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チュートリアル用チョロイン幼馴染に転生してしまった  作者: 水性さん
学校編 1年目!!!
20/52

どっちもどっち!!!



大丈夫、エロくない、ギャグ調だからエロくない……大丈夫、問題無い……。






 一言で言うなら、すごかった。


 まるで小説とか漫画にありそうな内容で、なんともいえない気持ちになった。なんていうか、せつない。人生そのものを描いたみたいな。


 この内容を絵本に出していいの? 


 誰かを助ける為に、全てを投げ打ってでも魔法で自分の体を無理やり改造するなんて。それにこれ、よく考えたらヒエリカの歴史そのままだ。


 それよりヒエリカの皇族は、寿命を代償にして力に変えることが出来る……って事だよね。


 そういえば国ごとの王・皇族達の歴史を習った時、異様にヒエリカだけ平均寿命が短かった。


 大体はファンタジー世界にしては長寿の60とかまで長生きするけど、ヒエリカは……40歳生きるかどうか。というか、40歳な筈なのに、自画像は異様に老いていた。まるで、80歳から90歳の老人みたいな容姿で。


 だけど今の皇帝は歴代の中でも一番長く、若いまま生きているそうだ。


(どうしてか、その人だけ自画像が無かったけど)


 第三皇子が編み出した数多くの魔法と、武器の製造方法、全く新しい魔石の売買の仕方を変えたことと、防衛設備を新たににより、ヒエリカの兵士達や冒険者達が飛躍的に戦闘能力が上がり、別の国の冒険者達が集まってくるようになったから。


 それにより、皇帝が戦う頻度が劇的に減少。


 だけどそれでも仕事はなくなることはなく、ヒエリカの魔獣は強く、数が多い。


 そして年に一度、魔獣が通常では考えられないほど次々と現れる、ピークが訪れる。しかもそのピークには超大物の魔獣がいる事が大半で、相当強いらしい。


 だから皇帝本人はあまり政治には関わっていないらしく、王を従えて、それぞれの決められた地区事に管理をさせているとの事。それで王族達をしっかりまとめて帝国民達を守っているんだから、慕われるよね。


(従わせているその方法は調教じみているらしいけど)


 ただ私腹を肥やそうとする王族は時々出てくる訳で、その時は容赦なくその位を剥奪させたりする。まぁ、その前にちょっと力こそパワー! な部分があるヒエリカでは、国民達を怒らせるとすぐに革命が起こるらしい。過去にはあまり革命自体、そこまで起こらなかったそうだけど。


 兵士達もストライキ起こすし、なんなら事情と原因を知ってる皇族と皇帝が「ねじ伏せて屈服させてやる」ってノリノリで参戦するし、地獄絵図が繰り広げられる。そして王様はものすごいお仕置をされるとかなんとか。その後はちゃんと働くらしいけど。それはもう政治の犬(意味深)になるそうで。


 なんだこれ、なんでもやりたい放題だな。


 最初授業を受けた時、あまりにも皇族がインテリヤクザというかインテリ蛮族過ぎてビビった。あまりにも気が強いというか、好戦的というか、ドSというか……。


 とりあえず、絵本も読み終えたし……せっかくだから私も雷魔法(レネダ)の勉強をしようかな。



 前世の頃は知らなかったけど、実は雷って起こすのに想像もつかないほどエネルギーが必要なんだよね……。対魔法防壁(カルゾーン)を貫通することは出来るけど、電気の量と電圧とか電気の特性とかで。


 それこそ雷雲とかの超自然エネルギーは本当に凄い力が加わってできたものだから、よく雷の魔法って聞くと雷雨で立ち上る雷の方を想像するだろうけど……。


 実際は1mの電流を出すのもかなり大変なんだよ、だから……それを天然の雷と同じ規模のやつをバカスカやってたお父さんが異常過ぎるんだよね。


 あの人、本当はなろう系出身のチート主人公だったりしない? それか前世は魔王、とかじゃない?? 


 あっ待って、なんかイマジナリーお父さんが「いや、違うが」って言ってる! じゃあ、たぶん違う!! 


