共に歩む愛する人
店員は4人の注文を取ると立ち去り、ダブルデートなのに推理タイムが始まったのである。
『雨:2002年2月3日の午前6時05分に走行中の中洗交通社バスの13号車から緊急通報が入った』
晟はそれを見て
「走行中のバス?」
と呟いた。
允華は唇に指をあてると
「…もしかしてバスジャックとかかな?」
と告げた。
絢華は頷いて
「だよね、運転席には犯人に分らないように緊急通報とバスの電光掲示板が切り替わるボタンがあるから」
と告げた。
加奈子は驚いて絢華を見た。
允華は彼女を見ると
「流石、物知りだよね」
ゴッポさんは
と告げた。
絢華は笑顔で
「一応、国立図書館の司書ですから」
と答えた。
晟はフムッと
「二人とも知識レベルが高い」
と心で呟いた。
その間も雨の話は続いていた。
『雨:運転手一人を含め乗っていたのは7名。警察が緊急出動して5分後にバスと並走し一人の男が帽子を被って銃を構えているのを確認してバスを車庫に誘導し、取り囲んだがそこで立てこもっていた男が車内の電気に向かって銃を発砲し乗客の男性が飛びかかって5分程もみ合いになり運転手が慌てて出てきた』
晟は允華を見て
「これって解決したってこと?」
と呟いた。
允華は顔を顰め
「んー」
と呟いた。
日和は書類を見ながら
『雨:犯人は飛びかかられ揉みあいの時に頭部を強打し死亡、乗客にけが人はいなかった』
と告げた。
晟は首を傾げた。
「やっぱり解決じゃねぇ?」
允華は考えながら
「けど、雨さんが推理タイムに出してくるから何かあるんじゃないかな?」
と呟いた。
日和の隣にいた悟は
「これってあれですか」
天村さんの先輩刑事がずっとこれは事件だって言ってた
と囁いた。
日和は頷くと
「ああ、時効も過ぎて問題なしとされていた事件だけどな」
ロール君が分からなかったら諦める
と呟いた。
允華は反対に
『コンティニューロール:解決済みと思いますが何か引っかかりがあるんですよね?』
と打ち込んだ。




