間違いないですね?」
頷く。
「早速ですが、昨日の夜はなにをしていましたか?」
「部屋に案内された後は風呂に入って寝ましたね。朝まで起きなかった」
「それを証明することは?」
「難しいかな。隣のベッドで寝ていたセリエが証言しても、仲間ってことで参考にはしにくいですよね」
「そうですね。父に恨みを持っていたりは?」
「初めて会うので、恨みとか以前にどうも思ってないというのが答えです」
こう言うしかなかったが、信じる可能性は低いだろうと裕次郎は思う。
案の定、完全に信じたという様子ではなかった。
カインツは父の全てを知っているわけではなく、知らない過去の因縁という考えも持っている。
「一つ提案があるんですが」
さっさと自由になりたいと思いつつ、無実を証明するために探して見つけた薬の作成を決めた。
「なんでしょう?」
「魔法薬に過去を見ることができる薬がある。それを作って殺害現場を見てみませんか? 懐かしみの雫という魔法薬で、作るのにお金はかかるけど、男爵を殺した者がわかるとなれば気にする値段でもないしょうし」
「そういったものがあるのですか?」
聞いたことあるかとカインツは後ろに立つ二人に聞く。それに二人とも首を横に振る。
「罪を逃れるためにいい加減なことを言っている可能性があります。こういう提案をすること自体が怪しいのでは?」
「そうなのかもしれない」
エライスの言葉に、悩みながらも男爵は同意する様子を見せる。
「もちろん俺の言うことをすべて信じて作成許可を出せとは言いません。ほかの誰かに、できればこの屋敷の関係者ではない第三者にそういった薬があるか調べてもらってからということで」
「第三者というのは、犯人が調べてそういった薬があるにもかかわらず、ないと報告する可能性を危ぶんで?」
「はい」
「では私が手配しましょう」
「いや、外に出る用事あるから私が行こう」
エライスの提案にカインツは首を横に振り、自分が出ることを告げる。
「もう一つ提案があるんですが」
「どうぞ」
「そういった薬を使って解決する策があると、皆に知らせてほしい。多少は不安が晴れると思うので」
不安を晴らしたいという理由は嘘だ。セリエ以外のことを心配などしていない。ハーツの息子カニスの不安くらいは晴らしてやりたいといは思うが。
この提案は、解決手段があると示すことで犯人に揺さぶりをかけたかった。いなくなった者がいれば、逃げたと判断しその人物が犯人候補となる。罪をなすりつけようと動きを見せるかもしれない。もしくは解決手段を調達できる裕次郎をどうにかしようと動くかもしれない。
動揺を招くことを見破られたとしても、動かずにいれば薬は完成して犯人がわかる。
裕次郎は懐かしみの雫という薬があることを知って、二重の策に使えると思いついていた。
「ふむ」
カインツは少し考え、目の奥に察したような光を瞬かせた。裕次郎と同じ考えを持った。
小さく浮かべた笑みは背後の二人には見えず、裕次郎にだけ見える。
「いいでしょう。全員に聴取が終われば早速そういった薬があるのか調べます。ただし薬があるとわかっても、あなたを犯人の候補から外すわけではありません」
「わかりました」
「聴取は以上です。皆の聴取が終わるまで大広間で待っていてください」
裕次郎が出て行き、次に呼ばれるセリエが入ってくるまでに男爵はジョルジュに指示を出す。
「今日一日は誰も外に出さないように」
「はっ」
「男爵様、それは使用人も含めてでしょうか?」
エライスの問いにカインツは頷く。
「ああ、全員だ」
「それだと食材の補充ができないのでは?」
「足りないか?」
「少々不安があります」
「それならば私が外に出た時、手配してくる。ジョルジュ、その時の出入りする商人たちをしっかり調査するよう警備たちに伝えておいてくれ」
「了解です」
セリエが入ってきて、話し合いはそこで止まる。
聴取は順調に進み、一応は怪しいと思われる者はでなかった。
聴取が終わり、カインツたちが大広間に出てくる。
