推理作家への挑戦状
歳三は笑って
「いや、俺は見ておきますよ」
と答えた。
晟は笑って
「俺も堂々とそう言いたいぜ」
とガッと人形を持ってポンポンと動かした瞬間に
「ん?」
と声を零した。
「允華、これ壊れてるかも」
允華は振り向いて
「何で?」
と人形を持ってポンポンと振ってみて目を見開いた。
「中に何か入っている」
そう言って人形の頭を丁寧に外して中から出てきたUSBメモリを手にした。
「これ…」
晟はそれを手に
「これは俺の分野だな」
と言いパソコンを立ち上げるとUSBメモリの中身を開けた。
中からは粉飾決算とその会社の情報が入っていたのである。
それはとある代議士の家族が経営しているペーパーカンパニーであった。
歳三は目を見開くと
「スクープ!!」
と叫んだ。
さすが出版業界の人間である。
同じ時、加奈子も地図を印刷すると直彦に渡した。
「先生、これです」
直彦はそれを見ると
「なるほど、ここだな」
と言い
「允華君」
と呼んだ。
允華は地図を受け取り、目を見開いた。
「全て繋がりますね」
直彦は頷いて
「ああ」
そういうことだな
と答えた。
そして隆を見ると
「隆、この会社、もしくはこの代議士の近隣で何か人が死ぬようなことが起きてなかったか調べてくれ」
急いでな
と晟の画面を見るように顎を動かした。
隆は頷いてメモを取り
「…わかった」
タイムリミットは5時間か
と苦く笑って
「直彦、夏も原稿頑張ってもらうからな」
と部屋を後にした。
直彦はむっと
「俺が報酬渡すのか?」
と顔をしかめた。
允華は直彦を見ると
「あ…すみません」
先生
と小さな声で謝罪した。
が、直彦はふぅと息を吐き出すと
「允華君のせいじゃないから」
どうせやってもやらなくても夏も原稿書くことになる
と苦笑した。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




