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チュートリアル用チョロイン幼馴染に転生してしまった  作者: 水性さん
学校編 1年目!!!
18/52

偉大なる父!!!


喜べ! 俺TUEEEE系小説が大好きなオタクくん達が歓喜する展開だ! たぶん!!




 アーノルト・ヒエリカ・ヴェンティエ。


 人は彼を天才と呼ぶ。


 宮廷魔法士資格、魔法使用許可免許、ワールブルク学園への入学許可を史上最年少の9歳で取得。ワールブルク学園に一等星(飛び級)で入学。授業初日に魔物であり戦闘部門担当教師、スラのすけと模擬戦闘訓練にて勝利。


 秋期・春期に行われたワールブルク文武学祭の2大イベント、剣技・魔法大会優勝連覇。当時12歳にして学園を襲撃した数万を超える魔獣の大群を一人で殲滅、5年間の学徒期間を終えた後は15 歳で異例の宮廷魔法士として就職。


 これだけでもかなりの功績と偉業を成し、天才という二文字を体現したアーノルトという、文武両道・眉目秀麗な超絶怒涛のドS男。


 しかしその実、彼が天才と呼ばれている裏では、凡人では考えられない程の努力によって成り立つ秀才であった。なので彼はそんな天才、という2文字で全てを片付ける怠惰な者達を『愚かな奴らだ』と心の中で嘲笑していた。



「……はぁ」



 だがそんな彼にも最近、悩みがある。



「さっさと帰ってくれ、"母上"」


「あらやだ、ノルちゃんったら照れてるのね♡ それより聞いたわよ、エルきゅんとレイきゅんが学校に入学したって! なんでずーっと言ってくれなかったのよ! そしたら記念撮影も沢山したしお祝いもしたのに!」



 そう言う生物学的には"男"の性自認女、性的対象女の、どこをどう見ても美しい女性にしか見えない"母親"が、愛しい妻と子供と一緒に住んでいる愛の巣に押しかけてくるからだ。











「だからといって"皇帝"が護衛も付けずに他国へ来るな、今頃またあっちでは大騒ぎだ。それよりケガ人はさっさと帰れ」


「んもぅ冷たいわね、でも本当は心配してくれてる事をお母様はちゃんと分かってるのよ♡」



 ……更に追加情報、ノルトは今住んでいる国と同盟を組んでいる隣国(故郷)の第3皇子である。


 この世界では王族の子供は数多く、側室もかなり多い。だからか王座を奪い合う争奪戦もそれは激しく、血を血で洗うような戦いが繰り広げられる……が。


 ノルトの父おyゲフンゲフン。……母親であるノエリア(本名ノックス)は、たった一人の女性を愛し、息子と娘達を大切にしていた。その為そんな争いも無く、よっぽどの事がなければ絶対に皇帝になる事はない。そしてノルトは皇帝の地位などには全く興味が無く、兄弟仲も他の国に比べてかなり良好だった。


 というのも、皇帝になった所で人類全ての頂点に立てる訳ではないからだ。


 そんなノルトは皇族でありながらもあまり表立って国民の前に現れることは無く、故郷に居た頃は外に出る際に変装をして過ごしていた。


 なので皇族でありながらもかなり自由に生きており、完全にとは言えないが更に自由に生きる為にしがらみを捨てる事を許可された。全ては一般平民である妻と結婚し、妻の故郷で幸せに暮らす為に。


 ノエリアも昔は皇后と中々な大恋愛を繰り広げ、上流階級を大きく震撼させた。その体験とヒエリカ皇族では数百年ぶりに3人以上の子供ができた事もあり、ノルトに自由を与えたのだった。なんともロマンティックな恋である。


 同じ人の上に立つ一族でも、住んでいる国の王とは天と地との差だ。



「……最近は落ち着いたのか?」


「えぇ、ピークを過ぎたからか大分落ち着いたみたい。それでも、うじゃうじゃ湧いて出てくるからもう、毎日大変よ! ……ただ、懸念はまだあるけれど。ところで、何時になったらエルきゅんに本当の事を言うつもりなの? 


 いくら変装しても、代々皇族が受け継いできた翠眼と白髪……はともかく。魔力色はアーティファクトが無ければ隠せない、分かる人には分かるのよ?」



 ノエリアは息子にそう聞くと、ノルトは頭を横に振った。



「あの子にとってなんの利益にもならない余計な事は教えたくも、情報を目にも触れさせたくはない」



そうは言っているが、ノエリアは気がついていた。ノルトの手が僅かに震えていることに。



「ただでさえ、勇者には見初められ、この国の王に目を付けられてしまっているんだ。ノエルを泣かせなければ勇者は別にいいとして、悩みの種はすべて消しておきたい」



 ノルトがそう言うと、ノエリアはスンッと表情を無くした。



「ノルちゃん、あのゴキブリ処す? 処す??」


「いやそれにはまだ早い……いつか自ら死にたいと懇願させるには徹底的にやらなければな」



「はぁ……国にとって有益じゃなければ絶対に同盟なんて組まないのに。嫌になっちゃうわ、無駄にあのゴキブリは政治が上手いのよね。いざという時は私が権力で守ってあげるわ!」


「母上は別の国の皇帝だろう、突然しゃしゃり出ても厄介払いされるだけだ。あと皇帝としてそれはどうなんだ、家臣や民達に示しがつかない」



「むぅ~……」


「お義母様、お茶とお菓子ですよ」



 久々の親子の会話の途中で紅茶とマドレーヌやフィナンシェを持ってきた義娘に目を向けると、ノエリアは翠色の目をより一層キラキラと輝かせる。



「わーい! エマちゃんの入れるお茶、あたし大好きなのよね~! あっ、美味し~♡ お菓子も最高~!」



 これでいいのか。



 ノルトは少しため息を吐くと、全く一国の主としての威厳も何も無い顔でノエリアが笑った。



「それにしても学校かぁ……懐かしいわ、ノルちゃんが色々と無茶をして、それがあたしの耳に入ってきた時の事!」


「魔法の研究と言ってくれ」










 アーノルト、いや……ノルトが皇族である事を知っていたのは、学園関係者の中でもかなり限られた人間のみが知る事実。


 しかしノルトが転生者であった事を知る人物は、この世の何処にも居なかった。家族でさえも、それを知る者は居ない。あくまで、人の場合に限るが。



『いやぁメンゴメンゴ、間違えて本当は死ぬ予定じゃなかったのに、ミスって殺しちゃった☆ ゴメンね、えへっ☆ あ、わてくしいわゆる神様というかゴッド的な?』


『(何だ、このふざけた馬鹿は。意味が分からない)』



『よろぴくね☆ という訳で間違えちゃったからお詫びに何かしたいなーって思ったんだ、ボクちゃん優しい! マジ神様、マジイエス!』


『そうか、腹が立つから詫びとして死ね』



『えっ、ちょっと待っ──ギャァァァァアアアッ!! 本当にマジですいませんっしたぁぁぁぁ!!! お願いしますからその足を……いや待って、何か、何か来ちゃうっ♡ やめへぇ、らめぇぇ♡♡ 来ちゃうのぉぉぉおおおおっ♡♡♡ 』



