推理作家への挑戦状 結界編
冒頭は『先日の推理小説も楽しんで読ませていただきました』であった。
『さて、再び作家先生に推理の挑戦状を送らせていただきます』
7月下旬の午後。
允華と晟と加奈子と直彦と津村隆は桃源出版の辻村歳三から手紙を受け取りジッと見つめていた。
直彦は歳三を見ると
「宛名は…相変わらずか」
と呟いた。
歳三は「ええ」と短く返した。
允華は手紙を見て
「前の手紙も結構難解でしたよね」
と言い
「今回は」
と呟いた。
加奈子は隆を見ると
「私がメモとります」
と告げた。
隆は軽く口笛を吹き
「板についてきたな」
と笑った。
手紙の内容は
『天の守り無き台座の去りし神獣二体の中に輝く宝を秘す』
『宝を狙いし者あり』
と書かれていた。
允華は腕を組むと
「前と違って短いですね」
と呟いた。
直彦も「そうだな」と答えた。
「ただ、前の時はこれを解かなかったら事件になってたな」
允華は彼をちらりと見て
「今回もでしょうか?」
と聞いた。
直彦はあっさり
「宝を狙っている者がいると警告を出しているからそうだろ」
と答えた。
允華は「やっぱり」と答えた。
晟は二人を交互に見て
「それで、場所の特定は」
と聞いた。
「天の守り無き台座って…良くゲームである忘れ去れた神聖な場所に残された台座とか?」
隆は悩みながら
「いや、ゲームじゃなくてリアルだから」
それを言ったら空き家とか廃屋と化した寺とか神社とか
と告げた。
歳三は「おお!」と声を上げると
「流石、夏月先生の編集者!」
と告げた。
晟も目を見開くと
「そっかー、なるほど!」
と隆を見た。
允華と直彦は同時に彼らに目を向けた。
直彦は呆れたように
「隆、それで何処だ?そこは」
そんなどこにでもあるものにして見つけることなんてできるのか
「俺はお前の暗号だけは解きたくないな」
と冷静に突っ込んだ。
允華は力なく笑い
「先生…突っ込みきついです」
と心で突っ込んだ。
加奈子は考えながら
「ですよね」
でも他に手掛かりというと下の琵琶湖っぽい絵とラクダの瘤の絵くらいですよ?
と手紙を指差した。
允華は直彦を見て
「もしかして、先生は分かったんですか?」
と聞いた。
直彦は頷いて
「その台座だけはな」
と答えた。
「後は調べないと詳しくはしらん」
允華はハハッと笑うと
「やっぱり、先生を主役にしなくて正解だった」
と呟いた。
直彦はそんな允華を見ると
「允華君もだろ?」
君も何れそう言われるぞ
とニヤリと笑った。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




