推理作家への挑戦状
「USBも君に任されたんだ、止めてあげないとな」
允華は頷いた。
そして、11時に允華と晟と無理やりついていくと言った加奈子と歳三と隆で現場へと出向いた。
直彦も行くつもりだったが隆が
「直彦、お前は行っても足手まといだから来るなよ」
と言われて、留守番になったのである。
勿論、マンションの周辺には津村家のボディーガードが張り込んでいた。
直彦はリビングから窓の外を見つめ
「…この前、春彦が帰ってきたときも変わったと思ったが、允華君も変わって言っているようだな」
と静かに笑みを浮かべた。
…頑張れ、允華君…
山王男坂と山王女坂の前に山王坂がある。
それは議員会館1号棟と二号棟の間を貫く坂である。
その途中に広々とした駐車場がある。
道路と駐車場の間には背の低い木々が垣根として植えられておりどちらからも見えにくくなっている。
允華と晟は外側に回り歳三と隆は駐車場側へと回った。
その闇の降る駐車場に一台の黒い車が止まり中から一人の男がアタッシュケースを手に姿を見せた。
瞬間に允華はそれを茂みの奥から銃で狙っていた青年を見つけると慌てて駆け寄り銃の撃鉄を掴んだ。
「それを撃ったらだめだ」
空気銃でも人を打てば犯罪者になるから
青年は驚いたように顔を向けて
「…誰だ」
と顔を歪めた。
允華は青年を見て
「君を助けたいって思っている人から救援依頼を貰った人間」
と答えた。
「君を犯罪者にしたくないって人からの」
君の知っている人だと思う
青年はハッとすると俯き
「あの人だ」
と呟くと
「けど、あいつをやらないと兄さんも杏美さんも救われない」
と構えなおそうとした。
が、晟が銃をチョップで叩き落すと
「やめろって!」
USBメモリ貰ったから俺達がそいつを追い詰める
と告げた。
その時、茂みの反対側から
「ほぉ、子供達が私をね」
面倒くさいから皆死んでもらおうか
と銃を手にすると引き金を引きかけた。
允華と晟は青年を庇うように前に立った。
が、瞬間にバキッと音がすると同時に男は悲鳴を上げて腕を抑えた。
隆が手刀で手首を叩いたのだ。
「銃刀法違反容疑だな」
それから色々付随して罪に服してもらわないとな
男は顔を歪めて
「俺は代議士だぞ…貴様らの方こそ訴えてやる」
と詰った。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