『そのまま逝け、死にさらせ』


『お゛っほぉぉぉぉぉおお♡♡♡』



 自称神のバカはこうしてノルトにアヘ顔ダブルピースをしながらシバかれたものの、神様なのでそれくらいで死ぬ事は無い。



『ボクちんは神様なのにぃ……♡ 運命を司る神様なのにぃ……♡♡』


『豚が言語を喋るな』



 ゲシッ



『ぶひぃぃぃいいいっ♡♡♡』



 ちなみに彼の前世で生業としていたのが、やはりそういうSMクラブに関係しているものであった。SM業界ではかなり名を轟かせていたプロだった為、例えノーマルであろうとも彼の手にかかれば、皆等しく豚に成り下がらせる事も容易いものだった。これぞ劇的ビフォーアフター、性癖の大建築である。



『ご主人様の為にっ♡ 新しい人生を幸せに送って貰えるようにっ♡♡ 剣と魔法の世界の何処かの国で最高の力と才能と地位と環境を持って産まれた次期国王に転生してもらいましゅっ♡♡♡』


『この俺に、国王如きになれだと? 人類全ての頂点として転生させろ、そんな事も分からないのか豚畜生が』



『ごめんなしゃいぃぃいいっ♡ 流石に無理でしゅぅぅぅぅううう♡♡ あ゛っ♡♡♡ おしりがぁ、我のおしりがぁぁぁぁぁぁぁぁあああああっ♡♡♡』


『それに力は自分の手で手に入れなければ意味が無いという事を、何故理解できない? 豚から貰った力など、それは豚の力でしかない』


『た、確かにぃぃっ♡♡♡』



『チッ……なんにせよ、使えない豚だ。なら第3王子の地位だけで許してやる、王になれば一生政治の生贄にされ、1と2の王位継承争いに巻き込まれかねない。それなら地位がある程度高い3で甘んじてやる、自由に生きられないからな。


 この俺を転生させるんだ、この世に神として誕生した事を光栄に思え』



 こうして俺様系ドSは転生したのだった。


 ノルトが歩けるようになった頃。元々の体のスペックはあるが、彼は幼いからこそ知識を何でも吸収するスポンジのような頭に沢山の知識を蓄える事にした。


 まずは基本的な母国語の読み書き、そして他国の言語や魔物達の言語。それからこの世界での常識やマナー、歴史。仮にも皇族なのだ、社交として様々な人種や他国の人間との交流もある。その為には歴史的背景なども知る為に、世界史も勉強した。


 それから彼が手を出したのは、前世では無かった魔法学というもの。簡単に言うと、理科や化学に置き換えられたものを勉強し始めた。そして彼は魔法学にのめり込むようになり、いつも魔導書庫に篭っていた。


 超常現象を起こす為の魔力は即ち、力だ。そして魔法において、知識というのは重要な鍵となる。


 知っての通り、ノルトはとにかくプライドが高く自尊心が強い。そしてありとあらゆる力と能力という物が好きだった。知力、武力、魅力……それらを兼ね備えれば、人は自ずと頭を垂れ跪き、後ろを歩く。


 それのなんと気分が良い事か。


 そしてこの世界では魔力という前世にはない、摩訶不思議な力が存在し、強力な魔法が使える。そして魔法が誰よりも使う事ができると、将来できることの幅が飛躍的に広がり、特別な存在になれる。


 その為にもノルトは魔法学をひたすらに勉強し、ひたすらに研究と実験に励んだ。もちろん"力"の為に体も動かし、5歳頃には皇族としての教育を受けていた。


 まぁその行動に移す為の思考回路は、昔ながらな西洋ファンタジーのRPGに出てきそうな、魔王そのものの人物像であったが。だがやろうと思えば本当にできかねない男である。


 8歳になった頃、ノルトは母親(♂)主催の社交の場に出る事になった。この世界であれば通常、12歳くらいからなのだが……ノエリアが天才的すぎる息子を自慢したいが為に、ノルトを社交の場に強制出陣させたのだった。



『ノルちゃん、一緒にあたしと社交に出ましょうね♡』


『は? 何故?? 俺は行くとは言ってないぞ、勝手に決めるな』



『だってぇ~~! ノルちゃんの事自慢したいんだもの~~~! 母としてはいーっぱい、自慢したいのよ~~~~!!』


『……どうせもう色々と決まった後なんだろう? 仕方がないから、出てやる』



『きゃーっ! ノルちゃん優しい! 愛してるわっ!』



 もちろん相手にも子どもを連れて来させた。ノルトの話し相手、又は未来のお嫁さんができたらいいな~という感じで。


 そんな子供自慢大会みたいな物の主役にされてしまったノルトは、その日壁の花を決め込むことが出来なくなり、大人子供と様々な人に話しかけられた。本当は無愛想でイライラを隠さずに対応したかったが、それだと自分の株が下がる。


 上流階級というのは、そういう上っ面な部分しか見ない。なので態度が悪ければ、それだけで教養が無いと思われるのだ。ノルトは基本的に他人が自分に対してどんな感情を抱いていようとどうでもいいが、格下にそんなふうに思われるのは嫌だったので、その日は営業スマイルで乗り切った。ストレスがマッハで溜まったのは言うまでもないだろう。


 何せ、対して自分よりも能力が無い大人や子供に、何の得にもならないサービスをタダで提供しなければならないので。


 特にストレスが溜まったのは、自分よりも数年ほど年上ではあるが、その年の平均よりも知能があまり高くなく、不細工(顔のパーツの配置とか素自体は良いが、化粧でゴテゴテ)で悪臭が漂い、ウザイ上に品性の欠片も可愛げもない肥満の女がしつこくしてきた事だろう。


 ノルトは軽く殺意を覚えた。まぁそれだけの関わりならまだ良かったが……どうやらその女に気に入られてしまったらしい。隣国の王女であり、国王の正妻の子供なので13番目の王女だったとはいえ地位がかなり高かった。この世界の王族は子供が50人居ても別に普通なのである。その為、13番目はかなり高い方だ。


 なので縁談について綴られた手紙(かなり上から目線で書かれている)を捨てたくとも、ゴミ箱に丸めて捨てられない……のが普通だが、天下のノルト様は「貴様ごときがこの俺と結婚だと? 冗談は存在だけにしろ」と、普通に大量に積み重なった手紙を燃やした。しっかりと断りの手紙を何通も送り付けて。


 一年中、毎日5通以上(酷い時には24通)も送られ続けたので、ノルトは断りの手紙を書くのも、送られてきた手紙を読むのも面倒に感じ……それからいい事を思いついたので、秋の時期まで手紙を燃やさずに溜め込んでおいた。


 そして時が来た時にノルトはオヤツとして甘くて美味しそ~なさつまいもを適当な国民達の営むスーパーで顔を隠さずに何個も買い、焼いて国民達と食べる事にした。もちろんこの様子は新聞に載った。手紙と芋が炎上した。


