妄執の果て
允華は頷いて
「そうですね」
と答えて、指先をタブレットに触れさせた。
晟と隆は「おお」と允華と直彦を見た。
『コンティニューロール:三つ確認お願いします。一つ目は身体、および衣類などに毒の付着があったかどうか。二つ目に本人が常用している薬があったかどうか。三つ目に胃の内容物です』
それを見た雨こと天村日和は
「なるほど、三つの選択筋からか」
と呟いた。
隣で資料を捲ってデータを打ち込んでいた西野悟は
「毒の付着と常用の薬と解剖結果ですか?」
と日和のぼやきに答えた。
何となく状況が読めてきた部下であった。
日和はにっこり笑うと
「それそれ」
と告げた。
悟から返事をもらうと日和は
『雨:先ず身体のどの部分からも持ち物からも衣類からも毒物は発見されていない。常用の薬は血圧を抑えるための錠剤を服用しているがカプセルではない。妻の妙子に聴取のついでにすべて回収して調べたが毒物が混じってはいなかった。毎日、使った後の錠剤の殻と個数を確認したが医師から処方し薬局で受け取った日から減った数は同じだったので違うモノを渡した可能性は低い。どうやら薬は妻が用意している訳ではなく本人が薬局から貰い自分で管理していたらしい。それは医師が本人からそう聞いていたので間違いないらしい』
と告げた。
允華はそれを聞き
「つまり、カプセルで遅効させた可能性は低いって事かも」
と呟いた。
日和は更に
『雨:胃の内容物だが米、豚肉、玉ねぎ、山芋、葱、豆腐だ』
と告げた。
允華は「ん?」と首を傾げた。
直彦は目を細めると
「なるほど」
と呟いた。
允華は口元に指をあてると
「朝食にしては珍しいというか…」
と呟いた。
晟は「何が?」と聞いた。
隆も腕を組むと
「そうだな、何がだ?」
と聞いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




