推理作家への挑戦状 結界編
『廃藩置県』という一つの指標。
日本の各地にある特別な家系を特別で無くすためのモノだ。
白露允華は7月初めに港川絢華から糸口をもらい、兄と津村家の隆と夏月直彦と共に話し合うことになった。
それ以外は特別変わった事はなかったが、この日。
夏月家へいつものように仕事をしに行ったときに直彦から話があった。
允華は桃源出版から『依頼』された推理小説を卒論として書いている最中で、専任編集者の茂由加奈子も今後の允華が書く小説の題材集めと桃源出版から提案された内容の精査をしている最中であった。
彼女はいまテレビで流れている強盗事件をメモし
「こういう事件を入れても良いわね」
と呟いてた。
相変わらず精力的である。
直彦はリビングに身体を伸ばしながら姿を見せると、それぞれの作業をしている允華と加奈子と泉谷晟を見て
「みんなに話がある」
と告げた。
全員が一斉に手を止めて直彦を見た。
直彦は彼らの雇い主であり家の主でもある。
この家では彼は絶対王者なのだ。
直彦は冷蔵庫からお茶を出しながら
「来月の初日に春彦が帰って来る」
と告げた。
夏月春彦は直彦の弟で今は本来の実家である九州の島津家で暮らしている。
島津家は特別で特殊な家系なので春彦は中々東京へ帰って来ることが出来ず元々は東京で大学へ行くつもりだったのだがそれもご破算となり九州で大学へ通うことになったのだ。
その春彦が久しぶりに帰って来るということである。
加奈子は直彦に
「では、先生」
春彦君が帰ってきている間はお休みということになりますね
と告げた。
直彦は腕を組むと
「んー、その小説の依頼の後に連載を頼まれていると聞いたが…大丈夫か?」
と聞いた。
そう、允華の小説は掲載三度目になる。
先日の穴埋め小説のすぐにもう一度穴埋めとして書いていた小説を掲載してもらっていたのだ。
それも好評だったので今の依頼となり、その次に連載をすると云う嬉しい依頼までもらっていたのである。
加奈子は考えながら
「そうですね、連載の方はやっぱり打ち合わせをしながら進めたいですけど…でも」
と戸惑った。
場所の問題である。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