「皆さん、ご協力ありがとうございます。ここでお知らせしたいことがあります。こういった調査と平行して、サワベさんの提案により懐かしみの雫という魔法薬を使い、犯人探しをすることにしました。これは過去起きたことを見ることができる薬らしいので、完成すれば犯人は見つかることでしょう。それで犯人がわかるか、その前に犯人を捕まえることができるかまで、もうしばらく当家への拘束をお許しください」
「そんな薬本当にあるのか?」
「それを調べるために私は一度外へ出ます」
「仕事の指示をださないと、損失がでかねないんだが」
「指示を手紙にしたためてください。その内容を私が検閲して怪しいところがなければ、警備兵に持っていかせます。内容は絶対に口には出しません」
横暴だと思う者もいるが、男爵殺害ということが起きていて、この強硬さも仕方ないと受け入れる。
ほかに質問はというカインツに、それ以上は誰も手を上げず、解散となる。
裕次郎とセリエも部屋に戻る。
「過去を見る薬があるってのは本当?」
「本当。材料が高いけど、貴族ならたいして懐は痛まない」
「どんな過去でも見ることができるの?」
「んー……どんな過去でもというか、その場所で起きたことを見ることができるらしい。例えば今回の殺害現場に魔法薬をふりまいて、犯人を見ることは可能。でもその犯人がなにを考えて殺したかまではわからないんじゃないかな。見えるのは立体映像のみ、会話もわからない」
立体映像という言葉がわからないということなので、空中に描かれる触ることのできない精密な絵といった感じで説明していく。
「昔のことを鮮明に思い出せるような薬ではないのね」
「そういった薬がいるなら記憶を探ってみるけど」
「あるならほしい」
「了解、探してみるよ」
掌編を集めた小説でそういった薬出てきたなと思いつつ記憶を探り、思い出を夢で見るという薬を見つけた。
それを伝えるとお金は払うので作ってほしいと頼まれ、裕次郎は即座に無料で作ると頷いた。裕次郎がセリエの頼みを断るわけがない。
「すぐにはできないけどね。材料の一つが特殊だから」
「じゃあ、今回のことが終わったら。それをとりに行くわ」
「わかった」
頷く裕次郎を見て、セリエは少し迷った様子を見せる。
なにを迷っているのかと裕次郎は首を傾げる。セリエは意を決したように、口を開いた。
「あ」
小さく漏れ出たような一文字。そこで一度止まる。
「あ?」
「あ、ありがとう……ユージロー」
「どういたしまして……んん? なにか違和感が……」
なんだろうなと首を捻る。
「あ! 名前! 今俺の名前呼んだ!?」
聞き間違いかとじっとセリエを見ると、頬をほんのり赤くしてそっぽを向く。
その反応で聞き間違いではないと確信した。
「おおーっ! 初めて名前で呼んでくれた! うわっうわーっ! もう一回! もう一回聞きたい!」
椅子から立ち上がり、興奮を隠さずにひとしきりはしゃいでもう一度ねだる。
「た、たかが名前で呼んだくらいじゃないっ。そんなに興奮しないでよ」
「いやいやいやあれだけ冷たい? セリエが名前で呼ぶなんて、俺の人生トップ10に入る一大慶事だよ!」
今の俺なら竜すら蹴り殺せると喜ぶ裕次郎を、セリエは微妙な目で見ている。
名前で呼んだのは、少しは信じようというセリエの心境の変化だった。これまでの旅で好意を寄せているのは十分すぎるほどわかった。けれど男爵からの誘いを蹴ったことで、そこまで自身に想いを寄せていることに心が揺らいだ。信じてもいいのか頼りにしてもいいのかと、誘いを断ったことを聞いた時から考え、夢見の薬のことが背を押す形となりセリエは一歩近づくことを決めた。
信じてもいいと決めたからといって、恋愛対象として見るわけではなかった。今は仲間として見るのが精一杯だ。自覚するかぎりでは、恋愛感情はないのだから。
「名前のことは置いといて! 言いたいことがある」
「なに? 頼みならなんでも聞くよ」
「それよ」
「それ?」
どれと裕次郎は不思議そうな表情を浮かべた。
「あなた、じゃなくてっユージローは私を甘やかしすぎ!」