 ……よし、勉強しよう。


 とはいえ、雷魔法は魔力で無理やり作った積乱雲でプラスとマイナスの静電気をいかに効率的に作れるか、だし……。ぶっちゃけそれは勉強というよりも実戦ありき。魔導書に書いてあるのは、いわゆるレシピみたいなものだから。



「何でレイゼル、今更雷魔法(レネダ)の勉強してるの?」


「ん? あー、ほら。魔法って、イマジネーションの力でもあるだろ? だから、そこに全く別の属性を想像の力で追加できるかもしれないって思ってさ」



 ……なるほど、確かに。例えば、雷魔法(レネダ)毒魔法(シアン)の属性をプラスしたら、防御無効で神経に強いダメージを入れられる。そこに出血毒とかタンパク質をグズグズに破壊する即効性になったドクツルタケの毒の効果を入れたら……あまりにも強い。


 というか危険すぎない? それができたら炎とか風でも付与できる訳だし、大量虐殺も可能。もしこの勇者が嫉妬でもして「ノエルの視界に入った俺以外の男は全員死ねばいい」って風魔法に毒魔法を合わせたらヤバい。……やりかねないのがなんともなぁ


 ……ん? おっ、おぉ!? いいこと思いついた!!


 私は鉛筆を出して用意していたノートに計算式を……あれ? 無い……何処かに置いてきたっけ? それとも無くした? いや、そんなはずは……。


 いや、頭の中でやればいい話か。ちょっと大変だけど……。でも中々いい考えを思いついてしまった、使う時が楽しみ。


 それから暗算し終えた後でレイゼルが「読み終わったから、ノエルが勉強したいとこ行こ」と言った為、最初に来た時のフロアに戻って魔導書を読んでいた。その間レイゼルは私を抱きしめてくっついていたけれど、暇なのか相手して欲しいのか。時々私の頬を指先でつんつんしたり、私の肩に頭を押し付けたり。ほっぺにすりすりしたり、数分おきに「ノエルぅ……」とレイゼルは呼んでくる。


 あまりにもその様子が、飼い主にかまって欲しい犬にしか見えない。


 ……仕方ないのでちょっと頭を撫でてみると、レイゼルは嬉しそうに「えへ、へへへ……」とだらしない顔で喜んでいる。とりあえずこのままナデナデを魔法でオート状態にしておいた。私は勉強がしたいんだ、今はあまり邪魔しないでほしい。



「ノエルが撫でるのに手抜きしてる……」


「……」


《ノエルのオートなでなで》



「ノエル?」


「…………」


《ノエルのオートなでなで》




「ノエル、ノエル~……」


「………………」


《ノエルのオートなでなで》



 しばらく魔導書をじーっと見つめて読み込んでいくと、段々とレイゼルが気にならなくなっていく。それにしても流石魔法の聖地、中々良い魔導書がいっぱい揃ってるな。これこそが知恵の殿堂か……。



「……ノエルぅ」


《ノエルのオートなでなで》



「寂しい……」


《ノエルのオートなでなで》



「俺、放置プレイは無理なんだけどなー……」


《ノエルのオートなでなで》



「……今なら集中してるし、ちょっとだけならいいよな……ノエルの集中力、凄く高いし……かまってくれないのが悪いんだぞ」



《ノエルのオートなでなで》


「よいしょ」



《ノエルのオートなでなで(意味深)》


「っ……♡」



《ノエルのオートなでなで(意味深)》


「んっ……、はぁっ♡」



《ノエルのオートなでなで(意味深)》





 ……ん? 


 待て、何だか私の左手が妙に硬くて熱い何かに触れているような気が……。



《ノエルのオートなでなで(意味深)》


「はぁ、はぁ……♡♡」



 集中が途切れるから無視しよう、レイゼルが多分かまって欲しさに何かやってるんだろうし。気にするだけ時間の無駄、無視無視。



《ノエルのオートなでなで(意味深)》


「あっ、あっ……はぁっ♡」



《ノエルのオートなでなで(意味深)》



「……レイゼル?」


「あ、ノエル……♡」



 異変に私はレイゼルの方を見てみると、目をハートマークに、下半身をバッキバキの状態でハァハァしていた。



「何してんだオイ、クソ勇者!!」


「あんっ♡♡」



 こうして私は絶対に本を読む時は1人で読む、という事にした。そしてこんな事をしでかした本人の供述としては、以下の通りである。



『だって!! ノエルがかまってくれないから!! 寂しくて、ついスキンシップというか、温もりが欲しくなって!!!』



 それは違うよ!! (cv緒○恵美)


 さっきまで頭撫でてましたが!? スキンシップしてましたが!?? というか勉強しにここに来たんだから、かまえる訳無いでしょ!? 


