転生したので○○したい!!!
とある転生したての人(一部人じゃない者)達。
なんかエマッマがアウトな事を言ってらっしゃるが、いつものことである。だからセーフセーフ。
吾輩は人間である、名前はエルマー。
……多少ふざけて自己紹介をしてみたものの、前世はただの非モテなぼっち系引きこもりゲーオタ。その頃の話を思い出すと涙が出てきそうなので、そこら辺の記憶は忘れたい。というか忘れろ、僕は今を生きるんだ。
なんたって、ポ○モンで言う所の600どころか700族いってそうな父親から産まれたんだ。親ガチャSSRを引き当てた僕の新しい人生、ヌルゲーに違いない。
それなら、常人よりもこの体は誰よりも早くできるようになることが早い筈。
そう考えて、僕は人生RTAの完走をする事にした。人間の赤ちゃんは頑張ればはどこまで早く、立ったり喋ったりできるようになるのかを試す事にした。
とはいえ今の僕は何も出来ない……そもそも筋力が無くて、寝返りすらもできない。その為に僕は日々、筋肉を鍛える為に自分でガラガラを持って振り回していた。
それにガラガラっていい音するし、落ち着くから気に入っているんだ。
「んぶー!」
それと同時に発声練習もするぞ、やっぱり物事は同時進行した方が効率的だし。……あっ、それができなくて怒られてきた前世を思い出してきた。うわ、辛い泣きそう……赤ちゃんだから涙腺緩いんだった。ダレカタスケテ……あと筋肉痛が痛い。
あ、今頭痛が痛いと似たような事を思ってしまった。これだから前世でいつも馬鹿だって馬鹿にされてたんだぞ僕……。
「ふぐぅ……うっ」
……ん? 2階から怒鳴り声と鈍い音がしてきたな、どうやら僕の姉さんが降りてきたみたいだ。
僕の姉であるノエルが真っ先に僕の元にやってくると、目元以外は父さんにそっくりな姉さんは表情を綻ばせる。
「おはようエルマー、今日もぷにぷにで可愛いね~♡」
「だ──っ!」
ウワ──────ッ!! 姉さん圧倒的美少女すぎて魂浄化される────────!! この家の子供に産まれてよかった!!!
僕は本気でそう思いながら、ほっぺたをモチモチしてくる姉さんに幸せを噛み締めた。シスコンだのという声が聞こえてきそうだけど、美少女が姉で自分にデレデレだったら皆こうなる。
僕はそう断言する、今鼻で笑ったヤツが居たとしたらぶん殴る。
「ルト……は、やっぱりまだ寝てるね」
あぁ、ちなみに僕には双子の姉が居る。何故かこの片割れはいつも寝ているので、弟らしく僕が構ってやろうとしても寝ているからかそれらしい事ができない。……別に寂しくはないよ、うん。
「ノエルー、俺のもぷにぷにだぞ? 触り放題だぞー! ほら!」
するといつの間にか居た、姉さんのド変態セクハラマゾストーカー野郎が何故か僕に張り合うようにして言ってくる。おい変態、僕の姉さんに近寄るな。蹴り飛ばすぞ、今はできないけど。
「要らない」
「やだ! エルマーだけずるい!! 俺にもやって!!」
オマケに駄々っ子と来た、ホントにコイツあの勇者? RPGに出てくる、あの? 鳥○明デザインの勇者達と同じ、あの勇者?
全ての勇者に謝れ、ド変態。あっ、もちろんな○う系に出てくるクズ系勇者以外で。
「エルマー、この勇者うるさいね~」
「あー!」
そうだね、姉さん! そのセクハラ大魔王は地中深くにでも埋めて封印した方がいいと思うよ!
「そんな事しても、多分この変態は這い上がってでも出て来るよ……」
心の中を読まれた、だと……。姉さんは超能力者か何かか!? それにしてもそう言ってる時の目がなんか、悟った目をしてる。
姉さん、元気を出して。もしこの変態がやらかした時には僕がそいつを殺すから! 姉さんを悲しませる奴は一匹残らず駆逐してやるから安心して!
「えっ、何の話? よく分かんないけど……。俺はノエルが火の中水の中草の中森の中土の中でも浴槽の中でもベッドの中でも何処に居ようと……絶対に駆けつけてずっとノエルの傍に居るからな♡ そしたら、いつかは子作りを前提に結婚……うへ、ふへ、ふへへぇ……♡」
「うぁいぉ……(うわキッショ……)」
絶対に認めないぞ、こんな気色悪い奴が僕の義兄になるかもしれないなんて!! 姉さんから離れろ、変態野郎!! そう、イケメンで強くて優しくて、男も惚れさせてそうな父さんくらいになって出直してこい!!
「エルマーも嫌だよね、こんなに気色悪くて誰からも尊敬されなさそうな勇者は」
「んっ……♡」
ドン引きした姉さんに罵倒されて勃起してる……うわ。
そんな感じで僕は日々ガラガラを振る筋トレをして過ごしていたけれども、姉さんはあの変態野郎と一緒に全寮制の学校に行ってしまった。制服を着て褒めれるのに照れていた姉さんはとても可愛かったな。
でも……姉さんに会いたい、姉さんに会いたい!! 会わせろ!!!