「また名前で! これは夢かもしれない」
「夢じゃないから、話を聞きなさいっ」
恍惚の表情の裕次郎に怒鳴る。それにはっと表情を変え、よくしつけられた犬のように居住まいを正し話を聞く態勢をとる。
「もう一度言うわよ。ユージローは私に甘すぎる。これまでの私の態度は褒められたものではないはずよ。それになのになんでも言うことを聞いて、薬もお金も渡してくる。私が言えた義理ではないけど、仲間というものはそういうものではないでしょう? 対等なのが仲間なんじゃないの?」
「あの態度はあれで良く思えてたし、なにも文句はなかったけど」
さらりとM発言だが、セリエの言動だから受け入れていただけで、ほかの誰かが同じ言動をしても不愉快なだけだ。
「はっきりいうと私は嫌。対等でいたい。だから意見があるなら言って、望みがあるなら言って」
「結婚して」
即答で望みを口に出した。
「そういった望みではなく、仲間として仕事や町についての行動に関すること」
「今のところはないけど、なにかあったら言うよ。隠したりしない」
「本当に?」
「うん。仲間として共に歩いていきたい付き合っていきたいってことだよね? 一緒に行動していくのにそれは大歓迎」
それでもセリエの意見を優先しがちになるだろう。セリエ最優先が裕次郎の望みなのだから。
よかったと力を抜いてセリエは椅子に座る。
その後は急に仲良くするといったことはなく、時間が流れていく。
名前で呼ばれ、少しでも信じてもらえるようになっただけでも裕次郎的には大進展だ。この勢いのまま恋人になると虚空に宣言し、クッションを投げつけられたが、特に変わった出来事ではないだろう。
昼食を食べ、日が落ちて、夕食も済ませて、眠る。
裕次郎とセリエは暗い部屋の中で、交代で見張りをしていた。薬作りの狙いを話し、犯人が動くことを警戒してる。
裕次郎の考えは当たり、犯人は動いた。しかし逃げ出したり、裕次郎を狙うといった行動はとっていない。
夜闇を破るような悲鳴が上がる。
警戒のため起きていた裕次郎は当然気づき、寝ていたセリエも起きて裕次郎に視線を向ける。
「今の悲鳴?」
「だと思う」
廊下に出ると、他の者たちもなんだなんだと出てきた。
騒がしいのはカインツたちのプライベートエリアだ。
裕次郎は明かりの魔法を使うと、そちらに行ってみることにした。その後をセリエや客たちが続く。
騒ぎの大元にはカインツの家族をはじめとして色々と集まっている。
「なにがあったんですか?」
「あ、起こしてしまいましたか」
メイドが振り返り、申し訳ないと頭を下げた。
「この騒ぎだし起きるのも無理はないと思う」
そうですねと頷き、事情を話しだす。
「エライスさんがマズル様にナイフで斬りつけて、その悲鳴で警備が集まり、エライスさんが捕まりました」
「どうして斬りつけたのかは?」
「わかりません。エライスさんは気絶させられ、縛られ警備に見張られています。マズル様は今中で治療を受けながら、男爵様にどうして襲われたのか聞かれています」
「先代を殺したのも執事ということなのかな?」
「わかりません。詳しいことは男爵様が話すと思います。皆様、寝室にお戻りください。これ以上の騒ぎは起こらないと思いますので」
メイドに促され、裕次郎たちは部屋に戻る。
これで事件解決になればと思い眠る。裕次郎たちがベッドに入った後もカインツは起きていて、マズルやエライスから事情を聞きだそうとしたがなにも聞き出せなかった。エライスには拷問も行われたが、口を割ることはなかった。
朝食の際にメイドからそういった情報を知らされる。
「自白剤は飲ませなかった?」
「頑として飲まなかったようで」
「男爵様にお香タイプの自白剤もあると伝えてもらえる?」
「わかりました」
その三十分後に、メイドと一緒にカインツがやってくる。
「お香タイプの自白剤があるということですが、本当ですか?」
「ある。材料を揃えてくれれば作れる」
「すぐに材料を揃えるので、作ってもらえますか?」
頷き、材料を伝える。昼過ぎには材料は揃い、午後三時頃には完成した。
