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チュートリアル用チョロイン幼馴染に転生してしまった  作者: 水性さん
学校編 1年目!!!
43/52

お手本!!!



ヒエリカに居た時の話。


これは"やべぇヤツが現れた!!!"という回の冒頭に繋がるシーンまでを書いたもの。


ほとんど授業の話とか、ノエルさんが人から戦い方を教えてもらうシーン無いから、今更ながらに書いちゃおっかなって。





「なーなーノエル、ショッピングデートしよー!  俺荷物持つからさ~!」


ここ(ヒエリカ)に来た理由、そうじゃないでしょ」



「えー、俺デートしたい」



 ホテルで記念写真を撮った後、ノエルはショッピングストリートで魔力補給用の甘い焼き菓子を手にレジへ並ぶ。



「あくまで私が強くなる為に来たんだから。それに昨日の夜したでしょ」


「朝とか昼はしてないじゃんかぁ~」



「だから遊びに来たんじゃないんだってば」

 


 ブーブー文句を垂れるレイゼルを途中から無視し、ウォールマ○アのごとく高い壁の外側に出られる門を目指してノエルは歩いていると……どこからか「エルきゅ~~~~ん!!」という声が聞こえてきた。



「えっ、おばあちゃん!? でも何処に?」



 ノエリアも普段から魔力を外に出さないようにしている為、ノエルはキョロキョロと周りを見て、198cmの乙女を探す。



「レイきゅ~~~~ん!!」


「あっ、居た」


「え、どこに居たの?」



 だが、あの分かりやすい巨体が中々見つけられない事にノエルは段々と混乱していく中、レイゼルの方が早く見つけられたのである。



「こっち」



 未だに見つけられないノエルにレイゼルは不意打ちで顎クイをすると、不満気な顔をしてノエルはレイゼルを見つめる。



「ちょっとやめて、レイゼルにされるのはなんだか癪に障るから。教えてくれたのは別にいいけど、それなら普通に上って言って欲しかった」


「何で!?  いいじゃんか、俺イケメンだし!! 恋人だし!! やっても許されるだろ!?」



「許されるけど似合わないよ、そういうの」


「え〜……」



「お父さんみたいなタイプが一番似合うんだよ、こういうのは。しかも自然にするからね、いつも」


「あー……確かに」



 ノエルに言われてレイゼルは納得し、入学前のヴェリカ家での日常を思い出す。


 あの罪深いノルトは天然で、イケメンにしか許されない、少女漫画とか乙女ゲームとかに居る顔が良い男の行動(顎クイ、壁ドン、お姫様抱っこ、自然なボディタッチ、スキンシップ、顔と距離が近い(後の2つは家族限定))をフルコンプしているのだ。


 例えばノエルが歯を磨いた後には必ずノルトはしっかりと磨けているかチェックしていたのだが、その時に自分がよく見えるように顎クイをして確認。


 外で沢山遊んでご飯を食べて眠くなり、そのままテーブルで寝かけているロリノエルをお姫様抱っこで抱えると、ノエルのベッドに寝かせる。その後にノルトはノエルが寝て魔力を感じるようになるまでじっとノエルの寝顔を観察し、寝た後は頭をナデナデして愛おしそうな顔をして「愛してる」と言った後、頬にキスをする。


 ロリノエルがご飯中に唐突に「ノイ兄っていうお兄ちゃん枠が居るからお兄ちゃんは別にいいけど、お姉ちゃんは居ないからお姉ちゃんが欲しい」と珍しく実現不可能なワガママを言った時、無理だと言ってもノエルが「でもお姉ちゃん欲しい、空から降って落ちてこないかな。可愛くてスタイル良くて、優しいお姉ちゃんが欲しい」とか言って食事を中断するので、ノルトがノエルのハンバーグを1口サイズに切ってフォークに刺すと「それ以上ワガママを言うのなら、その口を塞ぐぞ」(ハンバーグで)と言う。


 マリエッタが出かける時、大体忘れ物をしかけるので、引き止める為に壁ドン。


 どれもこれも、イケメンにしか許されないものである。とはいえあの父親と比べられたら、どんな男も似合わないのが大半だが。



「エルきゅん、レイきゅん! 昨日の夜ぶりね~~っ♡」



 そして空から自由落下してきたノエリアが着地すると、すぐさまノエルとレイゼルを一緒に抱きしめる。



「2人が外に出るまでずっと仕事して待ってたのよ!」


「って事は昨日徹夜だったんだね」



「違うわ、普通に30時間労働よ」


「おばあちゃん休んで、お願い」



 ガチめに心配する長時間労働にノエルは「ブラック過ぎない??」と思いながらも、気になっていた事を質問する事にした。



「ところでおばあちゃん、どうして空から落ちてきたの?」


「それはねぇ、昨日襲ってきた大物魔獣の雷魔法(レネダ)で国全体を覆っていた物理障壁(フィジゾーン)魔法障壁(カルゾーン)が割れちゃったでしょう?  だからちょっと破れちゃった障子戸を貼り直す作業みたいに張り直してたのよ~! エルきゅんを見つけたし、丁度終わったからお話したくって!」