僕は滅多な事じゃ泣かないけど()姉さんが行ってしまった日から僕は寂しさのあまり、泣くようになった。
「びぇぇぇぇぇぇえええん!!」
シスコンだとか言われそうだけど、ツンデレ美少女が自分にだけデレデレなんだ。ならないわけが無い。
だけどそんな僕以上に姉さんが行ってしまって、ショックを受けている人物が居る。
「エルマー、また泣いているのか。泣いた所でノエルはウィンターホリデーまで帰ってこないぞ……」
そう言ながら、僕の父親である父さんことノルトが……自分でそう言って精神的なダメージを受けていた。姉さんが学校に行ってから、父さんは毎日少しずつ普段の覇気というか、気力のような物がなくなっていくようになった。
見送る時は普通そうだったのに、今じゃこのザマだ……本当は行って欲しくなかったんだなぁ。……もし、もしもだけど姉さんがあの変態に嫁いだら父さんは一体どうなるんだ?
あの祖父……祖母? みたいに、いきなり家に凸って様子を見に来たりするのかな……。うん、きっとそうに違いない。
……そう、思っていたある日。居なくなってしまった姉さんの代わりなのか、新しい家族がやって来た。
「あなたったらこんなに可愛い子を拉致してきたのね♡」
「違う、仕事中に勝手に着いてきたから仕方なく連れて帰ってきたんだ。俺が犬派なのは知っているだろう? ……名前はエルだ」
そう言いながら、父さんはしっかりとフワフワもふもふ、ぱやぱやな長毛種っぽくて白くて目が緑色の子猫を連れて来た。父さん、もう名前付けたんだ……飼う気満々じゃないか。それにしっかりと抱き上げてるし。
それにしても、なんか……聞いた事があるな。一番最初にノを付けたら……誰かととても似た名前になる気がするな。それに見た目の色が誰かさんにそっくりだし。
そしてエルが家に来てから1ヶ月後……見事に家の中は猫グッズが増えていった。それらのグッズを持って帰ってくるのはもちろん、父さん。……猫の沼に落ちたね、これは。早く僕もエルに触りたい。
モフモフしてぷにぷにしたい。
その為にも、まずはハイハイができるようになるまで筋トレをしなくては!! 僕もモフりたい!! 肉球ぷにりたい!!!
ぷにぷにしたい!!!!!
「んだ──っ!!」
「エルマー、エルが来てからすっかり元気になったわね~♡」
~・~・~
転生したらつよつよハイフルスペック皇女だったんだが
~男にモテるけど俺はかわいい女の子とイチャイチャハッピーライフがしたいんだ~
もし俺がラノベの主人公だったなら、恐らくこんな感じのクソ長タイトルがでっかく付けられているんだろう。
……TSモノは好きだが、俺がTS転生する趣味はねぇぞ。
今じゃこういうネタは擦られ過ぎて、中身がぶっ飛んでて面白くないと読まれない時代だ。
だとしたら、俺の物語は読まれない運命なんだろう。在り来りすぎるしな。前世が消防士の男って、それ誰得だ? それにきっとこの物語は読まれない方がいい、それでもまぁ読まれるとしたら……。
『今日、お前は主人である俺に対し、身の程を弁えない行為をした回数を覚えているか?』
『わ、分かりましぇん……♡』
『6回だ、雌豚が』
ピシィッ
『あ゛っ♡』
『まさか、自分が何をしたのか分からないとは言わないだろうな?』
『ご、ご主人しゃまのお飲み物とお食事にお○んぽ様が元気になる薬を混ぜましたぁ♡』
『水筒だけではなく、弁当の卵焼きにも混ぜただろう』
『はひ♡♡お願いしましゅ、ご主人様のお○んぽ様で──』
ピシンッ
『お゛っ♡』
『図に乗るな』
パシンッ
『あへっ♡♡』
『俺は毎日、あの行きたくもない汚らわしい城でお前という豚を含め、俺の子供達の為に、妬むことしか能のない時代錯誤の老害共に直視されながら働いている訳だが。
その仕事に支障が出る程の精力剤を混ぜ、俺の足を引っ張った挙句の果てには恥をかかせるような真似をするとは……再教育が必要と見える』
『はぁはぁ……♡♡
……。
…………。
…………あ、あなた? そ、その手に持っている物は……まさか』
『お前が前にも一度着けた事がある、俺が作ったあの貞操帯だ。