 ヒエリカ国民達はそんな様子のノルトに「流石俺らのアーノルト様! 俺らにできないことを平然とやってのけるッ、そこにシビれる!あこがれるゥ!」と、喜んでいた。国民達もあの王族が大嫌いなので、逆に賞賛した。


 流石に新聞に載ったので、手紙はもう送られてこなくなった。そして冬が過ぎて春になり、9歳の頃に転機が訪れた。



『ノルちゃんなら普通にお隣さん(フエリラ)の宮廷魔法士資格と魔法使用許可免許、どっちも取れちゃいそうよね~』


『俺にできないことはこの世に存在しないが?』



 食事中で何気なく言ったノエリアママンの台詞に、ノルトは思わずそう答えた。



『また出たな』


『ノルト、その自信過剰を今の内に直しておいた方がいいぞ。いつか失敗した時の精神的ダメージがあまりにも強くなる』



『そうそう、まぁ自信が無いよりは良いんだ。無いよりかはな、とりあえず1回失敗してみるのもいいんじゃないか? 人生経験と思って』


『まぁまぁ、いいじゃないですか』


『そうよ、ノルちゃんは天才なんだから!』


『お兄様なら楽勝です!』


『兄様、頑張ってください!』



『……兄上、母上×2とルースとルーア達はノルトを甘やかし過ぎると思うんだが……どう思う?』


『奇遇だな、俺もだ』



 兄2人はその時そう言っていたのだが、内心では『できそう』という風に思っており、ノルトは本当に年に1回しか開かれない試験に満点で一発合格したのだった。


 そしてお兄ちゃんズは『うそ~ん……』といった様子で、天才を地で行く、ドヤ顔で見るからに『褒めろ、讃えろ』と言わんばかりな弟(免許証を持った姿)を見ていた。まぁ考えていたのは2人とも総じて『いや流石"俺の"弟』というふうに、結局兄弟全員ノルトを褒めまくっていたし、自信家で家族大好きっ子だったのだが。


 あとお兄ちゃんとしては優秀な弟を持つと、鼻が高いし。


 あの炎上事件から一年が経ち、再びやってきた秋。ノルトは学校に最年少で入学した。最初、入学の話を持ちかけてきたのは皇室の方からだった。今世紀最高の天才である彼の芽を成長させ、開花させる為にはワールブルク学園の方が最も適していると判断したからである。



『実はあたし、ノルちゃんが行きたいなら、こっちの方から駆け寄ってワールブルク学園に入学許可を貰いに行こうかと思っているのよ。その方が人との関わりも持てるわ』


『ノルトは天才ですもの、それに交友関係は今の所無いですし。私も学校に行く方がいいと思います』


『……そうだな。俺の実力がどれほどか、一度試してみたい。試験会場ではただの老害しか居なかったからな』



 学園側としては、天才であると知られた第3皇子を指南する事が出来るのは、とても名誉な事。そしてノルトが何か偉業を成し遂げれば、その彼に様々な知識を教えた学園に更なる箔が付く。彼は家族にアーノルトではなくノルトと呼ばれる事が多い為、学校での名前はノルト・ヴェリカという偽名で登録し、学園側は喜んで彼を受け入れた……それが地獄の始まりだとは思いもせず。



 ノルトは常に全力なので、初めての授業で魔法訓練所にて的どころか場所そのものを吹き飛ばしそうになったり、学力は全く問題ないので肉体的な力を得る為に戦闘部門に行った結果……。



『ピキー、ピキピキピキー( じゃこ共、初めましてなのねん。これからぼきゅがお前らじゃこ共を強くしていくから、ありがたく授業を受けるのねん)』


『……ほぅ?』



 魔物の共通言語である魔物語だけではなく、種族別の言語も勉強した為、ノルトは翻訳をしてくれるアーティファクトを使わなくても、この生意気なスライムの発言を完全に理解できていた。なのでノルトは分からせる事にしたのだった。



『スライムごときがこの俺に向かって偉そうな口を叩くな』


『ピキっ!? ピキ──っ! (な、なんなのねん!? ざこじゃの(くしぇ)に生意気なのねん! 後悔しゃしぇてやるのねん! お前なんか一瞬で地面を舐めししぇて)』




























『……戯言はそれだけか?』


『ピ、ピキピキピキピキー……ピキ、ひっぐ(ご、ごめんなさしゃいなのねん、ごめんなしゃいなのねん、ごめんなしゃいなのねん、ごめんなしゃいなのねん……ぼきゅの方がじゃこだったのねん……ひっぐ)』



『敗者は黙って無様に這いつくばっていろ』



 スライムを足で踏み踏みしながらキュートでプリチーなお顔を地面に押し付け、ノルトは……若干靴越しでぷにぷにしていた。いつかこの感触の為にスライムを飼ってみてもいいかもしれない、なんて思いながら。


 そして自分のステータスプレートを作る為にスラのすけに大量の魔力を流し込み、パンクさせたのだった。なんという鬼畜な追い打ちであろうか。その様子を見ながら、当時のゲイルはプルプルと震えており『怖い人だからあんまり関わらないようにしよう……』と思っていた。思ってはいたが……無理だった。


 それから一週間後。



『ノ、ノルト様! あの、良ければ今日私と──』


『近寄るな。何だその甘ったるい匂いと濃い化粧は、化粧品にも匂いがある事を知らないのか? その上、香水を馬鹿の一つ覚えのように吹きかけている……。様々な強い匂いが混ざっていて、実に不愉快だ。


 失せろ』



 変装(と言っても眼鏡をかけて髪を黒に染めただけ)をした姿であろうとも、その美貌を変える事は整形でもしなければできない。だからか、ノルトが皇族である事を知らないとはいえ、本人は顔を隠そうとも態度を変えようともしなかったので、非常によくモテていた。そう、まるで高貴なる存在である王族を相手にしているかのような……。


(相手の目から見える、自分の印象操作と目の色の見え方を変える魔法を一応使っている)


 そしてノルトは貴族の娘達の心を片っ端から玉砕し、粉砕してパウダー状態にしていた。



『はぁ、はぁ……♡』



 ……それによって、もれなく全員がナニかに目覚めてしまったのだが。


 文武両道、眉目秀麗、傍若無人。天才であり秀才。年頃の少女達は誰もが彼の後ろを金魚のフンのように着いて回り、頬を赤く染めて息を荒らげていた。……四つん這いで。


 ノルトは別に常識を持ち合わせていない訳では無いので、何故か四つん這いで着いてくる女さん達には普通にドン引きした。


 しかし当然、そんな彼を「おもしれー男」とは思わないのが同性である少年達だった。実に面白くない男で、しかも自分達よりも3歳くらい年下なのだ。中にはノルトに突っかかってくる少年達が居た。6~8割りくらいその相手は、ほとんどが貴族である。


 だがそんな彼に分け隔てなく接していたのが、ルームメイトのゲイルであった。第一印象は『すごく怖そうな年下』であったが、約1週間経てば彼という人間がすぐに分かるようになった。


