推理作家への挑戦状
流石、である。
加奈子はにっこり笑うと
「はい!」
と答えた。
そして、歳三に電話を入れると持ってきてもらうように頼んだのである。
穴埋めとして差し込んだ小説だが思いのほか好評で桃源出版としても允華との今後の付き合い方を考えているところだったのである。
大学の講義を終えると允華と晟は大学の門のところで落ち合い、夏月家へと向かった。
まさか、そんなファンレターが来ているとは二人とも想像すらしておらず12時半くらいに到着するとリビングで歳三を中心に集合している面々に目を見開いた。
「辻村さんに先生…あの…どうしたんですか?」
直彦は允華にテーブルが見えるように席をずらすと
「允華君、君に挑戦状だ」
と告げた。
允華は目を見開くと
「は!?」
と声を出した。
直彦は手紙を渡すと
「悪いと思ったが辻村さんに言って先に見せてもらった」
と言い
「俺から言わせてもらえば、この挑戦状は受けなければならないだろうな」
と告げた。
晟は直彦の言葉に
「受けないといけないって拒否権無しってことですか!?先生」
と驚いた。
直彦は小さく頷いて
「読めばわかる」
と告げた。
允華は直彦から手紙を受け取り、文面を目で追った。
文字は手書きではなくプリンターで打ち出されたもので
『推理作家に挑戦状』
と一番上に書かれていた。
『江戸城の名前を冠した区域に傘を持たせた人形を入れた三つの木箱を置いていきます。人形をどうか助けてあげてください。場所は傘に書いています。傘を逆に読んでください』
『スタートの木箱は53歳と68歳と108歳の男の内の68歳の男の上に置きます』
『6月17日午前0時に置きます72時間以内に木箱から人形を救い出してください』
『出来なければ人形は動かなくなってしまうかもしれません』
允華は蒼褪めると
「…まさか、人形って」
と直彦を見た。
直彦は腕を組むと
「本当に人形なのか…そうでないのかは分からないが72時間というと俗に言う救助のタイムリミットと言われるからな」
それを超えるとかなり救助率が低下すると言われている時間だ
と告げた。
…それを揶揄している可能性はある…
晟は慌てながら
「ちょ、ちょっと待ってくれ…それってことは木箱はあれってこと?」
と両手を合わせた。
允華は険しい表情で
「それも揶揄しているのかもしれないってことだよね」
と答えた。
「万が一ってことがあるから絶対に解かないと」
しかも二日過ぎてるし時間があまりない
直彦も隆も加奈子も歳三も晟も誰もが允華を見つめた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




