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推理作家への挑戦状 結界編

允華は歳三の車で先に上野公園へと向かった。

距離的にはそちらの方が近いからである。


上野公園は西郷隆盛の銅像が有名で桜並木が大通りを飾っている。

春は薄紅に。

夏の今は深緑だ。


晟は車から降りながら

「この前来たところだな」

と笑った。


允華も加奈子も笑って

「「確かに」」

と答えた。


上野公園の人通りは平日も休日も関係なく多い。

上野公園の駐車場から桜の大通りを抜けて駅の方へ歩き、そして途中の右手の道を下ると不忍池へと出る。


そこから橋を渡って弁天島へと行くのだ。

と言っても大きい島ではない。


歳三は先を急ぐ三人の後を見張る意味もあって一人ゆったりと進んだ。

人々は観光客が多く彼らを見とがめる人はいない。


橋を渡って弁天島へ行った彼らの後を付いて橋を渡る人間もいなかった。

歳三は腕を組むと

「大丈夫そうだな」

と呟き、池の畔から彼らを見ている青年の姿に目を向けた。


歩いている訳でなく。

誰かといるわけではなく。

ボーと立っている感じである。


危険な雰囲気はなかったので歳三は

「…允華君たちくらいの年齢だな」

と呟き、島からボストンバックを手に橋を渡る允華たちを見ると直ぐにその人物の存在を記憶の隅へと追いやった。


允華は歳三の元へ行くと

「多分、これです」

と言い

「…手紙の主は俺が問題の手紙をどこで読むかも調べているかもしれない」

と呟いた。


晟と加奈子と歳三は同時に

「「「え!?」」」

と聞いた。


允華は張っていた手紙を見せた。

『おめでとう。もう一つも探してください』


三人は同時に

「「「ん?」」」

と首を捻った。


允華は駐車場に向かって歩き出しながら

「この手紙を見ると俺が上野を先に行くと想定していることが分かる」

つまり

「芝公園は後回し」

だから

「もう一つ…芝公園の方も探してくれと書いたんだと思う」

と告げた。

「どっちか先か分からなかったら」

もう一つも探してくださいとは書かずに

「もう一つは見つかりましたか?とかおめでとうだけかだと思うんですけど」


歳三は「確かにそうだな」と頷いた。


4人は車に乗り込み今度は芝公園へと向かった。

芝公園は上野から東京の横を抜けて浜松町へと向かうとある。


東京タワーの隣である。


近くに駐車場はないがコンビニやコーヒー店があり歳三はその一つの店の駐車場に車を止めると

「俺が飲んでいる間に行ってきてくれ」

と告げた。

「但し、全員で行動せず茂由君は二人から少し離れて移動して、異常があれば電話をしてくるように」


加奈子は頷くと

「はい」

と答えた。


允華と晟は歳三の言う通りに先行して芝公園へと向かった。

晟は允華に向くと

「場所は分かっているのか?」

と聞いた。


允華は頷いて

「多分この絵のラクダの瘤みたいなところが古墳なら野球場の隣の古墳のところだと思う」

ほら一番中心にチェック付いてるだろ?

「一番高い部分だと思う」

と手紙を見せながら説明した。


古墳のところは緑が深く一番頂上付近だけ拓けている状態であった。

二人はなだらかな坂を木々の間を抜けながら歩き、不意にパキンと枝を踏む音に耳を立てた。


足を止めかけた晟に允華は

「知らないふりして進もう」

後ろの加奈子さんが辻村さんに連絡してくれる

と告げた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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