着ければ丸一日、外す事はできない。そして常にその雌穴に中に入れておく物で、淫魔が発情した時に分泌する体液を模した特別製の媚薬が常に1滴ずつ出てくる……のが従来の物だ』
『えっ』
『あれは昔のお前の体に合わせて作った物だ、あのサイズでは今のお前の腰の大きさには合わん。その上、まだ俺のアーティファクト製造技術が足りなかった頃の時代だ。
これは充魔式の、1週間まで着けていられる貞操帯だ。……ただし、その間絶対に絶頂ができなくなるスキルの付いた物だが』
『あ、あなた……もしかして本当に怒ってる?』
『は? そんなことも分かっていなかったのか??』
『い、いや──ッ!! そんなの無理!! 一日に必ずセッ○スしないとダメで、一人だと7回はオ○ニーしないと満足出来ないのに、1週間なんて無理よ!!! 欲求不満で死ぬわ!!!』
『社会的に死にはするだろうが、人がそんな事で死ぬ訳がないだろう、雌豚が』
『せ、せめて! せめて!! 今からオ○ニーだけでも!!!!』
『口答えするな』
ピシィッ
『お゛ほぉっ♡♡』
『今日から1週間、これを着けた状態でこの俺がお前のような性欲に狂った豚を躾てやる。これ程光栄な事はないだろう? 泣いて感謝しろ』
成人向けだろうな、クソが。まだ母乳しか飲めないガキが居るってのに毎晩毎晩……五月蝿くて寝れねぇだろうがチクショウ。いくら部屋が別でも、普通に隣なんだぞ。しかも壁隣ときた、クソッタレ。
こちとらベイビーなのに寝不足でいつも目元に隈があんぞ、常に目がショボショボだぞオラ。寝かせろや。
しかもその上……。
「んだぁっ!」
カランコロン
カランコロン
俺の片割れである弟が、何故かよく動く上に大声も出し、自分でガラガラも振り回す。とにかくうるせぇ。ちったぁ大人しくしろってんだ。
……この家にいる以上、俺の安眠はまだまだ先になりそうだな。とりあえず将来の事を考えるか。
まずこの世界はおそらく、というかほぼ剣と魔法の世界だ。俺はそこに花○院の魂をかけてもいい。んでだ、そうなると俺は中世のヨーロッパと似た世界に転生した訳だが……。
そうなると、やはり女って時点でやれる事はとても限られてくる。
中世ヨーロッパ時代なら、女は結婚する事が幸せって言われる程だ。当然、収入の良い男を探す必要がある。
だが俺はどうやら親ガチャUSSレアを引く事ができたらしく、父親は元皇太子で祖父……祖母? は現皇帝。産まれながらにして勝ち組コースまっしぐら。おまけに俺の両親はまるで乙女ゲームとか少女漫画のキャラクターとして出てきそうな程に顔が良い。
……それなのにどうしていつも夜がアレなのか、もはや詐欺だろ。まさかここ、エロ同人の世界なのか?
とりあえず、男には困らないな。だが俺は元男だった事もあり、男をそういう性の対象として見れる気がしない。それだったら生活が苦しくとも、俺は普通に女を選ぶ。
……ただ"男"ではなく、"男の娘"であれば話は別だ。
同じ男でも、可愛くて小さくて華奢であればそれでいい。……ただ、そのギャップとは裏腹に下半身についたブツはでかい方がどちらかというと好みだ。
その方がギャップがあっていいだろ、まぁ小さくてもイケるが。
ただな……好みの男の娘を選ぶにしても、俺のスペックが良いとはいえ、一つ心配な事がある。
それは俺の姉であるノエル、そして伯母のノルーアが……母親には全く似ず、胸が無い事だ。おかしい、母親どっちも胸デカイだろ。何で遺伝しないんだよ。
そうしたら俺が高い確率で貧乳になるじゃねぇか。
貧乳が好きは大体がロリコン、俺はそういう持論を持ってんだが……絶対に気持ちわりぃ奴しか居ないに決まってる。実際に、俺の姉に付きまとう気色悪い男がそうだからだ。
……せめてまともな貧乳好きの男の娘を選ばないとな。
ただ貧乳好きは俺の知る限り、周りには居ない。俺が巨乳好きだったのもあるが。クソっ、誘惑をする1つのメインウェポンが使えないのは痛手だ。
この体でできること……この体にしかできないこと…………そ、そうか!!
メスガキムーブという手があった!!
