お屋敷メイドのお茶会-リプレイ
今回の構成:普普普普茶庭具いい
(普=普通のメイド、茶=茶承、庭=庭師、具=道具屋、い=いたずらメイド)
# お屋敷メイドのお茶会
## プロローグ
雨音が窓を優しく叩く静かな午後、グランドバーチ伯爵家のお屋敷は普段とは違う空気に包まれていました。伯爵夫妻が温泉旅行へと出かけ、広大な屋敷にはいつもの厳格な空気が一瞬和らいでいます。
「さあ、皆さん!今日はご主人様方がいらっしゃらないので、特別にお茶会を開きましょう!」
メイド長のエマがリビングサロンで手を叩くと、他のメイドたちが次々と集まってきました。上品な白いエプロンドレスに身を包んだ9人の女性たちが、丸テーブルを囲んで座ります。
エマ(ゲームマスター)はにこやかに告げました。
「さて、今日のお茶会では『お屋敷メイドのお茶会』というゲームを楽しみましょう。ルールは皆さんご存知の通り...でも、皆さんの中にはいたずらメイドが潜んでいるかもしれませんよ?」
その言葉に、メイドたちの間に小さなざわめきが広がりました。
## プレイヤー紹介
**エマ**(GM):メイド長。今回のゲームの進行役です。
**アリス**:おっとりとした性格の新人メイド。
**ベアトリス**:几帳面で真面目な性格の書斎担当メイド。
**クララ**:明るく活発な庭担当メイド。
**ダイアナ**:冷静沈着な執事見習い。
**エレナ**:優雅で上品な応接間担当メイド。
**フローラ**:無口だが観察力の高い図書室担当メイド。
**グレイス**:陽気で社交的なキッチン担当メイド。
**ヘレン**:物静かで謎めいた雰囲気を持つ洗濯担当メイド。
**アイリス**:聡明で頭の回転が速い寝室担当メイド。
## ゲーム開始
エマは小さな箱から9枚のカードを取り出し、よくシャッフルしてから各メイドに1枚ずつ配りました。
「それでは、各自自分の役割を確認してください。そして...目を閉じてください」
メイドたちは一斉に目を閉じます。
「いたずらメイドの方は、目を開けてお互いを確認してください」
少しの間があり、再び静寂が訪れました。
「では、全員目を開けてください。ゲームを始めましょう!」
## 第1ターン
エマはエレガントな紅茶缶を複数テーブルに並べ、茶こしも何種類か用意しました。
「第1ターン、お茶を準備する方はどなたですか?」
クララが元気よく手を挙げました。「私がやります!今日は特別なブレンドを用意しました♪」
クララは丁寧に茶葉を選び、普通に見える茶こしを手に取ります。
ベアトリスが眉をひそめながら見つめます。「クララさん、その茶こし...何か特別なものですか?」
クララは無邪気に微笑みました。「ええ、これは特別な茶こしですよ〜。伯爵様が南国から取り寄せた最高級品なんです!」
「本当かしら...」エレナが疑わしげに言いました。
お茶が入ると、クララは丁寧に紅茶をカップに注ぎ、まずアリスに差し出しました。
「どうぞ、アリスさん。今日の特別なお茶です」
アリスはにっこり微笑み、「ありがとう、クララさん」と言って一口飲みました。
すると—
「あ...これ...」アリスの顔が急に赤くなります。「これ、マール茶じゃないですか!?」
エマが笑顔で告げました。「アリスさん、残念ながらキッチンへ移動してください」
アリスは少し残念そうに席を立ち、「みなさん、頑張ってくださいね」と言ってキッチンへと向かいました。
ダイアナが冷静に言います。「クララさん、「特別な茶こし」と言っていましたが、それは普通の茶こしだったのでしょうか?それとも...」
クララは肩をすくめます。「さあ?どっちだと思う?」
フローラが静かに口を開きました。「クララさんは最初から嘘をついているように見えます。マール茶を使ったのは明らかですね」
ヘレンは黙って状況を観察しています。
## 投票タイム
エマが宣言します。「それでは、議論の時間です。誰がいたずらメイドか、意見を交わしてください」
ベアトリス:「クララさんが怪しいと思います。最初からマール茶を用意していましたよね?」