 それは彼が良い意味で表裏がないからだろう。


 年下でありながらもノルトは随分と性格が大人びているし、必要でなければほとんど話さない。しかし話しかければ普通に言葉を返すし、意外と面倒見がいい。


 基本的にはやはり自分至上主義で自尊心つよつよマンなのだが、朝寝起きが悪い自分を毎朝起こしてくれるのだ。



『さっさと起きろ』


『あうっ』



 そしてペシペシと往復ビンタをしながらも、しっかりと起こしてその上で朝ごはんも作ってくれる。後は綺麗好きなのか、部屋とかもこまめに掃除をするし、本人がよく魔法()を使うので糖分補給をする為に魔法でお菓子とかも作って優雅にティータイムをする時も、お菓子に入った自分の魔力を還元し、誰でも食べられるようにして自分の分を用意してくれる。



『ノルト君、僕の分も用意してくれたの? ありがとう!』


『勘違いするな。お前に少しくらい与えなければ、匂いで腹を空かせてあのドラゴンのいびきのような音が聞こえてくるだろう。五月蝿くてかなわん』



 まぁ要するに餌付けとかお世話されてゲイルが懐いてしまい、怖そうなヤバいルームメイトから、ツンデレハイスペドSイケメンなルームメイトの友だちに認識が大きく変わったのだった。実にチョロい。


 一方ゲイルはぽやぽやしていて、ぽけーっとしていて、見るからに無害そうだし、実際に無害。そして鈍臭い、一人だと変態にすぐに捕まりそう。更に見ていてなんだか……ちょっと癒される。つまりノルトにとってゲイルは手のかかるペットのようなものだった。



『ノルト君ごめんね、ちょっと時間かかっちゃって……』


『遅い』



 特に自分の後ろをちょこちょこと、ペンギンかのように歩いているところや、驚くとビクッとする小動物感、そして童顔で低身長。


 後にそういう所が親子共々「かわい~!」という感じの癒しとなり、加護の対象となるのだった。それに親子どちらも揃って下に弟や妹が居たので、可愛くて自分よりも弱そうなやつは守りたくなるのだ。


 そしてノエルは既にゲイルの事を「先生は守ってあげないと、これ以上尊厳破壊されたら先生が壊れる……!!」というふうに思っており、現在のノルトは「捕まってしまったか……」と、今でも時々文通するゲイルの事を思い出す度に手を合わせた。南無。


 やはり可愛いは正義である、ただいかんせんノルトとゲイルは顔がいい。そして脳内が腐っているアンデッドな人達が、何故かノルトが高圧的でありながらもゲイルには優しかったので『もしかしてそういう仲だったり……』という変な想像をしてきたのが鬱陶しかったが。



(ちなみに当時は2人のナマモノ同人誌が流行っており、脳内がアンデッドな人達の愛読書になっていた)



『魔法の授業がよく分からなくて……いっぱい先生に聞いてたんだけど、イマイチ理解できなかったんだ。僕ってやっぱり魔法の才能無いなぁ……』


『そんなくだらない事で俺を煩わせるな、さっさと行くぞ』



『あ、あわわ……待って!』



 彼はいつも何かしら理由をつけてはゲイルに自分の荷物を持たせていた為、腐っていない人達からの目線では、ただのいじめっ子といじめられっ子にしか見えなかった。だが実際にはこうする事で、いじめられっ子気質なゲイルを守っているのだった。あまり同性からは喧嘩売られる時以外で近づかれることは無いので。


 それでもいじめられそうになった場合は『豚が俺の荷物持ちに触るな、菌が移る』と、3角木馬+鞭打ちの刑に処してボッコボコのフルコンボだドン。そして喧嘩を売られた時は嬉々として相手をねじ伏せ、尊厳を破壊していた。


 俺様・皇子様・ノルト様である。


 ちなみにこの『そんなくだらない事で俺を煩わせるな、さっさと行くぞ』というセリフ、普通に聞けば言葉の通りのように聞こえるのだが、意味としては『知りたいのなら俺に聞けば良かっただろう、今度この俺が直々に誰よりも分かりやすく教えてやる』というものだ。やはりなんだかんだノルトは面倒見が良かった。



『今日のご飯何かなぁ……オムライスだったらいいなぁ、デミグラスソースがかかってるやつが食べたいなぁ! あとフライドチキンとか、カルボナーラとか、マグロとか、いっぱい!』



 そんなノルトによく突っかかってくる奴が居た。


 その時はいつも決まってこの昼休みの時間であり、ノルトの前にピザデブ女(香水+汗の匂いを纏ったドレス姿)が立ち塞がる。



『相変わらず、自分よりも格下の者を従わせるのが好きな男ですわね』


『オムライスはこの前も食べただろう、小さい体でよくそんなに入るな』


『そ、それを言ったらノルト君の方が──いはい(痛い)っ! ほっへふはははいへ(ほっぺつままないで)~!』



 が、ピザデブ女は普通にスルーされた。ゲイルの頬をぐにーっとつまみながらスタスタと歩いて通り過ぎた。



『ちょっと!! 私様を無視しないでくださいまし!! 私様を誰だと思っていらっしゃるのです、私様は第13王女エリザベス、ウィリアム王の血を引く高貴なる存在なのよ!!』


『ふん、俺よりも頭が高く居られるのは今の内だ。すぐにお前を見下ろしてやる』


ほろほろははひへほ(そろそろ離してよ)~!』



 またもやスルー。そんなノルトにピザデブ女はギリギリと歯軋りをすると、ブルンブルンと大きな胸()を揺らしながらズシッズシッと廊下を小走りして追いかけた。



『どうしてそんな格好をしているのか、あと私が送った手紙についての説明をさせて頂きますわよ! 私様の聞きたい事全てを答えてもらいますわ!!』



 するとノルトは深いため息を吐くと立ち止まり、振り返る。


 本来のエメラルドがそのままはめ込まれたかのように美しい吊り目ではなく、黒曜石のような黒い目がエリザベスに今ようやく向けられた。例え髪や目の色が違っていたとしても、元々の美貌は変わらない。


 そんなノルトに見つめられ、エリザベスは思わず紅潮する……が。



『虫けらごときがこの俺を直視するな、目障りだ』


『なっ、なんですって!? この私様になんて無礼な……!!』



 思わず詰め寄ろうとするものの、ノルトは顔を顰めて『臭い、その上に醜い顔を近付けるな。失せろ』と言い、また歩き始めた。


 これらのやり取りは卒業するまで長い事続いており、その結果今ではエリザベスという名前を聞くだけでも嫌悪感を抱く程だ。


 何故彼女が突っかかってきたのかというと、ノルトが初めて社交界に出た時、エリザベスはノルトに一目惚れしてしまったからだった。そう、もうお分かりだろうが、一応確認の為にも説明すると……エリザベスはあの子供自慢大会でしつこく話しかけ、手紙を送り付けて可愛そうにも燃やされたピザデブ女だ。


 しかしこの王女、ノルトにプライドは負けず劣らずにいい勝負をしており、こんなふうに突っかかってくるのだった。本人からしてみれば、濃い化粧をした体が大きくて悪臭を撒き散らす見た目も中身も最悪なモンスター……。もはや最後の幻想シリーズに出てくるモ○ボルと同等で同類だった為、全く相手にしなかったが。


