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コンティニュー・ロール  作者: 如月いさみ


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30/126

狙撃

元は彼を見ると

「出てください」

と告げた。


肇は頷くと

「では、失礼して」

と携帯に出ると僅かに顔色を変えた。

「…それは何時頃で…」

ほぼ同じ時間にこちらで夏月直彦様が狙撃されて今緊急手術を受けています

「はい、それでこちらの方の関係の方にはその事報告させていただきます」


そう言って携帯を切ると4人が見守る中で小さく息を吐き出し

「今日の12時35分ごろに春彦さまが屋上で狙撃されて今緊急で手術を受けられています」


允華も元も小さく震えた。

間違いなく…計画的に二人を殺そうとしたのだ。


これで二人とも助からなかったら。

元は蒼褪めて隣にあった椅子に腰を下ろした。

「…津村には知らせておいたから東雲や末枯野と一緒にこっちへ来る」

夏月

「頼む、生きてくれ」


それに少し離れて座っていた詩音が顔を向けた。

「か、月…直彦さんも春彦さんも助かります」

絶対に


三人ともが顔を向けた。


肇は彼女を見て

「貴方は陸奥家の長女である詩音さまですね」

先も直彦様の危険を知っていらしたようですが

と告げた。


允華と元は同時に視線を向けた。

確かに直彦が撃たれる前に彼女が叫んだのだ。


『戻って!早く!!』と。


詩音は頷いて

「お母さんが…夢を送ってくれたの」

その夢では

「春彦さんと…その、直彦、さんは…即死で亡くなってた」

二人の棺の前で女の子がそう言っていたの

と告げた。


「でも、二人とも即死じゃない」

春彦さんのところでも

「多分、お母さんの夢を受け取ってる人がいる」


元は不思議そうに

「その、夢というのは」

と聞いた。


それに幸一郎が

「詩音さまのご母堂様は導夢を見る磐井家直系の栞様です」

と告げた。


肇は允華と元を見て

「九州の磐井家は代々未来を夢で見ることができる導夢の力を持っている家系です」

それは自分が見たいと思う未来から未来から呼びかけるように見る無作為の夢から色々あるそうです

「その夢は何もしなければ…必ず未来で現実となるものなのです」

と説明した。


允華はハッとすると

「それって…松野宮君…の夢じゃ」

と呟いた。


允華の中で様々なことが一本の糸になって繋がったのである。

「彼が…ずっと見ていた夢は…まさか」

呟いて、我に返ると

「いや、そんなことは」

と頭を軽く振って兄の元を見ると

「あの、俺…晟に病院知らせてきます」

恐らく茂由さんも先生の家で合流していると思うから

と言って踵を返した。


その時、手術室から看護婦が姿を見せると

「この中でO型の血液型の方はおられませんか?」

と告げた。


元にしても。

允華にしても。


O型ではない。

武藤肇も愛染幸一郎もO型ではなかった。


詩音は立ち上がると

「私、O型です」

父は違いますが…兄妹です

「必要なだけ取ってください」

と告げた。


看護婦は頷くと

「こちらへ」

と採血室へと彼女と向かった。


詩音は輸血用の血を見つめ

「…お母さん、お父さん…お兄さんを…私のお兄さんを助けて」

と呟いた。


ちゃんと、自分を呼んでくれた。

『詩音ちゃんだな』

『春彦から聞いてる』

そう言って私を見てくれた。


「ごめんなさい…勝手に憎んだり恨んだりして…本当は…お兄さんの方が悲しかったよね」

ずっと

ずっと

「お母さんを私が独り占めしてきたんだもん」


ごめんなさい…


詩音は目を閉じると眠りの底へと落ちた。


手術中の赤いランプはついたまま連絡を受けて駆け付けた晟と加奈子も誰もがまんじりともしない時間を迎えていた。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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