というか今思ったんだが、父方の血筋の人間、皆顔立ちがベビーフェイスで肌の質感や張りが良いし、実年齢よりずっと若く見えるな。つまり俺は永遠のメスガキという事になる。
これで男の娘達のブツをイラつかせ、俺はメスガキに敗北する男の娘を拝めるという訳だ。メスガキに分からせられて泣いている男の娘……中々良いな。いわゆる、女の誘い攻めってヤツだ。最高だな、想像するだけでも心のブツが勃った。
今からでも楽しみだ、いつか最高のメスガキになってやろう。
……どこからともなく「メスガキは分からされるべき」と誰かから言われたような気がするが、俺は攻め役をしたいんだ。というか相手に好き勝手にされるのが元々あまり好きじゃないんでな。それにメスガキムーブをするのはあくまで男の娘を捕まえる為の装備、よって分からされる必要は無し。
だがより確実に男の娘を捕まえる為、現状に甘んじるつもりは無い。いくら顔が良くても、妻として家の中の仕事が出来なきゃすぐに捨てられる。女子力を上げる必要があるな。
ただウザイだけの何も出来ないメスガキなんて、結婚相手どころか恋人としても見られる訳がねぇしな。ウザイだけの奴なんて、ぶっちゃけ俺も関わりたくないもんだ。現実的に考えると、有能なメスガキの方がいいに決まっている。
それに万が一、結婚できなくとも勉強しておけば就職する時にどっかで役に立つ。どの世界でも、有能じゃなくちゃやってけないからな。
「にゃーん」
すると我が家のモフモフ、エルがベビーベッドにやって来ると俺に近づいてくる。何だ、もしかしてさっき沐浴で匂いが取れたから付け直しに来たのか。
そう思っているとエルは案の定体を擦り寄せてくる。……モフモフだ、しかも暖かい。なんとか腕を伸ばして撫でてみると、ゴロゴロ音も聞こえてくる。
……なんか、眠くなってきたな。やっぱ……暖かいモフモフは……安眠に良い…………。
はぁ、やっと…………寝れ、る………………。
「おあおおっ!!」
おいエルマーてめぇ、眠気が一瞬で吹き飛んだじゃねぇかコノヤロウ。
~・~・~・~
転生したらネコチャンだった件について。
たぶん全国のオタクくん達が好きそうなラノベのタイトル風に言ったらこうなる。
でもまさか、目が開けらない状態から初めて外の世界を見られるようになったら親猫が目の前でR18-Gな感じで死んでるとは思わんよ……。臓物出てるのやめちくり、中身はただのクソメンヘラJKだから……。
猫生も楽じゃない、目を開けて光は感じられるようになったのにお先真っ暗。まじぴえん。もしネコチャンになったら金持ちなイケメンの家に住んで、猫生を謳歌するのが前世の夢だったのに。
ドガァンッ!!
「ぎにゃっ!?」
すると、何故か雨も降っていないのにいきなり雷が右の方向に落ちたのが見えた。しかも雷、緑色じゃなかった?
ドガァンッ!!
ドガァンッ!!
「にゃにゃっ!?」
また落ちた!? こりゃあ、普通の雷じゃねぇ! 危険な匂いがして髭がピリピリするものの、私は好奇心に負けて雷が落ちた所へ向かった。あんよが短いから向かうのが大変だったぜ……!
そしたらなんと、そこには……。
「今丁度社会のゴミをゴミ箱に処理した所だ、それでくだらない用事であれば切るぞ。……は? そんなもの、俺がその場に居なくともできるだろう。わざわざ対面で話す必要性を感じない、時間の無駄だ。……はぁ、行けばいいんだろう? すぐに戻る」
何かの黒い制服? を着た高身長の黒髪で黒眼のイケメンが居たのでした! こりゃ是非とも拾ってもらわなければ! ……って、イケメンばかり目がいってたけど、イケメンの足元で寝っ転がってハァハァしてる、あの白い翼を背中に生やして頭に輪っかを浮かせてる変な奴は何?
なんか、人間じゃなさそう……野生の勘ってやつ? まぁいっか!
「にゃー!」
小さなあんよで全力ダッシュし、あざとく足元で鳴いてみる。今なら拉致チャンスですよー? ネコチャンゲットチャンスですよ~~?
「……」
するとイケメンは私に視線を向けると、そのまま歩き出す。嘘でしょ、こんなに可愛いネコチャンを無視するとかある!? 中身はともかく、外見は超絶プリチーなネコチャンだぞ!? こうなりゃ意地でも着いていってやる、生きる為に!!
「にゃー!」
「…………」
「ふにゃーん!」
「着いてくるな」
でも嫌がっている素振りは無い、どちらかというと困ってるっぽいな。これならもしかしたら拾ってくれるかもしれない!
私は頑張って走り、イケメンの足に擦り寄ってみると、イケメンは私の首根っこを掴んで私を見つめる。……ネコチャンって、本当にここ掴まれると体動かなくなっちゃうんだね。本能なのか、全然体が動かねぇ……やっぱり本能には抗えない。
「着いてくるなと言っているだろう、俺には仕事があるんだ」
えっ、お仕事中だったの!? そしたら引き取ってもらえる確率は低い……ど、どうすれば!!
「それに母猫から離れ、人に不用意に近づくものでは無い。さっさと戻れ」
……いや、その親が死んでるんだけど!?? だから私が必死にアピールしてるんだけど!! ちょっ、本当に引き取ってくれないと死ぬから!! 本当に助けて!! ただフツーに何となく生きて、家の事とか色々親に任せてヘラってた豆腐メンタルの私じゃ自然界を生きていけないんだって!! いやぁぁぁ!! 助けてぇぇ!!!