 そんなアーノルト様だが、現在では家族の為にノルトは下手したら毎日王女に会うことになるような環境で仕事をしている。だが愛しい妻と子供の為を思えば、背に腹はかえられない。この世は金さえあれば、何が起きても大体はこれで解決する。それに実際はいつも忙しく、基本的に外に居るので本当にたまに会う程度だが。


 ただ忘れた頃に会うので、嫌な腐れ縁と言うやつだろう。


 そして入学してから約二ヶ月が経った頃、文武学祭が開かれた。説明しなくとも分かるとは思うが、いわゆる学校で開催される文化祭とまんま同じである。そしてワールブルク学園には様々な部門が存在しており、なかなかクオリティが高い物が屋台で売っていたりもする。


 それがキッカケで才能のある人にはスカウトされる事もあり、文武学祭は生徒達にとっての大きなチャンス。上手くいけば一生お金に困る事も無い、その為……。



『ノルト君! 是非私のモデルになってください!!』


『いや俺のモデルに!!』


『僕を選べば後悔しないから!!』



 一般人でも買えるオシャレな服、又は貴族の着るドレスを専門として作るデザイナー、貴族御用達のメイクアーティスト志望から、ノルトは詰め寄られていた。学祭ではファッションショーも開かれ、そこでプロ達に見てもらうことが出来る。モデルが美人であれば見る人に印象を強く残せる為、とても有利なのだ。


 なので男女関係無く、大勢に詰め寄られていた。性格はともかく、ノルトの美貌は男女問わず総じて美しいと思うので。



『邪魔だ、退け』



 当然本人としては普通に道を塞いでくるのが鬱陶しいので、迷惑でしかなかったが。とはいえあまりにも鬱陶しかった為、ノルトは自ら相手を選び、結局三日間行われる文武学祭の二日目のファッションショーに出る事となった。だが、だからといって適当に選んだ訳ではなく、ちゃんと考えて才能がある相手を選んだ。ノルトはやると決めたら常に全力を尽くす男なので。


 そして当日がやって来た。



『美味しそうな物がいっぱい……! ねぇノルト君、学園の屋台全部周ってもいい!?』


『金の事を考えろ』



 誰が行くかと言わないあたり、ノルトはゲイルの食べ歩きに付き合ってくれるらしい。常にドS全開だが、こういう所は優しいのである。



『あっ……』



 しょぼーん、という表情をするゲイル。明らかに『いっぱい食べたかったなぁ……』という様子にノルトはスッ……と財布を出すと、1万ソールを出した。



『これで買えるだけ頼む』


『やったぁ~!』



『この俺に奢らせるとはいい度胸だ、高くつくぞ』


『大事に食べるね!』


『お、お買い上げありがとうございます!』



 それからノルトは片っ端からゲイルが食べたい物を買い、ゲイルは美味しそうな顔をしてあっという間に食べ終わる。しかしゲイルの食欲は留まるところを知らず、常に何かしらを食べていた。ノルトは皇子ではあるが、普段欲しい物は魔法の研究などに使う物くらいで他にはない。


 その為、有り余る程のお小遣いを母親2人から貰っていた。それに研究の為の方がソールを使う為、これくらい端金のようなものだった。



『そういえばノルト君、ファッションショーの後でコンテストには出ないの?』


『何の話だ』



『ほら、アレだよ』



 多くの女性達からの視線を感じながら2人でもぐもぐと、屋台で買った食べ物を食べながら文武学祭を周っている中。たまたまゲイルが見つけて指を指した先には、美男美女コンテストのチラシが配られていた。



『くだらない……俺があんな見世物に出るとでも? ただでさえ既に巻き込まれているというのに』


『えぇ~、でもノルト君なら一位になれると思うけどなぁ……』



『当然なるに決まっているだろう、言うまでもない事をいちいち言うな』


『……とりあえず、名前だけでも書いて写真撮っておく? 一位になったら、沢山ある賞品の内一つを選んで貰えるそうだし』



『興味が無い、どうせ価値の無い物ばかりだ』



 本人は全く乗り気ではないのだが、歩いているとチラシを配っていた人に目が合い『是非参加してください!! 貴方なら絶対に一位になれます!!』と、チラシを押し付けられてしまった。とりあえずチラシを見てから捨てようと思っていた……のだが。



『なっ……これはバジリスクの魔石!?』


『えっ!?』



 なんと賞品の写真一覧には、目が合っただけで相手を石にする事ができるという小さな蛇の魔獣、バジリスクの魔石が賞品として出ていた事がきっかけで大きく考えが逆転した。


 バジリスクは体が小さい蛇でありながら、蛇型の魔獣の中でもかなり凶暴で強い毒を持つ。倒すのは容易ではなく、そもそも魔石は豊富な魔力を持った魔獣にしか取れない、魔力が結晶化した物だ。


 バジリスクは近くに居るだけでも死に至るような危険な魔獣な為、魔石となるとかなり珍しい。オークションで売れば研究対象として高く売れる為、主催側は『これを売って金にしてくれ』という意図でこれを賞品にしたのだろう。


 だが一体何故そんな物が名門とはいえ、学園祭の出し物であるコンテストの賞品になっているのか。普通なら盗まれるぞ、最悪死人が出る。


 そう思っていると、小さく『これはスラのすけ先生が取ってきたものなので、合法な魔石です。優勝者はスラのすけ先生に貰ってください』と書かれていた。


 おそらくはスラのすけが要らないからという理由で、賞品にさせたのだろう。あのスライムな教師であれば、確かに持ってても盗られる心配は無く安全だ。何してくれてんだお前、という気持ちではあるが。


 ……そんな事よりもだ。魔石は使えば小さくなっていき、消耗していく。だが魔石自体があまりにも強力すぎると使う内に段々と魔石内で不安定になっていき、いづれは暴走して爆発して辺り一面に魔力が放出される。だが魔石は大体魔獣の大きさや強さによって大きさが変わる物で、バジリスクは小さい蛇である為に魔石も相当小さい。数回使っただけでも壊れかねないのだ。



『こ、これって……大丈夫なの!?』


『大丈夫な訳が無いだろう』



 魔石はエネルギーの塊だ。魔法が使えない者でも、使おうと思う意思とイメージさえあれば魔法が使えてしまう。ゲイルは強力な魔石の爆発については知らないが、バジリスクの生態と魔石については勉強していたので知っていた為、その危険性を分かっていた。


 もしふざけて物を石化させようとする輩が片っ端から石に変えてしまい、魔石を壊してしまったら。


 この学園全体全てが石へと化してしまうだろう。このような情報は魔法に精通していなければ知りえない情報であり、つい最近になってノルトが見つけ出した未知の発見だった事だ。というのも、強力すぎる魔石はいくら使っても、内包された魔力量が膨大すぎるあまりに不安定になるまで減らないからだ。


 そしてノルトはつい最近、炎の魔法が使える魔石の実験でまた魔法訓練所を吹き飛ばした。……正体共に原因不明の爆発として。魔力を感知できない上に一瞬の事で、突然の爆発だったというふうにしか見えないのだ。それにまだ不明な部分も多い上、もしこれを出したら兵器として転用されかねない。