 この勇者、ホントにどうしようもないな。


 無視して魔導書読んでたら、また邪魔されるだろうし……かと言ってかまってたら勉強できない……。



「レイゼル、私は勉強が終わるまでもう絶対に口を聞かないから」


「あ~~っ!! ごめんノエル!! もう勝手にノエルのツルスベお手々で勝手にオ○ニーしないから!! だからかまって!!」



 そう言ってレイゼルはガチ泣きしながらくっついてくる。嘘だろお前さん、そんなに嫌だったのか。それから図書館内にあったトイレでヌルヌルの手を洗うと、どうしたものかと私は考えていた。


 あ、一個だけいい方法あった。でも私にはお父さんとは違ってそういう趣味無いし……でもレイゼルに言う事聞かせるにはこれが一番手っ取り早い……。


 いや、考えるなら勉強で考えてたい。四の五の言わずに行動あるのみ……だけどやっぱり、抵抗感あるな。



「邪魔するなら帰って、ウザイ」


「もっと嫌だぁぁ!!!」



 流石にこのワガママ勇者に堪忍袋の緒が切れて、私はレイゼルのほっぺを挟むようにして顔を掴むと、ギリギリと力を込める。



「ワガママ言ってんじゃねぇぞクソ勇者、そこで這いつくばって大人しく待ってろ。待ってるのは犬でもできんだよ」


「ふぁい……♡」



 それからレイゼルは四つん這いになって、私の椅子と化していた。……空中で。



「ノエルの桃尻が俺の背中にっ……♡」


「次はあっちの本読むから、速く移動して」



「はぁ、はぁ……♡」


「喜んでないでさっさと行け駄犬」



 レイゼルのお尻をスパンッと、いい音が出るくらいの強さで引っぱたくと、レイゼルはビクンビクンしながら喜ぶ。だらしない表情で変態勇者はその状態で本棚の近くに行っていた。


 ……そして私は最初からこうしておけば良かったかもしれない、と思い始めた。段々と時間が過ぎると共に怒りは収まってくるけど、案外私は慣れたのか……最初は抵抗感あった、こういうSMプレイじみたものに少しづつ慣れてきていた。


 まさか遺伝なの? お父さんの遺伝なの!? 私にはそういう趣味ないんだけどな!?? でもワガママを言って聞かない時はこうしようかな……。


 これからは鞭を持っておいた方がいいかもしれない。あの乗馬用の鞭みたいな形してるやつ……護身用としても持っておこうかな。


 バラ鞭は音が良くてあんまり痛くないらしいけど、レイゼルは防御力が意味わからないほど高いし、大丈夫だよね。


 それで何でそんな事を知ってるのかと言うと……お父さんが言ってたからだよ。小さい頃に教えられたけど、最初聞いた時は凄くビビった。だって娘にそんな知識与える父親ってやばくない? 


 でも……まさかここでそんな知識が役に立つとは!! 




 ペシンッ



「あぁっ♡」



 勉強終わったら、形状が変化するエンチャントされた鞭を買おう……。気分はド○クエ8のゼ○カさん。


 こらそこ「ゼ○カには"ある"けどお前には"ない"から全然違うだろ」ってツッコミはしない。


 前世は平均バストだったのに、急にぺったんこになったこの気持ちはどうせ分からないよ……。男性だったら、ちん……を強制的に取られたくらいのショックなんだから。


 というか、そんな所に運命の修正力的な物が働かなくてもよくない!!? というかあと大体2年くらいで発育期間終わっちゃうよ!? 意外と胸が大きくなる期間って短いんだよ!? どういう事!? 


