14話 王の敗北
本作品は、HoYoverse様の『原神』の元素反応の仕組みや、パーティ構成などを妻に教える為に執筆を始めたので、類似している内容が見られるかと思います。(修正しながら投稿するので、酷似しているわけではありません。)
著作権の侵害等は避けるよう心掛けておりますが、引用したようなものが見られ、削除した方がよいと言われた場合、速やかに削除させて頂きます。
ストーリー自体は、全く『原神』を真似ていることはありませんので、上記のことをご理解頂ける方のみ、ご閲覧をお願いします。
突如姿を見せたリオンの弟、ルーク・キルロンドは、「レオは負ける」と断言する。
次第に、砂煙が晴れると、レオの姿が現れた。
「やっぱレオ負けてねぇよ! お前、あのレオの兄貴なんだろ!? なんでそんなこと断言できんだよ!」
するとルークは指を一本、ヒノトの顔の前で立てる。
「まず、レオが負ける理由①『属性の相性が悪い』」
「でも……岩の二重シールドは強ぇだろ……。現に、緻密な計算で自滅を免れる戦いをしてるし……」
「うん、流石レオ。頭はいいけど、本人も負けることは覚悟してたんじゃないかな。それでも、相手の弱点や戦い方に切り札……自分の負けを見せてでも、伝えようとしているんだろうね」
「負けてでも……伝えようとしている……? あのレオが……誰に……?」
「君にだよ。勇者志望くん…………」
そして、ルークは細目でヒノトを見遣る。
「レオが負ける理由②――――――」
すると会場内では、姿が消えていたはずのリゲルの姿が、レオの背後から突如として現れる。
「魔族の力……炎魔剣・陽炎。その魔法の詳細は、兵士たちですら誰も知らない」
次の瞬間、二重シールドを破壊せず、すり抜けるようにレオの背を斬り付けた。同時に、炎と雷の炎雷爆破も生じ、レオは端の壁へと思い切り吹き飛ばされた。
「なんで……? レオと剣を交えていたはずのリゲルが、いつの間にか背後を取ってんだ……!? それに、岩の二重シールドも破壊してないのに……」
「それが、魔族の力だよ。炎魔剣。大罪人スコーンから受け継いだ剣術魔法」
ボロボロと崩れる壁の中から、フラフラと立ち上がるレオは、剣を天に掲げると、ヒノトに剣先を向ける。ギラっと睨むと、レオはそのままバタリと倒れ、気絶してしまった。
『しょ、勝者…………風紀委員――――――!!』
MCのアナウンスが鳴り響く中、普段であれば大歓声が轟く会場内も、「ブレイバーゲームを廃止させる」と言い放った風紀委員の勝利に、誰も口を開かなかった。最早、後の公式戦でも優勝候補と謳われていた王族レオのパーティが負け、誰が勝てるんだと言うムードが、会場全体から溢れ出ていた。
*
四人は別室に移ると、全員が表情を青褪めさせた。ただ、一人を除いて――――。
「す、すげぇな……魔法の戦い……!! 風紀委員……レオを下したパーティ……! リゲルもやっぱ強かったんだ……! 早く戦いてぇなぁ……!」
ヒノトは、一人目を輝かせていた。
「い、いや……前向きにとは言ったけど、どう考えても絶望的でしょ……!? 分かってんの!?」
「え? だって、レオが俺たちなら勝てるって見込んで今日の試合を見せてくれたんだろ? だったらさ……」
ヒノトの目は、再び獲物を見る目付きで一点を見る。
「勝つ以外ないじゃん」
ゾク…………
その瞳に、三人は全員が背筋を凍らせた。
「そ、そうだね……。レオがあそこまで誰かに尽くすなんて初めてで動揺していたけど、だからこそ僕たちには風紀委員を倒さなければならない。だからまずは、レオの残してくれたヒントを整理しよう」
リオンは立ち上がると、ノートを取り出した。
「まず風紀委員の編成は、炎属性二人に雷属性二人で、炎雷爆破という爆発を軸に組まれた編成だ」
「まだよく分かってないんだけど、炎雷爆破って具体的に何が起きてるんだ……?」
「例えば、一番簡単な自然系の特徴として、『水面に氷魔法を当てれば、その水面は凍結』するだろ? それと似たようなもので、『炎と雷は爆発』を生じさせる。これら全てを、属性魔法による特殊変化と呼ばれるんだ」
「炎と雷の魔法が合わさることで、そいつらの出した魔法とは関係なしに爆発を起こす……ってことか!! 危ねぇな!!」
「そう。その為に、風紀委員の雷シールダーは、敵の攻撃を防ぐ為のシールド、と言うより、爆風の衝撃波を緩和させるシールドをソードマンのリゲルくんに張っているようだ」