クララ:「わたし?でも、この茶こしが特別なものだっただけかもしれませんよ?」
ダイアナ:「道具屋のスキルを使います」と静かに宣言しました。
エマはダイアナに小さくうなずき、「結果は●です」と告げました。
ダイアナ:「やはり。クララさんが使った茶こしは特殊なものではありませんでした。つまり、マール茶を使ったということですね」
グレイス:「でも、クララさんがいたずらメイドなら、なぜそんなに露骨にアリスさんにマール茶を飲ませたのでしょう?初日から正体を明かすのは不自然では?」
エレナ:「確かに...それは考えものですね」
フローラ:「しかし、事実としてアリスさんはマール茶を飲んで退場しました。クララさん以外に犯人はいないでしょう」
アイリス:「わたしも、クララさんが怪しいと思います」
投票の結果、クララに票が集まりました。
エマ:「クララさん、弁明はありますか?」
クララは肩をすくめて笑います。「みなさん、お疲れさまでした。わたしはいたずらメイドです。でも、もう一人いますからね!気をつけてくださいね♪」
そう言って、クララはキッチンへと向かいました。
## 第2ターン
エマ:「では、第2ターン。今度はどなたがお茶を準備されますか?」
ヘレンが静かに手を挙げました。「私がやらせていただきます」
ヘレンは丁寧に茶葉を選び、茶こしを手に取ります。
ベアトリス:「ヘレンさん、その茶こしは...?」
ヘレン:「普通の茶こしです。ご安心ください」
ダイアナがじっと観察しています。「本当にそうでしょうか...」
ヘレンはお茶を入れ、まずベアトリスに差し出しました。
ベアトリスは警戒しながらもお茶を一口飲みます。しかし、特に異変はありませんでした。
次にヘレンはエレナにお茶を差し出します。
エレナも一口飲み、「美味しいわ」と微笑みました。
グレイスが言います。「わたしにもください!」
ヘレンはグレイスにもお茶を注ぎました。グレイスが一口飲むと、突然咳き込みました。
「こ、これは...!」
エマ:「グレイスさん、キッチンへどうぞ」
グレイスは困惑した表情で席を立ちました。「どうして...?私が飲んだだけ違うなんて...」
アイリスが考え込みます。「同じポットから注いだはずなのに...これは...」
フローラが静かに言いました。「茶承のスキルを使います」
エマはフローラに「結果は左です」と告げました。
フローラ:「わたしの左側...つまり、ダイアナさんですね」
ダイアナは冷静な表情を崩しません。「それはどういう意味ですか?」
フローラ:「茶承のスキルによれば、いたずらメイドはわたしの左側、つまりあなたということになります」
## 投票タイム
エマ:「それでは議論の時間です」
ベアトリス:「待ってください。グレイスさんが飲んだお茶だけが違ったというのは、どういうことなのでしょう?」
エレナ:「ヘレンさんが途中でマール茶を混ぜたのでは?」
ヘレン:「私はただお茶を注いだだけです。すべて同じポットから」
アイリス:「でも、フローラさんの茶承スキルの結果でダイアナさんが指摘されました。これはどう説明するのですか?」
ダイアナ:「茶承のスキルは必ずしも正確ではありません。潜入している者が左右どちらかを選べるのでしょう?」
フローラ:「いいえ、茶承のスキルは嘘をつきません。単純にいたずらメイドがどちら側にいるかを教えてくれるだけです」
ベアトリス:「ダイアナさんの言う通り、もしヘレンさんがいたずらメイドなら、わざと左を指定したのかもしれません」
アイリス:「では、庭師のスキルは誰が持っているのですか?」
ヘレン:「私が庭師です。そして、フローラさんを守ります」
投票の結果、意見が分かれてダイアナとヘレンに票が集まりました。
エマ:「再投票をお願いします」
2回目の投票でもダイアナとヘレンで同数でした。
エマ:「それでは、両名ともキッチンへ移動してください」
ダイアナは無表情のまま立ち上がります。「残念です。私は普通のメイドでした」
ヘレンも静かに席を立ちます。「私も普通のメイドです。庭師でした...」
