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コンティニュー・ロール  作者: 如月いさみ


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35/126

運命の出会い

「ん?あれ?」

允華は通路を挟んで隣に座っている女性を見ると思わず声を零した。


女性は允華の視線を受けて見返し

「ん?何か?」

と問いかけた。


勇は允華の横に座りながら允華を挟んで通路を開けた向こうの席のその女性を見て

「もしかして、白露さんのお知り合いですか?」

と聞いた。


允華は「えーと、知り合いというか知り合いというか」とシドロモドロと言いかけた。

女性は不思議そうに允華を見つめた。


允華はバツが悪そうに

「その、ゴッポさん?」

と苦く笑った。


女性は目を見開くとヒーと声なき悲鳴を上げ

「ど、ど、ど、どちらさま?」

と震えながら允華を見た。

允華はハハッと笑うと

「あー、テリア―サーと言えば分かりますか?」

と告げた。


それに女性は驚くと

「き、きみ…テリアーサー君?」

何故…と言いかけてハッとすると

「もしかして、夏月君?」

それとも隣の彼女と旅行?

と聞いた。


允華は慌てて

「いえいえ、違います」

と否定し

「…春彦君の方です」

彼女は春彦君の彼女です

と答え

「もしかして、ゴッポさん…も、春彦君のことで?」

と聞いた。


彼女はマギ・トートストーリーというMMORPGで前に晟が所属していたディテクティブGのメンバーの一人でゴッポというハンドルネームを使い、以前に伽羅の夢の事件で春彦と伽羅に命を救われた女性であった。


名前を港川絢華という。


絢華は頷いて

「そうそう、実は助けてもらったときに夏月君とLINE交換していたんだけど連絡とったら全然既読もつかないし返事もないしで…今まではそんなことなかったんだけどねー」

そうしたら昨日、日和から彼が大怪我したって聞いたから

と言い

「それで今日と明日と休みだからお見舞いに行こうと思って」

長坂ちゃんも後で行くって言ってたけど

「あー、長坂ちゃんはデビペントさんだからね」

と告げた。


允華は驚いて

「へー、デビペントさんは何となくわかるけど…ゴッポさんってサバサバしてるからお見舞いとかしないタイプかと」

と呟いた。


絢華は顔をしかめると

「あのねー、私をどんな人間だと思ってるのよ」

と言い

「そりゃ、仕事が忙しかったら行けないけど…行ける時は行くわ」

とヌ―と唇を尖らせた。


允華は素直にぺこりと頭を下げた。

「すみません」


絢華はあっさり

「良いわよ」

と答えた。


勇は二人を見ると

「あの、もしかして…白露さんの恋人さんですか?」

と尋ねた。


允華は慌てて

「いや、そ、そうじゃなくて」

と言い、咳払いをすると

「会うのは初めてだけど、よく知っている人」

と答えた。


絢華は苦笑しつつ

「それで、そちらの彼女は夏月君の彼女さんなんだね」

と言い、笑みを浮かべた。


勇は真っ赤になりながら小さく頷いた。


絢華はハワワワァと「可愛い」と言い

「初々しいわぁ」

と呟いた。

そして優しく

「きっと、夏月君なら大丈夫だと思うよ」

と言い

「だから、元気出してね」

と告げた。


勇は頷くと

「ありがとうございます」

と答えた。


允華は彼女を見て、自分が人を見る目が意外とないんだと気付いたのである。

ゲームのチャットを見ていると何処かサバサバしてドライな感触を受けていたので、大怪我をしたと聞いても態々出向くような人間には思っていなかったのである。


允華は心の中で

「ネットを介して感じるのと本当にあって話するのとでは…違うんだな」

と呟いた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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