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ブレイバーゲーム  作者: 春木
第一章 キルロンド学寮編
13/84

12話 前衛の役目

 本作品は、HoYoverse様の『原神』の元素反応の仕組みや、パーティ構成などを妻に教える為に執筆を始めたので、類似している内容が見られるかと思います。(修正しながら投稿するので、酷似しているわけではありません。)


 著作権の侵害等は避けるよう心掛けておりますが、引用したようなものが見られ、削除した方がよいと言われた場合、速やかに削除させて頂きます。


 ストーリー自体は、全く『原神』を真似ていることはありませんので、上記のことをご理解頂ける方のみ、ご閲覧をお願いします。

 放課後、キルロンド王国の王城には、レオ率いるパーティメンバー三人と、ヒノト率いる四人が集められた。


「なんだろう……何故か我が家なのに緊張する……」


 リオンはただいつもの様に帰っただけだが、この報せを受けてから、二人の一触即発な空気感が気が気でなかった。

 七人は、レオがいつも鍛錬に使用しているというトレーニングルームへと向かった。

 

「改めて紹介しよう。我がパーティ『KINGS(キングス)』のシールダー、シグマ・マスタングだ」

「キルロンド学寮二年Aクラス、シグマだ。よろしく頼む」


 シグマは貴族院出身だが、ガタイのいい肉体と全員にがっしり握手を交わす性格から、生真面目さが伺えた。


「次に、ヒーラーのファイ・ソルファだ」

「一年Dクラスです……。よ、よろしくお願いします……」


 ファイは、その場で小さくコクリと頷いた。


「んじゃあ俺ら『DIVERSITY』は…………」

「不要だ」

「あ……?」


 こんな、ピリピリとしたやり取りでヒノトはレオを睨み付けたが、リオンからどおどおと制された。


「今から、二人の岩魔法で私に岩シールドを展開させる。貴様は、何をしてでもそれを破壊しろ。以上だ」

「はっ、ンなもん簡単にやってやるわ」


    *


 しかし、それから何度斬り掛かっても、仁王立ちで構えるレオのシールドを破壊することは出来なかった。


「ハァハァ……俺にも魔法が使えたら……」

「意気込んでいた割には全然ダメだな。リオン、私に向けて本気で水放銃魔法を放ってみろ」

「い、いいのか……? 一応、レオには敵わないかも知れないが、俺も王族の魔力だぞ……?」

「いいから、やれ」


 -水放銃魔法・水針-


 ビィン…………


 変な音がしたが、やはりシールドの破壊までは至らなかった。しかし、レオは少し意外そうな顔を浮かべた。


「やはり、愚兄ではあるがちゃんと王族の魔力だな。音が鳴ったのは、()()()()()()()()()()()()だ。逆に言えば、貴様はそこにすら到達できていないことになる」

「んじゃあ、ブレイバーゲームはチーム対抗戦なんだし、シールドはリオンとリリムで破壊すればいいんじゃねぇか……?」

「その通りだ。チーム対抗戦である以上、現時点で貴様らにできる連携はそうなるだろうな」

「じゃあ…………」


 今までの鍛錬は何だったんだ、そう聞く前に、レオは言葉を続けた。


「――――だが、四人中の二人をシールドの破壊に割き、貴様は前衛として突撃する。しかし、相手は()()()()()()()()()()()()に過ぎない。残りの貴様のパーティは、シールダーとソードマン。相手陣営に乗り込むなら、シールド一枚の貴様VS四人、と言うことになる」


 その言葉に、レオとの思考の差に唖然する。


「つまり、圧倒的なシールドの前では、遠距離支援は必須かも知れないが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う話だ。それが前衛である、我々ソードマンの最初の役目だ」

「でも……俺には魔法が……」


 しかし、ヒノトは言い切る前に歯を食いしばる。レオは、項垂れるヒノトを黙って見下ろした。


「レオ……もう一度、シールドを張ってくれ……!」


 レオは何も答えず、合図を送った。


「シグマ、ファイ、頼む」


 そして、再び二重のシールドがレオに張られる。


(シールドは前衛がこじ開ける……ね……)


 ヒノトは、ニシっと笑みを浮かべた。その笑みに、自然とレオも笑みを浮かべる。


「アドバイス、素直にありがとうっつっとくぜ、レオ……! でも、これでもうお前のパーティにだって勝っちまうからな……!!」


 その言葉に、レオも今度は剣を構える。


 ボン!!


「んむ!!」


 ヒノトは、レオの眼前で剣を口に咥えた。


「えっ!?」


 見ている全員が口を揃えて声を荒げた。


 ボン!!


 右手をシールドに当てると、ヒノトは大きな音で魔力を暴発させる。しかし、破壊には至らないどころか、暴発の勢いでヒノトがその場から吹き飛んだ。


 ボン!!


 吹き飛んだ態勢から右足で暴発。


 ボン!!


 再び、左手から魔力を暴発。


 ビィン…………


「鳴ったぞ!!」


 しかし、またしてもヒノトの身体は吹き飛び、今度は左足で魔力の暴発をさせた。


「喰らえ……!」


 最後、剣を手に持ち替え、剣に魔力を溜める。レオも、ヒシヒシと割れそうなシールドを前に、剣を構えてニタリと笑みを浮かべる。


 ボン!! ――――ガシャン!!


