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コンティニュー・ロール  作者: 如月いさみ


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52/126

妄執の果て

鈴木妙子が一人で暮らす家である。


あの写真の家であった。


日和は庭を見るとその荒れ果てた状態に

「もう、何も植えていないんですね」

と言い

「23年前の事件の時の写真に写っていた赤い花…球根部分に毒を持った花の植わっている部分の一部の土の色が違っていることが分かりました」

と彼女を見た。

「不幸な妻として貴女は仮面を被り続けてきた」

多額の保険金や遺産を手に入れて幸せに暮らしていたんではないんですか?

「なのに、幸せそうには見えないですね」


彼女は遠くを見つめ

「あの時、悪魔が囁いたんですよ」

と言い

「そう、考えればあんなことをしなくても良かったのに…あの時はその妄執に囚われて自分の欲を止められなかった」

金、金、金が手には入れば何でもできると思い込んでいたの

と俯いた。

「貴方が断罪に来てくれて良かったわ…いえ、ほんの少し気分が楽になっただけ」

好きだったガーデニングもあの日から怖くて出来なくて

「食べ物を口にするのも恐怖ばかり」

ただただここでボゥとしているだけの人生になってしまった

「あの頃は色々しようと思っていたのに…あのことで全てを失ってしまった」


日和は目を細めて

「近いうちにまた来ます」

それを伝えに来ました

と告げた。


空は晴れ渡り陽光が静かに降り注いでいた。

彼女が自首してきたのはそれから直ぐであった。


允華はそれを一週間後に新聞で知り、家から窓の外を見つめた。

欲に目がくらんで結局は好きだったことも出来なくなった。

27年前と今回の事件と引き起こした羽田野家も特別な家系になる妄執に取りつかれて破滅したのだ。


いや、白露の家も特別な家系の多くはそういう血を守る、特別な家系の血を守ることに囚われて不幸な事件を起こし続けている。

「その負の螺旋を断ち切らなければ」


允華はそう心で呟き、兄の元たちに自分も助力しようと心に誓うのであった。

その数日後、允華がデータベースがあると予測した夏月直彦と義姉である朧清美の思い出の場所の写真が春彦が直彦に送った乙女シリーズ『ハマユウ』から見つかったのである。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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