妄執の果て
允華はう~んと唸り少し考えた。
「本人が怪しまずに口にする」
クスリ
「朝食」
水
と呟き、指先を動かした。
『コンティニューロール:当時の資料で残っている写真を見せてもらえますか?』
日和はそれを見ると
「流石のロール君も悩むところか」
確かに身体以外の何処からも毒物が出てきていないしカプセルも飲んでいないとなると難しいか
と呟いた。
西野悟は横で
「それで、次は何ですか?」
と暢気に聞いた。
日和は頷くと
「資料の写真とか全部出してくれ」
と告げた。
悟は「はーい」と答えると写真を呼び出した。
日和はそれを転送し
『雨:被害者が倒れていた状況の写真だ。かなり混乱しているみたいだがな。大会会場の写真。回収された飲み物の写真。コップもそのままの状態で写したものだ。被害者の薬箱の中の写真。どうやら処方されたままでバラバラにはしていなかったみたいだな。被害者の部屋の薬を置いていた場所の写真。それから』
と次の写真を出そうとしたとき允華からストップのメッセージが流れた。
『コンティニューロール:その最後の写真で止めてください』
允華はそれを見ると目を細めた。
被害者が管理していたクスリの箱は一階のリビングのテレビの上に置かれていたのである。
横手には窓があり誰でも簡単に手に取れる場所であった。
しかも、妻の妙子はガーデニングが趣味らしく黄色のバラや白いシャクヤクや赤い百合のような花や様々な花が植えられていた。
恐らく彼女は常にその前を行き来していたのだろう。
簡単に箱の中を変えられたということだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