 しかもよく好きな人に揉まれると大きくなる……とかなんとか、よく都市伝説的な噂を誰もが耳にした事があると思うけど、一向に大きくならないからね!! 大きくなるのはレイゼルのちん……だけ!! 


 なんか腹が立ってきた!! 



 ゴスゴスゴスッ



「あっ、あ~~っ♡♡」



 それから魔導書を読み終わった後は、クリーク君にローブとメガネを渡して武器屋に行く事にしました。ちなみにクリークくんはハイテクな自立思考型のアーティファクトで、見た目は完全にクマのぬいぐるみだった。しかもちょこちょこ歩くし、どういう仕組みなのか魔法が使えていた。


 凄く癒されたけど、図書館内を出る時にレイゼルが顔を赤くさせて私にくっつきながら息を荒げて「もう一回シよ……♡ もう一回だけ♡♡」って言ってくるので、おばあさんが「ここはそういう所じゃないよ、ヤるならあっちでしな」と、何故かラブホのある方向へ指を指したから、その癒しは綺麗に消し飛ばされた。


 違う、そうじゃない。


 なので「この変態を引っぱたいて言うことを聞かせていただけです!!」って答えたらおばあさんは「……血かねぇ」って言いながら私のノートと筆記用具を出した。どうやらここでは情報を簡単に奪われないよう、筆記用具類は持っていけないらしい。だから最初に魔法陣で転移すると、おばあさんの所に預けられるんだとか。


 なるほど……だから無かったんだね。


 それから私は危ない表情で引っ付いているレイゼルと図書館を出て、武器屋に向かう。



「当店新商品のクッキーです、今カップルの方にお配りしているのですが、試食用をどうぞ!」



 そんな時、ケーキ屋さんの前で店員らしき人がクッキーを一枚配っていて、たまたま近くに居た私とレイゼルに一枚ずつ渡してきた。


 ピンク色でハート型のクッキーだ……イチゴ味かな。



「あっ」



 そう思っているとレイゼルは私に渡されたクッキーを取ると、二枚どっちも食べた。



「それ私のクッキー……」


「ノエルにこんな得体の知れないクッキー食べさせる訳無いだろ……あ、コレうま!」



 いやでもお前さん、それで前に変なおじさんのクッキー食べて大変な事になりかけたでしょ。そういうクセ止めて、それなら食べなければいいのに……結構心配するから。


 それにしてもどうしてカップル限定?? 



「新商品の媚薬入りクッキーです!」


「レイゼルぅぅぅ! 早く吐き出して!!」


「もう無理、それより今はノエルに精液をチンコから吐き出したい、すっげぇチ○コ痛ぇ。……ノエル、セッ○スしよ?」



「あぁもう凄い即効性!! "デトス"!!」



 それから状態異常を治す魔法をかけると、一回レイゼルにデコピンした。もう絶対人から食べ物は貰わないようにしよう……。


 ドアを開けるとカランカラン、とドアベルが鳴り、カウンターで暇そうに座っていた女の子は私を見ると、目を丸くしていた。


 ……あれ、この子ってもしかして。



 赤い髪に金色の目、そして不思議な耳のトンガリと鋭い八重歯……そして、背中に生えてる赤いコウモリみたいな鱗で覆われた羽根……そして大きいけれど、決して大き過ぎない丁度いい大きさの黄金比!! 女性が憧れるタイプの適度に細いナイスボディー(私も例外じゃない)そして圧倒的なカワボ!! 


 竜人族の我が実質(1番はノエルだけど、それはもう今は自分なので)2番目の推し、フローレことフローレンスちゃんでは!?? 


 まさかここ出合えるなんて!! しかもまだ12歳だから可愛いね!! 体もちっちゃくて可愛い!!! 



「あ、あああ、あばばばば…………」


「こっ、皇j……じゃなくて、お客様!? 大丈夫ですか!?」



 待っ、待って、かわ、かわわ……。



「待って無理尊い、可愛すぎる直視できない……」


「えっ」


「は??」



「あっ、違う……いや、違わないけど!! その、つい口が滑っちゃって! だから気にしないで!!」



 そう言うけれどもフローレちゃんはポッと顔を赤くさせて「そ、そんな……私なんか、ただのトカゲ女ですし……」と言いながらドラゴンの尻尾と羽をバサバサブンブンする。そう、この子竜人族だし才能あるから武器作るの得意なのに、自分に自信無いから褒められると照れて可愛いんだよ!! 