「にゃーっ!! にゃぁぁぁああ!!!」
「おい、静かにしろ。ただでさえ森には魔獣が居るんだぞ、もし鳴き声で寄ってきたら──」
イケメンが焦った様子で私にそう言っている時、何処からか生き物唸り声が聞こえて来て、私は本能的に「ヤバい」と感じて思わず体が硬直する。
「はぁ……全く、お前のせいで報告書を作成する仕事が増えた。今日は帰りが多少遅くなるな」
「グルォォォォォッ!!」
クマと鳩とアライグマが合体したような、イケメンよりも大きな謎の化け物が現れ、その化け物は私の方をじっと見ていた。
「ぎにゃ──っ!!」
「(魔獣は本能的に力を得る為に、生きている動物の鳴き声を聞いて寄ってくるからな……)」
「にゃっ、にゃ────ッ!!!」
「おい、落ち着け。落ち着かないと鳴き声に反応して更に寄ってくるぞ」
嘘!? 超怖いのに、悲鳴すら上げられないなんて!! やっぱり家のお外怖い!! 自然界は無理!!! 生きててごめんなさい!!!!
私はプルプルと震えながら涙目でイケメンに「助けてぇ……守ってぇ」と鳴いていると、イケメンはガクガクの私を摘んでいる状態から腕に抱えた。
「……頭が高いぞ、害獣風情が」
イケメンがそう言った次の瞬間。
ズガァァンッ!!
「グルォンッ!?」
何故か急に化け物は地面に体が潰れたようになって、化け物の居る地面がクレーターのように凹んでいた。
そして「トオン」とイケメンが呟くと化け物は急に翠色の炎に燃やされて、そのまま灰になった。
イケメン、強えぇ~……というか今のって魔法? あの2次元によくある?
命の危機が去ったところで、イケメンは少し考えた様子になり、私を抱えたまま耳に手を当てた。
「セバスチャン、時間はあるか。……よし、俺が今いる場所の近くに、猫の死体が無いかを探してくれ。……分かった」
どうやら誰かに連絡したみたいだけど、何で死体? もしかして母を埋めてくれるのかな。
そう思っていると、イケメンは私を抱えたまま西西北の方向に走り出して、少しした後に私が目を開いた場所に着いていた。血の匂いがキツイ……グロい、見たくない。吐きそう。
「……にゃぁ」
「トオン」
私がギュッと目を閉じているとイケメンはまたそう言った瞬間に熱気を感じて、鼻が乾きそうな感じがした。目を閉じてなかったら、目も乾いてただろうな。
それから「ムーヴィ」とまた呟くと、一瞬で匂いが変わった。人の声や息遣いが聞こえて、目を開けると一瞬で私とイケメンは中世ヨーロッパの広い部屋の中に移動していた。うーん、机がいっぱいあるし、この並びは会議室? そこには沢山の人が居て、イケメンと同じ制服を着ていた。
それにしてもさっきから何気なくガチの魔法を体験しちゃってない? やっぱり剣と魔法の世界だここ。ディ○ニーよりも優しくはない世界だって事は分かったけれども。
「あぁ、先輩おかえりなさ……って、何ですかその猫」
「ゴミを処理している途中、しつこく着いてきた」
私を抱えたイケメンはそう言っているものの、おそらく仕事仲間の茶髪の後輩は私を抱えたイケメンから距離をとる。
「俺猫アレルギーなんで、猫の毛が付いた状態で近づいたりしないでくださいよ? すっごくキツイんですから」
「そうか、アレルギー持ちは苦労が多いな」
そう言いながらイケメンは私を撫でる。
あっ……手つきが凄く優しい。このイケメン、さっきから薄々思ってたけど、本当は優しいタイプのイケメンだな? やったぜ、是非とも拉致って欲しいところ。
「先輩それ、マウントですか。マウントですよね、自分には無いからってそういうマウントはどうなんですかね」
「そういうつもりではないが、そう聞こえたか。それは申し訳ない事をした」
「それ絶対思ってませんよね」
じとっとした目を向けられるイケメンだけれども、イケメンは知らないフリをして私をナデナデする。
うーん……テクニシャン。
思わずゴロゴロスリスリにゃんにゃんしてしまうと、大勢の視線を感じ始めた。けれどもイケメンは全く気にした様子もなく、私を撫でていた。視線が怖い。
「全員が集まった所で新たな仕事と報告だ、いつも通り各々に合った仕事を予め割り振っておいた。前にも言っているが、1ヶ月後の17日から19日にかけてワールブルク学園の文武学祭がある。将来有望の生徒達を外部の人間によって危険に晒される事が無いよう、警備は怠るな」
敵が来たら一番逃げ遅れそうな場所(上座)に居る、おそらくリーダーの人はそう言うものの、イケメンを含めるその他大勢はシーン、とする。
「返事」
「「「……」」」
「おい、社会人の基本だぞ」
「……グリーズ、確か最終日だけはお前も含めて全員有給を取っている」
そう言いながらイケメンは私を撫でてきて、グリーズって呼ばれたリーダー的な人は数秒遅れて「は!?」と驚く。まぁ、そりゃそうか。私だってそんな事言われたらそうなるね。
「誰も出勤しないのか? 一人も?」
「普通にパティシエ部門の人の屋台とか楽しみたいんで」
そう言い始めたのはアレルギー持ち後輩で、それから他の人達も理由を次々と言い始める。
「毎年ファッションショーで斬新なデザインが出てくるし、超可愛いのが多いから私お休みしま~す」
「目の保養って大事だと思うんですよね」
「その日は推しのライブがあるんですよ!!」
「ぼ、僕も学祭にしか開かれない生徒たちのソープランドもあるからちょっと……」
そう言う同僚達にグリーズさんは「嘘だろ……」と頭を抱える。というか待て、最後のキショいおっさんは何。何平然とスルーしてんの。
「ん……? 待て、ヴェリカお前も休むのか。性格上、好き好んでやる仕事では無いという事は分かってるが……そういうお祭り事、興味無いだろ」
「当たり前だ。今年から俺の娘がワールブルク学園に入学したから、最終日だけ有給をとり、その観戦をしに行くだけだ」
さも当然というふうにイケメンは答えて、周りの人達は「ん? 観戦……??」と呟いた後、ギョッとしていて、アレルギー持ちの後輩は何かを察した顔をしていた。……イケメン、子供居るんだね。え、じゃあイケメン何歳なの??