 そんな風に言っているが、本当のところは丁度仕事が終わったのではなく、孫パワーで終わらせたのだが。



「えっ、こんな大きな壁をおばあちゃん1人で?  しかもこれドーム型じゃないよね??  普通にものすごく高い壁だよね、先が見えないけど……」


「魔獣が活動できる高さは突破してるわ」



「(つまり大気圏越え!?  おばあちゃん生身で宇宙行ったの!? しかもそこから私が見えたって、どんな視力を!? というかもしその高さで落ちたら燃えるよね!? いや、それよりも紫外線とか色々大丈夫!? 何で平気そうなの!? いや魔法で何とかしたんだろうけども!!)」


「本当に身体能力強化(フィリン)って便利よね~」


「(あれ使ったらめっちゃ体バッキバキで超いてぇ筋肉痛みたいになるんだよなー……。流石歴代皇帝の中でも圧倒的にフィジカルが強い皇帝って噂の義祖母(ばあ)ちゃん(♂)だ……。確か185cm前後の義父(おとう)さんより背も体格もデカイだけあるよな……)」



 レイゼルは雄っぱいを押し付けられながら考えて、三世代の体格を頭の中で比較する。



「(皇族の女の子は皆ツルペタボディでちっちゃくて華奢だけど、確か男はめっちゃ背が高くて女子が喜ぶ細マッチョイケメンになるんだよな……。男女での差が激し過ぎるだろ、まぁ男女で防御力と素早さに差はあっても物理的な力とか体力の差は無いらしいけどさ……)」



 ノエルの小さくて細い体の何処に筋肉があるのだろうか。レイゼルは改めて思う。



「それで、今日はエルきゅんが強くなりたくてここに来たのよね?」


「う、うん……おばあちゃん、苦しい……」



「あらごめんなさい、あたしったらつい! 可愛さのあまりに思わず孫をギュッてして窒息させるところだったわ!!」



 ノエリアは二人を離すと、今更ながらにハッとする。



「ってやだ、あたしずっと働いててそういえばお風呂入ってなかったわ!! ごめんなさい、汚かったわよね!?  あ、匂いとかも強くて臭くなってない!?」


「大丈夫だよ、全然(にお)ってないから。というか、むしろいい匂いがするよ? 香水か何か使ってるの?」



「何も使ってないわよ?」


「えっ!?


(何もしてないのにそんな匂いするの……?? 人の体の匂いって言うより、花みたいな……ラベンダー的な匂いするよ? それにおばあちゃんは50代なのに、全然加齢臭とかしないし。お父さんもいい匂いするし安心する匂いだけど、もしかして今まで私が洗剤とか柔軟剤の匂いかと思ってたフローラルな匂いって、まさかお父さんの元々の匂いだったりしないよね……??  人がしていい匂いじゃない……)」