 まさかフローレちゃんに接客してもらえるなんて……!! 



「え、えっと……私、普段使いや武器としても使える鞭が欲しいんだけど、何か良いのは無いかな?」


「む、鞭ですか……あの、えっと、お客様には、こちらの鞭が良いかと思います……! その、魔力を込めると普段使い用から戦闘用に形が変わるんですよ! あとは色々な機能も付いてます!」



こうしてフローレちゃんの説明を聞いて、私はその鞭を買うことに決めた。



「じゃあそれにする!」


「ほ、本当ですか? 実はこれ、私が作った物で……」



「一生大切にするからね!!」


「ノエル??」


「あ、ありがとうございます……(これで叩かれたいが為に作ったなんて言えない……)」



 私はフローレちゃんにお金を渡すと、フローレちゃんはモチモチほっぺを赤くさせながら「お、お買い上げ、ありがとうございましたっ!」と、言った。いや、良い買い物しちゃったね。


 満足、満足! そんな気分で私は外に出る……ん? なんだか、体が凄く寒いような。おかしい、今お昼頃だから暖かい筈なのに、まるでもうすぐやってくる冬のように寒いな。



「なぁなぁなぁなぁなぁなぁ? ノエル?? 浮気??? ノエルには俺が居るのに、俺の前で浮気????」



 レっ、レイゼル!! 



「ごめん、でも違う……凄く好みというか、私の理想(スタイルと美貌)を体現した可愛い子が居てビックリしただけで。というか、相手は女の子──」



 隣を見てみると、レイゼルはハイライトを全て消失させて目を真っ黒にさせながらこっちを見てくる。……これはヤバい。



「もしかして義祖父さんみたいにノエルって女の子でもイケるタイプ?? ……っはは、知らなかった、村には俺とノエルくらいか、あとは赤ちゃんとか幼女くらいしか居なかったし……」


「いやそういう訳じゃないけど……」



「じゃあ今の何? 今のは、何?? 俺の事完全に忘れてたよな??」


「……ごめん」



でもオタクは推しに出会ったら暴走すると思うの。だけど普通に考えてレイゼルが怒るような事をするのは凄く悪かったと思ってます。



「つまり俺の事はもう、どうでもいいって事? 俺の事、捨てんの? ……また俺を独りにするんだ、へぇ」


「は? そんな訳ないでしょ!?」



 確かにさっきは私が悪かった。レイゼル(ヤンデレ)相手に絶対にやっちゃいけない事をしたと思うけど、それだけは聞き捨てならない。



「でもノエルは俺とずっと一緒に居るって約束したよな? 嘘つくのかよ」



「だから違う、話を──」


「もういい」




 レイゼルはそう言うと、無理やり私の頭を上に向けて噛み付くようなキスをした。すると、口の中でトロトロとした魔力の塊が流れ込んできた。


 ……これまさか、毒魔法? あの媚薬?? もう絶対にやらないって約束したじゃん、破ったな!?? 



「離れていくんだったら、もう最初からこうしておけば良かった。これからは俺の事だけを考えるようになるまで、毎日セックスしていっぱい好きって言うから……俺もノエルだけの事考えるから。絶対に浮気とかしないし、ノエルのお世話して不自由させないからさ」


「レイゼ──」



 名前を呼ぼうとすると、私の言葉を聞きたくないと言わんばかりにキスをして更に毒を流し込んでくる。



「っは……離れたいって言っても、もう遅いから。諦めてずーっと、俺と一緒に居ような」



 ぎゅっと私を抱き締めて離さないようにして、転移魔法ムーヴィを使おうとしているのかレイゼルの魔力が段々と強くなっていく。























「っ……だから話聞けって、言ってんだろうがッ!!!」



 私は身体能力強化魔法を使って思いっきりレイゼルを引き剥がしてぶん殴って止めると、レイゼルは吹っ飛んで壁に当たる。けれどもヒエリカの壁は随分と頑丈なようで、ビクともしない。