「嘘!? 先輩の娘さん、ワールブルク学園の兵器開発部門に入学してたの!? ぜんっぜん知らなかったんだけど!!」
「だとしても、剣技・魔法大会はほぼ見る価値が無いし別に有給とって休んだりしなくてもいいんじゃ……」
「娘は俺と同じ、運動科の戦闘部門だ」
「それ本当ですか? じゃあ今年のは見てみようかな~」
「ツンデレ萌属性とみた」
「当日、ノルトくんの娘さんにちょっと会ってみようカナ!? (*´д`*)ドキドキ」
最後の方、明らかにヤバい妄想をしながら言ってる気持ち悪い中年おじさんが居るけれど、イケメンはそんな気色悪いおじさんに「竿か玉、無くす方を特別に選ばせてやる」と、全く冗談に聞こえない声で言ってた。……怖くてイケメンの顔見れない。それにしてもイケメン、ノルトっていうんだ。
でもパパだし、なんとなくパパって呼ぶ方がしっくりくるから、これからはそう呼ぼうかな。
「……グリーズ、これで話は終わりか?」
「あ、あぁ……」
「行ってくる」
そう言ってパパは渡された書類を受け取ると、私を抱えてまた瞬間移動をした。魔法って、便利だ……。
それでパパは次々とガラの悪い人達を片っ端からドMにしていって、夜になってとある家の前に瞬間移動。玄関を開けると、そこには……とんでもないフレーム無し丸メガネ系三つ編み萌え袖甘ロリ巨乳美少女みたいな人妻美女が出待ちしていた。
これがもしかしてママ……個性的で母性的だなぁ、特にその胸元。2次元に居たら、好きな人は好きだと思う。……あれ、そういえば昔見てたジュ○ルペットにこんな感じの女の子が居たような。
「あなた~! おかえりなさいっ♡」
「あぁ」
……って、うぇ!? ここの家、普通にお帰りのちゅーすんの!? しかもなんか、深くない!? この時間からイチャついてるんだけど!! うちの前の親なんか、熟年夫婦というかほぼお互い風というか壁というか……まぁそんな感じで、見た事ない!!
というかママ!? あの、私ネコチャンだけどね。なんだけれども、ママ? その女の顔するには時間が早いぜ!! なんか見てて何故か私が恥ずかしくなってきた!! でも裏山……。
「……それで、あなたったらこんなに可愛い子を拉致してきたのね♡」
するとママは私の頭を撫でてくる。……あっ、なんか幸せ。幸せホルモン爆増中だぜ……天国か。
「違う、仕事中に勝手に着いてきたから仕方なく連れて帰ってきたんだ。俺が犬派なのは知っているだろう? ……名前はエルだ」
パパ犬派なのに連れて帰ってきたの!? うわ、パパめっちゃ優しい、こんなメンヘラクソ女連れて帰るとか……。しかも名前考えてくれてたとか、ドSでプライド高いとこ以外は本当にいい男だな。それに仕事ぶりからなんか有能っぽいし……。前世のピ"達"もパパみたいなできる男だったら良かったのに。
そしたら別れなくて済んだんだけど……やっぱパパみたいな男は限られてくんだね! いやでも、よく考えたらママ……巨乳で見るからに性癖を満たす属性てんこ盛りだ……。
やっぱ胸か!? エロか!??
どうせ男はち○◆ぽ脳なんだよ、クソ!!
「……あなたそんなにノエルが学校に行っちゃったのが寂しかったの?」
えっ、待って、この男……私に娘の名前を1文字だけ抜いた名前を付けやがった。
はぁ!??
「違うが」
絶対そうだろ、おい!!
