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ブレイバーゲーム  作者: 春木
第一章 キルロンド学寮編
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8話 弱虫な王子

 本作品は、HoYoverse様の『原神』の元素反応の仕組みや、パーティ構成などを妻に教える為に執筆を始めたので、類似している内容が見られるかと思います。(修正しながら投稿するので、酷似しているわけではありません。)


 著作権の侵害等は避けるよう心掛けておりますが、引用したようなものが見られ、削除した方がよいと言われた場合、速やかに削除させて頂きます。


 ストーリー自体は、全く『原神』を真似ていることはありませんので、上記のことをご理解頂ける方のみ、ご閲覧をお願いします。

 僕は、恵まれた環境で生まれたと思う。父は国の国王で、自らが冒険者だったこともあり、厳しい側面も持つが、基本的には優しい人だった。

 しかし、二つ下に、神童が生まれた。雷魔法を得意とする金髪、と言う時点で、王国内は騒然とし、僕よりも跡取りはこの子になるだろうと、まことしやかに囁かれていた。

 僕は、青色の髪で水魔法を得意とするが、相手を前にすると怖くて手が震えてしまう。そんな中で、弟は果敢な姿を見せ、幼くして神童と呼ばれるまでに成長していた。


「お兄様! 今日も鍛錬付き合ってください!」


 弟は、いつも熱心に僕は話し掛けてくれる。


「ごめん、今日はちょっと用があってね」


 僕は、それをいつも避けていた。

 齢十歳から通える剣術魔法学校に入ってから、弟の距離は歴然と開かれていったのを感じた。 弟も、僕が小心者だと言うことに、少しずつ気付き始めていたんだと思う。

 弟が入学してから、程なくした頃だった。


「キャアー!!」


 周囲には誰もいない。女生徒の叫び声に、僕は駆け足で向かう。


「花壇……?」

「あ、リオン様……! すみません……はしたない声を上げてしまって……」

「だ、大丈夫だよ……。何があったんだい?」

「実は……この花壇の花、ずっと育てていたんですけど、今来てみたらこの有様で……」


 花壇には、花は一輪も、一枚の葉すら、残されてはいなかった。


「昨日までは沢山咲いていたのに……」


 悔しそうな顔を浮かべる彼女の顔を見て、僕は力になりたいと思った。


「犯人を探そう……!」


 それから、一日中聞き込みをして回ったが、犯人と思しき人物を見つけることは出来なかった。

 夕暮れの中、何もない花壇を見遣る僕たち。


「兄様……何をしているんですか……?」

「レ、レオ……!? どうしてここに……?」

「何やら、兄様が聞き込みをしていると話に聞きまして、私も何か協力できないものかと……」


 僕は、レオの優しさを少しだけ嬉しく思っていた。

 それでも、僕たちはすれ違う事となる。


「と言うか……私は構内の管理委員を任されているので把握しているのですが、ここの花壇は改装工事の予定が入っているので、元から花なんてありませんけど……」

「は……? そんなはずはない……! 現に、()()は毎日ここの花壇の手入れをしていたと……!!」

()()……? 何を言っているんです……?」


 ふと横を見ると、さっきまでいたはずの女性は、どこにも居なくなっていた。


「兄様、そんなことより鍛錬を……」

「そんなことより……? お前はそんなことだから、()()()()()()()()んだろうが!!」


 言ってから気付いた。なんと、愚かなことを言ってしまったのだろう。

 弟は、なんの反論もしてこなかった。この言葉が、弟に何を感じさせたのかは分からない。 それでも、これだけは言えるだろう。

 もう、弟が僕に期待することはない――――。

 それから、僕はめっきり、政治や国に携わることからも避けるようになり、友人と遊ぶちゃらんぽらんな王子(仮)のように遊び歩いていた。


「あれれー? 君、もう夕暮れだよ? 帰らなくていいのかい? よかったら、この王子である僕が、お家までエスコートしましょうか?」


 振り返った彼女を見て、僕は唖然とする。


「花は……取り戻せなかったですね……」


 やはり、あの時の彼女は……存在していた。

 幻覚を見ていたわけじゃなかった……!


