深海魚になった魚
重苦しい
辛い
ここは真っ暗だ
いつの間に、こんな所へ来たのか分からない
理由も原因も沢山ありすぎて、もう分からない
何も見えないけど、ささやきが聞こえてくる
こんな所はイヤだ
昔のように光の当たる場所へ戻りたい
苦しいのも辛いのもイヤだ
誰か助けてくれ
ささやきは、いくつもいくつもあった
でも、何も言わない不可思議な雰囲気の魚もいた
ささやきは、ひとつ、またひとつと消えていった
誰かに釣られていってしまったのだ
いや
自ら釣られにいったのか
“誰か”を待ち続け、滅多に来ない美味しそうなエサに釣られて
でも、殆どは途中で堕ちてきた
深海から急激に引き上げられたらどうなるか
再び堕ちてきた魚達は、瀕死の状態だった
それなのに、また釣られにいく
自分の状態を無視して「~したい、~したい」という欲求の塊になっている
死体になるまで繰り返すのだろうか
めでたく光の当たる場所へたどり着いたとしても、死体では意味がないのに
私は?
私は、釣られて痛い思いをするのはイヤだ
死体になるまで「~したい」という欲求の塊にもなりたくない
でも、まだここを離れられない気がする
ここはどん底
ここ以下の底はない
自ら穴を掘らない限り
終着地に堕ちたのだから、足掻くことはない
本当は“自由”なのに
本当は“不自由”
光の当たる場所も
本当は“自由”なのに
本当は“不自由”
何処に居ても同じ
ここはどん底
光の当たる場所から、ゆっくりゆっくり時間をかけて堕ちてきた
だから生きていられる
上がりたいのなら、同じ時間をかけてゆっくりゆっくり自分で上がるしかない
ここはどん底
“気力”と“体力”を蓄えて“きっかけ”を待つ場所
何も言わない魚達の中には“きっかけ”を待っているものもいるけど、中には“ここを安住の地”としたものもいる
私は?