それを持って、セリエとカインツに会いに行く。使用人に会えたので、用件を伝えるとその場で待つように言われ、十分ほどでカインツがやってきた。
「これが自白剤。火をつけてすぐに煙が上がるから、吸わないように部屋を出ること。だいたい十五分で煙は失せるから、それから尋問を始めるといい」
「ありがとうございます。エライスが犯人だとわかればすぐに全員を解放しますので、もう少しだけお待ちください」
頭を下げて早歩きで去っていく。
裕次郎たちも部屋に戻る。早ければ夜にはここを出られるだろうと二人が話しているうちに、自白剤は使われる。
男爵の家族は当然として、襲われたマズルやハーツたちも尋問には同席する。
そこでカインツたちは父親たちが犯した罪を知る。
裕次郎たちは初日と同じように大広間に呼び出される。そこには夕食が準備されていて、カインツたちもいる。ただしマズルはいない。
食事を始める前にカインツが簡単に事件が終わったことを話す。
「皆様、大変ご迷惑をかけました。犯人は当家の執事であるエライスと判明いたしました。よって今から皆様は自由です。明日までは当家に残ってもいただいてもかまいません。おもてなしさせていただきます。ご自由にお過ごしください」
「執事がどうして男爵を殺したかは教えてもらえないのですか?」
「申し訳ありません。今回のことは当家の恥です。広げたくないのです」
「簡単にでも教えてもらいたいのだが」
「先代とマズル叔父様は執事に恨まれておりました。恨まれて当然のことをしました。これ以上は言えません」
これ以上はなにを聞かれてもカインツは口を閉ざし、マズルの息子でもあるハーツも表情が硬かった。
一方的にエライスが悪いのならばこういった表情にはならないだろう。
皆が多少の不満を残しつつも部屋に戻る時、裕次郎はカインツに呼び止められる。
「サワベさん、少しいいですか」
「なにか?」
「他の人に聞かれたくないので、こちらへ」
歩き出そうとするカインツに、セリエも一緒でいいのかと聞く。
「できればサワベさんだけがいいのですが」
「ユージロー、私は部屋に戻ってるわ」
「すみません。サワベさんをお借りします」
セリエに頭を下げる。それに頷きを返し、セリエは部屋に戻っていく。
カインツは昨日も使った小部屋に入る。そこにはハーツとジョルジュもいる。そして縛られて椅子に座っているエライスもいた。
「まずは自白剤の提供ありがとうございます。あれのおかげで色々と知ることができました」
裕次郎も犯人候補の一人なので、素直に自白剤を使ったわけではない。自白剤に似せた幻覚剤かもしれないとも思っていた。
効果を知るために、警備の一人をエライスと一緒に残し、先にその警備からちょっとしたプライベートな情報を聞いた。その情報をほかの警備に聞くことで、効果のほどを知るという実験をしていた。
「役に立ったようでなにより」
「それで色々な薬を知っているあなたに駄目元でお聞きしたいのですが、ここメルモリアで使われていた上薬か似たような物を知らないかと思いまして」
「多分知ってる」
裕次郎の返答に、四人は驚く。カインツ自身が言っていたように知らないだろうなと思っていた。似た何かを知っていればラッキーだと思っていたのだ。
「どうしてお前が知っているんだ!? あれはうちの秘伝に値するものだぞ! 親父たちが死んで製法を知る者はいなくなったんだ!」
エライスがそう言い立ち上がろうとして、ジョルジュに止められる。
「優れたものがあれば真似しようとするのは当然だし、秘密はいつまでも秘密のままではいられないってことです」
与えられた知識の中にあったというよりは説得力があるだろうと、偽りをエライスに答える。
「というかエライスさんはなんで上薬のことを? もしかして死んだ職人さんの子供なのか。でもそんな人がなんで男爵を殺したりするんです?」
浮かんだ疑問を自分で解消し、別に浮かんだ疑問を聞く。
「男爵やマズルが火事を起こして、親父たちを殺したんだっ。その敵討ちさ!」