 過去にだって突然の魔力の爆発で一瞬にして王国が滅びたという伝説があるが、それも全て魔石によるものだ。しかし調べようにも魔獣の魔力しか残らない為、その魔獣が襲ってきたのだという判断になってしまう。


 なのでその事を知らない人が大勢居る。



『……はぁ、仕方ない。出るか』



 とんでもない爆弾をただのコンテストの賞品にしたものだ、本来であればあれは封印しておくべき物だというのに。そう思いながらも結局ノルトは初日は出店を回ってゲイルと食べ歩きをし、2日目にあるファッションショーの後で開催されるコンテストに出る事になった。



『エントリーナンバー111番の方、前にどうぞ! 簡単な自己紹介をお願いします!』



 ノルトが前に出た瞬間、全ての時間が止まったかのように音がピタリと止んだ。歩き方や姿勢、雰囲気に美貌。彼の全てに見る者全員を魅了させられてしまう。皇族であるが故に叩き込まれた物と元々の性質が織り成す威風堂々とした様子。


 彼こそが全ての頂点であると、自然と頭の中で理解する。誰もが息をするのを忘れ、ただうっとりと見つめてしまうのだ。


 この現象は先程のファッションショーでも起きており、それを見た人はほとんどの女性達がノルトのファンになっていた。ここでもノルトはファンを増やしていく。ファッションショーに出た時の格好のままでやってきていたのもあるだろう。


 その方が確実……なのだが、なんとその時の格好がThe・皇子様な格好だったからだ。それも乙女ゲームに出てきそうな感じの。



『……1年戦闘部門、ノルト・ヴェリカ』



 そして自己紹介、終了。


 最初からノルトはコンテスト自体には興味が無い為、全くと言っていいほどにやる気が無い。それに知らない輩にタダでプロフィールを公開し、自分にズカズカと土足で踏み込んできて欲しくなったからだ。



『…………あの、何かもう少し無いですか?』


『何故だ? 言う必要を感じない、1番になるのはこの俺だと最初から決まっている。なら言わなくとも構わないだろう、時間の無駄だ』


『『『『キャ──ッ!!』』』』



 ここでノルトに見惚れていた女性達がようやく我に返ると、黄色い声を上げた。そんな女性達にノルトは顔を顰めると、司会に渡されたマイクで『豚共、その五月蝿い口を閉じろ。不愉快だ』と言っていた。その瞬間に乙女達は豚へと化した。


 普通に一位になって普通にスラのすけから魔石をゲットすると(その時のスラのすけは、二つの意味でプルプルしながらノルトに魔石を渡していた)転移魔法で魔石を実家の方で厳重に保管する事にした。一応家族に魔石の危険性を伝えて厳重に保管する事になり、家族一同『なんでそんなヤバイ物持って帰ってきた!?』と、当然思ったが……。


 その理解はできるのでとりあえず皇族しか知らない森の奥地に隠す事になった。そう、使われなければ危険ではないので。



『もしもの時は責任取ってね、ノルちゃん。そしたら全部任せるから』


『分かっている、もとより俺はそのつもりでこれを持って来た』



 そして少しの間の帰郷を終えた。



『帰ってくるの、早いね?』


『後は全てあっちに任せたからな』



 トイレで用を足すフリをしてムーヴィで実家に少しの間だけ行き、用事を済ませてトイレから出てきたノルトにゲイルはそう言うと、ふと思った疑問を尋ねた。



『そういえばノルト君の実家ってどうなってるの? ……実家は色々と大丈夫なの?』



『問題ない、ヒエリカはこの世でもっとも魔法とアーティファクトが発達した国だからな』


『ノルト君って、別の国の人だったんだ……それよりによってある意味で一番危険で安全な国の……』



『それより、これからは泥棒(ドブ鼠)が魔石を狙って部屋に来るかもしれないから気をつけろ。……あれは分かる者には分かる』


『えっ』



 そして本当にその日の深夜から魔石を盗み出そうとする輩がやって来たりもしたが、魔法をかけて絶対に入って来れないようにした為に何事も無く次の日を迎えた。


 ドアからピッキングとかでこっそりと忍び込もうとした者は、特定の条件を満たすと発動するようにしてあった、拘束魔法のスカフで後ろ手縛り+M字開脚縛りを。窓からダイナミックに突き破って殺してでも奪おうとした強盗は、衝撃を反射させるイメージをして張った防壁魔法のフィジゾーンによって、勢いよく吹き飛び……バイーン! という効果音と共にお星様になっていた。



 そして3日目、文武学祭の最終日この日は文武学祭で最も大きなイベントが開かれる。


 そう、剣技・魔法大会である。


 大会は3種類に分けられる。己の体と剣だけで戦う剣技形式と、魔法だけを使って戦う魔法形式と、ルール違反 (体に何か仕込んで武器を隠し持つ、ただの強い光や大きな音で相手の五感などを狂わせること。事前に薬などでドーピング・又は相手を戦闘不能にさせない、聖力を使うなどの行為)さえしなければどんな武器や魔法を使って自由に戦ってもいい自由形式というものだ。



『ノルト君……それ本当なの?』


『当たり前だ、この俺に敗北という2文字は存在しない』



 これに戦闘部門の人は必ず参加する事になっており、自由形式では腕に自信がある、外部からやって来た学祭の参加者など、誰でも参加可能。そして戦闘部門の生徒は3種目全てにおいて必ず参加する事ができ、そしてこの男は3種全てに事前にエントリーしており、出場する気であった。


 勝利条件は相手を気絶・10秒の拘束状態とダウンなどをして、戦闘不能にさせる。首筋に寸止めで武器を当てるなどをする。相手を場外にさせリングから落とす。相手を降参させる事。剣技・魔法形式のみ、相手の持っている剣を落とす事・相手の魔力を枯渇させる事が勝利条件だ。


 それから3種目共通で変わったルールがひとつあり、それはまるでゲームのような感じになっている。


 まず大会では剣技形式以外は魔法が使えるが、予め一定範囲内で一切相手にも自分にも攻撃魔法や物理攻撃のダメージを0にすることが出来るオーブの力により、相手に直接魔法や打撃を当てられるようにしてある。


 これにより、魔法自体でケガをすることもない。その代わりに受ける時の威力は消える訳では無い為、水魔法を受けてダメージこそ無いものの、体が水圧などで押し出されてしまうことがあるが。


 そして大会の為に特別にエンチャントされ作られた、魔力に反応し、相手の魔力量と魔法の威力、物理的な攻撃力と威力に応じた仮想の数値などを測る、専用の戦闘服であるアーティファクトを必ず着用する事になっていた。それからその人の実際の体力を数値化したものを、仮想のHPとして先に0にした方が勝ちという事になっている。



『まさかこの俺がそこらの雑魚に負けるとでも?』


『そうじゃなくて、ケガしないか心配だなぁって……ほら、転んだり足を捻った時は普通にケガしちゃうし』



『不要だ、それよりも自分の心配をする事だな。お前は自由形式に出るんだろう?』


『う、うん……』



『自由形式では学園の生徒だけではなく、たまたま来ていたプロの傭兵や魔法士も遊戯として参加する事が多い。これにより生徒の向上心を煽る為だろうが、これでも俺はお前の戦闘能力だけは買っている。俺を失望させるな』



