第四話 修復
僕は泣いていました。何故なら僕のお気に入りのフィギュア「魔法インド少女ナマステ」が彼女に踏まれ、右腕の駆動部分が折れていたからです。これでは、「全身完全駆動あんなポーズもこんな破廉恥なポーズも思いのまま!」バージョンの意味が無いじゃないですか。
シクシクと泣き続ける僕に、彼女の良心が痛んだのでしょうか。やれやれと言った感じで溜息をつき頭を掻き毟りながら、
「直してやるから、ソレをよこしな」
と手を差し伸べて来ました。
見ると、彼女の手には瞬間接着剤があるではありませんか! これなら、ここの折れた部分も修復出来ます。そして、僕と彼女の関係も……。
僕は、満面の笑みを浮かべ彼女にフィギュアを渡しました。
すると、彼女の顔が邪悪に歪みました。その顔を見た僕は、背筋に冷たいものが走り嫌な予感が頭を過ぎりました。そして、それは現実となります。彼女が、おもむろに駆動部分に接着剤を流し込んだかと思うと、他の壊れていない箇所にも接着剤を塗り始めたのです。
「ホラよ、治ったぜ」
一分後。そう言って投げ渡された「魔法インド少女ナマステ」は、足が頭の後ろにあり、手が変な方向へ向いていました。僕がいくら動かそうとしてもビクともしません。その姿はヨガを極めたダルシムにそっくりでした。
僕の彼女はドSです。