「あ、あの……!!」


 僕は、全速力で彼女の元に駆け寄る。


「お名前を……お名前を聞かせてください……! 今度こそちゃんと……見つけてみせるから……!!」


 すると、彼女は透き通った身体を振り向かせ、小さく涙を零しながら答えた。


「『花』です」

「え……?」


 その瞬間、ふわっと風が僕を包んだ。 目を閉じた瞬間、彼女の姿は消え、風の中に、強く花の香りが鮮明に混じっていた。


「貴方のような優しい方が、新たな芽吹きを守ってあげてください……」


 御伽話のようだが、彼女は、花は、花の精霊だったのかも知れない。

 それから僕は、新たにできた花壇に、自らの水魔法から水をやることを欠かさなかった。周囲からは、『女性に貢ぐ花を育てている』と誤解をされていたけど、なんでもよかった。僕が逃げたことも、守れなかったことも、弟を蔑ろにしてしまったことも、何も変わらない。

 そんな自責の念から、ずっと逃げてきた。


   *


 ヒノトはラスと少しの会話の後、そのまま崩壊した地下へと躊躇なく飛び込んで行った。


「お父様……我儘を、お許しください……!!」


 そう告げ、リオンも地下へと飛び込んだ。


「私は、剣しか教えられなかった。リオンも、レオも、私のことは厳しいだけの父だと思っているかも知れない」

「俺の方もそんなもんだ。教育は女に任せて、俺も剣ばかりを教えた。男のガキってのは、剣だけ教えておけばな、存外、勝手に強く、逞しく育つもんだ」


 俯くラグナに、ラスは優しく微笑んだ。


「もう行ってもいいかしら〜?」


 瓦礫の下から、シルヴァとミネルヴァが覗き込む。


「そうだな。ガキ共を守りに行ってやるか……!」


 そうして、現役国内最強パーティの四人も、地下へと飛び込んで行った。


   *


 地下では、レオが破壊したであろう崩壊した壁が一本道となっていた。


「これを一気に辿れば、まだ追い付けるかもな……」


 ヒノトはもう一踏ん張り、グラムを抱える。


「ちょ、ちょっと待ってくれ……!」

「んあ、アンタ……王子の……」

「リオン・キルロンド、中衛のガンナーだ。レオを止めたい。手伝わせてくれないか……?」


 ヒノトはニカっと答える。


「ああ、もちろんだ!! でも……移動がなぁ。走って行って間に合うか分からないから……」

「それなんだが……荒々しくなるが、僕の水魔法で()()()()()()()()()()()させることができる。もちろん、息はできるが、身動きはし辛いから、そこだけ注意してほしい」

「おお! いい魔法だな! 俺の突発的な爆破移動より早そうだ!」

「俺は、間に合うのであればどちらでもいい」

「じゃあ決まりだ! リオン、頼むぜ!」


 ヒノトの何気ない一言は、リオンを強く震わせた。


「頼む……か。ハハ、いつから言われなくなったんだろうか……。水魔法・濁流(だくりゅう)!!」


 リオンを中心とし、激しい水流が三人をまとめて流し、一本道を猛烈な速度で流れて行った。


「ゴボーゴボー!! ゴボイバ!!」


 ヒノトは、水中の中でも笑って何かを言っていたが、グッドサインを出していることから、喜んでくれていることだけは察せた。

 やがて、レオの後ろ姿を捉える。


 ボン!!


「もうこの先には行かせねぇよ……」


 そして、レオの後ろで二人も身構える。


「フフ……フハハハ!!」

「何笑ってんだよ! 三対一だぞ!!」

「いいや、愚か者よ。三対三だ。私にはまだ、シールダー二人のシールドは解かれていない……。いや、現時点ですら、私の方が有利とまで言えるな……」

「ヒノトくん……! レオは、わざと『岩属性のシールダーを二人』パーティに入れたんだ! 『岩Ⅱ不随魔法』を利用する為に!!」

「岩Ⅱ不随魔法……?」

「味方の岩魔法同士が同時に展開された時に起こる、自然界からの恩恵だ。レオには今、二つの岩シールド魔法が展開されている。それだけでも厄介だが……この岩Ⅱ不随魔法が展開中は、更にシールドは硬くなり、シールドが張られ続けている限り、レオの攻撃力も増している……!」

「そう、つまり、お前たちは為す術もない。ただ、王子として愚民だろうとも民を殺すことは出来ないからな。全てが終わるまで眠っていてもらおう……!」


 バチバチとレオの剣は光り、三人は一斉に臨戦態勢を敷いた。

ヒノト・グレイマン(主人公):ソードマン

グラム・ディオール:シールダー/岩属性

リオン・キルロンド(王子):ガンナー/水属性


リゲル:ソードマン/炎属性

リリム=サトゥヌシア(魔王の娘):闇魔法


〇王子レオ パーティ

レオ・キルロンド(王子):ソードマン/雷属性

シグマ・マスタング:シールダー/岩属性

ファイ・ソルファ:ヒーラー/岩属性


○現役国内最強パーティ

ラグナ・キルロンド(国王):氷属性

ラス・グレイマン:ウォーリアー/氷属性

ミネルヴァ・アトランジェ:クレリック

シルヴァ・ディスティア:シールダー/水属性


◎自然界の恩恵

 ・岩Ⅱ不随魔法:岩属性が二人同時に魔法が発動中、シールドが張られている味方の『シールド値』及び『攻撃力』が増加する。

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