7話 雷帝君臨
本作品は、HoYoverse様の『原神』の元素反応の仕組みや、パーティ構成などを妻に教える為に執筆を始めたので、類似している内容が見られるかと思います。(修正しながら投稿するので、酷似しているわけではありません。)
著作権の侵害等は避けるよう心掛けておりますが、引用したようなものが見られ、削除した方がよいと言われた場合、速やかに削除させて頂きます。
ストーリー自体は、全く『原神』を真似ていることはありませんので、上記のことをご理解頂ける方のみ、ご閲覧をお願いします。
ラス・グレイマンが、実の息子、ヒノトとグラムの二人を試している頃、雲行きが怪しくなり、妙な気配にラスは魔族のいる方角を睨む。
ゴォン!!
突如、猛烈な落雷が遠くに見えた。
「な、なんだ!? あそこだけ雷雨か!?」
ヒノトの混乱を他所に、ラスは口を歪ませた。
「チッ……あのバカ王子が……。ラグナももう少し子供と向き合えってんだ」
「王子……? レオの魔法か……!!」
その言葉に、ヒノトとグラムも察する。
「急がないと……!!」
「ああ、事は急を要する。お前たちの相手は出来なくなった。どうせお前のことだ、着いて来るんだろう。一つだけ言っておくぞ」
ゴクリと、ラスの瞳を見つめる。
「笑え。どんな時でも。不可能を超えろ」
ヒノトは、その言葉を一身に受ける。
「あぁ、それから極秘事項も話しておこう。お前たちをどうしても来させたくなかった理由だ。今回俺たちが招集されたのは、『魔族の残党への脅し』の他に、もう一つ止めなきゃならねぇもんがある……」
そして、その言葉を最後に、ラスは一瞬で姿を消した。
「今の話……本当だとしたら……」
「俺たちも急ごう!!」
グラムと目を見合わせ、ヒノトたちも駆けた。
*
レオの雷撃は外から大きな打撃を与え、建物の側面を大きく損壊させた。
「やっぱ気持ちいいなぁ……デカい魔法は……!!」
「こんな奇襲みたいなことしたら、全員から捕まってしまうぞ……!!」
「あ……? 私のことをナメているのか……?」
すると、睨みを効かせながら、中から二名の魔族と思われる男女が駆け付け、上空を見上げた。
「言わんこっちゃない……! どうするんだ……!」
すると、岩魔法で構築された空中上の足場から、レオは魔族たちに向かって飛び降りる。
「倒すに決まってる……!!」
剣を構え、パーティの方向を見遣る。
「シグマ! ファイ! 今だ!!」
シグマ・マスタング、王子レオのパーティの岩魔法使いのシールダー。貴族院の生まれで、防御特化に魔法を展開する。
空中上に岩を形成し、擬似的に空中上の移動も可能にする、短髪の茶髪のガタイのいい男。
「岩防御魔法・ブロックゲート!」
ファイ・ソルファ、王子レオのパーティの岩魔法使いのシールダー兼ヒーラー。リゲルと同じく王国郊外の生まれで、多彩な魔法を扱うことが出来るが、主に支援魔法に優れる。
レオが入学前に探していたのは、この、『防御×治癒』を兼ね備えた『岩魔法使いの両者を兼ねる後衛』を探す為であった。入学後、勧誘を受けパーティに加わった、茶髪のショートヘアで小柄な女子。
「は、はい……! 岩魔法・ロックメンド!」
レオには、二重のシールドが与えられる。
「さあ、蹂躙の時間だ……」
しかし、魔族たちには理性がある。
「これが見えないのかしら! 人質がいるのよ! 一人で乗り込んできて、蹂躙されるのは貴方よ!!」
そして、縄で縛られたリオンが前に出される。
しかし、レオは歩みを止めない。
「僕に人質の価値はないよ……。何故ならソイツは、お前たち魔族じゃなくて、俺を殺しに来たんだからね……」
「は……? どういう……?」
魔族たちも困惑する中、レオは微笑む。
「よぉーく分かってんじゃねぇか……クソ兄貴……。国の為に潔く死んでくれ……」
-雷鳴剣・迅雷-
ゴゥッ……!!
-炎魔剣・鐘楼-
「なっ……!」
レオの雷の込められた剣撃を止めた……消し去ったのは燃え盛る剣を手にしたリゲルだった。
「レオ様の仰って頂いた通り……俺も足掻きます……! 誰かを守れるソードマンになれるように……!!」
「俺様の邪魔立てをするな!! 貴様が剣を向けるべきは後ろに居るだろう、愚か者が!!」
その瞬間、魔族二体、及び、レオ、リオン、リゲル、全員の足下から、ブクブクと水が溢れ始める。
「そこまでにしなさい」
ゴォン!!!