そうなのかと目でカインツに問うと、苦い表情で頷きを返す。
決して口外しないでもらいたいと前置きして、カインツは当時のことを話しだす。
三十年前、男爵領は経営の危機にあったらしい。主産業は今と変わらず焼き物の輸出。特にこの土地で採れる土とメルモリアの特製上薬で作った陶磁器が人気だったらしい。
職人たちは作品が認められることが嬉しく、どんどん作っていった。その勢いはすごく特製上薬の陶磁器はあちこちの貴族が所有するようになったが、その価値は売り出した当初に比べると下がっていった。
数が少ないから価値が上がり値段が上がる。数が増えれば価値は下がる。当然のことだ。
当時の経営ではそれはきついものがあり、製作制限をかけて価値を維持しようということになった。
それに反対したのが当時の職人たちで、求めている人たちに提供して喜んでもらいたいと主張し、経営陣と対立したのだ。
最初は話し合いでどうにかしようとしていたが、いつまでたっても平行線だった。
その年に国の作物生産量が下がり、食物の大部分を輸入に頼っていた村の経営はさらに悪化。それがとどめとなり、経営陣は強攻策に出ることを決めた。
それが火事だ。職人たちが集まり、話し合いをしているところに、男爵とマズルが放火したのだ。強制的に職人の数を減らせば陶磁器の製作数が減ると考えた。
運が悪いことにその晩職人たちは酒を飲んでいて、逃げ遅れるものが続出した。上薬を作っていた職人が全滅するのは二人にとっても予想外だったのだ。
上薬の製作は口伝で、紙には部分的なものが残っているのみだった。そのことが原因で特製上薬の陶磁器は作ることができなくなった。
エライスが男爵とマズルを放火犯と知っていたのは、帰りが遅い父親を迎えに行った時に、壷のようなものを持ち焦ったような顔の男爵たちを見たからだ。エライスは暗がりにいたので、二人は気づかなかった。
その後、母親は死んでいたのでエライスは近辺の村にいる親族に引き取られたが、五年ほどでこの町に戻ってきた。その五年間で当時の状況を何度も思い返し、男爵たちが仇だと推測した。そうして男爵家にもぐりこんで真面目に働くことで周囲の信頼を得て、男爵に接する機会を持ち、仇という確信を得ようとした。成長し顔つきが変わったことのほかに、幸いというか職人の子供のことなど男爵家の誰も覚えておらず、怪しまれることはなかった。
二十年以上の働きで、少しずつ情報を集めて先日確信に至ったのだ。
ちなみに特製上薬の陶磁器が作れなくなったことで、経営改善どころか悪化に足止めをかけることすらできず、その影響は今なお後をひいている。職人たちの死は無駄になったということだ。
「こういうわけでエライスは復讐を実行したわけです」
「殺されるだけの理由があったんだな」
裕次郎の言葉に、はいと項垂れるように頷く。
「マズルさんはどうなるんです? もう三十年前のことだし、無罪ということに?」
「そう、ですね。時間が経ちすぎています。もちろんエライスは納得しないのでしょうが。与えた罰は、男爵家からの縁切り、ポッタリィ焼き物店の相談役からの解雇、離れに軟禁」
「あとはカニスとの接触禁止にしました」
カインツに付け加えるようにハーツが言う。
罪のない人々の血に濡れた手で息子に触れてほしくなかった。これは孫を可愛がっていたマズルにはきつい罰だ。せっかく目が治ったのに、話すことも抱くこともできず、遠くから見ることしかできなくなった。
「話を元に戻しますが、上薬の材料や製法を教えてもらえないでしょうか」
「それはいいけど、どうしてそこに話が繋がるのかわからないんですが」
「エライスは事情があるとはいえ、貴族殺しです。死罪は免れません。ですが親が迷惑をかけっぱなしで殺すのは心苦しく、願いの一つくらいは叶えてあげたかったのです。その願いが特製上薬をつかった焼き物の復活です」
「なるほどなぁ」
そのまま殺すこともできたのだろう。しかしそれをしないことにいい人だなと裕次郎は思う。