実は宮廷魔法士には様々な仕事が得意な物やレベルで分けられていて、ノルトパパンは時々社会のゴミをゴミ箱に捨てるお仕事をしています。具体的に言うと、凶悪な殺人犯や、しっぽ出さない密売人などを牢獄へぶち込んでいますね。
他には普通に王様を守るボディーガード、魔法の研究、兵士としての戦力、魔獣退治などなど。
割となんでもする公務員的な感じで、ノルトパパンの場合はほとんど王様と関わる事は無いものの、一応あの王様に仕えている事になっているので、いざという時にはあの王様を守らないといけません。
とはいえ仕事の内容的には、ほぼ警察官。警察官にも麻薬の取締、地域の安全、刑事、警備、詐欺……などなど、担当があったりする……らしいですね。ですがノルトパパンはちょっと特別枠なので、他の人よりも大事になりそうな事件や凶悪な殺人犯などを速攻で解決して欲しい事などを取り扱う機会が多いです。リアルではそんな事、滅多にありませんからね、あるあるフィクションとして楽しんでね。そういう仕事でいつも大変かと思えば、ぶっちゃけそれ以外の仕事があまりにも多くて大変なんだとか。
ちなみに宮廷魔法士達は班を作ってそれぞれ仕事をしていて、チームワークを発揮して国に貢献しています……が、ノルトパパンの班はアウトローしか居ません。同僚である宮廷魔法士達(平均年齢39.3)は大体魔獣の雑魚狩り、見回り、魔法の研究などをしていて、常にやる気を出してない人や、変な研究に没頭しています。
(リアルの警察は公務員なので給料は基本的に変動しませんが、こっちのフェリラ国では基本給プラス取り扱った事件やら仕事の大きさと、件数によって給料が毎月変わります。なので重要度、危険度の高い事件を沢山扱って解決すると、沢山給料が貰えます)
なので面倒な仕事とか危険な仕事がどんどんノルトパパンに流されていくぞ! ノルトパパンは同じ班以外の年上達からは目の上のたんこぶ扱いされてるけど有能だし、ぶっちゃけ居ないと仕事の効率も下がるし面倒だし、才能に嫉妬しちゃうけど居ないと凄く困る存在ではあるので、基本的に自由にやっているぞ! でも仕事のやり方とかでよく衝突するぞ!
だから班はノルトパパンがリーダーって訳じゃないぞ!
そういえば猿が出たりしたらよく110で警察官呼ぶ人居るけど、それ保健所とか、猟師ボランティアになんで連絡入れないんだろうね。それ警察の仕事と違うのに……。
警察は確かに人々の安全を守る組織だけど、それ動物からじゃなくて、人に害を与える人からなんだよな……。
そんな訳で、時々何故かノルトパパンに「うちの猫・犬が居なくなっちゃって……」という通報(?)が入るぞ!
でもなんだかんだ優しいので、「くだらない事で連絡を入れるな馬鹿共が」と怒りながらも、セバスチャンに聞いて居場所を教えてくれます。
ちなみにリアルの警察官って、通報されたらどんな内容でも行かないといけないんだって……。あと拳銃を発砲すると、1cm(確か)以上の分厚い書類を書かないといけないからめんどくさいんだって。それに通り魔とかが居て、暴れ回っている中で手や足"だけ"(思いっきり周りに人居る)を正確に狙うとかそんな器用な事もできないし、当たったとしてもとかは大体アドレナリンドバドバ出てるから、止まらんのよな。つまり拳銃は例え通り魔とかそんな気軽に撃てるもんじゃないシロモノなのだ……警察官の父を持つ百合好きの友達が言ってた!
警察官の皆さん、お疲れ様でッす!!
で、普段なら紙媒体をデジタル化させる為にスキャナーが職場にはあるんですけれども、リーダーが魔力注ぎ過ぎてぶっ壊しちゃったという。なので対面でお仕事の内容が書かれた書類を渡してます。あとノルトパパンが老害って言っている対象は別の班の、魔法の研究とかしてる大体の人達。
それから初めてノエルたその学科がしっかりと判明しましたけれども、何で運動科なのかというと……この世界はおせっせイコール娯楽性の高いスポーツみたいな感じでもあるし、学校自体マニアックなスポーツとかでもなんでも学べる場所なので、これらは全部一括りにして運動科って事になってます。
あと学科に関しても、普通なら魔法士とか剣士とか役割分担もあり、部門も魔法と剣とで分かれていそうなものですが、運動科に魔法部門はありません。
実戦目的の魔法科戦闘部門はありますが、実戦では雷魔法やら土魔法の地震などをされない限りは(防ぐ方法は一応ある)基本的に避けたりする必要がありません。なのでそもそも体を鍛える必要があまり無い為、運動科ではないのです!
