君だけの話じゃないんだ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
猛烈に、『梅香の君』のお名前を決定した時のことを思い出したんです。
私の好きな作家の方針に『人と群れない』という物が存在する。全くもってその通り。人の輪に入った途端、自分の個性が失われてしまう私には、これ以上ない程に的確な言葉だった。
だから何時も一人て過ごす。あんまり誰かを誘いたくない。私という意見を自分で消してしまうから。意志の弱さ故に、私は孤独を選び続ける。
「……売れる為に、貴方様の力をお借りする訳には参りません」
此処を訪れた彼女は口を真一文字に引き結び、そう言った。抱えた原稿用紙に皺が寄る程強く抱き締めて、俯く姿は何かに怯えながらも戦っている様だった。
勝負は公正な勝負。ズルは嫌い。自分の力だけでのし上がりたい。それは彼女の精神的な思考や、我を通した様な話からも見て取れる。
「それは売名って事? 骨のない話を書いても、売れさせる事が気に入らないの?」
顎の傾斜角度が僅かに変わる。では、此方も提案を変えて。
「じゃあ、私が助言をするのは許してくれる? 選ぶ単語、作文方法、物語の構成方法、何もとやかく指摘する訳じゃない。分からないところは分からない、合ってないところは合ってないと指摘するだけ。どうかな?」
そう言うと、顔を上げて目を輝かせた。それなら是非お願いしたいと、顔に書いてある。
それが全てのきっかけだった気がする。
「あの子は傲慢だよ。まぁ、傲慢にも色んな種類があるけれど、あの子の場合は神様のに近い。誰にも尾っぽを振らない。媚も売らない。ただ堅実に自分が良いと思ったものだけを作り上げる。人の助言なんざ聞きやしない。頑固なラーメン屋の親父さんにも似てるかな。『口に合わないなら食べなくて良い』そう言うタイプ」
「読者を作者が選ぶ方ですね」
「ふふふ。だから傲慢なんだよ。すぐ他人の意見を優先して、何も言えない程気が弱い子だけど、作品を見れば一目瞭然。本当に傲慢だし、頑固だよ。でもだから、耳を傾けなくてはならない」
何かを書く時に、売れる為に誰の力も頼らないとそう決めたのだ。だから流行りに乗らないし、乗るつもりもない。きっとこれからもそうだと思う。それはある意味、傲慢と言えるだろう。
でも……でも……。
「貴方様の元へ来て、何回目になりますでしょうか?」
「さぁ? 数えた事ないもの」
ニコニコと微笑みを浮かべながらの裏を返せば『もう数え切れないほど来ているよ』という事でもある。
「私は一人で作品を完成させるつもりでした。文字選びから、文章構成、物語の結末に至るまで、流行りに乗らず、我流で延々と書いて来ました。誰の力も頼っていないつもりでした。
でも……ずっと貴方様が傍に要らして、ずっと細かく助言を下さって、それで完成したんです。私だけの作品では無くなってしまいました」
「昔の君は今よりも凄く傲慢だった。孤独好きだし、人の話は聞かないし、我を通すし。でも、最近はちょっとずつ、人の話を聞くようになった。それはとても良い傾向だと思うけどね」
私に古参なぞ居るはずがない。
(結構覇気を持って叫んでます)
という訳で、結構前の話をさせて下さい。
『梅香の君 』って仮名、二度目なんですよ。
最初は『飛梅様』だったんです。
某漫画の○○○ペディア見ていて、『飛んで行った~』という一文から決めたんです。
そのままなので、後から全速力で変えたのが、『梅香る麗人』略して『梅香の君』。
まぁ、縁とゆかりがある場所のお名前まんまなんで、流石にこれ以上変えるのは失礼なのでそのまま通してます。
それまでは、私だけの力で全て決めて、書いていると思っていたんです。
流行りに乗った事は二、三度。誰の意見も聞かない。本当に絵面最悪なんですが『読者を選定する』様なものばかり書いてます。本当に傲慢なんですよ。
※ご不快に思われたら大変申し訳御座いません。
でも、何処かしらで誰かの手は加えられていると思うし、自分だけで全て決定しているという訳でもないと思うんですよ。
飛梅様、梅香の君 というお名前が良い例で。
そんなしみじみした気持ちを未だに持ってます。
明日は何を書きましょうか。