この人の悩みを一つくらいなくしてあげようと、早速作り方や材料を話していく。
「上薬に少量の酒を入れるのですか。報告では誰もそんなことはしていませんでしたね」
「たしか親父も同じ種類の酒を飲んでいた。あれは上薬に必要だったのか……」
エライスは仕事場の片隅に常備されていた酒を思い出す。好きだからいつも置いていたのだとばかり思っていた。
「ついでに材料のガット紺鉱石は、たくさん手に入ると思いますよ」
「え? 最近採掘量減っていますよ?」
父親の仕事を手伝い、採掘量の報告書は見たことあるのだ。
「つい先日俺とセリエが鉱石を取りにいったんですが、その時に床が崩れまして。その崩れた先に裂け目があって、そこでガット紺鉱石を発見しました。このことは鉱石買取の兵士さんにも伝えていますよ。素人が行くには危ないけど、プロならどうにかなると思います」
「すぐに手配します! 調査報告ありがとうございます!」
「いえ、俺たちもそのおかげで収入がたくさんあったので」
「ほ、本当に親父たちの焼き物が復活するのか?」
エライスが震えた声でカインツに尋ねる。
それにカインツは笑みを持って頷く。
「ええ、まず間違いなく復活できます。完成第一号を必ずあなたの前に持っていきます」
「おおおっ」
エライスは顔を伏せ泣く。涙をぽたりぽたりと床に落とし、声も枯れろと大きく泣き続けた。
仇討ちの完遂はできなかったが、父の誇りでもある焼き物復活は復讐以上に強く望んでいた。
泣き止んだエライスは敵意もなくなり、大人しく兵に連れられていく。
「サワベさん、焼き物ができるまで滞在してください。エライスに見せた後に報酬をお支払いしますので」
「報酬ってなんの?」
「特製上薬のです」
「べつにいらないんだけど」
報酬目的で教えたわけではない。
その返答にカインツは困ったような笑みを浮かべる。
「報酬を払うだけのことをしてもらいましたし、口止め料も含めるつもりなので、もらってもらえないと困るのですが」
「あ、そういう意味もあるのか。じゃあ、もらうことにします。滞在はセリエもいいですか?」
「ええ、かまいませんよ」
裕次郎は部屋を出て、自室に戻る。
「もう少しここに滞在することになったよ」
「まだ疑われているってこと?」
違う違うと手を振る。
「製法が喪失した焼き物があるってのは、ここに来た時聞いたよね、覚えてる?」
「うん。火事がどうたらって」
「その焼き物に使う上薬を俺が知っていたんだ。それで復活することになって、その礼を焼き物が復活したことを確認したらするんだってさ。それまで滞在ってことになった」
「色々と知ってるわね」
「薬に関してのみだけどね。俺も上薬まで知識の中にあるとは思ってなかったし」
「勉強した時にどんなものか教えられたりしたんじゃ」
「ひたすら詰め込んだから、作り方や材料は覚えていても……」
セリエにまで嘘を吐くのはどうかと思い止った。
途中で止めたことにセリエは首を傾げる。
「……俺の薬の知識や腕はちょっと特殊なんだ。練習して腕を上げたわけじゃないし、教えてもらったり本を読んで得たものじゃない」
「いきなりなに?」
「セリエにまで嘘の説明はしなくてもいいかなと思ったから」
「信じすぎよ。私はあなたが思っているほど口が堅かったり、綺麗だったりしないわ」
「なんとなくだけどわかる、そういった人が少ないってのは。だから少しだけ説明したんだよ。これ以上はまたいつか」
「そう……じゃあ私もからも少しだけ話してあげる」
対等を心がけているセリエだ、一方的に情報をもらったままというのはなんとなく我慢ならない。
「私が探しているのは故郷と母。思い出の薬はそれらを鮮明に思い出すために使いたいの」
「故郷のことや母親のこと忘れた?」
「詳しいことはユージローと同じで、またいつかよ」
悪戯めいた小さな小さな笑みを浮かべて言う。
初めて見た笑みに裕次郎は見惚れ、リアクションを返せない。セリエのことを知ることができた嬉しさなど吹っ飛んでしまっている。
セリエはそんな裕次郎をどうしたのだろうという目で見ている。自身が笑みを浮かべたことに気づいていない。