でも名門校なので、運動科の戦闘部門の人はただフィジカルが強いだけじゃ入学も出来ません。まず生徒は中位から上位の詠唱魔法が使える事が前提です。
なのでみんな魔法も使える魔法剣士ばかりで、ノエルたそとレイゼル君以外の運動科戦闘部門の人達は、午前中ずっと戦闘のための魔法のお勉強と実技練習をしています。普通はそういう感じの授業スタイルなんですが、レイゼル君にはあのスキルがあるので、ノエルたそもそれで強制的に女の子ばっかのクラスに居ます。
それでゲイル先生は主に、実戦と戦闘経験、技術などを教えたり、積ませたりしています。スラのすけ先生は魔力を消費しない限り、ほぼ体力が無限の魔物との戦い方、基礎体力と動体視力、反応速度の向上、魔法の発動速度の短縮をさせる指導をする教師です。
もちろん魔法の授業で実戦担当をしている先生も居ます。色気ムンムンのお姉さんです。処女ビッチです。
~おまけ~
「先輩、ほんと自分に関する事言いませんよね~。私、奥さん居る事自体知ったのだって3年前だし……はぁ」
そう自分で言っておきながら、この班では最年少のリリー・エトソンは過去の古傷が少し開いたのか、精神的にダメージを受ける。
「まだ心の傷が治ってなかったのか……」
「知らなかったとはいえ、ここに来てからずっと知るまでアピールしてたんだ。それで全く相手にされず、意を決して告白したら相手が居たんだから、仕方ないだろう」
「グハッ」
フォローしているつもりなのだろうが、無意識に傷を掻きむしるかのようなセリフを口にするビル・グリーズ。その発言のせいで、うら若き女性の死体がひとつ出来上がった。
「僕は逆NTRも良いと思うナ……❤(´^ω^`)」
「本当にやったら先輩キレますよ、身内にはゲロ甘で激重ですから」
猫アレルギー持ちのクリス・テイラーは、班の中である意味一番やべぇおじさん構文の使い手トール・ボマンドに「なんて命知らずな」という目を向ける。
「それが何でキレるに繋がるんだ?」
「逆NTRするって事は、要するに奥さんを相当舐めてないとできない行為で、格下に見てるって事です。
プライドと身内への愛情が限界突破してる先輩の事なんで、奥さんを下に見るイコール、そんな奥さんを選んだ自分も下に見て侮辱してる事になるし、お前ごときに目移りする訳ないだろうがってなるんですよ」
「あー……なるほど」
納得した様子でグリーズは「というかテイラー、お前ヴェリカの心情把握し過ぎじゃないか」と言うと、テイラーはじとっとした目をする。
「だてに先輩にこき使われたり、どこかの上司に休日中の先輩に緊急の仕事を持って行かされてませんからね」
「それはすまん、アイツ怒ると怖いし……。というか、お前がこき使われるのはギブアンドテイクだろうが」
「先輩の奥さんが作るお菓子が美味しいのが悪いんですよ」
そう言いながらテイラーとその場に居る全員は、未だにアナログ式のやり方が主流の職場でペンを持ち、報告書を作成する為に書いていた。
「にしても先輩にお金積んだら、自動的に報告書作成するアーティファクト作ってくれませんかね。これ書く時間のせいで、仕事の件数増やせないからほんと給料増えないんですけど」
「でも仕方ないだろ、頭の硬いジジイしか居ないんだから。全体的に導入したら、紙に使う経費と手違いが格段に減るんだが……。その分、効率が上がったせいで給料を多くあげなくちゃならんし、アーティファクトの点検をする技術者が必要で、これを探すのにも採用するのにもまた金がかかる。
更にアーティファクトの使い方が分からんからって突っぱねる。給料だって人の目と手で渡されてんだから、アーティファクト導入されたらチョロまかせなくなる。こりゃあと10年経って死ぬか退職、それと俺の時代はこうだったとかほざく奴を皆消さないとこのままだろうよ」
「え~、うっざ。そういえば私この前、報告書に思いやりが無いからって書き直しさせられたんですよね。困ってたら先輩がアーティファクトを借してくれて、文字を大きくして渡してみろって言われたからその通りに直したら、通ったんですよ~……。ただの老眼ならそう言えクソジジイって思いました」
「……いっその事、ヒエリカの魔獣倒してた方がまだ儲かりそうだな」
「いつか皆で転職します?」
「その時はリリーちゃん、僕とまた仲良くしようネッ!(*^^*)」
「絶対無理で~す」
~おまけ2~
「ごめんなさいエル、文武学祭は使い魔以外のペットの立ち入りは禁止なのよ……ここでいい子にして待っていてね♡」
「にゃ!? にゃー……(クソメンヘラな私を寂死がらせて殺す気!? でもまぁいいですよ、どうせ生きてる価値も無いゴミなんで……)」
「その代わり、セバスチャンにお前の面倒を見てもらう事にした」
「にゃ? (セバスチャン?)」
「おまかせください、アーノルト様」
「ふにゃっ!?(どっから現れた!?)」
「エル様は私が責任を持って見ておきますゆえ」
「あぁ、頼んだ」
~数分後~
「にゃーん、ゴロゴロ……(おじいちゃんの安心感……抗えねぇぜ)」
「どうやら私の撫でテクをお気に召したようですね」