## 第3ターン
残ったのはベアトリス、エレナ、フローラ、アイリスの4人です。
エマ:「第3ターン、お茶を準備する方は?」
アイリスが手を挙げました。「私がやります」
アイリスは丁寧に茶葉を選び、茶こしを手に取ります。
フローラがじっと見つめています。「アイリスさん、その茶こしは?」
アイリス:「普通の茶こしです。ご安心を」
アイリスはお茶を入れ、まずエレナに差し出しました。
エレナはお茶を一口飲み、「美味しいわ」と微笑みました。
次にベアトリスにお茶を差し出します。
ベアトリスも一口飲み、「確かに美味しいですね」と言いました。
最後にフローラにお茶を差し出そうとしたとき、フローラが手を上げて止めました。
フローラ:「少々お待ちください。道具屋のスキルを使います」
エマはフローラに「結果は○です」と告げました。
フローラ:「アイリスさんが使った茶こしは普通のものでした。ありがとう、いただきます」
フローラがお茶を飲むと、突然顔が赤くなりました。
「あ...これは...」
エマ:「フローラさん、キッチンへどうぞ」
フローラは困惑した表情で席を立ちます。「どうして...茶こしは普通だったのに...」
エレナが驚いた表情で言います。「これは...マール茶を使ったということ?」
## 最終投票
エマ:「最終投票の時間です。残ったのはベアトリスさん、エレナさん、アイリスさんの3人ですね」
ベアトリス:「茶こしは普通だったのに、フローラさんだけマール茶の反応が出たということは...」
エレナ:「アイリスさんがフローラさんのカップだけに何かしたのでは?」
アイリス:「いいえ、そんなことはしていません。私は普通のメイドです」
ベアトリス:「でも、他に説明がつかないわ...」
エレナ:「ここまで生き残ってきた私たちの中に、まだいたずらメイドがいるのですね」
投票の結果、アイリスに票が集まりました。
エマ:「アイリスさん、キッチンへどうぞ」
アイリスは微笑みながら立ち上がります。「やられましたね。私がいたずらメイドです。でも、クララさんはもう一人のいたずらメイドがいると言っていましたよね?」
残されたベアトリスとエレナは顔を見合わせます。
ベアトリス:「つまり...私たち二人のうち、まだ一人いたずらメイドが...?」
エレナは優雅に微笑みました。「ベアトリスさん、素敵なお茶会でしたわ」
ベアトリスが動揺します。「まさか...エレナさん、あなたが!?」
エレナは立ち上がり、カーテシーをします。「正解です。私が最後のいたずらメイドでした。でも、お茶は美味しかったでしょう?」
## エピローグ
キッチンに集まった全員が拍手をしました。
エマ:「素晴らしいゲームでした!今回の勝者は...いたずらメイド陣営です!」
クララとアイリスとエレナが喜び、ハイタッチを交わします。
アリス:「エレナさん、最後まで気づきませんでした!とても上手でしたね」
グレイス:「私、どうしてマール茶を飲まされたのか分からないまま終わっちゃった...」
ヘレン:「ヘレンさんのポットには何も問題なかったのよ。グレイスさんのカップだけにアイリスさんが事前にマール茶のエキスを塗っておいたのね」
フローラ:「なるほど...私も同じ手口でやられたのですね」
ダイアナ:「見事な連携プレーでした」
ベアトリス:「次は負けませんよ!」
エマはにこやかに告げました。「さて、本物のお茶会を始めましょうか。今度は本当に美味しい紅茶とケーキを用意してありますよ」
9人のメイドたちは楽しく笑いながら、今度は安心して本物のお茶を楽しむのでした。
雨音が窓を叩く静かな午後、グランドバーチ伯爵家のお屋敷では、主人不在の束の間の自由を満喫する9人のメイドたちの笑い声が、心地よく響いていました。
(続く)
今回からプレイヤーを2人増やし、更にターン毎に投票を行うように変更しました(従来は、いたずらメイドの告白でゲーム終了のパターン)
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いたずらメイド3人。AIやっちゃったか?