しばらく呆けたように動かない裕次郎から離れて、まとめていた荷物を解いて風呂場で洗濯を始める。
裕次郎が動き出したのは十分後で、あの笑みを忘れないように脳内に刻む。
カインツが焼き物作りに動き出し五日後、復活第一号の壷が完成し、年老いた職人たちは昔と変わらない艶のある陶磁器に涙を流す。
それは約束どおり、牢にいるエライスの元へと届けられる。
箱から出された懐かしい光沢の壷に触れ、エライスは再び号泣する。
この一日後、処刑が実行されたが死の瞬間までエライスは死への恐怖や恨みなどない晴れやかな表情だった。
復活した特製上薬の陶磁器は、再び貴族たちに高値で売れていく。一度喪失したことで品薄となり、価値が上がったのだ。再び職人たちが多く作り始めたが、カインツはそれにストップをかけることはなかった。
「いろいろとお世話になりました」
「こちらこそ、滞在中よくしてもらいました」
男爵家の玄関前で裕次郎とセリエはカインツやハーツたちに見送られている。
「これから町を出るんですか?」
「ちょっとした用事をすませて出るつもりです」
「そうですか。危険のない旅を祈っています」
「ありがとうございます」
カインツがもう一度頭を下げ、ハーツたちも続くように頭を下げる。
頭を上げた彼らに別れを告げて、二人は門を出る。
「ちょっと用事って言ってたけどなにかあるの? 薬の材料のありかはここじゃわからないから、ほかの町に行って調べるって言ってたし。ああ、旅の間の食料補充?」
「それもあるけど、以前仲良くなった人たちにここの焼き物をプレゼントしたいと思って。一家三人分のマグカップでも買おうかと」
「そういうこと」
「ほかには馬車でも買おうかなって思ってるけど、どう思う?」
カインツからもらった報酬が百二十万ミレだったのだ。生活費は十分あるので、移動が楽になる手段でも買おうかと考えた。
「馬車の前に防具を揃える方が先だと思うんだけどね。魔物と戦ったりするのに、いつまでも普通より頑丈なだけの服ってはどうかと思うわよ」
「鎧かぁ。なんとなく気が進まないな」
ここらで見かけるのは西洋タイプの鎧で、自分には似合いそうにないと思えていた。武士が着ていた鎧が似合うというとそうでもないだろう。鎧が廃れた場所からきたのだ、防御を固めるといって鎧を着るという選択肢を選びづらく思っている。
そういった考えをしていると思わず、セリエは重さや動きにくさを嫌っているのだろうと考えた。
「金属製とかが嫌なら、コートやローブといった魔法で強化された防具もあるわよ。高いけどもらった報酬で十分足りると思うけど」
「んー考えとく。しばらくは魔法薬でどうにかするよ。能力上昇薬で体の頑丈さを上げたりできるし」
ほかに物理衝撃を三十パーセント減らすことのできる魔法薬もある。戦いの前に撒いておけば、使用者を中心に半径一メートル以内に効果を出す。これだと裕次郎の蹴りも相手に与えるダメージが減るので、使いにくいと思っているが。
「いざって時に困らないといいけど」
「盾だけでも買っておこうか。それに衝撃を吸収する軟膏でも塗っておけば一時しのぎにはなりそうだ」
「それは一つの魔法武具ではないかしら」
裕次郎の筋力であれば、かなり重い盾も持ち運びできる。ただでさえ頑丈な盾に、そういった小細工を施せるなら敵対する者にとっては厄介だろう。
すぐに武具屋に入って、目に入ったタワーシールドを購入した。縦一メートル弱横五十センチの鉄製で厚さは一センチ弱。表面は緩くカーブを描き、裏には持ち運びしやすいよう木材で取っ手などがつけられている。重さはかなりのものだが、裕次郎には問題なかった。値段は六万と一般人から見ると高い。
それを台車に載せて、ティークたちのマグカップを買い、紹介屋に持って行った後は、馬や馬車を売っている店に行く。
「本当に馬車を買うつもりだったの」
「あれば便利そうだしね。でもここで買うかはわからない。いい馬車がなかったら別のところで買うよ」
