推理作家への挑戦状
歳三はナビに場所を入れて駐車場を探すと明神会館の正面、つまり、階段の登り口に駐車場があるのが分かったのでそこへ向かい車を止めると4人で階段を登った。
階段坂自体はそれほど大きく広いというわけではないが、下りは良いが登りはキツイ。
允華は車から降りると晟と加奈子と歳三の4人で登った。
歳三は中ほどまで来ると
「いや、意外ときついですね」
というか皆さん若い
と先をタカタカと向かう允華たちを見上げてぼやいた。
允華は肩越しに彼を見ると
「辻村さんはゆっくり来てください」
と言い登りきると会館側の塀の横手に置いている小さな木箱を見た。
晟も加奈子もそれを見つけ同時に言葉を失った。
…。
…。
…。
允華はそれを指差し
「これ?かな?」
とシドロモドロと問いかけた。
晟は腕を組むと
「俺から見ても人が入っている大きさには見えない」
と断言した。
加奈子は冷静に
「大丈夫、私にも見えないわ」
と笑って応えた。
允華は頷いて
「俺にも見えないよ」
幅25cm長さ40cmぐらいじゃね
と告げた。
「取り合えず確認しよう」
そう言って允華は木箱を開けて入っている封書を手に中から紙を出した。
『推理作家に挑戦状』
やはり思っていた通りの木箱であった。
晟は息を吐き出すと
「これじゃあ悪戯じゃないか?」
本当の人形だし
とぼやいた。
手紙の下には折り畳みの傘と人形が置かれていた。
允華は人形を手にすると
「そうかなぁ」
とぼやいた。
加奈子は不思議そうに
「允華君?」
と聞いた。
允華は人形を手に髪の毛を上げて目を細め
「これ、オールドビスクドール」
しかもジュモーだし
と呟いた。
晟は首を傾げた。
「何?それ」
加奈子は人形を允華から受け取ると
「本当に?」
と言い
「ずっと前にビスクドールの特集があって少し知っているんだけど…ジュモーのオールドビスクドールって高いんでしょ?」
数十万から高額だと数百万ほどするっていう
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