「っ……♡」



おい待てコイツ、こんな暴力にも感じてやがる。



「何でメンヘラとかってみんな人の話を聞かないし、思い込み激しい訳!? というか……」



 胸ぐらを掴んで私は引き寄せると、思いっきり鼓膜が破れるくらいに大きな声で言った。



「いつもいつも分かったような口で「ノエルは俺の事が好きだから」とか言ってるくせに、何勇者のテメェの方が取られるのを心配してんだよ!!」


「だ、だって……!! ノエルはインキュバスとか気持ち悪い奴によく狙われるじゃんか!! なのに無防備だし!!!」



「それはこっちのセリフだ、テメェこそ勇者である自覚しろよクソが!! 勇者っていうだけでテメェには色んな女が寄ってくんだよ!!! 


 呪いは効かなくても、洗脳とかそういう状態異常は効くし、不意打ちで洗脳とか催眠かけられたらどうする!? 更にテメェはいつも私に渡される食べ物とかは先に食べる!! 


 ある意味テメェも同じだろうが、もし睡眠薬とか入ってたら既成事実作られて無理矢理結婚させられんだぞ!!! 王族とか貴族の回し者が居るかもしれない事も考えろ!!!


 しかもついさっきだって普通にテメェ貰ったお菓子私の分まで食べてたじゃねぇか!! もし惚れ薬とかそれよりもっとやべぇモン入ってたらどうする気だったんだよ!!!」


「前に入ってたけどノエルしか見てなかったし、実際に平気だったから良いだろ!?」



「開き直ってんじゃねぇよバカ野郎!! 好きとか愛してるとかほざいてやがるけどな、 そう言っておいて私以外の女抱いたらそいつもテメェもぶっ殺すからな!!!」



 するとレイゼルは頬をほんのりピンク色にさせて、何故かときめいているかのような顔をする。おいそこ、ときめくポイントじゃねぇだろ。こちとら最高に気分悪いんだ、ふざけんな。



「そ、そもそも何でノエル効いてないんだよ、俺結構強い媚薬作ったんだけど……」


「あんな媚薬くらい、毎日濃度薄めたヤツ服用してたから耐性付いてる!! いつもいつも平日セッ○スさせられる身にもなれ、その気じゃなくてもこちとら3回戦もスる事になんだよ!! 


 だからいつも朝の内に薬使ってなるべく興奮しやすくして本当はそこんところ努力してるし、こういうどっかのバカが媚薬使っていいようにしようとする時の対策として、いつも飲んでんの!! 


 元々テメェの勇者としてのスキルの影響で私が状態異常になりにくいから、通常より多い量摂取してきたおかげで、最近は全然効かなくなってきたけどな!!! 出直してこいバカ勇者!!!!」



「そういうノエルの負けず嫌いな所好きだけど、今は嫌い!! いや嘘、大好き!!!」


「私はテメェのクソみてぇな気色悪い変態根性が昔から大ッ嫌いだよ!!! 












 でも言っとくけどな、そういう気色悪いテメェの悪い所とか、幸せそうに笑ってる所も、色々含めて全部ひっくるめて、テメェが思ってるより私はテメェにガチ惚れしてんだよ。


 離れるとか捨てるとか、ありもしない見当違いな事言ってんじゃねぇ」



 するとレイゼルは顔を真っ赤にさせて手で覆う。



「……しゅきぃ」


「さっさとお昼ごはん食べに行くぞバカ勇者」



「いくぅ……」



 私はレイゼルの腕を掴んでレストランに行こうとすると、何故か多くの視線を感じる。


 ……って、よく考えたらここ、一通り多い所だし周りの事を完全に忘れてた!! 


 周りを見てみると全員がこっちを見ていて、何故かスタンディングオベーションをしている。



「おめでとうございます!」


「末永く爆発しててくださいね!」


「これは皇帝様もお喜びになるに違いない!」


「やったぞ、歴史に残る尊い瞬間を映像として残す事ができた!」



 くっ殺!! 


 待って、今更ながらに恥ずかしい!! ブチ切れながら大声で大勢の前でレイゼルに告白してるようなものじゃん!!! 