そう言いながら店に入っていく。
受付にいらっしゃいませと出迎えられ、用件を告げる。
「馬車ですか。どのようなものが必要でしょう?」
「二人で乗っても余裕のある広さで、丈夫なもの。防水もしっかりしていると嬉しい。あと馬車を引く生き物は魔物とかに怯えず、むしろ迎え撃つくらいのもの。悪路も関係なくいけるものがいい」
「その要望だと今うちにはありませんね」
「そうですか。じゃあ、どんな生き物を買えばいいかとか、買う時の注意点でも聞かせてください」
角銀貨を五枚カウンターに置く。情報料としては十分だったようで、笑みを浮かべて頷く。
近くにいた別の従業員に交代してもらい、近くのテーブルに二人を招く。
「お客様のご要望ですと、馬やポニーやロバは買わない方がいいですね。買うとしたら人に馴らされた魔物がいいでしょう。おすすめとしてはグランオクスかブランジースかラグスマグといったところでしょうか」
グランオクスは牛タイプの魔物で、速度は馬にやや劣るが力は強い。分厚い皮膚や太い毛のおかげで、魔物に襲われても死にづらい。興奮時の突進はバハドッグやビッグアントなど軽く吹き飛ばす。値段は三十五万。
ブランジースは馬タイプの魔物で、足が馬よりも太く、蹄も硬い。臆病がちな馬と違い勇敢だ。だが恐怖を蛮勇で誤魔化すこともあるため、強い魔物に突撃して死にやすい。値段は四十五万。
ラグスマグは虎に犬耳とふさふさの尾をくっつけたような魔物だ。ごつい爪と牙を持ち、額に小さな角もある。生まれた頃から人と一緒にいると、人懐こい性格になる。力は馬以上で、これ一匹で馬二匹から三匹の力を持つ。商隊が使うのは主にこちらで、値段は六十万。
これらのほかに町中でライオンタイプや二足歩行の恐竜も見かけることもある。けれどそれらはその持ち主が偶然捕らえたものか、そういった人から買ったもので常に売られているわけではない。
「買うとしたらラグスマグかな。車体の方の値段はどれくらいになる?」
「そうですね……」
先ほどの要望を思い出し、試算していく。
「四十五万もだせば十分かと。逆に十万二十万といった値段だとどこか問題がある可能性がありますね。きちんとしたところだと予備の車輪などを備えていますから、買う時はそういったところも見るといいですよ」
「合計百万ちょいか、十分足りるな」
ほかにラグスマグを買う時の注意点などを聞き、これから行く方角にある町のおすすめ店も教えてもらい、裕次郎たちは店を出る。
食料などを買い足した二人は町を出た。
メルモリアはかつての勢いを取り戻していく。特製上薬の陶磁器で勢いをなくし、その陶磁器で勢いを取り戻す。陶磁器に振り回された町だが、今後も陶磁器を誇りとしていくことになる。
裕次郎の存在が大陸中に知られるようになった切欠はここだろう。以前からバドオドロ退治などで強い者がいると傭兵たちの間で、噂されるようになっていたが、ここメルモリアのバヅントーリ作成依頼はそれなりに有名だった。達成した凄腕の薬師がいると行商人たちが噂を各地にばらまいたのだ。
病人を抱えている金持ちや貴族たちは一縷の望みをかけて、その凄腕薬師の情報を求めるようになる。
裕次郎に幸いだったのは、フルネームが広まらずにすんだこと。地球のように写真が存在しなかったことだろう。各地で引っ張りだこでは旅をする暇などなくなる。
といっても噂が広まるのに時間がかかるので、数ヶ月は自由気ままな旅ができるだろう。
感想ありがとうございます
》三千ミレで追加情報の書類買ってそこに採掘ポイント~
全部ひっくるめて三千ミレですね。あまり深いこと考えていなかった。
一度行くだけなら高めですが、何度も行くなら必要費用としては安くなるかなと思います
》なっても薬が作れるで問題無しですな~
水虫治療の薬も、水虫になる薬も作れます。いつか横柄な人にぶっかけてやろうかと思っていたり
裕次郎は水虫になっていないので、苦労がわからず売ろうとは思いつきませんね
》少し兆候が……!
今回も進展が! 恋愛フラグってわけじゃないですが