 砂煙漂う中、二人が立っている姿が見える。


「シールドは……?」

「あ……えっと……」


 シールドは、破壊されておらず、そこには、ヒノトの剣が砕け落ちていた。


「魔力の暴発に耐えられなかったっぽいです……」


 全員、ポカンと呆然とした顔を浮かべる。


「解散だ」


 ただ一人、レオは早々に剣を鞘に納めた。


「ちょ、ちょっと待ってくれよ、レオ!! 剣! 剣貸してくれ! 古い剣だったんだよ!!」


 ヒノトは必死に懇願するが、レオは無視を決め込み、他の面々を帰宅させ、ヒノトも渋々帰路へ着かせた。


「な、なあ、レオ……。最後のヒノトくん……」


 恐る恐る、リオンはレオに話し掛ける。普段であれば、リオンの言葉は無視されるはずだった。


「ああ、合計二発の魔力暴発。そこには、自身の肉体へ相当の負荷が掛かっているだろうが、それでも、事実として()()()()()()()()()()を発揮した。もし、奴が()()()()()()()()()()()()()()()と出会ったら……」


 そう言うと、またもニタリと笑った。


「ふっ、まああんな魔力の暴発なんかに耐えられる剣、存在するはずがないがな」


 そして、レオは自室へと戻って行った。


(戦闘であんなに楽しそうなレオは久々に見た……。ヒノトくんの戦い方が特殊なのもあるけど、やはり、先日のライバルという発言や、常に対等として足掻き続ける姿に、レオも認めざるを得ないのかも知れない……)


 そうして一人でニコッと笑うと、リオンも自室へと戻って行った。

 帰り道の寮の前で、不貞腐れるヒノトを、リリムとグラムの二人で慰めていた。


「はぁー、もう少しで破壊できたのになぁ……。アイツに勝てたのになぁー!!」

「確かに……。教えると言った割には、破壊させる前に帰すなんて……何を考えてるのかしら……」


 リリムが考え込む中、グラムが言葉を加えた。


()()()()()()を越えたんじゃないのか?」

「レオの期待値?」

「レオのシールドは、貴族院のシグマとファイの岩シールドの二重になっていて、王族の魔力を持つリオンでさえ破壊することは出来なかった」

「つまり……ハナから破壊を目的とはせず、『リオンのレベルを目指せ』ってことを伝えたかった……?」

「その可能性はあり得るだろう。本来、岩属性を二人も採用し、あそこまで強固な『岩Ⅱ不随魔法』まで発動させるパーティはそうは居ない。レオのパーティのシールドは、一人で破壊できなくて当然なんだ。それを、『破壊してみせろ』と煽り、王族の魔力であるリオンのレベルまでヒノトの地力を引き上げた」

「確かに、それなら納得が行く……と言うか、私たち以上にヒノトの性格を熟知した計算で、むしろ腹立ってきたんだけど……!」

「レオはやはり、小手先だけで神童と呼ばれているわけではない。剣術、魔力、そして知力までもを駆使して、その名を背負っているのだろう」


 いつまでも「もう少しで……」と言っているヒノトの頭を叩き、リリムはシャンと立たせた。


「ヒノト、よく聞いて。私、この学寮に入学する前、街外れの魔法学校に通ってたの。そこでは自分でも言いたくないけど、一応魔王の娘だし、他は平民の子しか居なかったから、群を抜いて魔力量は常に一番高かった」


 ヒノトの肩を掴みながら、リリムは俯く。


「でも、ここに来て初めて……レオに負けたの……。王族の魔力量は凄いって知ってたけど、私の魔力量はやっぱり貴族院の人たちよりも群を抜いて優ってた。それでも、レオには及ばなかった」

「リ、リリムが魔力量で劣ってんのか……?」

「そうよ。学年二位。学寮全体で四位よ……」

「リリムが……四位……!?」

「魔族だとか関係ない。上には上がいるんだって思った。だからこそ、昔の私は、ヒノトはいつも何を言ってるんだろうって思ってた。でも――――」


 いつになく、リリムは真剣な顔でヒノトに向き合う。


「でも、仲間がいればそんなの関係ない……!」


 ゴクリとヒノトは息を呑む。


「そう教えてくれたのは、アンタだから……」

「そうだな……。へっへっへ、負ける気がしねぇ。レオのパーティも風紀委員も、まとめて俺たちがぶっ倒すぞ!」


 そうして、三人は拳を合わせた。

○DIVERSITY

ヒノト・グレイマン:ソードマン

リリム・サトゥヌシア:闇魔法

グラム・ディオール:岩属性/シールダー

リオン・キルロンド:水属性/ガンナー


○風紀委員

リゲル・スコーン:炎属性/ソードマン(炎魔剣)

カナリア・アストレア:雷属性/ウィザード(洗脳魔法)


○王子レオ パーティ

レオ・キルロンド:雷属性/ソードマン

ファイ・ソルファ:岩属性/ヒーラー

シグマ・マスタング:岩属性/シールダー

ルーク:ウィザード


◇剣術魔法

 雷鳴剣術魔法:レオが鍛錬により開発した独自の剣術魔法。

 炎魔剣術魔法:義賊スコーンにより継いだ魔族の力が込められた剣術魔法。


◎自然界の恩恵

 ・岩Ⅱ不随魔法:岩属性が二人同時に魔法が発動中、シールドが張られている味方の『シールド値』及び『攻撃力』が増加する。

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