 これらの言葉の訳は『お前こそ気をつけろ、それから頑張れ』という意味だ。二ヶ月もルームメイト兼友達として接していれば、これくらいの言葉の意味はゲイルにも段々と分かるようになってきた。



『僕、頑張るよ!』


『ふん、精々足掻くといい』



『うぅ……でもやっぱり緊張するなぁ』


『過度に緊張すると、体がついて行かなくなるぞ』



『そうだよね……あっ、そういえばヒエリカで思い出したんだけどね、僕一度皇族の人と戦うのが夢なんだ! 特に、第三皇子のアーノルトって人!』


『……理由は?』



『凄く強いらしいし、一度戦ったらいい経験になれそうだなって思って。でも皇族の人って忙しいし、偉い人だから一生できないかもしれないけれどね……』


『いや、案外そうでもない』



『そうかなぁ? うーん、でもいつか叶うといいなぁ』



 そして学園のコロシアムにて開会のファンファーレが鳴り響き、まずは剣技形式が行われた。参加者100人を超える大会で、大勢の観客達が歓声を上げ、時には野次を飛ばした。


 その野次を飛ばした相手が……ノルトである。



『もう終わり!?』


『いくらなんでも早すぎる!!』


『もう少し戦ってる所を見せろ~!!』



 というのも、ノルトが一瞬で試合を終わらせてしまうからだ。観客は娯楽目的で見に来ている者が多く、強いのだからもっとその戦っている様子が見たいと野次を飛ばす人が多かった。


(ちなみに主に聞こえてくる歓声は母親の多少野太くて甲高い声だけである)


 しかしノルトはそんな野次と母親()は置いておき、一瞬で勝利を物にすると難なく優勝していた。その時にも野次が飛んだ。


 だからと言って手を抜けば、対戦相手からしてみると侮辱されている事と同じだからだ。自分より強いからといって、その力を見せつけるようにして手を抜く。手を抜かれる。それが一体どれ程屈辱的な事だろう。


 例え相手が自分よりも劣っていたとしても、ノルトは相手の努力を無下にする気は微塵も無かった。だからこその全力による一瞬である。



『ノルト君、お疲れ様! それにしても流石だね……汗一つもかいてない。それより、大丈夫だった?』


『何の事だ』



『野次、飛ばされてたから……』


『周りがいくら喚き散らしていようと、俺には関係無い。言う通りにする理由も無い』



『うーん……君が大丈夫そうで良かった』



 この時ゲイルは大会が終わったら、一緒にアイスを食べる事に決めた。ノルトの奢りで。


 次に始まった魔法形式でもノルトは勝利を収めた。こちらも一瞬であり、ノルトの最も得意とする分野なので剣技形式の時よりも早かった。先手必勝で魔法防壁魔法カルゾーンを貫通させてしまう、習得が難しい雷魔法レネダをノータイムで繰り出す。


 それを例え避けられたとしても、一歩を踏み出した時点で次なる魔法が襲いかかり、スカフで拘束されるとトオンで焼き尽くされる。ほぼそのワンパターンで、観客達が更に野次を飛ばしていたが……本人は何処吹く風だ。


 そしてとうとうノルトにとって戦いと呼べる相手が多く出てくる、自由形式が始まった。



『見たぜ坊主、あの一方的で戦いとも言えない独壇場を』


『相手が俺よりも弱かった、ただそれだけの事だ』



 そう言うと、ノルトは柄だけの特殊な剣を構える。それを見た傭兵の男は面白そうに笑った。



『はっ、言うじゃねぇか。なら俺が、本物の戦いってのを見せてやるよッ!!』



 外部の参加者VSノルトの第一試合が、屈強な男のセリフが終わると同時に始まる。その瞬間、ノルトは持っていた柄だけの剣に魔力を込めた。すると魔力でできた翡翠の刃が現れ、傭兵の男は地面を思い切り蹴って接近してきた。


ノルトが持っている武器は魔法剣士が使う、魔力が高ければ攻撃力がその分上がる魔法剣という名の武器だ。



『(なっ、消えた!? ……いや、後ろか!!)』



 ノルトは転移魔法ムーヴィで瞬間移動をすると、男の首を狙いに行く。が、相手は修羅場を体験したプロの傭兵。尋常ではない反応速度で振り返ると、ノルトの剣を防いだ。反撃とばかりに男は連撃の応酬をするが、さっきの自分がしたようにノルトに防がれる。


 始まってからたったの1分にも満たない時間だが、男は既に汗をかいていた。疲労によるものではなく、男はある事に気づいてしまったからだ。


 なんとしてでも、さっさとノルトから距離を取りたい。その為に猛攻撃をするが、ノルトにそれを防がれる。それどころか、隙を突いて攻撃さえしてくるのだ。


 しかもノルトが見ているのは自分の剣ではなく、己の体全体。その黒い目が、じっと観察するようにこちらを見ていた。獲物を狩る獅子が、機会を伺うように。



『(まさかこのガキ、俺の行動を見切り始めているのか!? こんな、短時間にッ!!)』



 その証拠に傭兵の男は徐々にノルトに押されていく。それに男は焦り始めると、ノルトは一瞬体の力を抜いて脱力した。その瞬間、男は攻め込んだ。



『隙を見せるとは、まだまだだな坊主!!』


『……かかったな』



 だがこの時、ノルトから離れる事が正解だった。男は致命的な判断ミスを犯してしまったのである。













『シアン』


『なっ!?』



 パキィンッ



 剣がノルトの毒魔法シアンで纏われた魔法剣よって腐食され、折られる。折れて宙を舞った刃は一瞬で溶けてなくなり、男は自分の武器を半分以下の長さにされてしまった。


 元からノルトは初手で防がれるのは想定済みであり、男を一目見た時から今までやっていた魔法のトラップを突破するであろうと見抜いていた。なので既に別の魔法を使っていた。それは高い上空でエメラルドのように輝く氷魔法グロウを氷の矢にして次々と生成することであり、絶対に避けられない程の量を作った。


 男はいち早くその事に気が付き、ノルトの人間離れした魔力量と力量に驚きながらも、魔法はあまり得意ではないがさっさと炎魔法トオンを使って氷魔法をただの水にして防ごうとしていたのである。


 だがノルトが相手から感じる魔力量で、相手の魔法に対する熟練度を見抜き、その上で魔法を使う暇さえ与えなかった。



『グロウ』



 そして氷の流星群が落ちる。



『う、うぉぉぉぉぉおおおッ!!』



 男は折れた剣でグロウを捌くが、全てを捌ける訳ではない。数だけはあるのか、一つ一つ魔法が小さいが為に、ほんの少しづつ仮想HPの数値が減っていく。しかしあまりにも多く、重力に従うまま落ちてくるよりも速い数を一度に大量に捌くからか、男は体力を失っていく。


