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第十二話 リアンの夢の形


 リアンと久保は公民館の内見を終え、商店街振興会組合事務所へやってきた。とりあえず、内見の感想と改装の話し合いを進める為だった。

 リアンと久保は対面でソファに座り、話し合いを始めた。


「リアンさん、公民館の見学はどうだった?少しは想像できたかしら?」

「はい!一緒に見て頂いてありがとうございます!中は結構立派でしたね。」

「そうね、長い事使ってなかったのに、あそこまで綺麗だと、想像が膨らむわね。」


 久保は微笑みながら、語りかけていた。リアンも少しホッとしていた。広さも十分あり、それぞれの部屋も立派で、どう改装しようか、頭をフル回転していた。


「やはり、体育館は半分残しましょう。近所の人に貸し出しできるように、したいですね。私の頭の中で描いている図面を紙に起こしてもいいですか?」

「そうね。言葉だけじゃわからないものね。ちょっと待って、持ってくるから。」


 久保は立ち上がり、用紙とペンを持ってリアンのいるテーブルへと持ってきた。リアンはペンをとり、用紙にリアンの想像するままに書いていった。

 書き終えると、リアンはその用紙を見ながら、久保に説明をしていった。

 周りの部屋に休憩室と水耕栽培用の部屋を作ることにして、真ん中の体育館は畑と体育館の間に通路がある。シャワー室は土の匂いが気になる方向けに用意をする。勿論、今後、人を雇ったときの利用も考えての事だった。


「リアンさん、これ良く考えられているわね。素晴らしいわ。

あとは、プロの建築士さんに聞いて、改装がこのままの形で出来るか確認が必要ね。あと畑の深さとか水のタンクとかも聞いてみないとね。

このまま何もしないと、根が張って、地盤を崩しかねないし、農地としての登録は出来ないから、コンクリートで囲う必要があるのよ。」

「そうですよね。実はその点も考えていて、コンクリートで囲った上に土を入れようと思っています。大きな鉢植えみたいな構造を想像して砕石の上に土を被せようと思っていて、下から水が抜ける構造で考えています。抜けた水は再利用するために一時的にタンクに入れてポンプで地上に持ってこれないかと…。検査用の穴も作りたいですね。詰まると対処できないので。」

「本当に大丈夫なの!?それって実現できるかしら?」


 久保は怪訝な顔をして、リアンを見つめた。理想と現実は上手くいかないことを久保は知っていた。


「わかりません。だからこそ、プロに相談しないといけなくて、、、もし、可能なら、素晴らしい畑が出来上がると思うんです。今度建築士さんに相談してみます。」

「建築士さんの知り合いでもいるの?」

「いえ、これから探します。まず、公民館の内見してから探すつもりだったので。」

「あら、それなら、私の知り合いに連絡してみるわよ。昔から、この商店街の事で相談している人だから、信頼できる人よ。」

「え!?本当ですか!?お願いしてもいいですか?」

「わかったわ。今電話しちゃうから待ってて。」


 そう言うと、久保が電話をかけ始めた。凄い行動力にリアンは感心してしまった。久保の人脈はとてつもない。毎回驚かされる。組合長の力というものを目の当たりにしていた。


「あ、もしもし、久保です。お世話になっています。少し、相談がありまして、お電話したのですが、今度、商店街にある公民館の改装をすることになって、お話しを伺えないかと思いまして…えぇ…わかりました。そのようにさせてもらいます。……えぇ……ありがとうございます。また連絡します。」


 久保は知り合いの建築士さんに連絡してくれた。


「リアンさん、建築士さんが、まず、公民館の図面を欲しがっていたわ。一度、谷口さんに相談してみましょうか。」


 そう言うと、すぐさま、久保が谷口に電話を始めた。リアンは久保のスピード感に圧倒されていた。リアンは久保に連絡をすべて任せてしまって、申し訳なさもあった。


「もしもし、谷口さん、久保です。今すぐ用意してほしいのがあるのだけど、準備できるかしら?……公民館の図面が欲しくて……建築士さんが見たいといっていたのよ。準備できる?……じゃあ、よろしくね。」


 久保は簡潔に要点を伝えて、電話を切った。

 久保の判断力、スピード感、決断力、全てにおいてリアンは驚きを隠せない。高圧的でもなく、相手を尊重する話し方に凄い人だと認識させた。


「谷口さんが、準備してくれるそうよ。ちょっと日にちはかかるみたいだけど、良かったわね。」

「ありがとうございます。連絡もしてもらって。」

「いいのよ。出来る限り協力するから言ってね。」

「本当に助かります。」

「商店街の繁栄のためだもの。なんでも協力するわ。」


 久保はやる気に満ちていた。リアンのみなぎるワクワク感が伝わったのかもしれない。これから、どんな風に商店街が変わっていくのか、楽しみで仕方ない二人だった。


 そして、数日が経ち、谷口がリアンのもとへやってきた。相変わらず、清潔感があるスーツ姿で、微笑んでいる。八百屋のバイト中の隙間時間に谷口と会話する。


「リアンさん!久保さんに頼まれていた。公民館の図面の写しを持ってきました。どうぞ!」

「ありがとうございます!あとで、久保さんにも見てもらいますね。」

「もうすぐ、改装が始まるんですね。僕もワクワクしてます!」

「今度、建築士さんに相談するつもりです!」

「想像するだけで、僕は楽しみですよ。みんなに農業に触れてほしい。土の匂いも緑の香りも全部感じてほしいですね。僕、農業が大好きなんで。」


 都会の役所に勤めながら、農業を愛する人、それが谷口という青年だ。リアンは、そんなに好きなら、農業を始めればいいのにと心の中で思っていた。


 リアンもみんなの笑顔を見るために、そして、この『ひかり商店街』のために楽しく活動していきたいと願っている。


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