「ノエルも汗かくと香水使ってないのに薔薇みたいな甘い良い匂いしてるよな」



「……それはレイゼルが私の匂いをそういうふうに感じる特殊な嗅覚だからとかじゃないの?」


「あら、レイきゅんが言っていることは本当よ?」



「!???」



 ノエルは初めて知った衝撃的事実に目を見開いて固まっていると、ノエリアはノエルとレイゼルを連れて平原に向かう。



「さ、早速平原で害獣を駆除しに行きましょ! やっぱり実戦に勝るものは無いわ!」


「そうだけども、おばあちゃんはそろそろ休んで。お願い、凄く心配になるから」



「大丈夫よ、エルきゅんとレイきゅんでしか摂取できない栄養素で今は元気だから」


「(それ空元気とかじゃないよね……本当に大丈夫かな)」



 ノエルはそう心配していると、ヒエリカ国民達が何やらさっきからノエリアと自分を見ている事に気が付いた。すると2人の女性がノエリアに話しかける。



「ノ、ノエリア様!」


「ハート作ってください!」


「いいわよ~! はい」



 するとノエリアは女性2人に投げキッスをして、ハートのエフェクトをわざわざ魔力を消費してセルフでかけていた。


 そのハートが2人に飛んでいくと、ハートが結晶化し人工魔石となる。



「キャァァァッ!!」


「ありがとうございます、家宝にします!!」


「是非そうして頂戴、でも生活に困ってたりお金が欲しかったら遠慮なく売っていいわよ~」


「(おばあちゃんって、アイドルか何かやってたの……?)」



 まさにその通り、国の皇帝(アイドル)である。



「推しからのプレゼントを売るだなんて、極刑を受けた方がいいレベルの行いですよ。貴方様公認だったとしても、絶対に売りません」


「それなら臓器売ります」


「やめなさい、補助金あげるから」



 ガチトーンで言っている国民に同じくガチトーンでノエリアは答えると、3人で平原に向かう。



「今日もお疲れ様~、今度バズってた有名なロールアイス一緒に食べましょ!」


「え、は??  好き……仕事頑張りゅ……」



 その途中、国の門番とすれ違い樣にノエリアはそう言ってファンサするとクーポン券を渡し、二人を連れて皇族のみ開けられる豪華な造りの大きな門から平原まで歩いていった。



「今日もいい天気ね~、絶好の魔獣狩り日和だわ!」


「おばあちゃん、今日は曇りだけど……」



「まあ、そうね。でも、あたしが言っているのはそういう事じゃないのよ。太陽の光って熱を持っているから、晴れていたら戦っている時に暑くて仕方ないでしょ?」


「あ、それでいい天気(・・・・)なんだ」



 ノエルは納得すると、数km先に闊歩する魔獣達を発見する。



「早速あそこらへんに居るね、でも門の近くには寄って来ないんだ……」


「えぇ、アーティファクトで光魔法の力を発しているから来ないのよ」



「……えっ?  光魔法を??」


「えぇ、光魔法の使える魔石を解析して、何とかアーティファクトで使えるようにしたの♡」



 光魔法とは、聖力を模した魔法である。元々感情を持っていなかった概念の神が感情を得た際、聖力に置き換わる魔法という力を使えるようになり、聖力に最も近い魔法として編み出したものが光魔法だ。


 その為光魔法は非常に行使する事が難しく、聖力を使う時の感覚と光魔法を使う時の感覚は非常に似ている上、光魔法の方が難しいので基本的に聖力が使える人間くらいにしか光魔法を使えないのである。



「(流石ヒエリカ、ヒエリカの魔法科学力は世界一ィ!! って、世界中に言われる程の技術力……すごい)」


「ある程度離れると襲ってくるし、強い魔獣ほど光魔法の力に耐えられるから、もし外に用があったら気をつけて」


「分かった!」



 元気よくレイゼルが返事をした後、ノエリアは2人の手を離すと転移魔法(ムーヴィ)で大剣を武器庫から取り出す。なんだか某狩りゲーに出てくる炎属性な古龍の武器に似たデザインである。



「いい? 2人とも、戦いはフィジカルがものを言うの! 筋肉しか勝たないわ! 筋肉が全てを解決するのよ!!」


「(言ってる事は合ってるけど、ふつーに脳筋だなー……)」

「(言ってる事は合っているけれども発想と発言が脳筋すぎるよ、おばあちゃん!!)」


「陛──ノエリア様ーッ!! カメラ目線お願いしますッ!! 今日も貴方は輝いておられますよーーッ!!!!」



「おじいちゃん!?」


「いつの間に……俺も全然気づかなかったんだけど」



 ノエリアが大剣を手に持つと、いつの間にか高そうなカメラを持っているセバスチャンが現れ、ノエリアを五月蝿く撮り始める。



「もうセバスチャンったら、当然じゃない! やっぱり? 滲み出るオーラとかから違うのかしらね~! それに物理的にもにもあたしったら輝いてるじゃない? 髪とか、この美貌とか! あっ、セバスチャン、コメント欄はどうなってるのかしら」


「今日も自分に自信しかなくて尊いと大変喜んでおられます」



「あらもうやだー! もっとファンサしちゃおうかしら!」



 そしてノエリアはカメラ越しにコメント欄に書かれたファンサをしており、その間ノエルとレイゼルは「(この人アイドル兼Y○uTuberか何かだったのか……)」と、似たような事を揃って思いながら背景と化していた。


 一通りファンサをしたところで、魔獣に向き直るとノエリアはお仕事モードに入る。普段のフレンドリーの塊な様子が鳴りを潜める。



「エルきゅん」


「何おばあちゃん」



「戦う時は絶対に魔力を使い切っちゃダメよ。あたし達一族はね、魔法に頼り過ぎると体力が無くなるの。だからどうしても使わないと勝てない状況の時、使っていいのは──」



 一気に集中した表情と日本刀のような鋭い雰囲気になり、まるで別人のよう。大剣を持って魔獣達の群れへ走っていくと一瞬で距離を詰める。



身体能力強化(フィリン)だけよ!!」



 そして一振で群れを両断し、斬られた魔獣は魔法剣の力によって爆散し、ノエリアは全て一掃した。



「一瞬だぁ……」


「すげー!」






「セバスチャンどう!? カッコよく撮れてるかしら!?」


「完璧です」



「流石あたし!」



 それからというものの、ノエリアは魔獣を見つけてはお手本とばかりに一時間近く魔獣達を斬っては爆散させ、後は実戦で頑張れという激励をノエルに送ると、ノエリアは風呂に入った後でスヤァ……と深い眠りにつくのであった。

 

 



よくヴェリカ家に来るおばあちゃんですが、実は普段から夜勤とかしてて、あんまり寝れてない事が多いおばあちゃんです。



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