24年前の暗号
パソコンを入れた少し大きめの鞄を持って親友の泉谷晟が訪れた。
12月に入ってから毎日のことである。
允華の部屋に小さいが彼専用の本棚も出来た。
晟は部屋に入ると
「悪いな、小説進んでるか?」
と尋ねた。
允華は笑顔で
「進んでるよ」
と答えると
「晟が来てくれると丁度良い息抜きが出来るから助かる」
と返した。
晟は笑顔で
「そう言われると助かる」
と答え
「家でやってもいいんだけど誰かとした方が集中できるからな」
と言い、パソコンとタブレットを鞄から出すと立ち上げて
「春彦君の本を借りまくったのは良いけど持ち運ぶの大変でさ」
本棚悪いな
と専用本棚からJAVAのリファレンス本を取り出すと
「春彦君、本当にプログラムの勉強頑張ってたんだな」
とぼやいた。
「俺はプログラムより企画の方に力入れてたから…多分、プログラミングでは彼の方がよく分かってるな」
允華は小さく笑って
「そうだな」
と答え、晟を見ると
「でも、春彦君は違う道に行くと思うな」
と告げた。
晟も笑い返して
「ああ、そうだな」
春彦君は真面目で勉強熱心だったし
「夏月先生との生活を考えてだったから本当にしたいと思ってしてたわけではなかったんだろうな」
と答えた。
「俺みたいにゲーマーでもなかったし」
允華は頷いて
「だね」
春彦君はきっと探偵になるんじゃないかって思ってる
「相手を救いたい」
事件の被害者も加害者も救いたいって懸命に走っているのを見てるからね
と告げた。
晟はハハハと笑うと
「まったくだ」
と答えた。
そして
「俺は春彦君の分もゲームプログラマーになるか」
と付け加えた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




