妄執の果て
元は允華を見ると
「…夏月にも言ったんだな」
と聞いた。
允華は小さく頷いた。
「言った、先生も暫く沈黙を守ってた」
それで
「もしそれが事実なら『春彦と伽羅君が出会うのが早ければ』と言って『だが過去の事は全てIFだな』って言ってた」
元も静かに笑むと
「そうだな、全て…過去の事はIFにしかならないな」
と呟いた。
彼女の。
朧清美の未来も変わっていたのかもしれないと二人は考えたのである。
だが今は現実の中で前に進むしかないのだ。
元は息を吐き出すと
「取り合えず、允華。お前はお前の人生を進みたい道を歩いてくれ」
俺も俺の道を歩いていく
と笑みを見せた。
「伽羅君の夢の件については九州の春彦君に任せることにする」
允華は頷いて
「わかった。それで俺はこのまま先生の元で小説を書く勉強をしようと思ってる」
良いかな?
と告げた。
元は立ち上がると笑顔で
「勿論だ、頑張れ」
と言い部屋を後にした。
允華はポスンとベッドに横になるとそのままゆっくりと目を閉じた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