そこに、考え込むリリムが口を開いた。
「炎雷爆破防止の為に、グラムの岩防御魔法は必須……。でも、あのリゲルの炎魔剣には、まるでシールドは無効って感じだったわよね……」
「一番難解なのは、『風紀委員長カナリアが、何故相手ではなく、リゲルくんに洗脳魔法を使っているか』と言うところだ……。無理やり戦わされている……と考えるのが自然だろうけど……」
しかし、やはり腑に落ちないリオン。その答えは、リリムにも分かっていた。
「洗脳魔法は、相手の心理から自分の思うままに操れるけど、『魔法の強制発動』まではできない……」
「は……? つまりどういうこと……?」
「いい? 魔法ってのは、自分の中の感覚を形にするものなの。だから、いくら相手の身体を動かせたとしても、相手の魔法の感覚を知らないカナリアは、リゲルの魔法までは操れないってこと……」
そんな殺伐とした空気で尚、ヒノトは笑った。
「ハハハッ! な〜んだ! ならよかった!」
「え……?」
「リゲルが百パーセント全てを操られてんなら、助ける為とは言え、リゲルをぶっ飛ばすのに躊躇いがあったんだ。でも、自発的に魔法を使ってんなら躊躇しなくていい……! アイツも、俺の友達でライバルだからな! アイツ自身にも戦う気があるんなら、俺は存分に戦える……!」
「ハァ……。ホント、頼りになるんだか、ただのバカなんだか……」
露骨に頭を抱えるリリム。
「どちらにせよ、問題になってくるのは、リゲルくんの炎魔剣だが……。結局、振り返って考えてみても厄介と言うことしか分からないな……」
「いやいや、なんでみんなそんな暗くなってんだ? やることって、一個しかないだろ?」
「は……? 国の兵士たちですら解明もできていない剣術を前に、何を悠長な……」
「いやいやだから、全部繋がってんじゃん。俺ら、レオのとこでシールドの破り方教わっただろ?」
その言葉に、全員がハッとする。ニッシッシ、と、ヒノトは笑っていた。
「そうか……あの時、レオの二重シールドは破れなかったけど、雷シールドなら破れる……。それに、ヒノトくんのあのめちゃくちゃな動きなら、炎魔剣がどんな剣撃で翻弄させてこようとも関係ない……!」
(やはりレオは天才だ……。ヒノトくんが魔法を使えないこと、それでいてシールドの破壊のさせ方を教えることで、風紀委員への対抗策まで視野に入れていた……)
リオンは、ニヤニヤ笑ってるヒノトを見ながら、更に以前のヒノトの動きを思い返す。
(炎魔剣は、恐らく剣術魔法に優れた者こそを翻弄する。言っては悪いが……魔法が使えず、己の身体と剣のみでなんとかしなければならないヒノトくんこそが、炎魔剣の対敵になり得るんだ……)
でも、分かっている。リゲルの炎魔剣を封じ、シールドの破壊をヒノトが成せたとしても、相手は元王族と貴族院のエリートたち。これだけでは、まだ最後の一手に欠けてしまう。
(最後の一手は……僕次第……!)
DIVERSITY VS 風紀委員まで、あと二日――――。
○DIVERSITY
ヒノト・グレイマン:ソードマン
リリム・サトゥヌシア:闇魔法
グラム・ディオール:岩属性/シールダー
リオン・キルロンド:水属性/ガンナー
○風紀委員
リゲル・スコーン:炎属性/ソードマン(炎魔剣)
カナリア・アストレア:雷属性/ウィザード(洗脳魔法)
雷属性のシールダー
炎属性のメイジ
○KINGS
レオ・キルロンド:雷属性/ソードマン
ファイ・ソルファ:岩属性/ヒーラー
シグマ・マスタング:岩属性/シールダー
風属性のメイジ
ルーク・キルロンド:ウィザード
◇魔法の組み合わせ
炎雷爆破:炎魔法と雷魔法がぶつかった際、強力な爆発が起こる。(自身にもダメージ)
凝集効果:風魔法が他の自然系魔法とぶつかった際、自然系魔法を一か所に集め、暴発させる。
◇剣術魔法
雷鳴剣術魔法:レオが鍛錬により開発した独自の剣術魔法。
炎魔剣術魔法:義賊スコーンにより継いだ魔族の力が込められた剣術魔法。
・鐘楼:相手の魔法を無効にする
・劫火:相手の眼前に瞬間移動
・裂焼:防御不可能な炎の斬撃を与える
・陽炎:?
◎自然界の恩恵
・炎Ⅱ不随魔法:炎属性が二人同時に魔法が発動中、付近の味方の『攻撃力』が増加する。
・雷Ⅱ不随魔法:雷属性が二人同時に魔法が発動中、味方全体の『魔力』が回復する。
・岩Ⅱ不随魔法:岩属性が二人同時に魔法が発動中、シールドが張られている味方の『シールド値』及び『攻撃力』が増加する。