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コンティニュー・ロール  作者: 如月いさみ


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33/126

運命の出会い

允華はランプが消えると思わず立ち上がった。


兄の元に仙台から大急ぎで戻ってきた津村隆や東雲夕弦や末枯野剛士もランプが消えると同時に立ち上がった。


手術室の前の廊下には他にも武藤肇や泉谷晟、茂由加奈子、そして、東雲夕矢と陸奥詩音と彼女のボディーガードの愛染幸一郎もおり誰もが息を飲んで消えたランプを見つめた。


中から手術を行った医師が姿を見せると夏月直彦の実の娘である津村太陽を抱いている義父の津村清道と隆と元と允華に視線を向けた。


全員が集まる中で彼は一つ息を吐き出し

「手術は成功しました」

と告げた。

しかし

「止血は適切でしたがやはり出血量が多かったので予断を許しません」

と付け加えた。


「万が一のことがありますので…お会いさせておきたい方がいればおよびいただいていた方が良いと思います」


允華は背中に冷たいモノを感じて拳を握りしめた。

本当に呼ばなければならない人物は同じように生死の境を彷徨っているのだ。


助かると信じたい。

けれど。


そう思った時、少し後ろで聞いていた茂由加奈子が倒れかけた。

それを晟が支え允華を見た。

「…絶対に大丈夫だよな」

絶対に


允華は息を吸い込むと

「大丈夫、先生は絶対に」

と返し、視線を周囲に向けた。


誰もが希望と絶望の境で祈るしかない状態である。

手術室からICUへと移動になり24時間体制で管理することになった。


兄の元は津村家と東雲夕弦と末枯野剛士以外の人間に

「夏月の手術は成功したし、一度家に戻って身体を休めた方が良い」

と告げた。


確かに全員が精神的に披露している。

人数が多いと白露家の病院で警護の人間がびっしりついていても監視の負担がある。


允華は晟と加奈子を見ると

「晟、悪いけど加奈子さんお願いできるかな?」

と告げた。


晟は頷いて

「ああ、その代わり允華…先生に何かあったらすぐに知らせてくれ」

夜中でも何でもいいから

と告げた。


允華は頷いて

「約束する」

と答えた。


夕弦は弟の夕矢を見ると

「お前もホテルを用意するから今日はそこで休め」

と告げた。


夕矢はそれに俯くと

「けど」

と小さく呟いた。


詩音のことを考えたのだ。

彼女は直彦の実の妹なのだ。

これまでの経緯もあってどれほど心を痛めているか。


詩音は夕矢の手を強く握りしめて

「ね、夕矢君…今日私のホテルで一緒にいてくれる?」

と告げた。

「今は夕矢君に側にいて欲しい」


夕矢は頷くと

「わかった」

と答え、兄の夕弦を見ると

「先生に少しでも異変があったらすぐに知らせてくれ」

絶対に直ぐに

と告げた。


夕弦は頷いて

「当り前だ」

と答えた。


允華は晟や加奈子、そして、夕矢と詩音たちを見送り一つ息を吐き出した。

甥っ子の月は集中治療室の窓から小さな体で一生懸命直彦を見ている太陽の横で懸命に彼女を支えている。


数か月前までは弱弱しかったのに今は彼女の為に強くなっているのだ。

先の晟もそうだ。


守りたい誰かを見つけた時に強くなるのだ。


允華は月と太陽の後ろから幾つもの管に繋がれて眠っている夏月直彦を見つめ

「先生、目を覚ましてください」

どうか

どうか

「太陽君や月や兄さんたちの為に…そして、俺たちの為に」

春彦君の為にも

「生きてください」

と心で呟いた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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