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果たされなかった思い出 果たされた思い出
白露允華は白露家の広間で作業をしていた。
日頃はアルバイト先の夏月家のリビングでしたり自室でするのだが、兄の元が夏月直彦と津村隆と共に慌ただしく九州へ向かったので甥っ子の月の面倒を見る意味も兼ねて広間で小説を打っていた。
トリック重視の小説の一話を書き上げてから今は二話目を打ち込んでいる。
編集を担当してくれている茂由加奈子は三話目の舞台となる場所の取材を行ってくれている。
允華は広々として調度品が置かれた広間の中央にあるテーブルの上にノートパソコンを置いて指先を動かしていた。
隣では白露月が小学校の宿題をタブレットに向かって行っていた。
コンティニューロール




