妄執の果て
夏月家の二人の狙撃事件は様々なことを允華や他の多くの人々にもたらした。
九州の島津家の次男として現在生活している夏月春彦の持っている情報と兄の元たちが持っている情報が今回のことで統合されたのである。
更に、直彦から入院中に秋月直樹と会ったことも伝えらえたのである。
允華は九州で春彦が話していたことを思い出し
「俺は秋月家の役割は白露を含めた特別な家系を支えるシステムの番人なんだと思ったんだ」
と告げた。
「そして、秋月家がもし暴走した時のストッパーが島津家の役割なのではないかと」
だから島津家と秋月家が必要だと言われているけれど
「俺はもしかしたら秋月家だけでも全てを成せるのではないかと思ってる」
元は腕を組むと
「なるほど、な」
と呟いた。
「秋月家の当主は何らかの理由で死なない…もしくは回帰再生する仕組みがシステムの中にあるのは番人を失わせないためということか」
允華は頷いた。
「先生から秋月家当主になった事は聞いたよね?」
それにシステムのデータベースの場所も
元は「ああ」と答え
「夏月と朧の思い出の場所だったな」
と返した。
允華は視線を伏せると
「あと一つ…先生が秋月家当主になったってことはさ、そのシステムの回帰再生を先生は受け入れたってことなんじゃないかなぁって」
先生はそこまでは言わなかったけど
と告げた。
元はハッと気付くと
「まさか…いや、俺達に話をする時もそのことは言わなかったが」
と答えた。
允華は元を見ると
「けど、秋月家当主になるってことは番人になる…秋月直樹と同じになるってことだよね?」
と言い
「先生は多分それをいうと兄さんたちに動揺が走るから敢えて言わなかったんだと思う」
と告げた。
元は息を吐き出すと
「なるほどな、夏月らしい」
と言い
「それを含めて先の計画を考えないとだめだってことだな」
と笑みを浮かべた。
それは夏月直彦一人にその責を背負わせるつもりはないということであった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