 そして全ての氷魔法がただの粒に切り伏せると、男はノルトの方を見て目を見開いた。



『俺を相手にして、よくここまで戦えたものだ。グロウをあまり受けずに耐えた事は少し予想外だった。そんな"傭兵殿"に敬意を払う為……"全力で俺がトドメを刺しに行ってやる"』



 何故ならばノルトは手を上げると、一瞬で巨大な緑の炎の玉を作り出していたからだ。その有り得ないほどの魔力量、そして技術に男だけではなく観客達も黙り込む程にただ見つめていた。


 氷魔法グロウでできた矢を作るには、まず熱を奪う必要がある。沢山の氷を生成することにより、奪った熱をノルトはエネルギーとして活用。そしてノルトは大量のガスで、巨大な炎の玉を作り出していた。


 その時、男は一瞬だけノルト目が神秘的な翡翠色に輝くのを見たのだった。


 並の魔法士でもここまでの炎魔法は全ての魔力を使っても作り出せるかどうかであり、そもそもの話ここまでの魔法は相当の知識と技術を持った天才的な魔法士でなければ制御できない。



『(……こりゃ無理だな)』



 そして男がはっと気が付いた瞬間にノルトが男の胸に剣を刺し込むと、そのまま動けないよう拘束魔法スカフで固定。そして確実に炎魔法を浴びせたのだった。


 爆風が巻き起こるが、魔力によって起こった風なので一応これも魔法だ。ダメージは無いが、見る者全員が心配になる程の威力。そして圧倒的な力を見せつけられ、ただ観客達はぼけーっと見ていることしかできない。


 そんな中。ゲイルだけがキラキラとした、そして闘志に燃えている目で観戦席に座ってノルトを見つめていた。


 だがノルトが実力のほんの一部を見せたのは最初の一回戦くらいで、後は生徒や大して強くない外部の参加者だった。なのでこれまで通り、レネダで倒されていた。



 そして決勝戦。





『やはり来たか』


『来たよ、ノルト君!』



 ノルトとゲイルの激しい戦いが幕を開けた。





~・~・~





「懐かしいわねぇ、あたしいっぱいノルちゃん応援してたわ」


「そんな事をせずとも、俺が勝つのは当然だっただろう」



「今じゃノルちゃんもすっかり大人になって親になって……感慨深いわ。ひ孫が楽しみね」


「……そういえば、そろそろ文武学祭だな」



「あらやだ、本当だわ!? いっぱいエルきゅんを応援しなくちゃ!!」


「頼むから熱くなって恥を晒す事だけはやめてくれ、絶対に」










 その言葉は当時にノルトが感じた切実な思いであった。



『きゃーっ!! ノルちゃんカッコイイ~~ッ!! そこにシビれる憧れるぅ~~~~ッ!!』


『ノルトさ~ん、お怪我には気をつけて~!』


『ノルト~、殺すなよ~』


『いや母上と弟よ、この大会はいくら攻撃してもダメージは受けないぞ』


『お兄様~~! 頑張ってくださ~~い!』


『兄様頑張れ~~っ!!』


『止めろ、少し黙っていてくれ母上!!』




『なんであたしだけダメなのよぉ~!!』


『ノルト君……いい家族だね』


『お前もその生暖かい目で見るな、切り落とすぞ』



『(こんなにある意味で余裕が無いノルト君を見たのは、初めてかも……)』





結構今回は頑張りましたぞよ、いつもより倍近い文字数なので!! はぁ~頑張った、頑張った……。本当はもっと詳しく書きたかったけど、そうなると多分3万いくから、かなり端折りました。ちなみに他にも伝説は沢山作ってるので、これはまだ全然序盤です。


そしてこの学校、実は文化祭みたいなイベントが来るのがとても早い。というのも、名門学校なので現状の実力をまず確認する為に開かれるものなので、体育祭が無い代わりに実はあと一回文化祭がある。


職人系の専攻してる人にわざわざ時間割いて体育祭に向けて運動させるより、物作らせてる方が将来の為になるからね。でも物作りは体が資本、健康じゃないと物は作れない。体壊す人が出るので、それの防止の為に毎日午後は授業の一環として、軽いストレッチとか簡単な筋トレをさせています。


ちなみに作者のノルトパパンに対するイメージは、シャ○トット様を若い男性にTSさせて酷くした感じです。


あと、普段はノルトパッパ、女性に向かって雌豚って呼ぶ時は、非常識な女さんとかキャーキャー言う女さん相手だけなのよ。


でも王女様には虫けらって言います。性格腐ってるし、パッパの一番嫌いなタイプの女なので。



そして最近描いた絵をドーンッ!!


ってやろうかと思って小説書き終わった後にノエルたそとレイゼルくんを描き始めたけど、多分夢中になってガチで描いちゃうから投稿まで時間かかるなー……。


と思ったので、完成させるかは謎だけど、途中でも気が済んだらここに出す事にしようかと思った。


誰か絵が上手い人、スケベ絵を描く方法を教えてくれ。作者、実は基本的にスケベなやつ好きだけど、実はそんなに自分で作らないんだ。


具体的にはどちゃクソにエッチな絵を描く方法を……我氏の絵、なんか……あれだ。色が足りん、色が。もっとセッ……の時のなんていうか、品のない感じが足りん。もっと汗とか性の匂いがしてきそうな感じのが欲しい!! どうすればッ!!


……はい、ちゃんと人に聞く前に練習します。


(※ ハーメルンの方やpixivの方では作者が描いた絵が投稿されております)






おまけ



そして現在ーー。



「そっ、それで!? どうなったの!?」


「すっげー気になる!!」



ノエルとレイゼルは授業が終わった後「そろそろ文武学祭だから、皆頑張ってね」という言葉をゲイルにかけられ、ふと思った。父親(義父)とゲイルの学生時代は一体どんな感じだったのだろう? それについて聞く事にするとゲイルは「あれ、もしかして聞いてないの? ……あー、でもノルトくんは聞かれないと言わないもんね。いいよ!」と応え、話していたのだった。



「最初に言ったけれど、僕はノルトくんに一回も勝ったことがなくて……いつも勝てなかったなぁ。結構ギリギリまで頑張ったんだけど」


「へぇ~、じゃあ先生ってどれくらいダメージ入れられたの? やっぱ5000くらい?」


「気になる……」



「ううん、かすりともしなかったよ」


「「えっ」」



「ノルトくん、HPが100しかなかったのになぁ……」


「……えっと、平均だとどれくらいのHPなの? それに先生のHPは?」


「あと先生の攻撃力は?」



「当時は大体HPは5000くらいで、僕のHPは30000。攻撃力は10000だったかな」



まさかのオーバーキル、この先生はフィジカルモンスターであった。



「……もしかして先生もお父さんと同じくらい化け物?」


「この学園って……色々と凄いな」



「あっ、もうこんな時間!? 職員会議があるから、また明日ね!」




実は体力はゴミだったものの、当たらければどうということは無い戦法で対戦していたお父様であった。



「というか何でそんなに強いのに先生は先生してるんだ……? 元々卒業後は傭兵してたんだよな」


「たぶん、いじめられたんじゃない?」



「あー……」


「(……それも性的にな!!)」

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