「お父様……!!」
レオとリゲルを挟む形で上空から拳を突き出し、地面に叩き付けながら現れたのは、国王 ラグナ・キルロンドだった。
ピキ……ピキピキ……。
そして、ラグナの拳は、その地表を瞬時に『凍結』させた。
(なんだこれ……!? 凍ったのか……!?)
(お父様の……氷魔法……!!)
「全員の動きを封じた!! ラス!! 今だ!!」
「あいよ」
ザシュッ……!!
全員が凍結されたことで、ラスは魔族二体を、二本の武器で同時にぶった斬った。
(魔族二体を……あっさり両断……!?)
サラサラと消え行く魔族たちを確認し、ラグナは全員の凍結の拘束を解いた。
「プハッ……!」
「苦しかったな、すまない」
「い、いえ……国王様……。助かりました……」
リゲルは、不安そうにレオを見上げる。レオの表情は…………笑っていた。
ゾク…………。
「お父様……よかったです、間に合って……。魔族は、あと二体いる……!!」
そう告げると、落雷のような速度で、初撃で破壊した地下へと侵入した。
「お父様……! 違うんだ……! リリムちゃんは……あの子は学寮の生徒たちを助けようとしただけなんだ……!!」
リゲルに縄を解かれたリオンは、必死に声を荒げるが、国王として、首を縦に振ることが出来ない。ラスも、その姿に言葉を失っていた。
「国王様……ヒノトのお父さん……恐れ多くも、質問させて頂いてもいいでしょうか……?」
「君は、ヒノトと一緒に居た少年だな」
「ここまでの不確定情報の中で、リリム・サトゥヌシアは本当に始末されなければいけないのでしょうか……? 見ていると、国王様も、ラス様も、迷っているような気がしまして……」
決断に迷っていたラグナの言葉を、ラスが代弁していたが、ここはラスの言葉よりも先に、ラグナが答えた。
「正直、迷っていないと言えば嘘になる。リオンの言う通り、リリム・サトゥヌシアがあのように言わなければ、ヒノトも、君も、グラムくんも、助からなかっただろう。それに、三王国で人権を認められた。それも、機密な魔法により悪意がないことも証明されている。それを、不明確なたった一言で処断の判断を下さねばならないことが……。国民を守ることが国王の勤め……だからこそ、その一言だったとしても、決断しなければならないのだ……」
ラグナの真っ直ぐな瞳に、リゲルは言葉を失う。ラグナの肩を掴み、ラスが言葉を足した。
「だから、もしリリム・サトゥヌシアを救えるとしたら、ヒノトだ」
「でも、ヒノトが来ることは否定していたんじゃ……」
「俺が否定したところで、アイツは来る。そう教育したからな。俺たちパーティの本当の任務は、魔族討伐なんかじゃない。雷帝と称される神童のレオから、その兄、リオンを救うことだ。だから、国王自らが出張っている」
「僕を……ですか……?」
「ああ、そうだ。だから、俺たちの裏の任務はここで終了だ。まあ、残りの魔族も倒さなければならないが……それは、リリム・サトゥヌシアも一緒に処断することを意味する。だから、彼女が助かるかどうかは、ヒノト次第だ」
ゴゴォン!!
建物の中では、レオが壁を破壊する音が鳴り響く。レオは、問答無用でリリムを殺すつもりでいる。
国王ラグナも、ラスも、出会ってしまったら、国民の安全を優先し、処断しなければならない。
ボン!!
「この音は……!!」
「待て……この!!」
小さなヒノトは、自分より一回りも大きなグラムを背に抱え、レオのパーティメンバーの妨害を交わし、リゲル、リオン、ラグナ、ラスの横を飛び上がる。
「ヒノト……!!」
「おおー! リゲル!! お前もやっぱ助けに来たんじゃねぇーか!! リオンも無事だなー!!」
「ヒノト、分かっているな」
「ああ、父さん……!」
ヒノトは笑って答えた。
「父さんたちのパーティより、レオのパーティより、誰よりも先にリリムを助ける!!」
そして、崩壊した地下へと飛び込んだ。
ヒノト・グレイマン(主人公):ソードマン
グラム・ディオール:シールダー/岩属性
リゲル:ソードマン/炎属性
リオン・キルロンド(王子):ガンナー/水属性
リリム=サトゥヌシア(魔王の娘):闇魔法
〇王子レオ パーティ
レオ・キルロンド(王子):ソードマン/雷属性
シグマ・マスタング:シールダー/岩属性
ファイ・ソルファ:ヒーラー/岩属性
○現役国内最強パーティ
ラグナ・キルロンド(国王):氷属性
ラス・グレイマン:ウォーリアー/氷属性
ミネルヴァ・アトランジェ:クレリック
シルヴァ・ディスティア:シールダー/水属性