 ズンズンと歩いていくけど、段々と足が前に行かなくなっていって、ふらついてくる。



「ノエル……?」



 ……待って、啖呵切って効かないとか言ったけどヤバいかもしれない。思いっきり頭がぼーっとしてきたし、意味わからないくらいムラムラしてきたし、なんなら心臓が痛くなってきたんだけど……。



「やっぱり効いてるんじゃ……」


「効いてませんが!? そんな毒よりヤバいのは魔力の方──ボゥエッ」



「あ──っ!! ノエルが血ぃ吐いたぁぁああああ!!!」


「早く魔力を還元して取って、胸が痛過ぎて死にそ──ゴハッ」



 やばい、頭がぐわんぐわんしてきた……意識が飛びそう。



「キャ──ッ!! 皇女様が!!」


「おいバカ、シーっ!!」


「そうぢゃ、絶対に皇女様呼びをしちゃいかんぞ!!」


「お前も言ってるだろジジイ!!」



 なんか周りが五月蝿いんだけど……皇女? なんのこと……。あぁもう、意味がわか──。



「うわーーーーーーっ!!! 死ぬなノエルぅぅぅぅぅぅうううッ!!!」



 ここで私の意識は吹っ飛んでいて、気絶する直前で聞こえてきたレイゼルのセリフに「誰が死ぬだとクソ勇者、こんなんで死んでたまるか!!」と、心の中で叫んでいた。




あとがき


ちょっとしたレイゼルくんの裏プロフィール的なもの。


実はレイゼルくん、一人の時は虚無ってるし、目が死んでる。むしろこっちが通常、デフォルトですらある。目にハイライトが入ってるのはノエルたそと死んだ祖母と一緒に居る時と、見ている時だけ。


えっ、じゃあお前何故イメージ絵でハイライト入れた? っていうツッコミ来るかもしれんが、先に言っておく。我氏は目の色を塗るのが一番好きなんだ……描きたかっただけなんだ。それだけなんだ……。


(※ハーメルンで投稿した絵の話です↑)


でもノエルたそとは常に一緒に居るし離れないし、離れたくないし離したくないので、実際はそこまでハイライト抜けてない。


だからノエルたそは、ハイライトがない方がデフォルトな事を知らない。でも時々ふとした時にハイライトが消えてる所を見たことはある。


前世のこともあり、一人で焼肉とか行けないタイプ。というか、常に孤独感を感じている。なのでスキンシップとかで得られる人の温もりで安心している為、いつも距離が近い。要するに極度のかまってちゃんでワガママで寂しがり屋のヤンヘラ。


原作のレイゼルは勇者としての重圧とか、死への恐怖とかも合わさって、その温もりを求める方向がだいぶ間違ってしまった。だから何回セッ……しても心が満たされることは無いし、むしろ悪化する。


実は1回のセッ……でヒロイン達のバフ効果が上がる倍率が高いほど、レイゼルからの好感度が低い。つまり、ただの都合のいい女。何で倍率が高いのかって? それはセッ……する回数が少なくて済むからだよ。


ノエルたそがNTRるルートでは、ノエルたそと恋人同士になったからこそ起きた。手っ取り早く強くなって戦争を終わらせて、ノエルたそと結婚したいが為に他の女抱いてたら、インキュバスに盗られちゃったルート。


自業自得ではあるけど、大好きだからこそ急ごうとして焦っちゃって、失った。そしてノエルたそじゃないと勃たないので、ノエルたその事を考えながら別の女抱いてるという。うーん、実によくない。


原作でもノエルたそのルートでのみ、愛が重めな勇者である。





ノエルたそのちょっとした過去


実は前世の頃からメンヘラと縁が近い。母親・友達・元彼・昔好きだった人……全員メンヘラ。なので本心を思い込みで否定される(信じて貰えない)事が大嫌いです。でも本人は思い込みが意外と強いタイプです。




ねぇ、知ってる~?


メンヘラって、自分に自信が無いけど周りから良く見られたいから、自分の無い価値を上げようとしてプライドが無駄に高いし、傷つきたくないから思い込みが激しくて変な固定思考を持ってるんだよ~!



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