表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コンティニュー・ロール  作者: 如月いさみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/126

クリスマス

ホテルの中のレストランで食事をしてそれぞれ部屋に分かれて入ると允華と晟は寝室とは別の広いリビングのソファに座った。


カーテンを開けた窓から眼下のイルミネーションと東京湾が見えた。

時刻は既に夜の11時を過ぎて允華は大きく伸びをした。


ここのところずっとパソコンに向かって小説を書いていた。

一話目が終わって今回はその二話目の取材であった。


晟は窓の前に立った允華を見ると

「後何話くらい書くつもりなんだ?」

と聞いた。


允華は肩越しに振り返り

「ん?目標は10万文字だから…取り敢えず5話くらいの予定」

と返した。


晟は笑顔で

「そうか、2月までに仕上げるつもりなんだろ?」

頑張れよ

と告げた。


允華は頷いて

「茂由さんが色々案とか題材とか一緒に考えてくれるからすごく助かってる」

特に3Dviewは凄くイメージが湧くから

「すごくいいよね」

と微笑んで告げた。


晟はそれを見て

「そうだよな」

と言い

「あのさ、允華はその…茂由さんのこと恋愛相手として考えたこととかあるか?」

と聞いた。


允華は驚いて振り向き顔を真っ赤に染めた。


晟はプッと笑って

「分かりやすいな」

と笑顔で告げた。

「俺さぁ、告白したら見事に振られた」


允華はそっちの方に更に驚いて

「え!?」

と息を飲みこんだ。


今までずっと側にいて晟に好きな人が出来たという話を聞いたことがなかった。

いや、ゲームとかそういう好きなことに夢中で恋愛とかには全く興味がないんだと無意識に思っていた。


晟はにっこり笑って

「加奈子さんさぁ凄くはっきり言ってくれたんだ」

名前は言えないけどその人が小説を打ってる横顔が好きなんだってさ

「ごめんねってさ」

允華、頑張れよ!

「允華になら俺は喜んで譲る」

と告げた。

「けど泣かせたら許さないからな」


允華は胸を高鳴らせながら

「…ん」

と答えた。

「ありがとう、晟」


晟は腕を伸ばすと

「じゃあ、寝るか」

と寝室へと向かった。


允華も頷いて

「俺も寝る」

と共に寝室へと向かった。


考えれば允華にとっても誰かを異性として見ることは殆どなかった。

もし淡い初恋があったとすれば義姉だったかもしれない。

だが、兄の妻という大前提があったので初恋として認識するまでには至らなかったのだ。


允華は布団に入ったものの中々寝付かれずに

「はぁ」

と小さな息を吐き出した。


外はホワイトクリスマスの様相を呈しており允華は暫く布団の中で寝がえりを打っていたのだが眠れずに身体を起こすと

「ジュース買ってこよう」

と部屋を出てハッと同じように開いた扉に目を向けた。


加奈子がパジャマで立っていたのだ。

「あら?允華君もジュース?」


允華は真っ赤になりながら

「はい」

と答えた。


加奈子は笑顔で

「私もなの…眠れなくて」

一緒に買いに行きましょう

と歩き出した。


真夜中である。

人の気配はない。


允華は晟の言葉を思い出しさらに真っ赤になると

「あの」

と声を零した。


加奈子は販売機の前で足を止めて

「ん?どうしたの?」

と振り向いた。


シュッとして。

明るくて。

芯の強い女性だ。


いや、それだけじゃない。


允華は両手を強く握りしめると

「俺、その茂由、さん…のこと」

好きかも

「しれない、です」

と告げた。


驚いたように加奈子は允華を見つめた。

少し震えている肩が冗談でないと加奈子に教えた。


だけど。


加奈子は允華の方に向くと

「本当に私の事を好き?」

と聞いた。


允華は言われて彼女を見つめた。


加奈子は微笑んで

「こういう言い方は狡いよね」

と言い

「私、夏月先生が好きなの」

私を編集の道へ導いてくれた人

「先生の本を読んで胸が震えて…恋をした」

と視線を伏せた。

「でも、先生は小説の通りにただ一人の人をずっと愛してるって分かった」

パソコンに向かって先生が小説を打ってる姿が凄く好きでずっと横で座って見つめていたくなるの

「先生にとって私は弟子というか…允華君と同じ立場だって分かっているんだけど」


允華は泣きそうな気持ちを笑顔に代えると

「俺と、一緒なんですね」

と告げた。


加奈子はポロリと涙を落とすと

「うん、今ね。允華君に言われて気付いた」

允華君は私と一緒なんだもん

「でも、恋は恋だよね」

と両手で顔を覆った。

允華はそっと彼女の身体を抱き締めると

「恋は恋ですよね」

と呟いた。


きっと、彼女が晟と自分とで違う答え方をしたのは本能的にわかったからかもしれない。

晟の恋はきっと本当の恋なのだろう。


自分の恋は尊敬というか憧れを恋というオブラートに包んだモノだったのだ。

それでも。

允華は彼女の温もりに愛おしさを覚えながら暫く失恋の痛みを感じていたのである。


部屋に戻り買ってきたジュースを飲みかけるとベッドから姿を見せた晟が冷蔵庫からビールを取り出した。

「ごめんな、俺の早とちりで」

見ちまった


允華は笑顔で

「いいよ、今まで感じてなかった感情を感じれた」

津村さんじゃないけど小説の題材にする!

とドンとテーブルに手を置いた。


晟はビールを開けて

「飲もうぜ!」

失恋で乾杯だ!

と笑みを見せた。


允華も笑みを見せると

「ああ!」

と答え、ビールを受け取ると同時に口に運んだ。


翌朝、允華も晟も二日酔いでふらつきながら朝食の場に姿を見せて加奈子をあきれさせた。

「何やってんの!?」

もー

「クリスマスイブに酔っ払いって」


晟は笑顔で

「いやー、初めてあんなに飲んだので」

すみません

とイテテと頭を抑えた。


允華も頭を抑えながら

「本当に、俺も初めてで」

すみません

とハハッと笑った。


加奈子は二人を見ると腰に手を当てて

「允華君も晟君も今度は私も交えてよね」

ちゃんとした飲み方を伝授してあげる

と笑顔を見せた。


外は明るい日差しが降り注ぎ、雪がキラキラと反射していた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